僕にとっての世界は・・ その時、一度終わりを向かえた・・・。
水無月 最終章~翼を失った天使~
あの時、僕は白夜を倒した。
それで、全てが終わると思ってた
でも
僕はその場で泣いていた
僕の後ろで声がした・・・
水無瀬の声だった・・・。
空:水無瀬・・・?
その時は、理解できなかった。
いや、したくなかっただけかもしれない。
水無瀬は黒いコートを羽織り
その体からは真っ赤な血が流れてた・・
──大切な人を守るどころか、傷つけてしまっている自分がいた
水無瀬は、その場に倒れこむ・・・
僕らはそこで 意識を失った・・。
僕と水無瀬は、すぐに近くの病院に搬送された・・。
僕は今、その病室の前に立っている
さっき出てきた医者に言われた言葉・・。
『一命は取り止めました。でも・・・ 生きていても・・・ 完全ではない・・。』
部屋の扉を開ける・・・。
そこには、無数のコードで機械につながれている水無瀬の姿があった。
ベッドに横たわったまま、動こうとしない。
僕は、水無瀬の手を握る・・
彼女の心臓の音がかすかに聞こえた・・
心の中で、何度も 何度も謝った・・。
結局、何も守れなかった・・。
突然、水無瀬がゆっくりとその目を開く・・
空:水無瀬・・・?
彼女は、ゆっくりとした口調でこう言う・・。
光:そらくん・・・ あいたかった・・よ...
空:もう・・・大丈夫なのか・・?
水無瀬は、少しほほえみ・・そして・・。
光:空君・・ 今まで、ありがと・・。
そう言って 彼女は眠りについた・・
覚める事のない、深い 深い眠りへと・・。
僕は、その場に泣き崩れる・・
静かに、でも確実に時間は過ぎて行く・・・
──心の中に、声が響き渡った・・。
どこまでも澄みきった声・・・
「──空君・・ ちゃんと届いてるよ、空君の気持ち・・。
ちゃんと届いてるよ・・、あなたの言葉・・。」
「──だから、もう悲しまないで・・・?」
「──私は・・ いつでもここにいるから・・。」
『──空君の・・・ 心の・・・中に・・・。』
──それが、運命だというなら・・。
──それが、何かを守るためだというなら・・。
何かを失う事になっても
底の無い悲しみを背負う事になっても・・。
それでも、僕らは歩いてく・・。
The End...