明鏡   

鏡のごとく

「茅葺への道」

2017-02-03 22:06:05 | 詩小説
茅刈りの時に、あーちゃんが言った。

私は、午前中と午後に鎌を変えると。切れ方が違うとよ。

確かに、大親方に研いでもらった後の鎌の切れ味が違ったのからも、その二鎌使いの極意は、納得できる。

あるいは、一つしか鎌がない場合は、途中休憩の時にでも研ぐという。

そうやって、道具を大切にすることによって、ますます茅の良いものを集めることにもつながり、すべてがうまくつながっていくことになる。

あーちゃんの茅の束は、ご祝儀的なものとして最上のもの、茅葺の角を作ったりするときに使いたいと職人さんたちが言っていた。そういういい茅を見極めるのも、もともと、茅葺職人さんの眼差しで茅を刈るからである。

どちらも知っていることは、全てを見通すことにもつながるのである。