Andyの日記

不定期更新が自慢の日記でございます。

Looper

2013-02-12 13:18:25 | 音楽・楽器

最近、縁あって EFFCTORNICS ENGINEERING さん製作のルーパーを手に入れました。
これすごく便利なんですけど、特にすばらしいのがバッファが内蔵されていること。
この手のルーパーとかってたくさんペダルをつなぐことが多いから、どうしても
音痩せがついてまわるものなんだけど、バッファが最初から内蔵されているので
音痩せの悩みから解放される。

バッファを通すと音が痩せなくなるとはよく言われるけど、実際にどんな音かって
いうと、なんというか、音がいい具合にまとまる感じ。これまでもそれなりに音痩せ
には気を使っていたので、できるだけ質のいいシールドケーブルやトゥルーバイパスの
ペダルを使うようにはしていたんだけど、これを使ってからというもの、やっぱり
バッファって馬鹿にできない、と改めて確信した。音がまとまるというのは、具体的に
表現すると、暴れないということ。今までいい音だと思っていた音って、実際には
暴れた音だったんだ、ということがこれを使ってよくわかった。

バッファって平たく言うとギターから出てくる電流を強くすることで、本来ギターが
持っているはずの音を、そのまま出させるもの(強くするといっても倍増させるとか
ではなく、原音を忠実にアウトプットするために1倍にするだけなんですが)。
中には電流をより多く増幅できるようにゲイン調整ができるバッファもあるみたい
だけど、本来はギターから出てくる音をそのまま出すだけでいいはずなので、増幅率は
等倍があるべき仕様(だと思う)。

このようにしてギターから出てくる音をそのまま出すと、高音も低音も品がよくなった
ように聞こえる。バッファなしの状態だと、シールドやペダルを通るうちにあちこちで
ギターからの信号が劣化してしまう。ギターから出てくる電流ってとっても弱いので、
ジャックやプラグをいくつか通るだけで、簡単に劣化しちゃいます。変なたとえだけど、
バッファを通さないでギターの音を出すのは、内側が傷だらけ&デコボコのところてん
押し出し器で、ところてんを押し出すようなもの、と考えるとわかりやすいかも。
文字通り、荒削りな状態になるわけですね。

結果としてアンプからはバリバリ、ジャキジャキした音が出てくる。こういう音って
確かに輪郭がはっきりしていて勢いがあるように聞こえるから、これはこれで好きな
人は多いと思う。荒々しいクランチとかを決めるなら、むしろこっちのほうがいい、
という人もたくさんいるのではないかな。逆にバッファを通すと信号の劣化が避け
られるのでギターからの信号がそのまま丸ごと出てくる。これが、聞いている人の
耳には品のいい、よくまとまった音に感じられる、ということですな。つるん、と
している、というか。きれいにむかれたツルツルのゆで卵みたいな音、というと理解
しやすいだろうか。

バッファを通して弾くと具体的にはどういう音になるかというと、たとえばコンプを
使ってクリーンでカッティングをしてみると、音がプリリン♪という感じに聞こえる。
みずみずしい、っていうんですかね。音の輪郭がとげとげしくないので、耳に痛くない。
クランチでブースターをかけると、もっこり、という感じで音が盛り上がる。音の
輪郭はちゃんとしていて、しかも中音域がよりしっかり盛り上がる感じになる。
バッファを使わない状態でブーストさせると、音が広がる、というか暴れ散る感じに
なるのがわかる。たぶんほとんどの人には、こっちのほうが違いがわかりやすいと
思う。バッファを通さないときのブーストサウンドが「ガバ~~~」っていう音だと
すると、バッファを通したときのブーストサウンドは「ボゴ~~~」っていう音。
変なたとえだけど、デコボコに調整されていたパラメトリックイコライザーの目盛りが、
フラットに戻されるというか、ギターってほんとはこういう音なんだな、と気づかせてくれる。

あと、たとえば DS-1 のようなディストーション系エフェクターを使ったときにも、
バッファを使ったときの音の差がよくわかる。DS-1 の音って、「ベリリン」とか
「ジャリリン」とか、人によって表現に違いはあると思うけど、平べったくて高音が
ジャリジャリした音をしているという点では、同じような印象を持っている人が多いと
思う。これがバッファを通すと、「これほんとに DS-1?」って言いたくなるような
芳醇な音になるから驚く。「ジュワーン」というか、そんな感じの、みずみずしくて
美しい音になってくれる。中音にも DS-1 らしからぬ膨らみが出て、さらにこれを
TS でブーストさせると、気持ちのいい倍音を伴った太くて抜けのいい音が出てきて
くれる。

そうそう、このルーパーはチューナーアウトもついているんだけど、これはチューナーの
スイッチをオンにするとアンプ側がショートするので、アンプに負担がかからない。
さらに現場至上主義的なスイッチの組み合わせになっていることもあって、これすごく
便利です。クリーンのカッティングやアルペジオからディストーションサウンドまで
やらなきゃいけないようなバンドでは、これ1台あると無茶苦茶便利だと思う。


Third Eye Firebird

2012-03-26 14:41:24 | 音楽・楽器
Top Guitars のギターレビューの第三弾、今回はオール和材のファイヤーバード。
まずは軽くスペックから。

Body: Japanese Oak (水楢) Top/ Japanese Mahogany (栴檀) Back
Neck: Japanese Mahogany (栴檀) Neck / 槐 Fingerboard 22F
Fret: J.Dunlop#6105
Machine Head: Gotoh SES510
Bridge: Third Eye Firebird Special
Nut: Non bleach Bone
Pickups: Vintage Vibe Guitars Soapbar P-90 Style Single Coil Pickups

このギターを購入した理由としては、和材でギターを作ったら日本人の琴線に
触れるようないい音を出すギターになるのではないのかな、と以前からずっと
思っていたからなのだった。私はワインが好きでよく飲むんだけど、ワインの
葡萄の品種というのは基本的にはヨーロッパ原種のものがほとんどだ。それは
それでもちろんおいしいんだけど、それでは日本の土着の葡萄ではワインを
作れないのかというと、そんなことはない。実際、山梨の勝沼では甲州などの
地場品種の葡萄でワインを作っているのだが、その味わいは「和風」としか表現の
しようがない、凛とした味わいだ(これについて詳しくはここから)。

この体験から、和材でギターを作ったらどうなのだろう、もしかしたら輸入の
木材よりもずっとストレートに日本人の感性に訴えてくる音を出すギターに
なるのではないだろうか、と考えていたのだった。でも、当然ながらそういう
ギターを量産メーカーが出すはずもなく(センを使ったギターはときどきある
けど)、これは夢で終わるのかなと半ばあきらめていたのだが、Shinya さんが
オール和材のギターを作るというアイデアを公表したときに、もしも完成したら
ぜひ弾いてみたいものだと思い続けていた。そう思い続けていたからなのか、
縁あって我が家に来ることになったこのギター。やはり、素晴らしい。最近は
気がつくと、このギターばかり弾いている。

このギターの長所としてまずあげられるのは弾きやすさ。Gibson のオリジナルの
ファイヤーバードはヘッド落ちはするし、バンジョーペグが敏感ですぐに
チューニングが狂うし、ネックの形状も無骨なものが多くて、それほど弾きやすい
ギターではない。でも Third Eye FB にはそういうところが全然なくて、あまりにも
普通に弾けてしまうことがまず驚きだ。重量バランスがよく計算されているせいで
まったくヘッド落ちはしないし、ペグは一般的なモデルなのでチューニングは安定
しているし、ネックも厚みのあるボートシェイプながら握りやすく仕上げてある。
なので、FB を弾いているという感覚はほとんどない。唯一そう感じるところが
あるとすれば、座って弾いているときに低音弦側のウイングが胸に当たるとき
くらいだろうか。慣れれば平気なのだけど、気になる人はこの部分をコンター
加工してもらってもいいかもしれない。

次に、マホガニー系の素材で出来ているギターにしては軽い。重いギターを
立って弾いていると肩や腰に負担が大きいという人には、この軽さはとても
助かるのではないだろうか。パッと持った感覚でいうと、セミアコくらいの
重さしかない。「あれ、こんなに軽いの?」と驚く人が多いだろう。
デジタル体重計で量ってみたら 3.7 kg で、ほとんどハイブリッドアッシュの
テレキャスくんと同じくらいの重さだ。でも、持った感じでいうと、こちらの
ほうがやや軽く感じられる。体積あたりの重量が軽いせいでそう感じるのか
わからないけどね。

肝心の和材の音色だけど、やはり想像していたとおりの音だった。上のスペック
でもわかるとおり、傾向としてはマホガニーのギターに近い音色なんだけど、
クリーンでもドライブでも、いい意味で「角の取れたマホガニー」というような
音になっている。しかも音色がとても乾いているので、その角の取れ具合と
あいまって、ビンテージっぽい枯れた乾いたサウンド、とも表現できるかも
しれない。しかも、ビンテージの悪癖である音の暴れがないのが、ビンテージ
ギターでは望めない利点だ。ビンテージっぽい音といっても、世間に多く出回って
いる、ただ枯れたスカスカした音を演出しているようなものとは異なり、軽やかさの
中にナチュラルな味わいがあるサウンドだ。青い目のギターの、強烈で押し付け
がましいほどの強引な性質の音とは違い、いい意味で素朴に優しく「木の音」を
感じさせてくれる。

食べ物にたとえると、ちょっと微妙な表現かもしれないが、上質なエアインミルク
チョコレートのような感じというか(笑)。マイルドなチョコの風味がしっかりと
感じ取れ、同時にミルクのコクとまろやかさも味わえる、優しい口あたりの味わい、
と表現したくなる。バンドの中で求められるギターの音の範囲にぴったりはまって
いる感じで、どのパートの邪魔にもなっていないけどしっかり聞こえてくるような、
とても実践的な音だと思う。バンドで抜ける音をエフェクターやピックアップで
強引に作りだそうとすると、どうしてもとげとげしい音になりがちだけど、この FB は
抜けやすい範囲に最初から音がまとまっているので、ムチャなセッティングを
しなくてもきちんと聞こえてきそうだ。

このピックアップがどういうスペックなのかはわからないけど、少なくともどこかの
音域を強調するようなものではないので、ピックアップのせいでそういう音が出て
いるのではなく、ギター自体がそういう音を持っているのだということがわかる。
もともと P-90 って、ハムバッキングやフェンダータイプのシングルコイルと違って
ピックアップ自体に音のカラーがないから、ギターがよければ他のどのピックアップが
逆立ちしてもかなわないほどすごくいい音を出すし、ギターがどうしようもないと
ひどい音しか出してくれない。P-90 にあまり人気がないのは、できの良くない
量産タイプのギターに搭載されて楽器店に並べられているせいで、多くの人は
コモるようなひどい音を出す個体にしか触れる機会がないからなのだろう。
P-90 でいい音がしないということは、もともとその程度のギターだということだ。
嘘だと思ったら、P-90 が搭載されたハイエンドギターを弾いてみるといい。
目からウロコなことは保障する。それだけ作り手の腕を選ぶピックアップである
P-90 でこれだけのいい音を出すということは、ギター自体の完成度がどれだけ
高いかがわかるというものだ。

