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豪商 淀屋の闕所が語る大坂人気質・・・~懐徳堂に見る ~ 

2010年11月13日 | Weblog
大阪、八百八橋にその名を留める豪商 淀屋は巨万の富を蓄え、
武士に貸し付けるなどして力を持つことを恐れた幕府により
没収の憂き目にあいます。
 
この事件は町人の9割が商人という大坂に、お金儲けを至上とせず、
質素倹約、学問の向上を促すことになりました。

 そうした風潮のなか、淀屋橋の袂に町人たちにより懐徳堂
とよばれる学問所が建てられ、町人が主体の自由闊達な学問、
文化が開花していきました。

 約300年前のことです。

 懐徳堂は朱子学に縛られることなく、かといって、いわゆる
ビジネス・スクールではなく、論語、孟子など中国や日本の古典の講義を介し、

教養、モラルを教える学問所である一方で商業=商人は賎しいものである
とされた当時の社会的な位置づけを解放する、遅刻、早退は自主管理、
という極めて斬新なものでした。

 また、このころすでに天動説と地動説の中間的な天文学指向があり、
人体解剖図なども所持していたと言われています。

 武士(江戸)も公家(京都)もいない大坂は知の集積地として多士済々な
人物を排出し発展しますが、1945年の大阪大空襲で消失。

1949年、新制大阪大学に資料等が寄贈され「懐徳堂文庫」として
学術調査が始まります。

 「懐徳」とは「徳を懐(おもう)」、自己の内面の道徳を見つける
という『論語』からきているそうです。

 現在、大正時代に再建された懐徳堂の碑が、淀屋橋にある生命保険会社
ビルの壁面に残されています。

                               ~~~夏木 友~~~
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