世相を斬る あいば達也

民主主義や資本主義及びグローバル経済や金融資本主義の異様さについて
定常で質実な国家像を考える

●欲張り爺な安倍の国 飄々たる国家のパイオニアになれる国

2016年02月20日 | 日記
介護ビジネスの罠 (講談社現代新書)
クリエーター情報なし
講談社


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●欲張り爺な安倍の国 飄々たる国家のパイオニアになれる国

今夜は、見出しほど自信のある考えがあるわけではない。ただ、成長の時代を終えた日欧米の経済先進国においては、意図的に、日本の土地バブルや米国のリーマンショックのようなバブル経済を、意図的に作り上げない限り、虚飾の経済成長を成し遂げることは、明らかに無理な段階に入っている。日本では、安倍政権との相性の良い、政治的性向の強い黒田氏が総裁に就き、異次元金融緩和やマイナス金利政策を導入、意図的にバブルを生みだそうと試みている。しかし、笛や太鼓を持ちだし、企業の設備投資や研究開発関連の躍動を期待したが、まったく踊る気配すら見せない。

最も大きなGDPを稼ぎ出す、個人消費においては、日銀のバルブ醸成政策が打ち出されたにも関わらず、株や為替市場で一時の騒ぎを起こさせたが、ベースとなる一般生活者の消費を促すことはなかった。消費増税の目的であった、社会保障の見直しは、削減志向だけが突出しているのだから、「自助」という印象を国民に強く印象づけてしまった。つまり、老後の拠りどころは、「銭だけだ」と、国民に受けとめられたと云うことになる。まして、中高年の勤労者も、ワーキングプワー化する非正規雇用の勤労者も、押しなべて、実質賃金を下げ続けているのだから、この状況で消費に精を出す人種は、一種クレージーだと云うことになる。

国民が、国の為政を信用しなくなれば、当然だが、個人消費は伸びるどころか縮小方向に向かう。今の日本人の心は、「自助と共助」だけを拠りどころに、生活設計している傾向が強く、「公助」は人生のラッキーとして捉える傾向さえある。つまり、アベノミクスも日本政府も国会も、国民は信用に値しないと見限っているような状況だと言える。マスコミは、霞が関文学に彩られた、怪しい東大話法を紙面やテレビニュースで展開するが、その多くを眉唾的に見聞きしていると云うことだろう。政治や霞が関が動くたびに、利権構造が増殖するだけで、国民に利益回ってくる頃には、予算はあらかた、食い尽されている実態を理解し始めているのが現状認識と考えている。

特に、高齢者の場合、日本の土地バブルを実体験している人が多いので、国家を信用した人々が滅びていった現実を目の当たりにしている。ゆえに、金を持っている年齢層の人々が、“私は貝になりたい”ではないが、一切、国の政策に踊ることはしないと、決心しているようだ。「持家での老後でも、年金以外に3千万円必要」等と喧伝されれば、余程のバカでもない限り、消費に回す人はいない。高齢者の皆様の老後は国家が、これこれ然々の政策を導入することで、墓場まで面倒みますよ!多くの高齢者が、これなら、不必要なまでに「銭」に執着しなくてもイイかも?と思える政策を出す。それがとば口になるに過ぎない。そのくらい、国民は官僚や政治家を信用していない。

ゆえに、金融政策で、国民の個人消費を喚起すると云う発想は、如何に馬鹿げたものか、素人でも判ることだ。このような、単純明快な事実が判らないのが、専門馬鹿と云うもので、金融や電通のような広告宣伝手法で、国民を煽ればなんとかなるは通用しないのだ。政治の煽りに乗っかれば、外道な道に進むことになると、現在の裕福な高齢者たちは思っているし、中間層の人々も、年金でカツカツの生活の人々も、政府や経済諮問会議に居並ぶ有識者よりも、ゼネラリストとして、賢者だと言える。

上述の筆者の言い分を、以下のふたつのコラムに関連づけるのは、無理難題のようだが、そうでもない。文明国にとって、少子高齢化傾向は、避けて通れないテーゼであり、社会学上も、動物学的にも論理的に正しい選択なのだから、「一億総活躍社会」などと云うマヤカシ造語で、踊らさせようと考えるのは、大量生産大量消費時代の魔物に魅入られた経済学者や企業人だけと云うことだ。ただ、以下のふたつのコラムが指摘しているような課題をクリアしていくことで、地産地消のような、共同体自治を構築することは可能だし、日本人の知恵があれば可能だ。しかし、箱モノづくりよりも、ソフトが決め手だと、気づくかどうかが分岐点だ。