ただこのギターは正直なところ、初心者向けではない。その理由のひとつとして、
音の立ち上がりがとても早くて、タッチに敏感だという点がある。セットネックの
ギターでここまで立ち上がりが早くて敏感に反応するギターって、まったく知らない。
それどころか、テレキャスくんたちよりも音の立ち上がりが早いと感じるくらいだ。
その尋常ではない立ち上がりのよさと敏感さのせいで、右手も左手も気合入れて音の
粒立ちを揃えて弾かないと、とっちらかった演奏になってしまう。ピックアップが
あまりパワフルではないこともあり、ダイナミクスがつけやすい(というかつきやすい)
ので、弾き手の技量が完全にバレる。クリーントーンでのプレイでは、特に腕の良し悪しが
丸わかりになるはずだ。ボリュームを少し絞って弾くと、さらにその敏感さが増す。
怖いくらいだ。もちろんそのぶん、微妙なニュアンスも完全に再現してくれるのだが。
また立ち上がりが早いぶん、いつもの調子で弾くとリズムが走りがちになると思う。

また、上で「角の取れたマホガニー」と書いたように、ややバイト感が少ない。これは
歪ませたときに特に感じることだけど、エグいドライブサウンドを期待している人が
弾くと、肩透かしをくらったように感じるのではないだろうか。歪ませればちゃんと
歪むのだけど、ジャリジャリ、グジャグジャのサウンドにはならない。そういう音って
一人で部屋で弾いているときにはかっこよく聞こえるんだけど、バンドの中だと消される
音になることが多い。そういう意味でも、このギターは玄人好みな音といえる。つまり
派手な歪みサウンドを期待しがちなオーダーギターの初心者からすると、ちょっと
物足りないと感じられる可能性のある音だと思う。

でも、上級者であればこのギターの良さは理解できるんじゃないかな。特にビンテージ
系の枯れた柔らかい音を求めている人であれば、一発で気に入ると思う。個人的には、
このスペックのストラトがあったら文句なく最高のビンテージストラトになると思う。
あと、このスペックでベースを作ったら、ベーシストの皆さんはすごく楽できると思う。
発音が早くて音が必要な範囲にまとまっているから、リズムはモタらないし音作りも
楽で、オンボードプリなんて要らなくなるんじゃないだろうか。

ギターにはプレイヤーのプレイアビリティーを上げるギターと音楽性を上げる
ギターの2種類があると思うけど、これは両方をいいバランスで上げてくれる
と思う。プレイアイビリティーについてはすでに書いたけど、音楽性についても
このギターが貢献する部分は小さくないのではないかな。このギターの音色と
いうのは、どちらかというとあまり激しくない音楽を演奏するのに向いている
と思う。見た目は派手なスタイルしてるけど、一番似合う音楽はソフトロック
とかフォークロック、あるいはもっとアーシーな曲(カーリーサイモンとか
キャロルキングとか)だと思う。

これまで元気のいい曲ばかり演奏していた人でも、このギターを手に持つと
あまり元気に演奏しちゃうのがもったいないような、「俺も少しは大人に
ならなきゃな」みたいな気になることでしょう。ちょうど、保存状態のいい
ビンテージギターを手にしたときに、あまり熱い曲を弾くのが憚られるような、
そんな気分になる。で、今まで弾いたことがなかったアダルトなジャンルの
曲を、シックに爪弾きたくなる。実際、このギターではクラシックやフォークの
曲をクリーンで弾くこともすごく多い。音がソフトで奥行きがあって、エアー感も
すばらしく(明らかにそこらのセミアコより上です)、金属的ないわゆる
"エレキギターの音" ではないので、プレイヤーの引き出しを増やしてくれる
ギターとも言えると思う。

そうそう、Shinya さんはこのギターが完成した 2010 年の 11 月の時点で、
「まだ出来たてホヤホヤですからね、馴染んでくるとまた感覚も変わります」と
某所で書いていたけど、Shinya さんが書いていたインプレと、実際に今私の
手元にある FB の印象とで、変化したと感じられる箇所や補足しておきたい箇所を
あげておきますか。

[あそこまで乾いた響きではありません]

現段階では、かなり乾いた音になりました。ただ、マホガニーのような荒っぽい
ドライなサウンドではなく、シルキーでドライなサウンド、と言うと近いと
思います。では乾いたアルダーに似ているのかというと、それとも違います。
アルダーのような立ち上がりの遅さやダークなトーンや粘りなどはないです。
それじゃライトアッシュみたいなものかというと、ライトアッシュほど明るくて
腰のない音でもないです。やはり、このギターの音としか言いようがない(笑)。

[出来たては心配になるほど鳴らない]

もう出来たてではないので、言うまでもなくすごく鳴ってます。あまりに鳴りが
いいので、長年頑張ってくれたセミアコくんは売却してしまいました(笑)。
悪いギターではなかったんだけど (Aria Pro II TA-600)、これと比較して
しまうとどこもかしこも物足りなく感じられてしまい、「これじゃこの先、この
ギターを弾いてあげる時間がなくなるだろう、誰か他に可愛がってくれるひとの
ところに嫁いだほうがこのギターのためだろう」という結論に達して売却の運びに。

ちなみにこのセミアコ、ハイブリッドアッシュのテレキャスくんよりも鳴らない
ギターだった。このギターだけが鳴らないセミアコというわけではなく、量産型の
廉価版のセミアコってどれも大同小異だと思う。各部の仕込みやセットアップが
いまいちなうえに硬くて分厚いポリ塗装が施してあるので、あまり鳴らないギターに
なっているものがほとんどのはず。少なくとも、量販楽器店で試奏したセミアコは、
どれも同じようなレベルだったことは確か。

いや、そんなセミアコくんでも、うちに来た当時はフェンジャパのストラトより
よく鳴ってくれるので、「あ~、いいギターだ。やっぱり、鳴りを求めるなら
ソリッドよりも素直にセミアコだね。それに見た目も意外とかっこいいし、
なかなかなものじゃない」と感動していたものだけど、人間というのは、無限に
贅沢になってしまうものだ(笑)。ソリッドでもここまでよく鳴るギターという
のもあるということを知ると、ホローボディーには興味が持てなくなる。

[現状では物凄く反応が機敏なギター]

これについては、「物凄く反応が機敏」から「とんでもなく反応が機敏」に変化
した、と言えます。これはちょっと未体験ゾーンって感じですよ、ほんとに。
弾こうと思ったらもう音が出ていた、みたいなもんです。それだけに、弦を
押さえる動作ひとつでも、ピッキングときっちりシンクロさせないといけません。
適当なタイミングでなんとなく押さえると、ハンマリングの音として出てきて
しまいます。

[ハーフトーンでカッティングをしても存在感は抜群]

一般的に、セットネックのギターでハーフトーンのカッティングをすると、
クリーンでもドライブでもなんかいまいちというか、すっきりしない音になる
ことがあるけど、これは別物です。むしろ、積極的にハーフトーンを使いたく
なる音色。音にコシと張りがあるうえに、とにかくシャープ。すごくシルキーな
音なのに、どうしてこんなにシャープな音が出るんだろう、と不思議になる。
そのおかげで、ドライブでのカッティングもモコモコしないでスパッ!と音が
出てくる。低音が出ないのではなく、むしろ深くて豊かな低音がある。
セットネックのギターを軽めのクランチでカッティングさせようとすると、
リアポジション以外では音がこもって使いづらいものが多いけど、これは別物。

[日本の気候というか空気に馴染みやすいトーン]

そして、日本人の好みに合った音と言えるでしょう。やっぱり、和材を使って
いるせいなのか、変な表現だけど日本画を見ているときのような気分になる。
繊細でたおやかな音色で、ず~っと弾き続けていたくなる音色、というか聞き
続けていたくなる音と言ったほうが正確だろうか。聞いていて耳が疲れない
音だから、結果としてずっと弾いていたくなるのだと思う。いや、これからの
日本のギターメーカーは、和材をもっと真剣に研究したほうがいいと思う。
こんなに聞いていて落ち着いた気持ちになれるギターというのは、絶対にこれから
需要が出てくるはず。ジャカスカうるさい曲ばかりやる人たちばかりではないし、
それどころか「癒し系」というのはジャンルの1つとしてすっかり定着したの
だから、癒し系ギターの素材としてこれほど適した材はないと思う。

今のところ、こんなところでしょうか。また気がついたことや変化してきたこと
などがあったら、随時アップしていくことにします。

My pedals

2012-02-21 17:36:00 | 音楽・楽器

ずらりと並んだ、我が愛器。っていうのも恥ずかしい・・・、これじゃ完全に
年齢層がバレてしまう。我ながら、古いエフェクターばかり持っているなぁ。
別に古いのばかりオークションとかで買いあさったわけではなく、現役時代に
買ったのがそのまま残っているというだけのことなんだけどね。軽く、各ペダルを
紹介してみましょう(OCDとTS7は、もう詳しく書いているので省略)。
上段左から右、中段左から右、下段左から右の順に。

[GUYATONE PS-032]
布袋くんが使っていたペダルとしても有名。これは発売されてからすぐに
買ったペダル。当時は 80 年代後半でディストーション全盛期ではあったけど、
1つくらいオーバードライブを持っていてもいいかな、というくらいの気持ちで
買った。当時オーバードライブというと、『暖かくマイルドなサウンド』という
キャッチコピーがあちこちで溢れていたから、過激な歪みが好きだった私としては、
あまり興味をそそられないものだった。でも、食わず嫌いもなんだろうと思って
バイト代で買ってみたのだった。とはいっても、ありふれた SD-1 や TS は
なんだったので、消去法でこれにしてみたのだ。単純だったあの頃の私は、
「Overdrive Pro」なんて、なんかプロっぽいじゃん、と浅はかにも考えたのでした。

うちに持って帰ってきてアンプにつないで音を出してみたときの第一印象は、
「なんだこりゃ・・・?」だった。ディストーション信者だった当時の私から
すると、ぼんやり、もや~っとした音としか感じられなかった。だからその後は、
ず~~~~~~~~~っとエフェクターケースの中で冬眠するはめになった。
まぁ、買った時期が悪かったということで(笑)。

それから時間が経って、オーバードライブをブースターとして使う方法が
一般的になってからもう一度使ってみたけど、やはりあまりいい音とは
思えない。ブースターとして使ってみると、やたらと倍音成分が多いから、
何を弾いているのかわからなくなってしまうことが多い。時に、マホガニーの
ギターで弾いているとその傾向が強くなる。個人的には、今のところこれには
コレクターズアイテム以上の価値を見出すことができない。TS 系のほうが、
どのギターやエフェクターやアンプと組み合わせても一定の仕事をしてくれる
ので、ぜんぜん使いやすい。

ただ、うんと好意的に見るとするならば、アンサンブルの中でギターの音を
邪魔にならない音域に集めるという点では、優秀なのかもしれない。高音も
低音も、TS7 よりもカットされている。そのため、ギターの音はボーカルと
ベースの中間あたりに集まることになる。で、ハイとローをカットするだけだと
ギターの音がバンドの中で聞こえなくなってしまうから、倍音成分を増やす
ことでギターの音が聞こえるようにしている・・・、のだろうか?このあたりの
味付けが、「Overdrive Pro」のネーミングの理由なのかな。プロの現場で
求められる音を追求していったらこうなりました、みたいな。弁護しすぎ(笑)?

