先週、ある司法書士さんから、最近ではすっかりご無沙汰している不動産登記の「復代理」を受けました。 不動産登記申請の「復代理」とは、簡単に言いますと、クライアントから登記申請手続の委任を受けた司法書士が、その申請手続をさらに別の司法書士へ委任するやり方をいいます。
郵送やオンラインによる登記申請が認められているなか、最近では復代理申請の出番も少なくなったと思いますが、今回受けた依頼内容は、
①ある工場財団についている根抵当権設定仮登記の本登記(1件)
②本登記後の分割&合併による権利移転の登記(3件)
でした。
因みに、この登記手続はオンライン申請出来ませんし、また、登記識別情報も通知されません。添付情報として、登記済証の交付を受けるための「申請書の写し」が必要になります。
ま、ある意味、今となっては貴重な登記案件かと。。
さ
て、
工場財団ってなに?
って話ですが、まぁ、これも簡単に説明しますと、工場財団とは、抵当権の目的とするため、その工場の施設としての土地や建物、その他機械や器具なんかを一つにまとめた財団のことで、工場財団登記簿に所有権保存登記をすることによって始めて成立するもの。そして、出来上がった工場財団は「一箇の不動産」とみなされ、具体的な組成資産は、「工場財団目録」に記録されます。また、工場財団に組成された土地や建物の登記記録には、甲区に主登記で「本物件は工場財団に属した」と記録されます。
まぁ復代理の場合は、あちらさんが申請書類及び添付書類をほぼ完璧に仕上げてきてくれるので、申請に関してはさほど苦労しませんが、そもそも、私の受験時代(もう10年くらい前)は、捨問くらいにしか考えていなかった工場財団について、また、過去に再編を繰り返してきた大手金融機関の登記記録への公示方法について、いろいろと勉強になるお仕事でした。
しかも、これでしっかり報酬を頂けるんだから、有り難い話です。
工場抵当法
第9条 工場財団ノ設定ハ工場財団登記簿ニ所有権保有ノ登記ヲ為スニ依リテ之ヲ為ス
第10条 工場財団ノ所有権保有ノ登記ハ其ノ登記後6箇月内ニ抵当権設定ノ登記ヲ受ケサルトキハ其ノ効力ヲ失フ
第13条 他人ノ権利ノ目的タルモノ又ハ差押、仮差押若ハ仮処分ノ目的タルモノハ工場財団ニ属セシムルコトヲ得ス
2 工場財団ニ属スルモノハ之ヲ譲渡シ又ハ所有権以外ノ権利、差押、仮差押若ハ仮処分ノ目的ト為スコトヲ得ス 但シ抵当権者ノ同意ヲ得テ賃貸ヲ為スハ此ノ限ニ在ラス
第14条 工場財団ハ之ヲ一箇ノ不動産ト看做ス
2 工場財団ハ所有権及抵当権以外ノ権利ノ目的タルコトヲ得ス 但シ抵当権者ノ同意ヲ得テ之ヲ賃貸スルハ此ノ限ニ在ラス