成長するとしても、自然増程度の経済国家だが、国民の資産はある。国家の換金可能な資産も相当ある。こういう日本のような国が、世界に先駆けて「成熟国家観」というイデオロギーを世界に発信できる、絶好のチャンスなのだ。駄目な点も認め、良い面を最大限に生かす政治を考えれば、「財政再建する前に、やるべきことがある」、「増税の前にやるべきことがある!」「中央集権から地方主権に」。今、政治がしなければならないことは、経済成長神話に縋ることではない。今、我々が手にしているものを、最大限有効に使い、世界に冠たる「成熟国家観」を示すチャンスなのだ。

飄々と生きる、「成熟国家観」。これを実現するに最もふさわしい国家は何処だと聞かれたら、日本以外の国の有識者は「日本だ!」と口を揃えるに違いない。国が破れていないのだから山河は当然ある。最大公約的だが、ルールも守る。勤勉を美徳としている。浪費が悪だと知っている。最大公約だが、知的水準も世界的に見れば悪い方ではない。暴力的ではない。その上に、歴史的に「天皇」という国家元首のようなシンボルも堅固に維持してきた。挙句に、他国の民族が侵入しにくい島国である。ここから先は、以下のふたつのコラムを足掛かりに、色々と思考して貰いたい。ひとこと言っておくと、老人問題の解決も、経済成長とかの最終的解決策にはならない。ただし、一時の好景気くらいは演出できる。その点は押さえておきたい。


≪ 高齢者ビジネスの成長性が危ぶまれる残念な理由
株価が下がってくると「アベノミクスは失敗だ」「日本経済はやっぱり成長できていない」という声がすぐに強くなってくる。  円安で輸出産業が息を吹き返して、工場など国内への投資が増えたのは間違いないが、それだけでは若者減少で市場が縮小する我が国全体の経済成長への貢献度は十分とはいえない。だからちょっと円高が始まっただけですぐに将来の不安が高まってくる。

 そんな日本経済の先行きだが、世界の識者はどう見ているのだろう。興味深いレポートがある。アメリカの国家情報会議(NIC)が4年に1度、新し いアメリカ大統領に提出しその後世界に向けて公開されるグローバルトレンドというレポートの主筆だったマシュー・バロウズが書いた『シフト 2035年、米国最高情報機関が予測する驚愕の未来』(ダイヤモンド社刊)という本である。

■米国人が予測する日本の未来 希望は「高齢者向け住宅産業」?
この本は来年、新しいアメリカ大統領が誕生したときに作成されるグローバルトレンドを先取りした内容で、アメリカ、EU、中国、ロシア、イスラム各 国など世界の勢力を横軸に、技術革新、資源開発、民主化、経済成長などこれから起きる変化を縦軸にして世界の未来を予言している。

 その中に“日本は「過去」の国になる”という項目がある。

 バロウズ氏によれば“日本は中国との差が拡大しているが、「中の上」程度のパワーを維持するだろう”という。ただしそれは日本がかなり頑張って構 造改革をなし得たらという条件つきの話だ。その条件はいろいろな面で克服は難しいだろう。そうなると日本は本当に過去の国になってしまう可能性の方が高く 見える。

 しかしそのような悲観的な予測の文章を詳しく読みとくと、ひとつだけ希望にあふれた一文を見つけることができる。そこには日本の未来について、“高齢者が増えて、医療業界と住宅業界は成長に拍車がかかるだろう”と書かれている。 これを読んで私はアメリカ人の物の見方は面白いと思った。アベノミクスの成長戦略では医療業界の革新が日本成長の原動力になるとは書かれているが、 住宅業界が成長のカギだとは書かれていない。しかしこの着眼点はおもしろい。住宅産業は産業のすそ野が広くてGDPを押し上げる原動力としては一番効いて くるアイテムだからだ。

 わかりやすくいえば団塊の世代がすべて後期高齢者になって、彼らが一斉にバリアフリー住宅にリフォームしたとすれば、その需要だけでもGDPは目に見える規模で押し上がるはずだ。