音色は、ひとことで言って渋い。BOSS 系とも TS 系とも違う、やたら渋い音。
渋いと言うべきなのか、古臭いと言うべきなのか、う~~~む。渋くて古臭い音
なんだけど、薄くも細くもない。ボガブバ!みたいな音と言うと通じるだろうか。
ホワイトストライプスのギターの音をもう少し曇らせたような音、というと
わかるかな。まぁ、なんだかんだ言っても売却せずにずっとエフェクターケースに
あるということは、捨てるには忍びないという思いもあるのかもしれない。


[XOTIC RC BOOSTER」
これは好き嫌いがはっきりと分かれるペダルだと思う。私の場合、あまり
好きにはなれない。音は確かに太くなるんだけど、コンプ感が強いんだよね。
だから音の奥行きが少なく感じる。ヘッドルームが少ないというのかな、
そういう音になってしまうのが気になる。ただ、ヘッドルームが少なくなると
いうことは、暑苦しいほどに押し出しが強くなるということでもあり、ソロの
パートなどで音量をあげて音の通りを強引によくさせるという点では、なかなか
いい働きをするペダルと言うこともできると思う。好意的に見れば。

あと、これをつないだだけで、スイッチを入れなくても音がちょっと固くなる。
トゥルーバイパスのはずなのに、これは不思議。ていうか、トゥルーバイパスって
この程度のものなのかな?イコライザーは高音と低音があるけど、どっちに
回してもそんなにいい音にはならなくて、わざとらしい音になる。だから
基本的にはすべてのツマミは、12時の状態にして使うといい。とにもかくにも、
このペダルのキモは音色。この音を気に入るのなら買いだし、気に入らないのなら
やめたほうがいい。悪い意味で BOSS 的な音色、つまり人工的な音色だからね。
チリチリっとした神経質そうな超高音が混ざった音になってしまう。その音を
消そうとして Treble を絞ると、全体的にこもった音になってしまう。

これはギターに使うだけでなく、意外とベースと組み合わせても悪くない。
コンプレッサーの後段に置くと、音にさらなる押し出し感とハリを与える効果が
ある。ベース対応ということでもないんだろうけど、なぜか低音域に不足を
感じることはない。この組み合わせだとかなり音抜けがよくなるので、
フィンガーピッキングで音抜けをよくしたいという人にはいいかもしれない。
フラットピッキングだと、かなりバキバキな音色になるかもしれないけど。

あ、あと裏技として、OCD の無駄な低音を削るのには割と有効。低音を絞った
状態にして OCD の前段に置くと、あのとてつもない低音を削ってスッキリと
した音にすることができるので、もし OCD と RC を持っている人で OCD の
低音に困っている人がいたらおすすめします。この組み合わせだと、それほど
RC のチリチリした高音成分が気にならないので、RC ぎらいの人でも許容
範囲ではないかと。

それともう1つ、Guv'nor の前につなぐのもおすすめです。Guv'nor って、音はとても
マーシャルっぽい音なんだけど(マーシャル製なんだから当たり前だけど)、
ややこもり気味な音なので、それに不満を持っている人が多いんじゃないかな。
あと、音が薄いとかペラいとか感じる人も少なくないと思う。でも、だからと言って
Bass をもちあげると、ますますこもった感じの音になってしまうので、困っている人が
いても不思議はない。ていうか、私がまさにそうでした。

そういうとき、これを Guv'nor の前につなぐと、あら不思議。音の輪郭がはっきり
するし、低音は適度に増えて音に厚みが出るし、しかも音痩せしないし固くもならない。
RC Booster のつまみは、どれも12時の状態でOK。これって、Guv'nor のために
作られたんじゃないの?っていうくらいのベストマッチングだ。初めて気がついた時は、
理想的なマーシャルサウンドに感動してしまった。本物のマーシャルサウンド、
特に JCM2000 とかの鋭すぎる音は嫌いという人には、これオススメです。


[BOSS CH-1]
標準的なコーラスですな、可もなく不可もなく。音色はとても爽やかできれいで、
アルペジオだけでなく、クリーントーンのカッティングに薄く使うとキラキラ感が
倍増される。歪みサウンドに薄くかけても、リッチな音色になるから不思議だ。
でも、これにはまるとオフにできなくなる「コーラス依存症」になりかねない。
それくらい、中毒性の高いペダルだ。使う人全員をナルシストに変えてしまう
ような音色なので、これとリバーブを組み合わせ、さらにディレイまでつなげて
軽やかなサーフサウンドを奏でたら、ほんとに時の経つのを忘れて弾きこんで
しまうので、要注意。

だからできるだけつなげないようにしているんだけど、たまにどうしても
つなげたくなってしまう。月並みな表現だけど、「一度使うとオフにできない」
と表現するしかない。オフにすると、なんか薄っぺらくてつまらない音に
感じられてしまうんだよね。特にセンドリターンでつないだ音だと厚みと
きらびやかさが格段に違う。でも、あまりかけすぎると音抜けが悪くなるので
注意が必要。


[BOSS DS-1]
日本製です、言うまでもなく(笑)。といっても、いわゆる銀ネジではなく
黒いほう。私にとって "ディストーション" といえば、やはりこれ。最初に
買った歪みペダルが、これだったからね。これ買った当時は、「とりあえず、
歪み系は DS-1 買っとけ」っていう雰囲気だった。まだハイゲインアンプとかは
スタジオに置いていなかった当時、ハードに歪ませるならディストーション
ペダルを買うしかなかった。しかしよく使ったなぁ、ほんとに。

エレキギターを弾き始めた当時は、何を揃えればいいんだかもわからずに、
ギター雑誌ですすめられているものをとりあえず買ったんだけど、これも
そういう流れで買ったものだ。でも初心者が使うディストーションとしては、
悪くないんじゃないだろうか。というのは、やっぱり弾きやすい。うそ臭いと
言われることの多い BOSS の音だけど、それは言い方を変えれば弾くほうが
適当に弾いてもそれなりに聞ける音を出してくれるからで、初心者が気持ち
よく弾くにはとてもいいと思う。ていうか、プロでも使っている人が少なく
ないんだから、これはこれで大切なことなんだろう。特にセッション系の
ギターさんの場合、出先で用意されていたアンプが「なんじゃこりゃ?」
レベルのアンプだったとしても、BOSS のエフェクターを使えばとりあえず
きちんと目的のサウンドが出せるという安心感は、他のセンシティブな
エフェクターにはない利点だ。

あまり評判がよくない台湾製のって試したことがないのでどんな音なのか
よくわからないけど、たぶんそんなには違わないんじゃない?台湾製のほうが、
音がくっきりしているというような評価もあるみたいだけど、それは新品
だからっていうのもあるんじゃないかな。日本製だって、新品のときには
同じような音がしていたかもしれないし。ただ、トーンの可変幅は動画サイトで
見ていると確かに日本製のほうがあるみたいだね。とはいっても、台湾製の
ほうが使える音なんじゃないんだろうか。日本製のはトーンが10時を
過ぎると、もうすごく鋭くて耳が痛くなるわ、その割には抜けてこないわ、
あまりいいことない。これを抜ける音にさせるのって、けっこうコツが
いると思う。ブースターで中音域を持ち上げるか、アンプを根気よく調整
するか、ディマジオみたいに強引にA母音系の音を出すピックアップを
乗っけるか。

でも、今の若い子たちがディストーションを買うとなったら、MT-2 とか
むちゃくちゃ歪むタイプのを選ぶのかな。これなんて、シングルコイルの
ギターで弾いたら、へたしたらクランチ程度にしか歪まないかもしれないし。
ハムとか P-90 ならけっこう歪むけど、でも激歪みサウンドとかは当然だけど
出ません。しかも MT-2 ならミドルの調整もできるから、DS-1 みたいな
ミドル作りの苦労もないし。そういえば、これの低音が不足しているという
評価をときどき見かけるけど、それはちょっと不思議な感じがする。
イコライザを全部5にした状態の Guv'nor や SM-9 よりも、こっちのほうが
低音出ていると思うんだけどね。ギターによるんだろうか。


[GUYATONE PS-036]
これはいつ買ったのだか覚えていないんだけど、たぶん PS-032 と同じくらいの
時期に買ったんだと思う。しかし最近って、ギター用イコライザーって見なく
なったなぁ。昔はもっとあちこちのメーカーから売り出されていたけどね。
きっと、RC ブースターみたいなクリーンブーストができるペダルがたくさん
出てくるようになったから、用済みなんだろう。RC ブースターが人工的だと
いうなら、こっちはさらに人口甘味料と合成着色料も入れときました、みたいな
音色(笑)。ある意味懐かしい音色だと思う。薄っぺらくてカチコチの音に
なってしまうんだけど、それを意識的に使うとおもしろいかもしれない。私は
たぶんもう永久に使わないけどね(笑)。


[MARSHALL GUV'NOR]
そうです、英国製です(笑)。これも出てすぐに買ったから、当然といえば
当然ですが Made in England です。でもね、今でこそプレミアがつくような
ペダルだけど、発売された当時はあんまり話題にすらなってなかった。
ギター雑誌の新商品のコーナーで「Marshall からエフェクターが出ましたよ」
みたいに紹介されていたから、こりゃすぐ売り切れちゃうだろうと思って慌てて
楽器屋さんに買いに行ったら、売り切れるどころか山積みになっていて、店内には
特に Guv'nor を買いに来たようなお客さんも他にいなくて拍子抜けした。

友達に「買った?」とか聞いてみたら「え、なにそれ?」「ふ~ん、あ、そう」
程度の反応ばかりで、あまり当時は注目されてはいなかった。それに、雑誌とか
でもこのペダルを絶賛するような記事って見たことなかったし。実際に自分で
弾いてみると、確かに DS-1 や SM-9 と比較すると歪みペダルとしてはやや
地味な音だったから、それほど感激したっていうこともなかった。音は確かに
Marshall ぽい音なんだけど、訴求力に欠ける音っていうのかな。当時はまだ、
歪み音はできるだけ派手でなければ、みたいな風潮だったから、これもかなり
長いことエフェクターケースの中で冬眠するはめになった。

実を言うと、ギター自体しばらく弾いていない時期があったのだ。20代半ば
くらいから30代半ばくらいまでは、ほぼまったくギターは弾いていなかった。
30代の半ばを過ぎてから急にまたギターが弾きたくなって、ようやく
ギターを手にするようになってからもう一度ギターをアンプにつっこんだら、
10年前までの自分とは求めている音がだいぶ変わっていることに気がついた。
DS-1 などのような派手な歪みの音に、違和感を感じるようになっていたのだ。

それで、なんの気なしに Guv'nor をつないでみたら、DS-1 と比較すると自然で
あたりの柔らかい音色が心地よく感じられて、それ以来ちょくちょく使うようになった。
最近になって、これを TS と組み合わせると Guv'nor のややトランジスタっぽい
音色が緩和され、しかも艶のある気持ちのいい音で弾けることに気がついてからと
いうもの、さらに使う頻度が増した。特にフロントピックアップでソロを弾くときに、
この組み合わせはこたえられないくらいにいい音を出してくれる。試したことの
ないオーナーのかた、おすすめします。

韓国製や Guv'nor Plus と比べると音が中音に集中しているといわれがちな
英国製だけど、まぁそうなのかもしれない。確かに中音たっぷりの音色だ。
しかも、渋い音だね。あまりカリフォルニアの青空を連想させてくれるような
乾いた明るい音ではない。イギリスの曇り空を思い起こさせるような、ダークな
音色というか。でも当然だね、Made in England なんだから。韓国製のほうが
音色が明るいのは、それは韓国のほうがイギリスよりも天気のいい日が多いから
でしょう(笑)。もし Guv'nor をカリフォルニアで作ったら、さらに明るい
音色になるに違いない。そうか、台湾製の DS-1 が日本製より音色が明るいのは、
台湾の人の明るい性格のせいなのかもしれない。ていうか、きっとそうだろう。

Bass, Middle, Treble の各ノブはけっこう敏感。私はいつも全部12時で
弾いているけど、これで特に問題ない。このペダルは Marshall 製だけあって、
全開でフラットになる設定らしいけど、そんなことしたら騒々しくて大変。
轟音としか表現しようのない音になってしまう。それが好きなアレな人には
いいかもしれないけど、普通の人ならいやになっちゃうでしょう。味のある
使い方としては、ローとハイを削ってミドルを増やした設定にして弾くと、
ガレージっぽい荒々しい音が出てくれて楽しいし、逆にローとハイを少しだけ
増やしてミドルを少し削って弱めのクランチにすると、古臭い Marshall の
ヘロい音が出てくれておもしろい。これでブルース系のカッティングとか
すると、なんかひたれるから楽しい。


