ちくわブログ

ちくわの夜明け

あこがれの立石

2020-10-24 02:30:03 | 

いつの事か全く覚えていないけど、10年以上前、何かの用事で立石駅の近くを通ることがあった。
そこから見た風景が強烈に印象に残っていて、「いつか立石駅を散歩してみたいな」と思っていた。

そういう街がそこかしこにあり、でも都内だとなぜか行くのがおっくうで数年越しにやっと…という事が多くなる。


ある日。
仕事関係の友人と「立石で飲もう」という話になり、当日張りきって約束の3時間くらい前に到着した。

やっと来れた。

駅から歩けばすぐ、飲食店や飲み屋が軒を連ねる。

 

呑んべ横丁。

まだ夕方なのに、店内からカラオケの歌声が聞こえてきた。
この通りだけ特別な空間で、立ち寄っただけの人間を拒んでいるような雰囲気、←という自意識。
そう思わせる情緒が好きです。

商店街は生活する人々の活気と、老朽化とシャッター化が著しい区画もあり、この風景や時間がいつまで続くのだろう…と思い見る。


友人と合流し、近くのモツ焼き屋で一杯。
その後、中華料理屋で焼き餃子と水餃子を頬張る。

楽しかった。
また来ます。

 

 

 

 

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心の熱海

2019-09-27 21:50:17 | 

実家は決して裕福ではなかったけど、そんな我が家にもバブルの恩恵はあった気がする。
小学生の頃、家族四人で熱海へ旅行した折、けっこういいホテルに泊まらせてもらった。
ベッドがボインボイン弾んで兄とはしゃいだのを覚えている。
あとはぼんやりと楽しかったなあという漠然とした思い出だけ残ってる。


上京してこれまで2度熱海に行った。
青い空と海のコントラストが印象的で「THE・観光地」という雰囲気、そして少し寂れた側面も、何から何まで大人になった自分の好みに合っていた。
細部では変わっているだろうけど、小さな頃に見た熱海と同じ印象を受けた。

人が多いけど、一時期の隆盛はないような場所がなんとなく好きなんだと思う。


喫茶店が好きな理由と同じだろう。
結局、子供の頃見た風景が好きなのだ。


夕暮れの浜辺で、近くを通り過ぎるカップルに奇声を上げてビックリさせるというバカげたことをやって友達と遊んでいた。

2度目はフェリーで初島に行った。
釣りや海水浴が盛んな場所だけど、私は自然をどうこうして遊ぶよりも見るのが好きなので、連れが泳いでいるのを眺めながら海辺のコンクリートで昼寝したりしていた。


そういう楽しい思い出しかない熱海へ今年、数年ぶりに行った。
一泊二日。めちゃくちゃ晴れていた。


駅前の雰囲気は変わっておらず、安心した。

饅頭屋があって、くだらないガイコツのキーホルダーが売っていたり…


横道に入ると昔パチンコ屋だった廃屋が。


いわゆる普通のパチンコ店ではなくて、純粋に玉と景品を交換する遊技場。
ここでそこそこの玉を出して、いくつかチョコレートをもらった思い出がある。


熱海銀座商店街は、通りにストリップあり、居酒屋あり、喫茶店もあり、欲も食も受け止めてくれる懐の深いスポットで大好きな場所。


「海だから」という理由だけで特に深く考えずに海鮮丼を頼む。おいしい。

喫茶店へ。テーブル筐体が嬉しい。テトリスの席でアイスコーヒーを飲む。
ボタンがねばついていて、回転がなかなかできなかった。


こういう商店街は立派にひとつの観光スポットとして成り立っていると思う。

昔からある射的場。


今回初めて入った。
最低限の点はとって、謎の小さな陶器製フィギュアをもらった。

商店街を抜けるといよいよ海が。
本当に変わってないなあ…
ここからの風景、だいたい変わってない。いいなあ。


バスで移動してロープウェイ乗り場へ。


俯瞰して見ても、やっぱり変わっていない。
多分子供の頃に見た熱海の風景と変わってないんじゃないだろうか。


変わってるんだろうけど、だいたいの雰囲気はこんな感じだったのではないか…

熱海秘宝館へ。


こういう施設が今も現役であることのありがたみ。
UFOキャッチャーにいつの時代のものか分からないAVがあった。

ガチャガチャでオリジナルグッズも。買った。



下りも楽しいロープウェイ。



今夜お世話になる宿にチェックイン。


少し休んだ後、花火大会が行われるとのことで海辺へ。


全然期待してなかったけど、いやむしろ夜店目当てだったのだけど、物凄く奇麗で驚いた。海から見る花火がこんなに奇麗だったなんて。


こんな感性が死んでるようなオッサンを感動させる花火とはすごいものだ、と改めて思った。

宿に戻り温泉につかる。



さっぱりして、飲みに出かける。
夜の熱海は、また昼とは一味違った顔を覗かせてくれる。




翌日。


喫茶店でモーニングをたいらげ、フェリーに乗り込む。

初島へ。


連れに誘われて、ものすごく久しぶり、20年以上ぶりに海水浴をした。


自分が泳げるということを忘れていた。
透き通った海水にゆらぐ彩度の高い魚たち。すごいなー、泳ぐって楽しいんだな、海の中ってこんなだったなあ。
夢中になって夏休みの子供のごとく泳いだ。

夕暮れに島を後にし、喫茶店でチョコレートパフェを食べた。


甘さが身体にしみて、海水浴をすると体が乾くことを思い出した。





いろいろと思い出す旅だった。
心の中にある風景がそのままにある場所は、何度も行きたくなる。
自分にとっての観光地の魅力は、そういった点だと思う。

 