 しかしそこにはものすごく難しい壁がある。

 ■業者から“食い物”にされる高齢者たち
 以前、高齢者ビジネスについてのコンサルティングを行っていた際に、その業界で誠意をもって事業を行っているある役員の人がこんなホンネを語ってくれたことがある。 「この業界の一番難しいところは、社員がもっと儲けたいと思う欲をどう押さえ込めるかにあるんですよ」

 真剣に高齢者を相手にしたビジネスの拡大に取り組んでいる経営者がホンネで悩んでいるのがどういうことかというと、それは介護事業でも福祉関連の 製品販売でもなんでもいいのだが、会社経営が苦しいときにふと魔がさすらしい。「その気になれば弱者からたくさんのお金をむしりとることができる」と。

 だから営業目標のようなものを普通の会社と同じに設定してしまうと、組織の末端で何が行われるか、わかったものではなくなるのだ。 このことをわかりやすく説明するために、私自身の体験を紹介しよう。遠くで暮らす両親が60代後半のころ、老後を見据えてバリアフリー住宅に建て替えたことがある。誰が聞いても一流の住宅メーカーが建ててくれた強固な注文住宅だ。

 それから10年たって母から相談の電話がかかってきた。かなりの出費だけど170万円かけて家をまるごと診断してもらうというのだ。

 話を詳しく聞いてみるとこういうことだった。その住宅メーカーの子会社の営業マンがいわゆる10年点検で母のところに訊ねてきた。その営業マンが 言うには、通常はうちの建てる住宅なら全然問題がないのだが、住宅というものはその建てられた環境次第で希に中の柱が腐ったりすることがある。見た目は しっかりしていてもそういう住宅は将来、地震のときにぽーんと潰れてしまうこともあると母に言うのである。

 母は以前、震災の時に倒壊した住宅の下で多くの人が焼け死んだことを「とても酷い死に方で、ああはなりたくないんだ」と言っていた。10年前の建て替えはその震災の影響があってのことで、ローンを組んでまでボロ屋を新築の住宅に建て替えたのだった。

 新築のときは「この工法なら50年はぜんぜん大丈夫」と言っていた会社が、10年たったら子会社の別の営業マンが「倒れちゃうこともあるんですよ。気をつけたほうがいいですよ」というのである。

 それで中の柱が腐っていないかをチェックするための診断費用を見積もってもらったところ、家の周囲に足場を立てて専門家に検査をしてもらうための費用合計が電話口で母が私に相談してきた170万円ということだったのだ。

 結局その話は、私が母を説得して断ることにした。それから間もなく母を東京に呼び寄せて一緒に暮らすようになるので、その意味ではその時点での170万円の出費は母にとっても老後の蓄えの中の無駄な出費になっていたはずだ。

 私が防衛策として決めたのは、それ以降、母が必要とする商品やサービスの営業マンの矢面に母を出さないことだった。尊敬される一流メーカーの営業 マンの中にも、組織の末端には営業成績をあげるためにそんなことをする人がいるのだ。ましてや聞いたこともない健康食品メーカーや、リフォーム業者に母を 紹介する勇気は私にはまったくない。

 社会全体の問題点がここにある。高齢化する日本社会では、フェアなビジネス慣行が確立されていれば“住宅業界は成長に拍車がかかるだろう”という予言通りのことが起きるのだが、現実の日本では高齢者は業者に食い物にされてしまうのだ。

■このままではリフォームしたくても 怖くてできない高齢者が増えるだけ
 一度リフォームを注文したらどうなるか?その顧客リストを生活のために横流しする営業マンがいるかもしれない。流通する違法な顧客リストを見てど んどん営業マンが来るかもしれない。実際にいつの間にか床下がシロアリ防止装置だらけになっていた老人宅がある。それも氷山の一角だ。

 そういうことがないように法律を整備したらどうだろう。認知症の老人がそのような業者に騙されないように後見人をしっかり立てたら?実際そうやって弁護士が後見人になったおかげで、弁護士にすっかり財産を奪われてしまった老人が出てくる。

 そして名簿の流出にしても後見人のトラブルにしても、刑事事件になるのはごく一部というのが日本のお寒い現状だ。

 全体が性善説でまわる経済であれば日本経済は成長するだろう。しかし高齢者マーケットは性悪説に立ったうえで、それでもまわる経済を設計しなけれ ば成長できない。それができなければ我が家のようにリフォームしたくても怖くてリフォーム会社を探せない高齢者世帯がどんどん増えていくだけだ。