[DOD FX10]
これを持っている人って、少ないだろうな。ちょいとトランジスタ臭さはある
けれど、プリアンプというかクリーンブーストとしてはなかなか優秀。特に、
ヘッドルームを減らさずに音量と輪郭をかせいでくれるところは素晴らしい。
エアー感のあるボリュームアップを望んでいるなら、こっちのほうが RC より
いい仕事をしてくれる。薄めのクランチの音をボリュームアップさせるような
シチュエーションだと、「ほほぉ~~」と思わず笑ってしまう。たぶん、
モディファイすればトランジスタ臭さの欠点を解消できるんだろうけど、
とりあえずこのままでも使えるので現状維持。


[MAXON SM-9]
最近 MAXON から Super Metal が再発されたね、SM9Pro+ とかいう名前で。
これはもちろん、オリジナル。これとほぼ同時期に、BOSS の最大のヒット作とも
いわれている、あの HM-2 Heavey Metal が出た。いやもう、私の周りもみんな
あれ買ってましたよ。「なんだよ、お前もかよ!」みたいな感じで。学園祭に
出た全部のバンドのギターがあれ使ってた、なんてこともあったし。

しかし、ひねくれ者の私としてはそれには手を出さなかった。あと、その頃から
すでに BOSS の音の不自然さというか変な固さが気になっていた私としては、
ちょっと毛色の違うペダルを求めていた。当時よく通っていた楽器屋さんに
いた仲良しのお姉ちゃんと、BOSS 以外でいいディストーションてないかな、
とか話していたときに、「これなかなかいいよ」と薦められて買ったのだった。

残念ながら、これをスタジオで試したことはない。これを買ったくらいに、
当時組んでいたバンドをやめてしまったので、それ以来スタジオでは使わず
じまいになってしまった。バンドの中でどれくらい抜ける音なのか、今と
なっては残念ながらわからない。でも、わざわざ MAXON が再発売するくらい
なんだから、きっとその辺のことは大丈夫なんだろう。

音は MAXON らしく、自然な音。DS-1 と比較すると、ざっくりした音かな。
DS-1 がバリン、ズギャン、という鋭く攻撃的な音だとすると、SM-9 はもっと
エアー感があるジャラン、グガン、という音だと思う。TS 系ディストーション、
とでも表現するしかないね(笑)。音色は DS-1 とは違ってハイミッドが
強烈な音。DS-1 がややドンシャリぎみなのと比べて、強引なまでに抜けて
こようとする音とでもいうか、バンドによっては「うるさい!」と文句を
言われそうな音だ。ゲインをあまりあげないようにすれば、ブルース系
ペダルの代わりとして使うこともできそうな音色。

トーンは高音、中音、低音と3つあるんだけど、どれもかなり敏感。高音を
あげていくと、かなりキンキンした音になる。正直言って5でもうるさいくらい。
ただ、うるさいといってもジャリジャリした音にはならず、ハイとハイミッドの
中間あたりとでも言おうか。音のレンジが、いい意味で狭いのが SM-9 の特徴。
中音は純粋な中音というよりは、ハイミッドとミッドの中間あたりを強調する感じ。
これも5くらいでいいんじゃないだろうか。低音は、5のままだと少し強いかも
しれない。当時はあまり音のナチュラルさとか意識しないような時代だったから、
割と色ものっぽいセッティングで売り出した可能性はある。名前も名前だし。

ちなみに、私の好みだと高音は2、中音は5、低音は4くらいかな。この
セッティングで弾くのが自分にとって心地いい音だということに気がついてから、
急にこのペダルを使う頻度が増えた。ディストーションとオーバードライブの、
いい意味で中間くらいの音。ゲインを最大にして、ギター側のボリュームノブで
ドライブを調整すれば、ブースター要らずでバッキングからソロまでこなせる。

ちなみにこの SM-9、アッシュのギターとの相性が抜群にいい。アルダーや
マホガニーのギターとの組み合わせだと前述のようにキンキンとした高音が
耳障りなのだけど、アッシュのギターと組み合わせるとまるで五月晴れの
青空のような爽やかな音色になるから不思議。もちろん高音はキンキンせず、
実に気持ちのいい音色。また、SM-9 はアルダーやマホガニーのギターと
組み合わせるとコンプ感が強い、というかペラペラに近い音になりがちなの
だけど、アッシュのギターだとそのコンプ感が気にならない。もともと
アッシュのギターはエアー感が強くて、それが歪み系ペダルと組み合わせた
ときに無駄にモコモコとした音になることが多いのだけど、SM-9 と組み
合わせるとちょうどいい具合のヘッドルームが確保される感じになる。
アッシュのギターを DS-1 や Guv'nor に組み合わせるとモガモガした音に
なって気に入らないという人は、ぜひ SM-9 を試してみてほしい。


[PROVIDENCE DC-401]
割と評価の分かれるコンプのようだ。モダンな音という意見と、暖かくて太い音
という意見。私が持っている機材で音だしする限り、『暖かくて太い音』のほうが
近いと思う。そんなにモダンな音ってしないけどな、どんなセッティングで
弾くとそういう音になるんだろう。ものすごい大音量で弾けば、そんな音に
感じられるのだろうか。

肝心のコンプとしての性能だけど、私が使うぶんには文句ありません。ベースで
使えば音圧のある迫力のある音にしてくれるし、ギターで使えば音量をきれいに
整えてくれる。音痩せなども感じられない。そして輸入ペダルのように自己主張の
激しい音ではなく、ギターでもベースでも実に無難な音に仕上げてくれるあたり、
いい意味で日本的というか、アンサンブルでの使いやすさを考えて設計されている
ように感じられる。まぁ Made in Japan だから当然なのかな?

ちなみに見てわかるように Level と Sustain という2つのノブしかついてない。
Level は音量、Sustain はしきい値で、Sustain を右に廻すほど圧縮するレベルが
強くなり、ピッキングした瞬間の音量が下がる。そのぶんサスティーンは長く
なるんだけど、ホワイトノイズが大きくなるし、無音状態から音を出したときの
不自然な音量の変化が気になると思う。

ギターのカッティングで使うには、写真のようにどっちも12時くらいにして
おけば、おなじみのプヒャプヒャっとしたコンプサウンドを出してくれる。これに
コーラスをかけてリズミカルなカッティングをすると、昔懐かしいあのサウンドが
楽しめる。ベースで使う場合は、もっと Sustain をかけるか、逆にあまりかけ
ないようにしたほうがいいかもしれない。スラッピングを多用するなら強め、
そうでないなら弱めがいいんじゃないかな。

[KORG TNB-1]
これはねぇ、ほんとにいいですよ。何がいいって、バンドでの音抜けが桁違い。
あまりハイミッドの強烈なペダルと組み合わせると、他のメンバー、特にボーカルや
キーボードから文句を言われるかもしれないけど、音がもうキラキラになって
しまって、オフにできなくなる。Tone Booster という名前だけあって歪ませることも
できるけど、これ単体で積極的に歪ませるようなことはしないほうがいい。悪い意味で
荒っぽいというかエグい音になってしまう。RC Booster と同じように、基本的には
全部 12 時にセットして使ってみることをおすすめする。もしハイやローがきつすぎる
ようなら、適宜弱めるようにしたほうがいいでしょう。プリアンプとして使うには、
これは最高です、マジで。これを超えるクリーンブースターは、いまだに見たことが
ありません。コンプレッサーで音に輪郭がなくなったときなんかにも、いいです。


[GUYATONE PS-029]

あまり使っていない割には、Guyatone 率が高い我がエフェクターケース(笑)。
いちおう、デジタルディレイの仕事はしてくれます。温かみのある音といえば聞こえは
いいんだけど、どこかぼやけたような音に聞こえる。でも、これくらいの音のほうが
バンドでは抜けやすいということもあるんだろうか?考えてみると、Guyatone も
Providence も、積極的に海外展開していない日本のメーカーの音って似た傾向が
ある気がする。つまり、出しゃばらずに最低限の仕事はこなします、みたいな。

確かにボーカルにとっては邪魔な音にならないので歌いやすいだろうし、鍵盤や
ベースさんにも受けは悪くないだろう。目立ちたがりやのプレイヤーには受けない
かもしれないけど、チームプレイに徹するような人にはいいんじゃないだろうか。


今後買うとしたら、フェイザーかフランジャーだろうなぁ。最近、フランジャーの
音がコーラスよりも気に入るようになってしまったので、購入する可能性が大きい。
MXR あたりのシンプルなのでいいから、1つ買ってしまうかも。


TS7

2011-08-30 11:32:40 | 音楽・楽器
"チューブスクリーマー" という言葉を最初に聞いたのは、私がまだ高校生の頃だった。
それがいつごろのことかといえば、VAN HALEN が 1984 をリリースしたり、インギーが
アルカトラズで初来日して「なんだありゃ?」「どうせデタラメだろ」「旋律に味がない」
などと酷評され(今もあまり変わらない?)、メタルとハイテクギタリストが一気に
メジャーになった時代だ。

当時のギターキッズが欲しがる歪み系のエフェクターといえば完全にディストーションで、
それ以外のペダルはそれほど売れていなかったと思う。もちろん、今でもメタル系の
ギターキッズにはディストーションが人気あると思うけど、当時は必ずしもメタル系では
ないギターキッズにもディストーションばかり売れていた気がする。オーバードライブにも
ファズにも少なからぬ固定客がある現代に比べると、状況はだいぶ違っていた。というか、
今はディストーションよりはむしろオーバードライブのほうが人気が高いのではないだろうか。

あの当時、一般的に出回っているトランジスタアンプは、あまり歪まないものか歪んでも
薄っぺらくて安っぽいドライブサウンドしか出ないものばかりだったから、大抵の人は
エフェクターをつないでがっつり歪ませて弾いていたのだ。今の人には信じられないだろうけど、
エフェクターで歪ませたほうが音にはるかに深みも厚みもあった時代だ。オーバードライブ
だけだと、当時のハードロックやメタルのレコードで聴けるようなかっこいい歪みサウンドは
出せなかったので、しかたなくディストーションを購入していた人は少なくなかった。

いや、当時はプロギタリストですら改造されたマーシャルをフルアップさせたうえで、
歪み系ペダルやブースターでさらに歪みを補っていたような時代だから、いかに当時の
アンプが歪まなかったかがわかる。私の友達なんて、DS-1 に KORG のトーンブースターを
かけてさらに過激に歪ませていたくらいだし。決して友達は激歪みメタル信奉者という
わけではなく、むしろレインボーあたりの、それほど強い歪みを必要としないくらいの
ロックをコピーしていた。にもかかわらず、そこまで歪ませていたんだから、みんなが
ほんとに歪みを必要としていた時代だった。

そんな当時から、TSは存在した。あの当時、TSを愛用していると公言しているロック系
ギタリストは皆無だったと思う。いたのかもしれないけど、雑誌のインタビューなどで
目にするギタリストが使っている機材に、TSが登場することはなかった。それはそうだろう、
TSは、当時から歪まないペダルとして有名だったから。

私の記憶が確かなら、あの頃 Ibanez はディストーションだけで5~6種類は発売して
いたと思う。それくらい、当時はディストーションが売れまくっていたのだ。チューブ
スクリーマーはカタログに掲載され続けてはいたけど、でも売れてなかったんだろうなぁ。
あの頃に雑誌で歪み系エフェクターの特集が組まれても、TSに対する評価はあまり高く
なかったと思う。一番歪まないペダル、というような評価だったし。ほとんどのロック系
ギターキッズは注目していないのが実際のところだった。