 
 
 
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シャッターと昔見た風景の街

2019-06-28 02:45:04 | 

もう半年たってしまいましたが。

正月明けにお仕事で岐阜に行きました。

実家が名古屋なので地理的には近いのですが、個人としてはあまり馴染みのある場所ではありません。

ひとまず仕事の目的地である岐阜の某駅へ。
駅前にいい喫茶店があったので朝めし代わりにコーヒーを。


仕事が終わり、岐阜駅に戻ります。

日が暮れるまで観光してみることに。

金の巨大な織田信長像が…

駅前は寂れていると聞いていたので、どんなものか見てみました。
結果を先に言えば、シャッター通りが続く壊滅的な箇所がありますが、それなりに栄えていて楽しめました。
また、夜は飲み屋の灯も沢山見えたので、まだまだ活気があるのでは、と思いました。


とにかくこちらの繊維街という一角のシャッターっぷりがすさまじく、歩いててどこまで行っても閉まってらっしゃるお店ばかりでした。


そんな中にこうしたヒューマンな注意書きも…

「何で」と問いかけ、本当に心底理解できないという思いを犯人にぶつけています。


続いて商店街を歩きます。


古い街並み、情緒が感じられます。
スナックが多い印象です。


ちょっと外れると一面キャバクラの広告が貼ってある場所もありました。
やはりそれなりにナウなプレイスポットでもあるのでしょうか。

閉まっているお店も多いです。


一部で有名な名画座・ロイヤル劇場さんも見てきました。
すごく立派な看板ですね。かっこいいです。


さらにやや歩くと、とても風情のあるスペシャルな喫茶店に遭遇しました。


こういうお店を見つけると「ここに来てよかった」と心底思います。
バナナジュースを飲みゆっくりと過ごす。


途中、小さな女の子を連れた家族連れも入ってきました。
地元の方々と時間を共有できるのは旅の楽しみです。

知らない風景と知らないお店だけど、昔はこういう商店街っていっぱいあったな、とフト思いました。
地方のシャッター街化がさけばれてもう何年も経ちますが、こうしてまだ頑張っているお店、商店もあるんだと思うと心強いです。
やがて必ず無くなる風景だからこそ愛おしく感じます。


帰りにはマッチもいただきました。

そろそろ日が暮れてきましたので帰宅することに。


夜の駅前は、思いのほかお洒落な電飾が施されていました。


また来たいと思わせる、魅力のある街でした。

 


 

 
 
 
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斎藤潤一郎外伝「カミさん」

2019-03-16 00:58:55 | 
調布市の某団地近くに流麗な曲線も美しいアーチの掲げられた商店街がある。
かつて団地に住む人々で賑わったその商店街も今は半分のシャッターが閉じ、多摩川から藻のにおいを伴って吹きつける風が、いっそう侘しい心持ちにさせる。


カミさんとは何なのか。
『死都調布』の著者・斎藤潤一郎氏のなかば都市伝説化したカミさんの真相を確かめるべく、私は冬の寒い日のある夜、調布市にある某商店街を訪れた。

シャッターの閉じた商店街は日本各地に点在する。この風景もバブル以降の日本の、ありふれた結末の一つなのだろう。
その中でも比較的賑わう一角があった。日が暮れる頃、名もない小路にぽつぽつと火が灯りだした。団地から老人や老人のような人々がその中に溶け込んでいく。

この小路の奥に佇むスナック・チヨのママさんが、カミさんのことを知っている。
以前、ツイッターで見かけた頼りない、しかし唯一の情報をもとに私はそのスナックに赴いた。客は他にいなかった。いいタイミングだ。聞くしかない、と思った。

チヨのママさんは確かに斎藤潤一郎氏の事を知っていた。
年はいっても独特の妖艶さと、しかし何か一種凄みのあるママさんは、斎藤潤一郎という名を聞くなり唐突にアッパッパを脱ぎ捨て、傷だらけの上半身を薄暗い店の中に晒した。

「教えてやるよ」
タバコをふかしながら、ママさんは仁王のような顔で私を見下ろした。


キイキイと鳴く裸電球の下で、私は斎藤潤一郎氏とカミさんについての全てを聞いた。

何も、言うまい。

もはやここで語れることもない。
私はママさんの話を聞きながら、この口伝がどこがで発表するような内容ではない事を悟った。


店を出るとトップリ夜も更け、例の風が私の頬を叩きつけた。すっかりと酔ってしまったようだ。
狭い出入り口ですれ違いざま、常連らしき男が入っていった。

彼が斎藤潤一郎氏なのかも知れない。
しかし私の興味はとんと無くなり、詮索する気も失せていた。


街灯も乏しい商店街のシャッターに、その場に不釣り合いだが彩り豊かなグラフィティ・アートが描かれていた。

「C-TOWN STYLE」

何も無い場所に上書きされる記憶と情緒を巡って、私はまたこの街を訪れることだろう。


平成も終わろうとしている。



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あんこ

2019-02-17 22:43:14 | 
名古屋といえば関東と関西に挟まれたその存在の薄さを打ち消すかのように、愛知万博以降はわたしが知らないような「名物」が数多く生まれた。
中でも食い物に関して言えば、「名古屋めし」と呼ばれる変なものから実際うまいものまで「そうかこれは名物だったんだな」と納得させられるものも多い。

そこには名古屋の市民性と東海三県の文化を咀嚼反映した地域性もうかがえる。

以上、分かったようなことを書いているけど、実際生まれてから19年住んでいた身としては何が何でどういった背景でこれが名物なんだろう…というものも少なくない。

特に小倉あん。


小倉トーストやしるこサンドで有名だが、そういう食い方をしているだけで名古屋はあずきの名産地だという話は聞いたことがない。
近年では駄菓子で注目されるように、お菓子文化と名古屋は切っても切れない関係性があるようだが、それがそもそもなぜなのかも分からない。


