明鏡   

鏡のごとく

『日本定住コリアンの日常と生活』文化人類学的アプローチ 原尻英樹著 明石書店

2014-12-23 23:44:17 | 日記
『日本定住コリアンの日常と生活』文化人類学的アプローチ 原尻英樹著 明石書店 を読む。


日本定住コリアンとは、朝鮮半島にルーツを持ち、日本に定住している人々を指す。「在日韓国・朝鮮人」という呼び方があるが、戦後から現在までの日本国籍取得者(いわゆる帰化人)は、二十万人を超えており、自然増加の人口を加えれば、その二倍になるという。

(1996年時点において)五十代以上の「国際結婚」の人々にはこの婚姻形態がずいぶん見られた。1974年に、日本国籍者と韓国・朝鮮籍者との通婚率が五十%を超えてから、1994年にはすでに八十%以上になっている。

この日本国籍者には「帰化」したコリアンあるいは「混血」(在日の人からダブルという言い方が提示されているらしい)の人々もこれに含まれてると考えられるが、これまで一般的に韓国・朝鮮籍者が日本国籍者あるいはダブルに対して排他的態度をとってきたことを考えると、このような人々が含まれる率が高いとはいえないだろう(韓国本国人と日本国籍者との婚姻もこれに含まれる)。
日本国籍者と婚姻したものが日本国籍を取得するだけではなく、生まれてくる子どもは当初二重国籍になり(正確に言うと、日本国籍者の場合、二十歳まで日本国籍者とされ、その後、離脱の手続きをすれば日本国籍者放棄となる)
日本では、1985年に法改正が行われ、片親が外国国籍者である場合、二十二歳まで二重国籍でどちらかを選ばなければならない。つまり、近い将来、「在日韓国・朝鮮人」という呼び名は過去のものとなる。

「天皇の赤子」からはずされたただの「第三国人」(原文ママ)のカテゴリーに移し替えられた。「北送船」(北朝鮮への帰還船)の始まりはこのような状況下であった。この帰国事業に協力した「日本人」の中には寺尾五郎や小田実などの「知識人」もいた。


【フィールドワーク】

生野の子どもたちについて

1992年から毎年二、三ヶ月程現地滞在し調査研究した

1、当地における「日本人」意識形成の歴史分析
 現在の生野区は、ムラという「伝統社会」の崩壊過程の中で「日本人」という国民あるいは「民族」意識が「朝鮮人」とい う異「民族」との関係で形成されていった地域。⇔筑豊のある地区の炭鉱にヨソモノが集まって形成された地域との差異

2、済州島人のネットワークコミュニティの分析
 日本在住済州島人は出身ムラの親睦会を維持しており、しかもムラの親睦会のメンバーと「ケンダン」(親戚)関係も多々あり一種擬制的キンドレッド(親戚)関係になっている。しかも、済州島人は基本的には1965年の日韓条約まで日本と済州島のムラを往復しており、このネットワークには、人、もの、金、情報が循環していた(いる)。人の循環は密航も含まれている。生野には入管、警察、公安、「KCIA」など「在日」を監視する「機関」はいくつかあった。
⇔筑豊のある地区には済州島人はおらず、慶尚道出身者が主で一部全羅道出身者がいたが、日本と故郷の往復は殆ど見られなかった。


3、済州島人の生活史の分析
 今日では、数の上で戦後生野区に入り込んだ「日本人」が多いが、ムラの論理を表象する神社あるいは宮座はムラビトが、地域社会実質的機能を司っている町内会は戦前移住してきたヨソモノの世代が中心になって運営され、戦後移り住んだものは大多数の個々という見方。
 済州島人の場合、ムラアイデンティティ、済州島人アイデンティティ、北朝鮮人アイデンティティが重層的に形成されていった。
 しかしながら、
 国家の論理(日本、韓国、北朝鮮による彼(女)らへの関わり)
 世代論の発生(1965年の日韓条約から人、もの、金、情報が阻害された?)によって、ムラの論理だけでは生活できなくなった。


支配の際に「日本人」から非「日本人」=「半島人」の烙印を押されることで、事実上「朝鮮人」という集合的アイデンティティが形成されていったと考えられる。



九州筑豊在住定住コリアンについて

現地に入る前に、まず民団(在日大韓民国民団、当時の名称在日本大韓民国居留民団)と総連(在日本朝鮮人総連合会)に行くと警察の外事課の人が来て著者のことを話していたという見張られた体験談の後の「半チョッパリ」についての考察として。

「在日」社会で使われてきた「半チョッパリ」の意味は、単に日本語訳に日朝「混血」ではなく、「お前の片親は獣で、別の片親がその獣と交わることでお前が生まれた」という意味であるという。「チョッパリ」というのは蹄の割れた足の意で、「在日」社会では、「豚の足」の意と考えられている。日本の韓国併合統治時代に朝鮮人が日本人を差別するときの語。日本人の履く下駄(足袋)が獣の蹄のように見えたためという。朝鮮では、日本に媚び、半分日本人になった朝鮮人の意でもあったが、今日では、本国の韓国人が定住コリアン一般に使う時があり、これは韓国語を知らない日本人化された韓国人の意でもある。
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しをむだにしないように

2014-12-23 17:02:39 | 短歌
しをむだにしないようにとおもうかな はかにうもれたいしをつぎつつ
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ぬくもった

2014-12-23 16:48:59 | 短歌
せちがらいものごとくぐりぬけていけ ぬくもったならそれもまたよし
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はなたれっこ

2014-12-23 16:46:42 | 短歌
あったかい豚汁すすりかぜなどは吹き飛ばしてしまえ はなたれっこ
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なわないの術

2014-12-23 16:41:52 | 短歌
稲わらを足でおさえて撚り上げし じいちゃんばあちゃんなわないの術
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