だから、ジョージ・リンチがTSを愛用していると聞いたときは「はぁ?」という気分
だった。彼の作品を聞いていると、マーシャルらしいアクの強くエッジの聞いた
ディストーションサウンドばかりなので、どこでTSを使っているのかわからなかったし、
正直言ってギターキッズを煙にまくための冗談だろうと思っていたくらいだ。

ところがそれからというもの、SRVやその他のギタリストがTSを使っていることを
公言しだした。日本でTSが注目され始めたのは、その頃あたりからではなかっただろうか。
ちょうどヘビメタが過剰供給と売れ線主義に走りすぎたせいで下火になって、ヘビメタ
以外のロックに光が当たりだした頃だ。また、マーシャルも JCM900、さらに JCM2000 へと
進化して、次第にアンプだけでじゅうぶんに歪ませることができる時代になり、
ディストーションペダルがなくても十分に歪ませることができるようになった。

JCM900 以降のマーシャルは、歪み量こそじゅうぶんだけど耳が痛くなるような鋭い
高音が欠点なので、それをなんとかしたい、という要求にもオーバードライブが
使われるようになった背景があると思う。TSやSD-1を使うギタリストが、
あらゆるジャンルのロックで急に増えていき、そして現在に至っている。ブースターと
して、またはイコライザー代わりとして、オーバードライブは登場当時とはやや違う
用途で高い需要を維持し続け、今や百花繚乱の様を呈している。

しかし、私はもともとオーバードライブをブースターとして使うことにはあまり
賛成できないタイプだったので、TSを手に入れたいとは思わなかった。あと、
正直言って学生時代に抱いていた「歪まないペダル」という印象が強かったことも
あって、「TSはいらない、歪ませるならちゃんとディストーションを使ったほうが
いいし、アンプが十分に歪むならアンプ直で歪ませたほうが絶対にいい」という
考えだった。実際、Marshall Guv'nor なんてディストーションにしてはミドルは
しっかりあるし、歪み方も必要十分だし、これで何も不満ないとずっと思っていた。

ところが最近手に入れた Ibanez のカタログから、TS7 が消えたことに気がついた。
あれ、生産中止になったのか、と思って楽器屋さんのサイトを見ると、リストから
TS7 が消えているところが多い。やはり TS9 や TS808 ばかり売れて TS7 が売れない
ものだから、Ibanez もラインアップを整理する必要に迫られたんだろう。この不況
だしね、売れないものをいつまでも作り続けるわけにもいかない、という理由はよく
わかる。

そんな状況を見ていたら、なぜか急に TS7 が欲しくなった。あまのじゃくなやつだ、
さんざんオーバードライブをブースターとして使うことを嫌っていたくせに、いざ
生産中止となったら欲しくなる。さいわい、まだ置いてある楽器屋さんでは、もはや
投売り状態の値段になっている。ついこないだまでオークションで買うような値段で
新品が手に入るようになったので、いい機会なので買ってみようか、と気楽に買って
みた。

実際に使ってみた感想から言うと、「なるほどね~~~」。なぜTSばかりこうも
もてはやされるのか、使ってみてわかった。これ単体では、やはりぜんぜん歪まない。
持っている Guyatone PS-032 のほうがはるかに歪む(ていうか、これはオーバー
ドライブとしては歪みすぎ)。あまりに歪まなくて、あせったくらいだ(笑)。
でも、イコライザー的に歪みを補う使い方をすると、確かにすごくいい。

TSって、こういう表現が正しいかどうかわからないけど、落としどころが絶妙だ。
確かに一般に言われているように高音と低音がカットされるし、倍音成分は少ないし、
少しフィルターをかけたような音になる。ただ、これを音が太すぎてブーミーな
アンプや、暴れた汚い歪みかたをするアンプ、ちょっとゲインを抑えた歪み系ペダルと
組み合わせてブーストさせると、ちょうどいい音にできるから不思議だ。意図的に
こういう設定にしたわけではなかったと思うけど、結果として具合のいい音に
まとまってくれる。

じゃ、他のオーバードライブをブースターに使うと、どうなるか。我が愛器 PS-032、
これはすごく歪むのでゲインが足りないという不満は一切出ないんだけど、これで
ブーストさせると倍音成分が強調されすぎてしまい、何を弾いているのかわからなく
なってしまうことがある。これ以外のメーカーのは知らないけど、TSやSD-1ほど
人気がないということは、あまりブースターとしては相性がよくないんだろう。

じゃ、TSがどういいのか、ちょっと具体的に書いてみますか。たとえば私が持って
いる VOX MINI3 の [UK '70S] チャンネル。Marshall 1959 の音をモデリングした
チャンネルだけど、これはゲインをフルにしてもほとんど歪まない。でも、音は
とても味わいがあって素晴らしいので、あとちょっと歪んで欲しい!と思う人は
多いだろう。でも、これに普通のオーバードライブをつなぐと、ボガ~~~っていう
ガバガバな歪みになってしまうし、ディストーションだと逆にバキバキの薄っぺらい
歪み方になってしまう。

TSをブースターの設定(レベル最大、トーン12時、ゲイン0)でつなぐと、
ほんとにちょうどいい具合になる。ストラトで弾くと、レインボーの Since You've
Been Gone や Spotlight Kid あたりで聞かれるような、太くて透明感があって
適度にバイト感のある絶妙な歪み方をしてくれる。これ以上音が太いと暴れるし、
これ以上バイト感があるとグシャグシャわずらわしくなるんだけど、そこまでは
いかないので弾いているほうとしてはコントロールがとても楽だ。ゲインをもっと
増やすと、今度はインギーのファーストソロの Rising Force で聞かれるような音に
なっていく。そういえば、彼もこの頃は 1959 を使っていたんじゃなかったかな。
使っていたペダルは DOD だったと思うけど。

次に [UK '80S] チャンネル。JCM800 をモデリングしたこのチャンネル、ガバナーっ
ぽいと以前に書いたけど、ガバナーよりもっとトランジスタチックでしかもキンキン
している。そのくせ、倍音成分が少ないのでパームミュートをするとモグン、モグン、
という輪郭の不明瞭な音になる。このチャンネルでTSをブースターに使うと、おぉ、
'80s メタルだ。ガッツがあって太くて濃密でジャキッ!としたマーシャルサウンド。
適度に倍音成分が付加されるのでミュート音もかっこいいし、ピッキングハーモニクスも
キコキコきまる。フロントピックアップでソロを弾けば、ピーヒョロロサウンドも
出てくるので、弾いていてとてもひたれる。

[UK '90S] チャンネルはどうか。JCM900 のモデリングのこのチャンネル、歪むことは
歪むけど、ギャリンギャリンのディストーションサウンドで耳が痛くなりかねない。
トーンを絞ればいいんだけど、そうすると音がこもってしまいかねない。なのでTSの
トーンを少し絞る設定で使ってみると、あら不思議。適度にミドルが増えてくれて、
音に張りとツヤが出てくれる。TSのトーンはブースターとして使ったときに、絞っても
不思議とあまりこもらない。高音成分だけうまい具合に削れて、しかも音が太る。

扱いにくいアンプの音をうまくまとめるペダルというのは他にもあると思うけど、TSが
ここまでもてはやされるのは、他のペダルと比較すると「人間が心地よいと感じる音を
出してくれて、しかも弾きやすくなる」という理由からだろう。音をもっと際立たせる
ペダルであっても弾き心地がいまいちだったり、弾きやすいけど音がいまいちだったり、
歪み系ペダルをブースターとして使うとそういう欠点があるものだけど(だから私は
ブースター反対派だった)、TSについてはそういう欠点がいまのところあまり
感じられない。

ちなみに、Guv'nor や DS-1 と組み合わせても、悪くないことも確認した。バッキングに
ちょうどいいくらいの歪み設定にしたこれらのペダルの前段にTSを置いてブースト
させると、スムーズにゲインアップされてソロが弾きやすくなる。ちなみに、TSは
基本的に前段に置いてブースターとして使う分には悪くないけど、後段に置いてレベル
アップ目的で使うと、あまりよくない。固いような薄っぺらいような音になってしまい、
あまりいい具合にならない。歪みペダルの後段に置いて、ソロのときにレベルアップも
したいという場合は、実は Guv'nor がけっこうおすすめ。大抵の歪み系エフェクターとの
相性は悪くない、というか何と組み合わせても Guv'nor の音になってしまうのだけど、
それはご愛嬌。もしマーシャルサウンドが嫌いでないならば、Guv'nor をレベル&ゲイン
アップのブースターとして使うのもおすすめ。あ、ただし、うちのは英国製なので、
今売っている Guv'nor Plus だとどんな感じになるのかはわかりません。

VOX MINI3

2011-01-20 17:08:17 | 音楽・楽器
最近、我がテレキャスくんを弾いているとき、ギターがいいせいか、ついつい
音を大きくしてしまうことが続いてしまい、奥様から「うるさいから、スタジオに
行って好きなだけ大きな音を出してきなさい!」と叱られてしまった。しかし、
一人でスタジオに行って爆音で弾いたってつまらないしなぁ、せめて誰かが
カラオケでバックを演ってくれないと寂しいよ。

と考えていてふと気がついた。「カラオケルームでギター弾くってどうよ?」
防音設備ありだし、バックを演奏してくれるし、願ったりかなったりじゃん。
早速検索してみたところ、大抵のカラオケルームが楽器持ち込みOKである
ことがわかった。同じようなことを考える人って、やっぱりたくさんいるもの
なのだね。でも、ギターはいいとしてアンプはどうする?

小型アンプを買って持ち込むしかないよなぁ。なにせ今使っている30Wの
アンプじゃ、運ぶのだけでひと苦労だし。じゃ、何か今どきのでいいのを1つ
買おうか。どれどれ、どれがいいんだ最近のは・・・、とあれこれネットで
検索&試聴していて、VOX Mini3 がなかなかいいことがわかったので、近くの
楽器屋さんに行ってみた。

売れ行き好調なようで、行ってみたらけっこう在庫切れしていた。本当は緑色が
欲しかったんだけど、緑どころか黒も在庫切れで白しか在庫がないそうで、それも
あと2つしかないとか。すごいじゃん MINI3、それだけで一気に購買意欲に火が
ついてしまいました。で、試奏もせずに早速購入してしまったのだけど、いやこれ、
すごいですわ。

3Wしか出力がないんだけど、自宅で使うにはこれでも十分すぎる。ボリュームは
9時くらいまでしか回せないから、カラオケルームで使ったってパワー不足を
感じることはないんじゃないだろうか。ていうか、3Wでこの出力ってどういうこと?
もっとしょぼい音量なのかと思っていたけど、とんでもなかった。これじゃまた
大きい音を出して奥様に叱られそう。

さて、最近の VOX アンプはモデリング機能を搭載した製品が多いけど、これも
その1つでアンプ・モデルを11種類も搭載している。クリーンから激歪みまで
あるので、ほぼすべてのジャンルにこれだけで対応できるんじゃないだろうか。
モデリングってこれが初体験なんだけど、技術の進歩ってすごい、と素直に感動
してしまった。各アンプモデルの印象をちろっと書いてみますか。

[BOUTIQUE CL -> Dumble Overdrive Special]
当然のことながらダンブルアンプなんて弾いたことないので、あくまでもCDやら
YouTube で聞いた印象だけだけど、特徴はつかんでるんじゃないだろうか。ふくよか
でありながら、しっかりと芯と輪郭のある音像になっている。これはカッティングに
使ってもいいけど、セットネックのギターだと少し暴れるかもしれない。フェンダー
系のギターなら問題ないと思う。

