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北朝鮮 よど号グループ取材記・2 平壌へ よど号グループとの初対面

2012-09-12 00:29:30 | 映画制作
13時発の便で平壌へ。機内はまるで昭和の飛行機。狭く、古めかしいつくり。
子供の頃乗った飛行機を思い出した。
クーラーなのか何なのか、上部からもくもくと涼しげなけむりが出ていた。


離陸すると北京周辺の様子が上空からよく見えた。


機内食がかなりおいしかった。あんのかかったご飯、甘みのあるロールパン、鮭のソテーあんかけ、フライドチキン、フルーツポンチ。



着陸前。
上空から平壌近郊を見る。見渡す限りの山と緑。

着陸時は「ここが空港なんだ…」と思うほど緑の中にあった。すぐそこに家もある。
濁った川で作業していた労働者が、ニコニコと手を振ってきたりして驚いた。

2時間弱で平壌国際空港に到着。

機から空港建屋の短い距離を歩いた。スタッフのお姉さんが美人だった。後に何度も見て分かることだけど、基本的にこちらの女性はスタイルがいい。服もくびれを強調するようなものが多く売られていた。

空港施設内はとても狭かったが、金日成氏、金正日氏の写真はしっかりと飾ってあった。イミグレーションでは荷物を調べられ、カメラもチェックされる。

一眼レフに関しては「GPSは入っているか?」と聞かれた。「ノーノー」と言ったが、入っていたら預かりをくらったのだろうか。
撮影に来たのに、カメラを持っていかれたらシャレにならない・・・
ここで全員、携帯を預ける。携帯を預けるってけっこう不安だ。帰るときに返してもらうとのこと。
余談だが、北朝鮮国内にはエジプトの携帯電話会社が入っている。そのためホテルでよくエジプト人を見かけた。


出ると、すぐ小西隆裕さん、若林盛亮さんのお出迎えが。
植垣さんとの初対面をカメラにおさめる。
この時印象的だったのは、若林さんが植垣さんに握手した時、そっとかけた言葉。

「苦労をかけましたね」


よど号と連合赤軍は決して無関係ではない。よど号事件の後、赤軍がより先鋭化し、革命左派と共に山に入る過程に深く影響を及ぼしている。
国際根拠地建設のため北朝鮮へと渡ったよど号グループのハイジャック作戦自体は成功したが、それにより国内に残る赤軍派への警察によるしめつけは、いっそう強化されていく結果を生んだ。
この40年を経た出会いは、横っちょでカメラを回すわたしなんかには想像もつかない、年月と想いが積み重なった邂逅なんだろうと思う。

わたしもすぐに自己紹介。握手すると小西さんはギュッと力強く返してくれた。



赤木志郎さん運転の車で宿泊地のポトンガンホテルへ。
車から見る平壌の町並みは、いかにも「共産主義圏」という感じで、看板がほぼない。電線も無い。
たまに見る看板は、スローガンや金総書記親子のものだった。
人々は農村地帯ではゆったりとした雰囲気。たまに、羊だかヤギだかを見た。
市街地に入ると巨大な建物が多い。一般にわれわれの想像する平壌。記念館やどでかい運動場に学習施設・・・・
人々の服は普通のつつましいもの。


ホテルに到着後、荷物を解いて再集合。部屋は最高級クラスなだけあり、とても良かった。しかしなんでベッドが二つもあるんだろう。

ちなみに帰国後知ったが、ここは統一教会が経営するホテルらしい。


ロビーで人が揃うのを待つ間、ガイドのKさんが話しかけてきた。「若いね」「いえ、若くないです。誕生日を一昨日迎えまして、34になりました」「若いよ、まだこれからじゃない。大丈夫、万事うまくいく」
どういう意味か分からずあせったが、人生のことだろうか。

ロビーで談笑する小西さん、植垣さん


再び赤木さん運転の車でよど号グループの事務所へ。
ここでいわゆる「よど号妻」のお二人と、そして安部(魚本)公博さんが迎えてくれた。
応接室でコーヒーを出していただき、われわれ訪朝団とよど号メンバーとで少しお話をする。