先日、岐阜へ撮影の仕事があったため名古屋の実家へ帰った。
駅まで両親が迎えに来てくれたので、その帰りに喫茶店に寄った。
少々腹が減っていたため、コーヒーと一緒に小倉ホットケーキを頼んだ。
ママさんは手早く冷蔵庫から井村屋のゆであずきの缶詰を取り出し、ホットケーキを焼き始めた。

「えっ…」

と思って調べてみたら、井村屋は三重県の菓子メーカーだった。



岐阜に用事があって名古屋の喫茶店で三重のあんこを食う。
運ばれてきた小倉ホットケーキを口に運ぶと、古い喫茶店に東海三県のインスタントかつ厳かな重奏が胸を打った。



うそ。
めちゃくちゃ安っぽい味だった。



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帰省2019

2019-01-31 18:10:09 | 
毎年帰ったってやることは変わらないので、果たしてブログに載せるようなことなのか…


一応恒例なので書きます。
いつも大須観音行って、いろいろ喫茶店行って、友達と会ったり、また大須行ったり、正月明けは家族で温泉かどっか行って…
みたいな感じです。

今年は30日に帰りました。

初めて始発くらいの新幹線に乗りました。さすがにこの日は早いうちから混雑している。


午前8時過ぎに名古屋着。

新幹線口の方は、リニアが通るとかで再開発が近づきます。こういった風景もいつまで見れるのでしょうか。

毎年参拝している駅近くのこちらの神社、リニアを通すために数メートル移動するそうです。ああ。

早く到着したのでそのまま実家に向かっても暇だろうと、3年ほど前に訪れたことのある老舗の喫茶店を再訪しました。
しかし、何度見まわしても見つからない。どうやら潰れてしまったようです。
喫茶店があった場所には新しくカレー屋が出来ていました。

寂しい思いを引き摺りつつ、どこかゆっくりとコーヒーが飲める場所はないものかと喫茶店の新規開拓を。
よさそうなお店があったので入ってコーヒー一杯でくつろぎました。

名古屋のいいところって、探せばそこらへんに喫茶店があるところだと思います。コメダ含めたら相当なもの。


実家に戻ると猫しかいませんでした。
もう老いてしまったが、20年以上生きてる妖怪のような猫。

母はおばさんと熊本の実家へ。父はシルバー人材センターのアルバイト、昨日帰省していた兄は忘年会かどこかに。



大晦日も喫茶店へ。
これも恒例になりつつある。大好きな『洋菓子ボンボン』というお店。





ここで今年(2018年)から来年(2019年)の手帳に切り替える作業を行います。


年が明け、大須観音へ。

一応初詣という名目ですが、当たり前のように物凄い行列ができているので断念。
本当のお目当ては屋台の串カツ。





これを食ったのち、また喫茶店へ。

いつもの風景が、いつもの通りあるかチェックします。






三が日明けに再び大須観音を訪れ、行列もほぼなくなったところで初詣。

自分や家族用にお守りを買って帰りました。


昔から知っている風景と見慣れぬ風景が混在する故郷。





と言っても自分が知っているかつての名古屋だって、誰かにとっての新しい名古屋だったんだなあ。


そうやって年を取っていく実感を年々強くしながら、帰省を繰り返し、老いて老害みたいになるんだろうな。


東京への帰りはバスで。
富士山が少し見えました。






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米子・猫・喫茶店【2】

2018-12-29 00:53:47 | 
お仕事で行ったので仕事の話も少々…

撮影現場がすごい僻地で、おまけに集合時間がめちゃくちゃ早いので始発を使っても間に合わない。
仕方なく自腹でタクシーを呼ぼうとしたけど、どこの会社もその時間からはやっていない。
俺がADだったらめちゃくちゃ怒られてただろうな…と思いつつ最終手段でホテルの自転車を借りることに。
撮影当日は、まだ夜の明けてない田舎のあぜ道を機材担いでグーグルマップ片手にしんどい思いをしてやっと現場に到着しました。


さて。
二日目から宿を米子駅前に。



窓を開ければ「THE・生活」というおもむき。

近くの喫茶店でめしとアイスコーシー。




お仕事の後は、ホテルの近くをブラブラと歩いては適当なお店で飲んでいました。









地方に行っても、あまり地元のおいしいお店とか行かないので自分でももったいないと思います。
粋じゃない感じ。






撮影最終日の夜。

明日夜行バスで帰京するため、最後の夜を少しは楽しもうと、朝日町という歓楽街エリアに。









足を踏み入れてスグ、なんかすごい光景が。





猫の楽園。

撮ってると中から偶然、スナックのママさんが出てきて「あらあら猫ちゃん好きなの」と話しかけてきました。
これは面倒なことになったぞ。と思う間もなく手をしっかり握られてババアホールドされました。
そのまま蜘蛛の巣へ…

中に入るとちょっと可愛いけどわたしと同じ年くらいのお姉さんがいました。母娘二人でやっているとのことです。
「うちは明朗会計だから。いくら出せる?」
と唐突に田舎のヤンキーみたいなこと言われました。
答えあぐねていると
「5千円あれば私たちも飲めるんだけど…」
と言われて「知るか」と思いましたが酒も入っておらず気が弱いため「じゃあそれで…」と言ってしまいました。