[BLACK 2X12 -> Fender Twin Reverb]
BOUTIQUE CL に比べると、音がタイトでシャープになる。ストラトで弾くとかなり
鋭い音に感じられる。本物のツインリバーブは本体がずっと大きいので、もっと音圧を
感じるけど、もし3Wのツインリバーブがあったら、こんな感じの音じゃない(笑)?
これだと、セットネックのギターでも暴れないクリーンカッティングができそう。
あ、ちなみにベンチャーズっぽい曲なら BOUTIQUE CL よりこっちのほうが合うかな。

[TWEED 4X10 -> Fender Bassman]
これで体験するまで、Bassman って未体験だったんだけど、いいわ、これ・・・。
楽器屋さんで人が弾いている音とか YouTube のとかは何度か聞いたことあったんだけど、
聞いている分にはどこがいいのかわからなかったんだよね。な~んかぼんやりしてて、
どのギターで弾いても同じ音になっちゃうだけでしょ、くらいにしか思ってなかったの
だけど、そんなことはない。ストラトで弾けばストラトの音になるし、セミアコで弾けば
セミアコの音になる。で、あんなにぼんやりした音みたいなのに、フロントPUで
弾いてもちゃんと音に輪郭があるのに驚いた。しかも、リアPUで弾いてもぜんぜん
耳が痛くならない。どうなってんの?って聞きたくなるような絶妙な音だ。本物も
これとまったく同じかどうかはわからないけど、すばらしい音であることはたぶん
間違いないだろう。

[AC15 -> Vox AC15]
これでビートルズの Day Tripper とかを弾くと、ひたれます。わざとなのか知らない
けど、いかにも古~いアンプを弾いてます、っていう枯れた音なのが泣かせる。
枯れた音というより、ボロい音と言ったほうが正しいだろうか(笑)。さんざん酷使
しまくって、やれた VOX アンプっていう雰囲気。でも、それがいいんだよね。
トレモロを効かせて弾くと、さらに雰囲気アップ。

[AC30TB -> Vox AC30]
当然ながら、これが一番気合入れてモデリングしたはず。似てます、そっくりです!
ていうか、本物いりません。本物はやや耐久性に難ありだし、これでじゅうぶんでしょ。
トーンを高音側にもっていくと、もうジャリジャリですよ。The Who の「I Can See
for Miles」の間奏で聴こえる、あのジャリジャリサウンドです。もちろん、U2 の
エッジの音も出ます。ていうか、これはゲインを上げずにクリーンで弾いても最高に
いい音になる。これでカッティングしたらもう、たまんないっすよ。キラキラ~ン!
これだけでも、このアンプを買う価値大ありです。

[UK '70S -> 1959]
Plexi アンプって、「あまりピンとこない」というのが率直な印象の私。もちろん、
いろんなギタリストが数々のアルバムで使っているんだろうけど、自分で弾いたことが
ないうえに、「これぞ Plexi サウンド!」っていうのも、よくわからない。とはいえ、
初期の KISS とか、あのあたりをイメージして聞くと、「あぁ~、わかるわかる(笑)」
と頷きたくなる音をしている。あまり歪まないんだけど音圧がすごくて、その勢いで
押し切っちゃう、みたいな感じ。今時のロック系でも、クランチ専門の人なら十分
使えるはず。

[UK '80S -> JCM800]
これも実物は未経験だけど、誰もが想像できるいわゆるマーシャルサウンドをしている。
ていうかこの音って・・・・・、ガバナーそっくり(笑)。どことなくトランジスタ
臭い音といい、カリコリした硬い輪郭といい、これってガバナーの真似っこマネマネ?
ガバナーの音がそれほど好きではない私としてはあまり使わないチャンネルなんだけど、
でもガバナーってバンドでは音抜けいいんだよね~。ガバナーが好きな人にはお勧め。

[UK '90S -> JCM900]
これは実際に弾いた経験があるのでその印象と比べると、本物はもう少し低音と音圧が
あるような気がする。モデリングのトランジスタと比べるな!と言われたらそれまで
なのはわかっていますが(笑)。まぁ、VOX があまりそっくりに Marshall を作ってしまうと
Marshall としては商売あがったりなので、「大人の事情」で少し音を変えてみました、
みたいな感じだろうか。Marshall というより、DS-1 に近いような気がしたり・・・。
でも、Marshall ぽい音ではあるし、普通のシングルコイルでも十分なほどの歪みも
得られるのが強みで、DS-1 だとそれは無理。

[CALI METAL -> Mesa Boogie Rectifier Series]
楽器屋さんで弾いたレクチの印象とけっこう近いと思う。こっちはさらにデフォルメした
ような音かもしれない。基本的に、レギュラーチューニングでギターを弾く親父ロッカーは
相手にしていないようで、ダウンチューニング専用チャンネルといった風情。すんごい
ドンシャリサウンドなので、好きな人はすごいはまるでしょう。ちょっと話しが外れるけど、
UK '70S -> UK '80S -> UK '90S -> CALI METAL と歪が強くなるにしたがって、音量が
小さくなっていく。これってなんでなんだろう?ま、いいけど。

[US Hi-GAIN -> Soldano Reverb-O-Sonic]
ソルダーノはまったく未知の世界。しかしこれ、いい音だなぁ。ポコポコした音で、
適度にコンプレッションされているので、わかりやすい表現で言うとTS系なんだけど、
TSよりも音圧があるし輪郭もはっきりしている。なのにポコポコしているという、実に
不思議な音。激歪みで弾くのもいいんだけど、このチャンネルでクランチにするのもいい。
ちょっとリバーブを効かせて VAN HALEN とか RATT とかを弾くと、実にひたれる。

各エフェクター機能の印象は、こんな感じ。

[COMP]
コンプレッサーなんだけど、音量を整えて音圧を出すという、コンプの基本的な機能は
果たしていると思う。MXR のような独特なコンプ感ではなく、あくまで普通のコンプ。

[CHORUS]
これも基本的なコーラスサウンドなんだけど、「あぁ~、いいわこれ」と感動できる。
これとリバーブを組み合わせてクリーンでカッティングしていると、いつの間にか1時間
くらいは過ぎています。

[FLANGER]
フランジャー効果をしっかり出しているので、これも使えるんだけれど、困ることもある
かもしれない。というのは、ほとんどの人ってフランジャーは飛び道具的に使うことが
多いと思うんだけど、これはペダルじゃないからすぐにオフることができない。そこが
弱点ですな。

[TREMOLO]
トレモロの深さは変えられなくて、その速度だけが変わる。でも、「これくらいがちょうど
いいでしょ」っていうトレモロの深さになっているので、たいていの人はこれで満足
できるんじゃないだろうか。ちなみに、トレモロだけでなくて空間系は速度自体だけが
調整可能で、深さは変えられない。

[ANALOG]
アナログディレイって、こんなにモヤってるっけ?やさしい音というよりは、ちょっと
もやった音に聞こえる。これなら、[DIGITAL」っていうチャンネルを増設して、もっと
シャッキリしたディレイを使えるようにしてもいいかもしれない。

[TAPE ECHO]
わかるな~、という感じ。ANALOG よりはこっちのほうが音がシャープなので、使うとしたら
こっちのほうが使いやすいかも。

[SPRING]
リバーブとしては、これでじゅうぶん。薄めにかけると、クリーンでも歪みでもいける。
かけすぎると、ビルビルビル~ン、っていうあのスプリングっぽい音になるあたりも、
よく再現している。

[ROOM]
私は使わないけど、ルームっぽい音はちゃんと出ている。これはきっと、ショ-トディレイと
軽いクランチと組み合わせて使うと、えらい緊張感のある音にできるんじゃないだろうか。
AC 15 のチャンネルとかでやったら、かっこよさそう。

総評としては、「これで1万円はまずいでしょ」というほどの出来具合だと思う。
エフェクター1個買うんだって、この値段じゃ買えないことを考えたら、ほんとに
ありえないほどのバーゲンプライス。まったく、今の若い人がうらやましい。私が
ギターを始めた80年代前半なんて、トランジスタラジオみたいなペキペキした音しか
出ない安物アンプだって1万円以上してたんだからね。こいつには、いわゆる昔の
トランジスタアンプのトランジスタ臭さみたいなのはない。

ていうか、もうごく普通のトランジスタアンプなんて、いっさい売れなくなるでしょ。
これ1台あれば、たいていのことは全部できちゃうしね。クリーンもクランチも
ハイゲインも全部カバーしてるんだから(しかもかっこいいモデリングサウンドで)、
初心者は安ギターとこれを買えば、あとは何も買わなくていい。空間系に極限まで
懲りたい人とかは、もちろんエフェクターを揃える必要があるけど、そうでなければ
これで十分。あぁ、ワウくらいかな、買い足す必要があるペダルがあるとすれば。

絶賛ばっかりだと回し者と思われるかもしれないので、強いて欠点をあげるなら、
ホワイトノイズがやや大きい。これって、ボリュームを上げても下げてもほとんど
変わらないけど、なんで?これが Valvetronix の特徴なんだろうか。あとは、音質の
コントロールが1つしかないことかな。やっぱりできれば、高音、中音、低音を
個別にセッティングできるのがベスト。でも、ちょうどいいあたりに音をまとめて
あるので、不満が出ることはないと思う。ありがちな表現だけど、値段を考えたら
ありえないクオリティーなのは間違いない。

Fulltone OCD

2010-11-17 17:06:31 | 音楽・楽器
割と、というか、はっきりと好き嫌いの分かれるペダルである Fulltone OCD。
このペダルって、すごくナチュラルな音色を出すはずなのに、なぜか弾き手の
ストライクゾーンには入りづらいという、ちょっと変わった毛色のペダルだ。
あまり参考にはならないかもしれないけど、いちおう所有者としてこのペダルの
特徴なんかをさらっと書いてみましょうか。

まず、上にも書いたけど音色はすごくナチュラル。トーンとレベルを12時に
してゲインを全部絞りきると、スイッチが入っていないときと同じ音になる。
爆音で試せば多少は違うのかもしれないけど、ほぼ差はないと思っていいと思う。
まず、ここが好き嫌いの分かれるポイントだろう。一般に、歪みペダルを使う
人というのは、何らかの音質の変化を無意識のうちに求めているものだと思う。
残念ながら、そういうタイプの人にとっては、このペダルは理想的ではない。

ほんとに馬鹿正直にナチュラルな音質だから、ギター自体の音がつまらないと、
なんともつまらない音しか出してくれない。逆に、すごくいい音を出してくれる
ギターを手に入れた人が、「できればこの音色を変えないで歪ませたい」と思って
いるのであれば、このペダルはいいと思う。ただ、そういう人でも注意して
ほしいところがある。それは音圧だ。

このペダル、意識的にこういう設定にしたのかどうかはわからないけど、
かなり音圧がある。高音弦だけ弾いているときにはあまり感じないんだけど、
低音弦主体のリフなんか弾いていると、部屋で弾くような音量ですら、
「うおぉ・・・」と唸ってしまうくらいに、ドン!とくる音圧を感じる。
特に LP モードにしてセットネックのギターで弾くと、かなりの音圧を感じると
思う。レスポール派の人がこれを弾くと、あまりに音圧がありすぎていやに
なってしまう可能性がある。

逆に、シングルコイルPUの載っているストラトやテレキャスのユーザーで、
自分のギターの音圧に不満を持っている人は一度試してみて欲しい。シングル
コイルのキラキラした音はそのままに、野太い音圧がギターの音に付加されるので、
ペラペラの音のギターでも埋もれない音になってくれる。それも、不自然に
イコライザーで盛り上げたような音圧ではなくて、自然と音が太ったような
音圧だ。