 このように一番成長ポテンシャルが大きい業界は、一番大きな社会問題を抱えているのである。
 ≫(ダイアモンドONLINE:経済時事―今週も斜めに考えた・鈴木貴博)


≪ 90歳の入居者が激白!介護ホームの“悲惨なる日常”
川崎市幸区の老人ホーム「Sアミーユ川崎幸町」で、入所者の男女3人が相次いで転落死した事件で、殺人容疑で逮捕された同施設の元職員の男は、 「(介護に)手がかかる人だった」 「ベランダまで誘導し、男性を抱きかかえて投げ落とした」 といった供述をしているそうだ。 介護のいかなる状況にあっても、暴力や虐待は許されることでない。 だが、 「他人事ではない」ーーー。

介護現場で働く人たちは、口をそろえる。 「……誰にでも、実はそういう事件を起こしてしまう立場にあるんだなぁって…」 いや、働く人たちだけではない。 ホームに入所している“高齢者”の方も、だ。

現在、90歳。ご主人が要介護となり、ご夫婦で入所されている方から寄せられたメッセージを紹介します。

介護現場のリアルを「我がごと」として一緒に考えてみてください。 「Sアミューユ川崎幸町で起こったことは、他人事ではないような気がしています。殺害なんて絶対に許されることではないし、虐待も暴力もいかなる場合も許し難いことです。
 でも、入所者の中には大声で喚き散らす人、たえずヘルパーを呼びつける人、自分が判らなくなってしまった人、思うようにならないとヘルパーの手をかみつく人など、さまざまです。 そんな人達の家族に限って 面会に来ることがなく、ホームに預けっぱなしなのです。
 私は夫とともに、毎日、食堂で食事をしているのですが、食事は終わったのに、食べた感覚がなく「食事を早くください!」「死んでしまいます」と大声でわめいている女性がいて、若いヘルパーが優しく対応している姿に頭の下がる思いがしています。
 ヘルパーさんたちがあまりに大変そうなので、食器を運ぶくらいお手伝いしようと申し出ました。 でも、絶対にやらせてもらえません。ナニかあったときに、施設の責任になるからです。 先週、またヘルパーが二人辞めてしまいました。理由は『給料が少なくて結婚できないから』ということでした。
 離職者があとを絶たず、その補充もなかなか見つからないので、残ったヘルパー達が、過重労働を強いられているのが現状です。 ホームには各部屋にインターホーンが設置してありますが、認知症の進んだ入所者がひっきりなしに夜間押すこともしばしばです。
 夜勤ヘルパーは、その度に対応しなくてはならない。就寝前に投薬が必要な人もいるので、夜勤の仕事はかなり重労働です。 ヘルパーの中には夜勤はしない、という条件で勤務している人がかなりいるので、限られたヘルパー達が順番でやっているのです。
 すぐに順番がやってくるので、真面目なヘルパーは体重は減るわ、顏はやつれるわで見ていて可哀想になります。私はいつもそんな彼等に感謝と激励の言葉を送っていますが、そんな感謝の言葉だけでは、彼女・彼らが報われません。
 みなさん、献身的にやってくださります。でも、……人間には限界ってものがありますよね。 政府は施設を作る、と言っていますが、その前にヘルパーの待遇を改善すべきだと思います。
 ヘルパー不足は入所者へ深刻な影響をもたらしているのです。オムツ交換が4回だったのが3回になり、夜間見回りもなくなり、適性があろうとなかろうと採用するしかない。悪循環です。
 高齢者へ3万円支給する余裕があるなら、介護関係に回すべき、だと思います。
 ここはまさしく姥捨山です。入居者たちはみんなそういっています。 入所者は家族が介護の限界にきたために本人の意志でなく入れられた人が多いので、私のように発言できる入所者は滅多にいないと思います。 私のコメントがお役に立つようでしたら、こんな嬉しいことはありません。どうか薫さんのお力で、たくさんの方に現状を知ってもらってください」

……これが介護現場のリアルです。 介護職の方たちの多くは、「おじいちゃんやおばあちゃんに、少しでも笑顔になってほしい」と献身的に働く人たちが多い。だが、そもそもそういう方たちでさえ、常に心の葛藤に襲われるのが介護の世界だ。