ビールやら酎ハイを飲み、仕入れたというカマスを焼いてくれました。

これがめちゃくちゃ美味かった。
土地の美味しいものを楽しむってこういうことやなあ…としみじみ。

東京の話やこちら(米子)の話をしたり聞いたりし、朝日町でよく見かける猫の話も聞きました。
やはり野良猫は保護されて地域で飼われており、自治体から助成金かなんかをもらっているとのことでした。

ほろ酔いで店を出る。
帰りも猫がお迎え。



ホラ、撮って撮って!とお姉さんが猫の首根っこを掴んできたので、撮らせてもらいました。
猫、めっちゃ信頼してるらしくてされるがまま。


翌日。
夜行バスまでの時間、どうしようか。喫茶店に入って考えました。

トーストにおみそ汁が付いてくる素晴らしいモーニング。

別に何がしたいとかないな…
と結論が出て、バスで行ける近くの皆生温泉というところに行ってみることにしました。
昨日のスナックでお姉さんに「近いしいいよ」と教えてもらったのです。





なんか殺風景だなあ…

観光地に求める活気というか、から元気感がありませんでした。
とりあえず海が近いから見に行ってみる。





海だなあ。っていう。

ここにも猫ちゃんいた。


温泉街につきものの飲み屋街とか一応あるにはありました。





大人のおもちゃ屋と射的場が併設されたハイブリッドな長屋がありました。





これはもう、これ見るためだけにここに来たかいがあったような気がする。
もう二度と見れないかもしれないものに遭遇すると、ああ旅をしているな、良かったなと思います。

お土産屋さん。


味な看板ですが、案の定お土産はゲゲゲの鬼太郎で占領されていました。

皆生温泉はソープ街としての一面も持っております。



わたし以外誰も歩いてない道に、呼び込みのお兄さんが暇そうにして店先に立っていました。
こちらがそういう気が無いと悟ったらしく、目が合っても軽く会釈をするのみでした。

この街らしい淡白な対応だなあ。


米子駅に戻って軽く飲んだ後、東京行の夜行バスに乗り込みしました。




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米子・猫・喫茶店【1】

2018-10-31 23:41:46 | 
お仕事で、一週間ばかり鳥取に行ってきました。

現場は境港の何もない駅なので、米子駅近くに宿を取りました。
深夜バス(経費込々の案件なので…)で新宿から米子駅へ。



早朝に到着しても、ホテルのチェックインは夕方。しばらくウロウロしなければなりません。
ウロウロするのが楽しいんですが。

とりあえず喫茶店を探してモーニング。



長屋にあるとても雰囲気のいい店。
夢に出てきそうなくらい素晴らしい。

モーニングとコーヒー以外はもうやってないとのことで。
アイスコーヒーでモーニングを頼んだらホットが出てきました。
しかしおいしかった。

30年ほどこちらで営業しているそうで、お会計の時にこのお店の素晴らしさを讃えると「何がいいのかねえ」とのことでした。そういうのも含めていい。

お店を出てもまだまだ時間はある。というかまだ朝。
適当に商店街を散歩する。







緑色の川。

この川を隔てたあたりから歓楽街になっていきます。



猫が。

廃屋の隣にある駐車場は野良猫の天国になっていました。











よく見ると耳の端がカットされており、去勢されてきちんと管理されているのが分かります。

歓楽街の街並みと路地裏の廃屋が混然となっている地帯もあって、ほどよく混沌としています。

やや歩き、昼前。
少々疲れたのでお目当てだった喫茶店に入ります。



テーブル筐体でミルクセーキ。こういう小さな喫茶店、昔は本当にたくさんあったなあ。




さて、今日だけは宿泊地が境港の方なのでそろそろ移動します。



米子駅からババア号に乗って…
駅も電車内も水木しげるの妖怪一色です。まあ何というか…これしかない、てことなんでしょうか。



猫娘、なんで中指立ててるの。

ちなみにババア号では、車内放送で鬼太郎と猫娘と目玉の親父が各駅の案内をしていました。

本日の宿がある中浜駅。

別名・牛鬼駅。このように境線の各駅には妖怪の別名がつけられています。意味が分からない。

ヨイショヨイショと暑い中、荷物とカメラと三脚を担いで歩きに歩いて、やっと海の近くにポツンとあるホテルに到着。

部屋は広くてよかった。


朝に夜行バスを降りて、そこから今まで歩き通しで疲れてしまいました。

2時間ほど休憩し、日が落ちる前にホテルの目の前にある海を見に行きました。



なんだか寂しくなる。

ホテルで自転車を借り、住宅街にある中華定食屋をみつけて、そこでゆっくりビールと餃子などを飲み食いしました。

つづく


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尾道に行ってきた の話

2018-05-03 04:34:46 | 
別に話ではないんですが。
しかも行ってきたというか実際は仕事で、用事があったのは因島でした。

尾道は宿泊していた福山との間の通り道で、行ってみてから「あの有名な尾道を通るのか」と分かったのでした。
一度は訪れてみたかったので、このさい観光目的にとっておいた1日を尾道観光に使うことにしました。

ちなみにこれ、去年の話です。
写真をアップしてそのままほっておいて、書くのを忘れていましたので今さら書きます。
ほとんど忘れているため日記からほぼそのまま記憶を復刻します。



