構造材現わしの家、木造伝統構法の設計【台持ち継ぎ実践型】について。
大工であれば、他人に見せたがらない自分の技法の詳細画像を、私はUPします。
真の設計士、真の大工(伝統大工)を目指す方の参考になれば、幸いです。
引っ張り力の発生する部位に、【台持ち継ぎ標準型】 を用いてはいけない。
特に、吹き抜けでの持ち出し継ぎ使用は、大地震で間違いなく崩落する(前回記事)
なので、
台持ち継ぎの設計では、左右材が離れない様に、”引っ張り力対策” が必要。
ではどうするか? 私なりの回答が↓下の画像。
使用材は檜(無節)24cm×24cm断面の背割れ材。 お寺の庫裡の仕事でした。
まず、【真継ぎ】にする。(私は、台持ち継ぎは、絶対に持ち出し継ぎで使用しない)
ほぞを引っ張り力対策として、【栓:せん】扱いにする。
つまり、左右材が離れない様に、柱のほぞを上下材で貫通する【打ち抜きほぞ割り楔:うちぬきほぞわりくさび】として、上下材のほぞ穴に通す。この技法は上下材の緊結効果(縫いボルト及び柱頭金物効果)も発生する一石三鳥。
その際、引き抜き強度を左右する【楔:くさび】には、材料強度の大きな欅や樫を使う。
ほぞの栓扱いでは、材先端の剪断破壊を絶対に発生させてはならない。ほぞの大きさと材先端の距離のバランスを考慮して、台持ち継ぎの勾配も決定する。まずはじめに台持ち継ぎの勾配を決定しないのがポイント。
軸方向の芯ズレ防止と左右材が離れない様に、更に【蟻:あり】を切る。背割れ材であることから【アラレ組み】 として、接合強度向上を図る。それを、”上端:うわば” と”下端:したば” とで同時に設計する。
私はこの木組みでは【銚子口:ちょうしぐち】を省略しました。理由は、梁成と台持ち継ぎの勾配とダボを母材に埋め込んだ時の断面欠損を考慮して、バランスが悪いと判断したからです。
【銚子口】は、大工により、鉛直に設ける方法と、勾配に垂直に設ける方法があります。勾配に垂直に設けてしまうと、引っ張り力に対しては更に弱くなります。ダボの埋め込み深さも要注意で、”効かす” 為には相応の深さが(4.5cm以上)必要な反面、母材凹側の断面欠損量にも細心の注意が必要になります。
次回に続く。
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