ちなみにこの音圧、ゲインをあげるほどに強くなる傾向がある。ゲインをどんどん
あげていくと、音圧がすごいことになって「ング~~~~~~~ン!!!」という
音抜けとかまるで考慮されていない、いわゆる「壁」状態のような音になる。
ゲインの音圧は12時くらいからどんどん増えていくので、ナチュラルなオーバー
ドライブとして使いたい人は、ゲインは BD-2 のように12時くらいまでしか
あげないようにしたほうがいいかも。この設定ならセットネックのギターでも、
あり余る音圧を出したりしないのでいいと思う。

ただ、この異常な音圧はベースアンプを使っていると気にならなくなる。ゲインと
レベルをあげた状態で、特にフロントピックアップで低音弦を弾いていると、
ギターアンプだとファズを使ったように音が潰れてブズブズ!と割れるので
(歪むのではなく)、試しにベースアンプにつないでみたところ、音は潰れずに
きれいに歪んだ音が出てきた。つまり、このペダルの音圧というか低音の
再現能力は、ギターアンプの許容範囲を超えているということのようだ。
どうしてもこのペダルでがっつり歪ませたいのであれば、できれば Fender
Bassman のようなアンプを使ったほうがいいでしょう。

LP モードはフェンダー系、HP モードはマーシャル系、みたいな宣伝文句を
見かけるけど、HP モードはマーシャルというよりは VOX に近い音だと思う。
「ゴギャ!!」っていう、低音が削れてハイミッドが強調された音色だね。
LP モードのフェンダー系というのは、どうなんだろう・・・。強いて言えば、
デラリバの歪みにやや近いとも、バイブロラックスの歪みにやや近いとも
言えなくもないかもしれない。ズンジョロリ~ン、という感じの音ですな。
ベースマンやツインのような、いなたくて渋い感じの音ではない。

実際の弾き心地だけど、ブティック系の歪みペダルの中では弾きやすいほう
ではないかな。アンプライクな音を売り文句にしている歪みペダルの中には、
しばらく弾いていると指が痛くなってくるものがある。これは、割とたくさんの
人がすでに気が付いていることだと思う。そういうペダルというのは、
人間の耳では感知できない程度のレベルではあっても、実際に弾いたタイミング
よりも遅れて音が出ているのだそうだ。そのため、無意識のうちに弦を
ぎゅっとおさえてしまうので、長いこと弾いていると指が痛くなってきて
しまうんだとか。私もこの指が痛くなる理由については、割と最近知った。

グシャグシャに歪むPU(ディマジオとかね)とハイゲインのディストーション
ペダルの組み合わせだと、軽~く弦をおさえて軽~く弾くだけで簡単に音が
出てくれるから何時間でも楽々弾けるんだけど、上に書いたようなアンプ
ライクなブティックペダルは、まさにその逆パターンだね。パッと聞いたときには
いい音に感じるんだけど、弾いていてだんだんいやになってくるペダルじゃ、
高いお金を払ってまで買いたくないですわな。その点、OCDは指が痛くなると
いうことはない。少なくとも自分が今まで部屋で弾いている限りでは、指の
痛みとかは感じなかった。

このペダルを持っている人や以前に持っていた人ならわかると思うけど、
ナチュラルな音質であれば誰にでも気に入られるペダルになるわけではない
ということを、このペダルは示していると思う。ただ、音質や弾きやすさ、
アンサンブルでの合わせやすさなどを総合的に考えると、このペダルは
もう少し評価されてもいいような気はする。少なくとも、ギターの音しか
聞こえないという状態になってしまうようなペダルではないうえ、クセのある
音質でもないので、バンド内で邪魔になることもないんじゃないかな。

ただ、くせのない音を出し、バンド内で邪魔にならずに最低限の仕事を
こなせればいいというのであれば、SD-1 というウルトラロングセラーの
ペダルがあるわけで(いまだにセッション系やスタジオ系ミュージシャンの
皆さんの間で一番使われている歪みペダルは SD-1 であるというのは、
知る人ぞ知る事実)、しかも相手は半値以下で買えるということを考えると、
やはりちと分が悪いか・・・(笑)。まぁ、お金に余裕のある人で SD-1
よりはいい音でしかもうんとナチュラルな音質のペダルが欲しいな、という
人にならお勧めできるかも。

マホガニーテレキャスター

2010-11-09 18:01:04 | 音楽・楽器
ちょっと前になるけど、実はもう1本テレキャスターを入手した。これも、
以前にあのハイブリッドアッシュのテレキャスターを造っていただいた
Shinya さんが造ったテレキャスターで、Shinya さんのサイトには
以前から掲載されていたので「こんなテレキャスターもあるんだぁ・・・」
と思いつつ眺めているだけの日々だったのだけど、良縁があったのか
我が家にきてくれた。このギターのスペックは、以下の通り。

Body :Spalted Maple Top/1P African Mahogany Back
Neck :African Mahogany Neck/Black Ebony Fingerboard 22F
Fret: J.Dunlop#6105
Machine Head :Gotoh SES510
Bridge :Gotoh/Wilkinson WT3
Nut :Non bleach Bone
Pick Up :Vintage Vibe VT set

テレキャスターといえば、普通はアッシュかアルダーがボディーに、
メイプルがネックに使われているものなのだけど、これは上記のように
ボディーもネックもアフリカンマホガニーでできている。ボディーの
トップにはメイプルが貼り付けられ、指板にはエボニーが使われている
という、まるでレスポールカスタムのようなスペックになっている。

音はというと、これがもう思い出すだけでニタニタしてしまう。よく、
マホガニーといえばホンジュラスマホガニーだけが本当にいいマホガニーで、
それ以外のマホガニーは認めません、みたいな人がいるけど、いやいや、
アフリカンマホガニーでもこんないい音が出るんですよ、って教えてあげたく
なるほどのいい音がする。

一般的なホンマホに比べるとかなり密度の濃い音で、ホンマホのような
バリン!とかグギャン!という感じの音とは異なる。どちらかというと、
ズギャン!とかガギン!いうような硬質感のある音、といえばいいだろうか。
指板がエボニーであることも影響しているのかもしれないが、レスポールの
ような暴れる音ではなく、まとまりがあって輪郭も密度もしっかりとしている
ハイファイでモダンな音という感じだろうか。

これは歪ませても気持ちよく鳴ってくれるけど、クリーントーンで軽快に
カッティングをしても非常に気持ちのいい音がする。特にフロントPUと
リアPUをミックスさせた音でカッティングを弾いていると、テレキャス
とは思えないほどのおしゃれで洗練された、シックでアダルトな音色を
奏でてくれる。上述のように音が暴れないので、カッティングで重要な
ミュートがシャキッ!と決まるうえに、音色自体が素晴らしいので、聞いて
いてほれぼれしてしまうほどだ。

あと驚くこととして、高音域の出方がアッシュのテレキャスに勝るとも
劣らないほど鋭い。メイプルがトップに貼り付けてあるとはいえ、やはり
マホガニーだとシャープな高音は期待できない、という印象を持っている
人がいるかもしれないけど、これはまるで別物で、むしろこっちのほうが
高音はシャープに出ているように聞こえる。

おそらくきちんと計測すれば、実際にはアッシュのほうが高音は出ているの
かもしれないんだけど、アッシュのほうは中音域のエアー感が強くて出音全体を
豊かで広がりのある音に演出しているようなところがあるので、耳で聞く分には
マホガニーのほうが高音がすっきりしゃっきり出ているように聞こえる。
マホガニーのほうは音像がよりタイトなので、人間の耳で感知できる範囲の音が
ピシッとまとまって出てくるから、それだけ高音域を強く感じるのだと思う。

いやしかし、このギターに出会って、いろんな偏見とか予備知識とかが崩壊
しましたな。このギターを Shinya さんのサイトで最初に見たときは、今までに
弾いたことのあるアフリカンマホガニーの音を想像して、きっと今時のレスポール
のような音なんだろうからハードロック向けなんだろう、クリーンはあまり
期待しないほうがいいのかな、なんて思っていたんだけど、大間違いだった。
クリーンで弾いても歪ませて弾いても、時間を忘れて弾き続けてしまう。

腕のいい職人さんが吟味して選定した木材を、高度な技術で丁寧にギターに
くみ上げると、こういう音がするものなのかと思い知らされた。オーダーした
あのアッシュのテレキャスを最初に弾いたときにも、あまりの音の良さにかなり
ショックを受けたものだけど、これも実にショックだった。「これが、あの
アフリカンマホガニーの音・・・?」という感じで、まさに愕然とした。
というより、今まで自分が弾いて知っていたマホガニーの音って、いったい何?
と楽器メーカーに聞きたくなるほどの衝撃を与えてくれたギターだ。

このギターのもう1つの特徴として、その重さがある。最近は軽いギターが
ありがたがられているというのは前にも書いたけど、このギターはそんな世間の
流れなど完全に無視して、いい音を出すために必要という判断で重いギターに
なっている。テレキャスターで重いギターというと、ジョージハリスンで
おなじみのオールローズテレキャスターがあるけど、これもそれに勝るとも
劣らないほどの重さがある。

一般にはテレキャスターというと、特にライトアッシュの個体は軽い印象が
あるけど、ハイブリッドアッシュのテレキャスくんでも実は3.8kgある。
重いギターだと素材の目が詰まっていて鳴りが悪いような印象があるけれど、
このあたりは素材の接合の仕方が功を奏しているようで、セミアコも顔負けの
生鳴りを生んでいる。

んで、このマホガニーのテレキャスくんだけど、測ったら4.3kgあった。
さすがマホガニー、という感じの堂々とした重さだ。オールローズテレキャスター
でも、実際には4kg前後の個体が多いということを考えると、これはもう
押しも押されぬ重量級ギターと言えると思う。まぁ、重たいレスポールとかに
比べればたいしたことないんだけど(5kg超えるのもあるっていうし)、
テレキャスターだと思って持つと、驚くかもしれない。

目から鱗

2009-11-25 13:35:09 | 音楽・楽器
最近、面白い話を耳にした。今は亡きSRVの話なんだが、彼はソロのときに
TS9をオンにしてブーストしていたのではなく、逆にオフにしていたという
ことだった。「え?」という感じだが、つまりこういうことらしい。彼の
アンプは基本的にソロ用にセットアップされていて、バッキングのときには
ゲインとレベルを抑えるためにTS9を踏んづけていた、ということだ。
この話を聞いて、膝を打ちたくなってしまった。というのは、これまで
ペダルでのブーストについて、いろいろと疑問を持っていたからだ。

まず、歪み系ペダルでブーストさせるといつも感じるのは、歪みすぎると
いうこと。アンプ側をクランチの状態にしてペダルでブーストさせると、
ハウリングに近いような状態になったり、そうでなければ音が歪みすぎて
音が痩せてしまうのだ。ゲインを上げずにレベルだけあげると、音は太く
なってもサスティーンが伸びなかったり。あと、ノイズもすごく増えるし。

また、根本的な問題として、歪み系ペダルでブーストさせた場合、歪み量を
増やすことはレベルやゲインで可能だけど、音量そのものを上げることが
ほとんど不可能であるということ。だから、他の楽器にかき消されないように
ソロパートで音量だけぐいっとあげるということができない。純粋な
ブースターなら音量を上げることができるけど、ブースターで音量をあげるには
ゲインもある程度あげなければならず、そうすると今度は音が太くなりすぎて、
これも不自然な音になってしまう。