東京駅から5500円のバスで福山駅へ。
せまい。寝れない。

朝、福山駅に到着。
11時間の乗車。身体がコチコチになる。
駅近くのサウナに入りサッパリいい男。



駅前の喫茶店でモーニング。



おいしい。シアワセ。

またバスに乗る。
ここから本来の目的である撮影のお仕事。因島へ。
スゲー田舎。目の前に島と海。

その後無事仕事が終わり、お客さんのご招待にあずかり、焼肉をごちそうになる。
帰り、ものすごい雷雨にみまわれる。

福山駅に戻り、ホテルにチェックイン。

雨はすっかり止み、窓から綺麗に福山城が見えた。



翌日。
ホテルを出て喫茶店でモーニング。

スイカがついていた。

昼頃、尾道駅着。



空が晴れ渡り、青い海が空を反射してすごく綺麗。



オッサンが佇む気持ちも分かる。

アーケードが伸びていたので歩く。





おもむき。



裏通り、小路のたぐいもいちいち「こういうのが好き」な人を喜ばせる雰囲気を持ってる。

軌跡のような喫茶店を見つけて入る。







名物のレモンを使ったレモンスカッシュがめちゃくちゃうまかった。
そのまま、
「コレ、めちゃくちゃウマイっすね」
とママさんに伝えたら
「疲れが取れるでしょう」と。この日はちょっと暑かったのと前日の仕事の疲れとで、本当に身体に沁みるおいしさだった。

ロープウェイで千光寺へ。











今さらですが、ワシ、観光地大好きなんよ。

いまいち「坂の街」の実感が湧かなかったが、ここに登るとよく分かる。







綺麗な街だなあ。
多くの映画やアニメなんかの舞台になる理由が分かる。

参拝。















帰りはロープウェイを使わず、歩いて風景を楽しみました。



途中、広場で猫とふれあう。



降りていくと街並みも変わって見えて、楽しいです。





なんかよくアニメなんかでありがちな「急な坂」も。

アーケードに戻り、再度うろうろする。
しかし完全に昼飯を食うタイミングを逸した。



裏通りのすごく純粋でストレートな古めかしさがすごく良い。



なんかそういう雰囲気だなあと思って調べてみたら、尾道には昔、遊郭があったそうです。

時間が微妙になってきたので夕飯まで食わずに過ごす。









海の近くで見つけたカウンターだけの小さなお好み焼き屋で、ビールとお好み焼き。
店のおばちゃんとの会話も楽しい。

港に出て帰りのバスまでの時間、暮れていく街と海、行き交う船を見て過ごしました。ロマンチック。






尾道ってなんか、小奇麗な熱海みたいですね。



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尾道、食べさんぽ。: 坂と寺と映画の町を食べ歩く
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男の旅

2018-03-05 22:20:27 | 
旅に出て特に何も期待していないところで見られる思いがけない風景は、色のついていない日常の中で唯一夢ごこちにさせてくれる大切なお時間なのです。





だから人生において旅は重要なのだ!!



何も持たずに旅に出よう。

ガイドブックなんか買ってはいけない。
グルメに惑わされるな。
無条件の旅に身をさらすのだ。



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るるぶ茨城 大洗 水戸 笠間’18 (るるぶ情報版(国内))
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まっぷる 茨城 大洗・水戸・つくば'18 (マップルマガジン 関東 1)
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ラーメンWalker茨城2018 ラーメンウォーカームック
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大阪ードヤー西成ー大道寺将司ー工業地帯ー進藤隆三郎

2018-02-05 04:53:39 | 
久しぶりに大阪へ行ってきましたよ。

いつものように夜行バスで。

早朝の西成。
なぜか、警備員がいました。



センターの周りはここ数年で本当に劇的に変わった。
今は入れないように柵ができてしまっているけど、高架下のここらへんは路上生活者の居所や謎市場があったり。

行政が作った、なるべくしてなったかつての風景を、今また都合が悪いからと路上生活者を排除しようとしている。ヤクザよりたちが悪いかもしれない。

変わったといえば常宿にしているドヤも、もはやドヤと言うよりバックパッカー向けの宿泊所に変貌している。
部屋は一見変わってないけど、朝方勝手に切れるエアコンが真新しいものになっていたり、アメニティ(!!)がついてきたり。



