第8回東京フィルメックス 11月17日

 

それぞれのシネマ To Each Own Cinema/Chacun Son Cinema

カンヌ映画祭の60回を記念して、世界の著名な監督35名に
製作を依頼した短編映画のオムニバス作品。製作条件は
1)上映時間3分以内
2)“映画館”を題材とする

出てきた映画館の多くは、現在のシネコンのようなものではなく
昔の映画館や、屋外の映画館や、今は朽ち果てた映画館の後など。
そして各作品の中に使われたりオマージュされている作品のいくつかは
自分の学生の頃などの思い出の作品で、感慨深いものがあった。

アジアの監督作品がどうしても目に付くのだが、
オムニバス作品は監督のカラーが出ていて面白い。
侯孝賢は台湾のレトロブームを象徴するような1950年~60年代くらいの台湾
「電姫戯院」が舞台。制服姿の張震、素敵でした(笑)
蔡明亮はドリアンが出てきたとたんに蔡明亮テイスト。
あの梨を食べる音が映画館の客席でするのは
蔡明亮の映画《楽日(原題:不散)》(2003年台湾)を連想しますね。
陳凱歌は昔の作風に戻ったかのような、中国の地方の子供達が主役だった。
王家衛は《花様年華》や《Eros》のような映像だが、
雰囲気は《欲望の翼》のようだった。あの字体とモノローグで
監督は映画の虜になったのだろうか・・・



上海で6月に購入した「看電影」カンヌ特集号



表紙は王家衛でした。



無用 Useless/Wu Yong
監督:賈樟柯

賈樟柯監督の中国のクリエーターを追ったシリーズの2作目。
2007年ヴェネチア映画祭オリゾンティ部門で上映、
同映画祭最優秀ドキュメンタリー賞を受賞。

広東省の縫製工場で生み出される大量の既製服。
中国を代表する女性服飾デザイナー、馬可(マー・クー)の
新ブランド『無用』立ち上げとそのコンセプト。
山西省の炭鉱のある町の小さな洋裁店と客たち、
それに炭鉱で働く人々の姿。

カメラは中国の現状を静かに見つめる事に終始する。
広州のシーンではBeyondの故黄家駒の曲が流れ
途中で馬可のインタビュー
山西省の炭鉱夫の家族にインタビュー
などがわずかに言葉として流れるのです。

中国の洋裁店や布地に興味があってみていたのですが、
だんだんと地方の町の現状が現れてくると、
《長江哀歌(三峡好人)》を思い出してしまいます。

監督のクリエーターを追うドキュメンタリー3部作の最後は
建築家だそうです。これも楽しみです。



馬可の仕事場
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