だって、関わるのは全員「人生の大先輩」。それぞれの人生、価値観で長年過ごしてきた高齢者の方に、注意するのはとても気を使う。自分の親でさえそうなのだから、他人であればなおさらだろう。

「本当にこれでいいのだろうか?」 「他にもっといいやり方があったんじゃないのか?」 そんな不安に苛まれる。 相手が“人”である以上、10人いれば10通りの問題が起こる。一つひとつは小さなトラブルで、ちょっとした対応で処理できるかもしれない。

だが、「ホントにコレで良かったのかな?」と不安になる。特に高齢者の“変化”は突然起きるので、対処が実に難しい。 本来であれば、そういった不安を現場のスタッフたちで分かち合えればいいのだが、全員が自分の仕事でいっぱい いっぱいで時間的にも、精神的にも、余裕がない。他の職員を気にかける余裕など微塵もない。

おまけに夜勤、早番、遅番とシフト勤務なので、顔を合わせることも少なくなる。 介護の現場というのは、実に「孤独」なのだ。

さらに、平均月収は21万円程度で、他の職種より10万程低い。ただ、これには施設長や看護職員など、比較的高い賃金の職種の方たちも含めた数字なので実際には10万程度という人もいる。

この低賃金を一般平均である30万程度にするには、年間1兆4000億円ほど必要となり(NPO法人社会保障経済研究所算出)、労働人口で単純計算すると「ひとりあたり年間3万円弱の負担」が必要になる。

ご存じの通り、昨年、4月から介護報酬が2.27%引き下げられたが、これは2006年の2.4%の引き下げから2回目のこと。介護施設の人権費率は約6割、訪問系介護は7割と大きいため、報酬引き下げはダイレクトに労働力不足に影響を及ぼす。

前回の引き下げで労働力不足に拍車がかかったにもかかわらず、再び引き下げを決めたのは狂気の沙汰としか言いようがないのである。

「月額1万2000円引き上げるっていってたでしょ?」

そのとおりだ。だが、それが本当に労働者にちゃんと支払われているかどうかは確かではないのが実情なのだ。

また、前述の女性のメッセージからも人手不足なのは痛いほどわかるのだが、2020年代には、さらに約25万人もの人材が不足するとされている(厚労省算出)。 重労働、低賃金、超高齢化社会ーーー。

この先どうなってしまうのだろう……。 「高齢者へ3万円支給する余裕があるなら、介護関係に回すべき」という、“高齢者”からの意見を、どう政府は受け止めるのか。 もし、質の高いサービスを望むなら、もっともっと介護保険料を国民が負担すべきで、それができないのであれば、サービスの質を下げるしかないと思う。

食事、排泄、入浴のニーズに対応するためだけのサービスと割り切り、現状の劣悪な環境を変え、当然、残業はゼロ。1人でも離職者を減らし、1人でも多くの人たちが介護士さんを目指し、1人でも多くの高齢者がケアを受けられ、1人でも多くの家族が自分の仕事と両立 できるようにする。

「でも、それじゃあ……」 うん。それでは……だ。

だが介護現場は、頑張りすぎた。頑張らないことから、議論し直す。崩壊するよりその方がまし。

だって、このまま質を求め続ければ、介護業界は破綻する。

これ以上の甘えは、暴力と同じ。崩壊も、虐待も、破綻もイヤ。誰もが老いる。親も老いる。自分も老いる。その人生最後の終の住処が、こんなにも悲惨な状況じゃ誰1人、幸せにならないのではないか。

そして、私も、もっとこの闇の解決策を現場に耳を傾け探して行きたいと思っています。

河合薫 健康社会学者(Ph.D.,保健学)。
千葉大学教育学部を卒業後、全日本空輸に入社。気象予報士としてテレビ朝日系「ニュースステーション」などに出演。 2004年東京大学大学院医学系研究科修士課程修了、2007年博士課程修了(Ph.D)。産業ストレスやポジティブ心理学など、健康生成論の視点から調 査研究。フィールドワークとして行っている働く人々へのインタビュー数は600人に迫る。医療・健康に関する様々な学会に所属し、東京大学や早稲田大学で 教鞭を取る。2月下旬発売・新刊「考える力を鍛える『穴あけ勉強法』・難関資格・東大大学院も一発合格できた!」(草思社)  ≫(yahooニュース:個人―河合薫)

老後破産:長寿という悪夢
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シフト――2035年、米国最高情報機関が予測する驚愕の未来
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