トイレもずいぶん綺麗になっていた。
エントランスではペッパー君がお出迎え。なんだそりゃ。


腹が減っていたので、玉出で100円の豚肉めしを買う。



数時間寝て銭湯でバスの疲れを癒し、大阪での旅ルーチン。難波へ。

雪が降っていました。

インデアンカレーを食い

法善寺の水かけ地蔵を参拝し



喫茶アメリカンでコーシーとホットケーキ。



旅のしあわせ。

夜になり、戻って新世界へ。





火事かなんかで休業したと聞いていた「ボッチャンも トウチャンも」のゲームセンター、復活しててよかった。

通天閣の下へ。

新世界東映で何がかかっているかチェック。





大好きな『現代やくざ 人斬り与太』がやっていた!!もう一本は未見の『伊勢崎町ブルース』。
それにしても、以前まであった路上の看板が無くなってしまってさびしい。

時間調整のため、いつもの串カツ屋へ。




映画を観て、宿へ戻る。



西成を元気に…


翌日。
京都方面へ。



目的地に遅刻しそうな気がしたが、嵐電線路沿いに魅力的な喫茶店を発見。

朝めし抜いて腹も減っていたので入ってしまう。



うまい。オーソドックスな味がたまらん。

太秦に到着。
今回の旅の目的は、ここで行われる『大道寺将司さん追悼会』に参加するというもの。



交流誌『キタコブシ』の表紙を描き続けたK・ミナミさんのお話を中心に。



2次会ではあるだけの酒を飲んで酔っ払っていた…

西成に戻る。
今日もセンターの前では野宿のオッサンたちが。


最終日。
通天閣下の喫茶店でモーニング。

新世界国際劇場の前が更地になっていた。
本当にどんどん変わっていくな。何が建つんだろう。







天下茶屋の方へぶらぶらと散歩。











深い闇を感じる風景。

歩く。



古くても活気のある商店街っていいですね。

目的地の喫茶店マルヤ。ここも数年に一度来ている。





とにかくめちゃくちゃ安い。

焼飯\350とバナナジュース\100。

うまいんだからすごい。
今回初めてマスターとお話した。

「めちゃくちゃ安いですよね」
「ボロいからねぇ」

年季の入った灰皿。

かたくなにブラウン管4:3のテレビ。

いい時間を過ごさせてもらった。

なんとなく木津川の方へ。
工業地帯から眺める川は、曇り空とあいまって寂しさに拍車がかかりなんとも言えず。









この後、久しぶりに進藤隆三郎さんのお連れ合いであったAさんと会う約束をしていた。

待ち合わせ場所に行く途中でも魅力的な風景と喫茶店。





大阪もどんどん変わっていってしまうけど、関東にはあまりない情緒。
残してほしいなあ、とまた勝手に思っています。



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帰省2018

2018-01-21 00:38:45 | 
正月、名古屋に帰ってた。


だからなんだって話ですが、毎年書いているので今年も書いとく。





どこか遠くに行くのに新幹線を使うのは、正月帰省のみに許される贅沢であります。

去年もう一匹が亡くなって、残された老猫モモ。

こいつはオスなのになんでモモなんだと思っていたが、フルネームは桃太郎らしい。お前どう思ってんだ。
なぜ母は今まで教えてくれなかったのか。

やることもないので大須へ。







大須へ行ってやることは、かつての風景が今も残ってるのか、という確認作業のようなもので、ブラブラとほっつき歩いてコーシーを飲むだけです。


大晦日は喫茶ボンボンで一杯のコーシーを。







一人になりたかったの…

これも確認作業のようなもので、「子供の頃に知っていた名古屋の風景」が残っているのは、それだけで嬉しいのです。

正月を迎え

再び大須。(←実家帰ると本当にやることがない)
確認確認再確認。

大須演芸場も一昨年は復活ののろしをあげて大盛況でしたが、今年はそれほどでもなかった。

大須観音へ。
いつも昼めし代わりに食べる小さなお好み焼き屋さんは、営業していなかった。悲しい。

こういうやつ。別の店で買った。


それでも境内は活気であふれていました。



行列はアーケードまで伸びています。

屋台で恒例の味噌串カツを食う。
めんどくさがりのお客さんが、屋台の前で観音様の方に手を合わせていた。ご利益あるのかな。

また、あるお客さんは串カツの入ったフライヤーに手をかざして暖をとっていた。

ウメー




いつも入る喫茶店でコーシー。ここでの一杯が新年の自分への挨拶みたいな。



テレビには大須演芸場の中継が映っていた。
かつてここで芸を披露していたマイナーな芸人さんたちは、今どこで何をしているのだろう…

行くべき店もどんどん無くなっていく。だから「昔」を新規開拓していく。

アーケードの外れにいいお店があったので入った。
お好み焼きと熱燗。



少しは人がひけて行列も解消しているだろうと、やっと初詣に向かいました。





残ってほしい風景とは自分のエゴで、そこで暮らす人、また特に行政とは無関係なものなのでしょう。
ただいずれ無くなるものを愛おしく思う感受性だけはずっと持ち合わせていようと思います。思いますっていうかイヤでもそういう性格なので。



今年から父が退職し、シルバー人材センターの世話になってスーパーで働いています。
休みが不規則なため、元旦以外で家族全員の予定が合うのが一日しかありませんでした。
その日を使って、兄の運転で香嵐渓へ。

家族で香嵐渓とか、何十年ぶりだと思います。
途中、よさげな喫茶店に入りモーニング。



いいいいいい!!!!
テーブル筐体もある!!えらい



店のそばを川が流れ、清流でつくられたというアイスコーシーを飲み飲み、くつろぐ。


香嵐渓着。







ここも、昔とあまり変わらないです。
香嵐渓へびセンターは無くなってしまったが。

小さな滝に虹がかかっていました。



散歩して入った神社にやまもりめしと書かれていました。

飯盛山だそうです。









一年に一度、家族全員が集まれることは幸せなのかもしれません。







自然に触れて、めし食って、みんなで「きれいだね」「おいしいね」と言い合えることのシヤワセをきちんと感じなくてはいけないなあ、と思いました。



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死と生をめぐる

2017-03-13 21:07:26 | 
夢と目覚めの間を行き来することがよくある。


夢の中で、たまに訪れる街があって、そこにはいつも地方都市を旅した時に感じるような、ある種の郷愁が漂っている。

ある日、その街を歩きつつ「もう2時間後には起きなければならないのに」とあせりながら、それでも目覚めに向けてゆっくり散策し、たまに喫茶店に入ってコーヒーのようなものを飲んだりしていた。

ずっと歩いて街の端に行き着くと、海のような、大きな川のような開けた場所に出る。
夜があけて周りが明るくなってくると、海辺だか川辺には様々な種類の生き物がいた。見たことのないような虫もいる。綺麗なカラークラゲもいる。
水辺に坊さんが3人、念仏を唱えながら歩いていた。
「絵になるなぁ」と思いながらカメラを構え、海だか川に近づいていった。そのまま水の中に入ってしまった。
塗れてしまった。どうしよう。もう起きなきゃいけないのに、目覚めまであとどれくらい歩かなくてはいけないのだろう?