小西隆裕さん


若林盛亮さん


赤木志郎さん


安部公博さん


その後すぐに宴会。
豪華な朝鮮料理がドンドン出てきた。刺身もあった。
肉あり、魚あり、粥も出た。酒は焼酎とビールが中心。北朝鮮のビールはスッキリしててうまい。大同江(テドンガン)ビールというらしい。滞在中何度も飲んだ。


皆さんとお話し、だんだんと緊張がとけてきた。
「よど号妻」のお二人は、喋るとホッとするような、これまた普通の「優しい日本のおばちゃん」。

お前洗脳されてんなよ・・・と思われるかもしれないけど、わたしが北朝鮮の滞在においてそれほど緊張しなかったのは、よど号メンバーと妻の方々が本当に普通のオッサンとおばちゃんだったから。

植垣さんは話も酒もガンガンいき、いい具合に酔っぱらっていた。途中、カクテルを作ってふるまうという場面も。
さすがスナックバロンのマスター。

小西さんが感心し「ホウ、そうやって作るんかぁ。お前らっ ちゃんと見とけよ!」と。


2時間ほどで解散し、ホテルへ戻る。
ライターがどこかに売っていないかと言ったら、ガイドのKさんが一緒に探しに行こうとホテル内をついてきてくれた。あてにしていた店は閉まっており、諦めかけたところ「一度こうと決めたらやりぬかなきゃ!」とライターへの情熱をたぎらせ、ホテル内のバーへ突入。
「ここならあるかも。一杯飲んでいこうか」と二人で飲むことに。
思惑通りお店のネーム入りライターがもらえた。しかしこの店は高いらしく「飲むのはやめておきましょう」とのこと。ありゃ。
Kさんはママさんに何事か言い、「飲まないけど少し話そうか」という流れに。
するとママさんは気を使って無料で紅茶を出してくれた。

話の内容はお互いの国のこと、お互いの国の人々が価値観を分かり合えたらいい、という事など。
さらに身辺のことも聞いてきた。ここらへんは本で読んだ「了解活動」に似ていて「あ、これはw」と思うことも。

北朝鮮のことも立てて話すと「あなた、若造と思っていたがすごい。東大か早稲田でも卒業しているんじゃないのか」・・・・
すいません、高卒です。
ちなみにそんな難しい話はしてないし、自分にはできないので、「立て」返してくれたんだろう。
「東大早稲田」には正直笑ってしまったけど。


Kさんとの話は面白かった。価値観の違う相手なのでなおさら。
この滞在を通して北朝鮮、正しくは「朝鮮民主主義人民共和国」の人民と話せる機会は限られていた。
わたしは滞在中何度かKさんの話を通して、彼らが持つ独自の愛国心を知った。それは「労働党員」だからではなく、レストランのウェイトレスの態度からも見て取ることができた。

ちなみにレストランは予定されていたものもあれば、そうでないものもあった。
なぜそれが分かったかというと、あるレストランでピアノ演奏をするお姉さんが、われわれが日本人だと気付くと総連関係の曲を演奏し出したから。
よど号グループの方が「あ、勘違いしてる」と笑っていた。


そこらへんのことはまた続きで。




続く

前回まではこちら
【北朝鮮 よど号グループ取材記・1 北京】
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4 コメント

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Unknown ()
2012-09-13 19:22:45
この記事はすごいね
返信する
遅ればせながら。 (メル斗)
2012-09-13 19:23:42
いやはや、
御もてなされましたねぇ。
改めて植垣さんとのツーショットとか
これは凄いことですよ。
そして四人の方のお写真。
やはり普通のおじちゃん達だったんですね、
人間味があって安心しますね。

愛国心でいうと日本人って日本は好きでも
どこか自虐的で更に「愛国」ってなると
また別の意味になっちゃうとこが
やはり北朝鮮の方とは違うところでしょうか。
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Unknown (赤目)
2012-09-13 22:49:34
>>↑さん
おありがとうございます。


>>メル斗さん
御もてなされまくりでした。
そうですね、よど号の方々がいかに普通のオッサンであったか、を伝えるのが今回のテーマでもありますw
愛国に関しては観光地のガイドさんが言うような大仰なものでなく、実際に接して感じたことの方が、やはりすっと入ってきました。あー建前じゃないなこの言葉は、というか。
返信する
Unknown (Unknown)
2014-07-16 14:19:47
よくもまあ、のうのうと。
返信する

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