でも、アンプを最初からソロ用にセッティングしておけば、バッキングの
ときにはペダルで音量レベルとゲインを下げればいいだけだから、ペダルで
ブーストさせていたときのようにソロのときにハウリングを起こしたり
歪みすぎて音痩せするということもなくなる。コロンブスの卵というか、
目から鱗の発想だ。

しかし、ほんとうにそんなことが可能なのか、試してみることにした。
まずはSRVが使っていたTS系からということで、昔から持っている
Maxon の Super Metal を試してみた。厳密にはこれはディストーション
だけど、手持ちのペダルではこれしかTS系に近いのがないので、これで。
で、使ってみた結果だけど、探偵ドラマの終盤のセリフじゃないけど
「これで謎が解けました」という気分(笑)。

いや、SRVがどうしてTS9を使っていたのか、正直今まで不思議に
思っていた。あれを使っている人ならわかると思うけど、あれはブースター
としてはあまり優秀なペダルではない。レベルだけ上げようとしても、
ゲインをある程度上げないと音量が小さくなり、しかも音が痩せてしまって
情けない結果になるのだ。じゃあ、といってゲインをあげると、今度は
歪みすぎてしまって音が痩せるし、場合によってはハウリングが起きたり
してこれもよろしくない。しかも、彼が使っていたアンプは特注のダンブル。
いくらでも自分の好きな音に設定してもらえるだろうに、どうしてわざわざ
安物のペダルを使ってブーストさせていたのか、ずっとわからなかったのだ。

だけど、ゲインリデューサーとして使うぶんには、TS系ペダルは優秀。
もともとレベルをあげずらいペダルなので、レベルを9時くらいにすれば
きちんと音量が下がる。また、音量が下がっても音は細くならないし、
歪みもしっかりジャキっと出ている。また、どことなくフェンダー系の
少しグラッシーな透明感のある音までするので、なかなかいい雰囲気になる。
いや、まさにSRVのバッキングのときの音ですがな。ただし、普通の
アンプで同じことをやったら、彼のほど太い音にはならないかもしれない。
彼のダンブルはかなり太い音にモディファイされていたから、安物のTS系
ペダルを踏んづけてもあまり音が細くならなかったんだと思う。とはいえ、
今までのような「クランチアンプ+ブースター」の不自然な音よりは、
はるかにすっきりとして気持ちがいい音になるのは確実。

じゃ、他の歪み系ペダルではどうかと試してみたが、どうもあまりよくない。
使ってみたのは BOSS DS-1、Guyatone PS-032、Fulltone OCD、XOTIC RC。
すべてのペダルに共通しているのは、レベルを下げてもあまり音量が下がらず
(DS-1 はレベル0にしても音が消えないし、しかもほとんど音量が変化
してくれない)、音量がはっきりと下がるくらいまでレベルを絞ると、
音がペラペラに薄くて細い音になってしまう。また、そのレベルまで下げると
歪みがあまりなくなってしまう。ピョロロ~ン、みたいな音になるのだ。
SRVがいろんなペダルを使ってみてTS系に行き着いたのか、たまたま
いい具合だったから使い続けたのかはわからないが、おそらく彼もこういう
ような使い方をするならTS系がいい、という結論に到達したんじゃないか。

これまであまり使わなかった Maxon のペダルだけど、ちょっと今回の件で
見直した。あ、そうそう。Fulltone OCD とTS系ペダルとの組み合わせも
なかなかいいのでおすすめ。Fulltone OCD って音が太すぎて使いづらい
場合もあるけど、TS系をゲインリデューサーとして使うといい具合になる。
アンプをクリーンの状態にして、ギター -> TS -> OCD -> アンプの順に接続。
OCD はバッチリ歪ませる設定にして、TSはレベルもゲインも抑える。
こうして両方のペダルをオンにすると、これもおいしいバッキングサウンドが
得られる。OCD は LP モードにしたほうが、よりフェンダーっぽい音になる。

マホガニー

2009-09-17 15:55:27 | 音楽・楽器
レスポールモデルのスペックを見ていると、

Body: Maple Top / Mahogany Back

という表記をよく目にすると思う。レスポール以外のSGとかフライングVとか
でも、ボディーやネックには「Mahogany」と記されていることが多い。
高級機種になるとわざわざ「Honduras Mahogany」とか書かれているけど、
廉価版だと単に「Mahogany」としか書かれていないことが多い。で、当然
疑問になってくるのは「この『Mahogany』って何マホガニー?」ということだ。

マホガニーにもいろいろあって、ハイエンド系に使われるマホガニーとしては
ホンジュラスマホガニーが代表的。でも、今ではもう量産用として安定供給が
まったくできないほど枯渇している材料だから、実際にはこう書いてあっても
本当にホンジュラスマホガニーではないこともあるらしい。

さて一般的に「Mahogany」とカタログに表記されている場合に使われている
材料としては、ジェニュインマホガニー、アフリカンマホガニー、サペリ、
アマゾンマホガニー、チャイニーズマホガニー、フィリピンマホガニーなど
らしい。Gibson ではもう長いことホンジュラスマホガニーは使っていない
ようで、ほぼすべてジェニュインマホガニーらしい。また、国内メーカーの
廉価版にはジェニュインマホガニーすら使っていないようだ。

さっきから、「~ようだ、~らしい」ばかりですっきりしないので、これは
見聞を広めるという意味でも、一度メーカーに問い合わせたほうがいい、と
いう結論に達した。いったい、どのマホガニーを使ってレスポールを作って
いるのだろうか?興味のある人には面白い話題だろうが、興味のない人には
地平線の果てまで行っても興味のない話題だろう。

上にあげたマホガニーはそれぞれ音に違いがあるので、どのマホガニーが
使われているかというのは、ギター弾きにはけっこう重要な情報なのだ。
バリッとした音になるのかズボッとした音になるのかというのが素材で
ある程度決まってしまうのだから、ほんとはそういう情報は正確に消費者に
伝えて欲しい。一般に廉価版のレスポールモデルというと、やけに図太くて
すっきりしない音ととらえられている傾向があるけど、それはラワンと言う
通称フィリピンマホガニーを使われていることと無関係ではないと思う。
ちなみに、これは名前だけマホガニーであって違う木だ(マホガニーは
センダン科だがラワンはフタバガキ科)。

というか、こういう表記のしかたって問題ではないんだろうか。このあいだ、
日本水産が「ずわいがにコロッケ」という名称の商品に、実際は廉価の
ベニズワイガニを使用していたということで問題になっていたが、ギターの
世界ではこのようにただ「Mahogany」と記載することは問題にはならないのか。
ということで、下の2つの質問を各社に対してすることにした:

1. 「Mahogany」と記載されているボディーとネックには何マホガニーが
使用されているのか
2. こういう表記はまぎらわしいので景品表示法違反などで問題にはならないのか

ホームページにお客様からの質問を受け付けるメーカーにだけこの質問を
してみたところ、各社から以下のような回答があった。

[ESP]
1. いわゆるホンデュラスなど特定するマホガニーではありません。
主に東南アジアなどから輸入されているマホガニーになります。
2. お問い合わせの木材名の件ですが、木材業界の中でもかなり曖昧のようで、
有名な木材やワシントン条約に該当する木材など以外は大まかな種類の
名称のみで扱われているようです。よって、それら木材を使用する楽器でも
「Mahogany」「Ash」「Maple」などのように表記をしています。
主要メーカーでもこのように表記されており、特に問題は無いように思います。

[FERNANDES]
1. 工場担当に問い合わせたところ、マホガニーとのみ指示をして工場側に
仕入れを一任しており、厳密に産地や銘柄は指定していないようです。
価格帯や木目を見る限りアフリカンマホガニーが多いと思われます。
2. ギター業界では希少価値のあるホンジュラスマホガニーとその他マホガニーで
分ける事が多いです。※弊社もホンジュラスマホガニーを使用してるギターには
ホンジュラスマホガニーと明記しております。 その他のマホガニーは産地が
異なるだけで元は同じ種類だったり、一部の産地以外で採れるもの以外は大きな
違いが無い事からあまり問題にはなっていないようです。

[BACCHUS]
1. アフリカン・マホガニーを使用しております。
2. 当店でも改めて調べてみましたが、ギター業界では慣習的にホンジュラス
マホガニー以外のものを総称して”マホガニー”と呼んでいるようです。
なお、それらにあえて名前をつける場合は、産地によってフィリンピンマホガニー、
チャイニーズマホガニー、アフリカンマホガニーなどのように呼ぶこともできますが、
特にそれらを区別することに一般的にニーズが無いのをはじめ、木材の採取地は
時期や価格、生産数など様々な条件で変化しますので、産地名までは記載してないの
ではないかと思われます。

[GIBSON]
1. お問い合わせいただいた件ですが、材質はMahoganyとだけ公表しております。
中南米産のマホガニーとお考えいただければと思います。
2. 問い合わせいただいた件ですが、誠に恐れ入りますが分かりかねます。

[TOKAI]
1. アフリカン・マホガニーを使用しております。
2. 回答なし

[IBANEZ]
1. マホガニーに産地・銘柄等の指定はございません。
2. 回答なし


という結果だった。ESP、FERNANDES、BACCHUS はとても懇切丁寧に回答をして
くれたので、大変いい印象を持つことができた。1番目の質問なんて何度も
聞かれているようなことだろうけど、それに真摯に対応してくれたことが驚き。
また、2番目の質問はちょっとタブーかもしれない内容だったけど、それでも
きちんと答えてくれたところに好感が持てた。

GIBSON の2番目の質問に対する回答には納得がいかないので Gibson U.S.A に
問い合わせてみたところ、次のような回答があった。
「私どもが使用している木材は、アジア各地で手作業により選定しております。
また、木材を選定したその土地で製品を製造しております(The woods we use are
hand selected from various places in Asia, where the manufacturing of
the instruments takes place.) という返事が来た。正直、はぐらかされたような
印象というか、こちらの質問の意味がわかっていなかったのか?まぁ、アメリカと
日本とでは表記についての法律上の解釈とかが違うのかもしれないけど。

TOKAI は2番目の質問についてはなしのつぶて、IBANEZ は1番目の回答のちょっと
不誠実な態度に呆れてしまい、2番目の質問はしていない。

軽くまとめてみると、「Mahogany」としか表記しないのは、工場に仕入れられる
木材はいつでも同じ伐採地から同じ種類のものが来るのではなく、「時期や価格、
生産数など様々な条件で変化」するという理由があったためで、具体的な表記を
したくてもできないということだ。だから、廉価版のギターについては楽器屋さんで
試奏しないと、それが自分の好みの音かどうかは絶対にわからない。楽器メーカーの
事情がいろいろとわかって、なかなか有意義な質問でした。

三種の神器

2009-09-07 16:17:53 | 音楽・楽器
これ、最近の私の三種の神器である。アンプから大きな音を出すのはマンション
暮らしだと厳しいので、普段はこの3つにお世話になっている。Amplug に
このヤマハのメトロノームをつないで、ヘッドフォンで音を聞きながら弾くと
いうのが普段のスタイル。Amplug には外部入力端子があるので、こういうことも
できるわけですな。

で、この YAMAHA の TDM-70 だけどなかなかいい。さすがに普通のメトロノーム
のような音は出ないけど、耳障りな「ピッ、ピッ」とか「チッ、チッ」いう音では
なく、「ポッ、ポッ」という音なのである程度耳に優しい。またリズムの速さの
範囲が広いうえに、2ビート、4ビート、16ビート、3連符などのいろいろな
リズムも選べるので、かなり重宝する。しかもチューナーまで付いていて、
買い得感が高いので満足満足。普通のメトロノームってけっこう音がでかいから、
夜中に使うのはちょっと気が引けるので、こういうデバイスが簡単に手に入る
今の世の中というのは素晴らしい。