困っていると平泳ぎしながら伯父がニュッと出てきた。
伯父のことは、やっさんと呼んでいた。

「ああ、やっさん助かった。今から帰るんでしょう?俺も帰るんだ。このあたり不慣れだから車で送ってってくれよ」

そう頼むとやっさんは、濡れた俺の背中をバスタオルでぽんぽんと優しく拭いた。子供をあやすようなあの独特の、情のこもった手つきで。
不思議だな、と思った。

親でもない、数年に一度会うか会わないかの仲なのに。
おじさんやおばさんという存在は、時折実の親子のような優しさや厳しさを見せてくれる。

「一緒に帰ろう」と言うと、やっさんは困ったような笑顔で、無言のままずっと背中を拭いてくれた。
もういい、もういいって乾いてるから。


そう思って言おうとしたところで目が覚めた。


これから仕事で12時間は超えるだろう重たい撮影がある。
ヘンな夢見ちゃったな。



やっさんは、去年のクリスマスに亡くなった。
おばさんに「寝る」と言って就寝。そのまま翌朝それこそ寝てるように死んでいたらしい。

近しい人が死ぬと、いつも悲しみが遅れてやってくる。
感情の吃音という言葉をどこかで読んだが、そういうものだろうか。でも多くの人は、近しい人が亡くなると、その喪失に感情がついていかないものだと思う。


シャワーを浴びながら、夢のことを思い出し、やっさんの葬式に出れなかったことを悔やんだ。
同時に、夢の中で背中を拭かれた時に感じた優しさを思い出した。

子供の頃、何度も夏休みに泊まりに行って世話になった。自分から進んで行くというより、両親が子供の自立心を養わせるために、熊本の実家に俺と兄を預けた。
その間、おじさんとおばさんが親のような存在になる。

そういう、両親以外の親のような存在だった。

唐突に様々な思い出が巡ってきて、涙が止まらなくなった。
俺はやっさんの、あの優しさに報いることができただろうか。結局なにも返せていない。もう全て遅い。そういう不義理を自分はやってしまった。

死という事象は人の感情を酌量しない。ただそこにあって、そこから先は何もできない。
墓参りも、手を合わせることも、生きている人間の気休めでしかない。
「お別れの数時間復活」みたいな準備があればいいが、ない。




仕事で熊本を訪れた折、帰りを1日遅らせてもらって母の実家、つまりおじさん、おばさんの家を訪れた。6年ぶりのことになる。

子供の頃、じいちゃん、ばあちゃん、おじさん、おばさん、いとこの兄妹がいたこの広い家も、今はおばさん一人になってしまった。

家に上がり、仏壇の遺影に手を合わせると涙がぶわっと出てきてしばらく止まらなくなった。
その状態でロウソクの火を消そうと手を振り下ろしたら、線香を手の平に「ジュッ」と叩きつけてしまい、小さな根性焼きが。


玄関の正面には犬小屋がある。

もうとっくに死んでしまっただろうと思っていた飼い犬のゴマが、まだ生きていた。失敬な。ごめんね。
立派なおじいちゃん。あれ?オスだっけメスだっけ。

もうほとんど眼は見えず、耳は聞こえないらしい。認知症も進んでいる。そのため人が近づくとおびえるらしい。
排泄も自分ではうまくできず、オムツをしている。

昔は、近づくとぴょんぴょん跳ね、ワンワン吠えて腹を見せてなついてきた。
腹をなでてやると目を細めて幸せそうな表情をしていた。その顔が大好きだった。

もう俺のことも分からなくなっているだろう。
ここまで近づいても寝てる。

「ゴマ、ゴマやーい」
しばらくすると、ムクリと頭を上げた。

白濁した眼がこっちを見ているようで、どこかを見ている。少なくとも「人間がそこにいる」という認識はできているみたいだ。
なでて、耳の近くで「おい、ゴマよ。俺だ」と言うと、ピクンと反応した。

耳の下をわさわさしてやると、そのまま体重をかけ、リラックスしながらフンフンと鼻を鳴らして目を細めた。
一応昔会ったことがある誰か、という信頼はされているようで良かった。


翌日、おばちゃんに頼んで父方の祖母を老人ホームに訪ねた。
寝たきりで痴呆になって数年経つ。そして何度か「もうダメかもしれない」と言われてきたがたくましく生き続けている。

祖母は昼飯を取った後、車椅子でグッスリと寝ていた。
職員さんが起こそうとしたが「お腹いっぱいで気持ちよくなっちゃったみたいですね~」と。

子供の頃、こちらの祖母はちょっと厳しい人という印象で、私はもっぱら母方の祖父・祖母になついていた。
しかし今はもう本当に優しい表情で、なんかかわいい。憑き物が落ちたよう、というか。お肌もスベスベしている。
そういう表情になって死んでいくというのは、本人にとって幸せなことなのかもしれない。
自分の息子が、突然先立ったことも知らない。


その後、父方の実家へ顔を出した。

ちょっとヘンな話だけど、うちの両親は兄弟と姉妹で結婚している。そのため実家同士が近い。

茶をもてなされていると、近所に住むいとこが2歳の子供を連れて遊びに来た。
ずっと死や老いについて考えていたけど、この小さな命が言葉になってない言葉を話しながら体中のエネルギーを迸らせるように動き回っているのを見ていると、周りのもの、空気、景色も全ての彩度が上がるように感じた。

こうして世代は変わるんだなあ。俺もオッサンだし、間もなくおじいちゃんにだってなるのだ。
そうなのだ。

おばちゃんから聞いた話だと、いとこの娘(従姪)が若くして子を産んだらしい。えー、つまりおばちゃんが曾祖母になったという。
ということは俺は世代的におじいちゃんでもおかしくないのだ。

ぼんぼん子供産めばいい、と思う。


帰りまでの時間、おばちゃんとコーヒーを飲んで、人吉城跡に連れて行ってもらった。



「登るのは疲れるから」と、一人で石段を登り、二ノ丸から人吉市を望む。









6年前、母方の祖母が亡くなった時にもここへ来た。
人の死に触れたあと高い場所に登ると、何かその風景に不思議な印象を残す。






駅でおばちゃんと別れた。





これから、あの広い田舎の家でおばちゃんはずっと一人で過ごすのか。
しばらくは何度も人知れず泣くのだろう。薄い色の中で、誰にも気付かれずに、慰めも自己憐憫も何もない涙を何度も流すのだろう。

コメント (2)
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熊本にて

2017-02-23 17:44:44 | 
先日、お仕事で熊本に行ってきました。

だいたいどこの制作会社でも、ホテルに泊まる場合の予算は同じなのですが、シーズンや場所によりなんだかスゲー部屋になったりします。
去年も同じ仕事で熊本に来て、その時はスゲー部屋だったのでデリヘルを呼んだものです。

今年は「あ、はい」という感じでした。

とりあえず制作の人と町に繰り出す。







この人は地方に行く時、現地のグルメ情報をチェックしているのでいつもお任せしてます。
それで高確率でラーメン食わされます。
なぜかわたしは「行列ができる店のラーメン」があまり口に合わず、たいてい「これなら博多天神の方が好きなんですけど」と愚痴をぶつけます。

今回は桂花ラーメンの本店に行きました。



ラーメンとチャーハン。めちゃくちゃおいしかったです。

で、まだ食いたいものがあるらしくついて行くと蜂楽饅頭でありました。
両親が熊本出身なのでわたしも大好物なんであります。



蜂楽饅頭って知ってますか?
いわゆる大判焼きなのですが、生地にだったかどっかに蜂蜜が使用されており、上品な甘さがたまらないのです。
調子に乗ってばくばく2個食いました。

ラーメンとチャーハン食った後に饅頭2個なので相当なものです。

うーい食った食ったとふらふら歩き

コーシーを飲んでおったらお客さんも到着したとのことなので、落ちあって下通で飲み屋を探します。





熊本地震でどうなっているのだろう、と思っていましたが、通りは活気にあふれ、どこも満席でなかなか店に入れず。
断られた先のお店の方が、近くの系列店に確認を入れてくれ、馬肉の焼肉店へ。

ぜんぜん味が分からないです。
16時にラーメンその他を食って、この時点で18時です。まだ全く腹が減っていないのです。

とはいえその後盛り上がりついでにもう一軒ハシゴし、おひらき。


翌日、昼過ぎに無事撮影終了。

わたしは私用のため、帰りを1日遅らしてもらいました。
撮影がいつ終わるか分からなかったので、移動のバスは夜の便を予約していました。
まだずいぶんと時間があるので、街の方に路面電車で移動。

再び蜂楽饅頭を食い、食いつつぶらぶら。

あ、近くに熊本城がある。

ヒマだったので近付いていくと神社がありました。熊本城稲荷神社というそうです。











さらに奥に進みいくつもの鳥居をくぐると幻想的な一角が。













夢の中にいるみたいだ。

しばらくここのベンチでボーっとして、その後お城の方へ向いました。



テレビで何度か見た光景。いたいたしい。



お城の近くには行けませんでしたが、付近をうろうろするだけで楽しかったです。



日も暮れてきて、そろそろ移動の時間に。

歩道橋の階段にさしかかった瞬間、本当に久しぶりに「あ、いま旅をしている」と思いました。



再び路面電車に乗って駅へ。
仕事や学校帰りの地元の方たちと、彼らには見慣れた風景であろう暮れ行く街の景色を堪能しました。








旅先で、生活する人々と同じリズムに乗る時、なんか不思議な気持ちになります。
なんなんでしょうね。



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紅葉狩った。

2016-12-08 02:18:08 | 
先日お仕事撮影で2日間関西に行きました。最終日に京都で午前中解散となったため、なんとなくもったいなくて制作会社の人と嵐山へ行くことに。








平日なのに人いますね、けっこう。

ぶっちゃけ曇ってたしあまり紅くなってなかったので、微妙な感もありましたが、こうして季節を感じながら紅葉を眺めるなんて何年ぶりでしょう。
忙しいとかではなくそういう粋さというか感性がにぶいのだ俺は。



小学生の頃、親に連れてられてすごく楽しかった覚えがあるのですが、なぜか京都に縁がありここ数年何度か訪れていても、観光目的ではなかったので嵐山に来た事はありませんでした。というわけで20年以上ぶりです。

渡月橋からの景色、おぼえてました。



中国人観光客が多いですね。
普通のおばさん達がスゲーごついカメラ持って渡月橋ごしの嵐山を撮っていました。

橋を渡る。









着物のお姉さんが自撮り棒で。

こちら側からの景色もいいですね。
より鮮明におぼえていました。









かなり紅くなった紅葉が目の前に。





カップルも大満足。

桂川沿いを歩く。



どういう経路か忘れましたが、お寺か何かの近くには真っ赤になった炎のような紅葉が。





可愛いお地蔵さん。

竹林の道。竹には何も感じない。なんだろう。

言われるがまま歩き、展望を眺める。桂川を挟んで左が嵐山、右が小倉山ということでしょうか。よく分かってない。







このお寺は大悲閣というそうです。ちょうど夕方になり、ゴーーンと鳴っていた。

降りて駅側の川沿いを歩く。



いいなー。こういうので飲み食いしてみたい。

川辺では夜間のライトアップに向けて準備していました。

抹茶ソフトクリームを食いながら駅に戻り、京都駅で551の肉まんとビールを買い、新幹線に乗りました。





以上。



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