13章~水無月~
















13章~水無月~





 


6月24日




 その日、都内には冷たい雨が降っていた

























   誰もいないような廃ビルに 僕は立っていた


























     そこにいかなければならない


 そう思ったからだ












  ──ここに・・・、奴はいる・・。







   これが、運命だと言うなら・・・

 
     白夜を、倒すまでだ・・。










  僕は、その廃ビルの前に立ち、こうつぶやく・・・。









空:『──白夜、いるんだろ・・・?』



    その声は、深く・・・深く響く・・。










白夜:『上がってこいよ』

   あざ笑うかのような声・・


     その声の主は、明らかに白夜だった。









ビルとは言っても、3階か4階までしかないような小さなものだ。



  でも、その中は静まり返っていて


    生者の息吹さえ感じさせない・・。












  建物のなかは、まさに暗黒の世界だった。








  2階に上がった時、背後から確かな殺気を感じた。







 ふいに目の前に、漆黒のコートを羽織った男が現れる・・。
















男:よく来たな、空







空:・・・あんたは・・・?







   男はかすかに微笑み、こう返した





男:名前なんてどうでもいいじゃないか、・・・こうやって会えたのも何かの縁だが・・。








  男の目つきが変わる・・










男:お前を通すわけにはいかないんだ、空。














  男は、空から剣を取り出したかと思うと、僕に斬りかかってきた・・。








     ──心で、感じて・・・









  とっさにその剣を受け止める。



  ──でも・・









男:どうした? そんなものか・・。







   攻撃を防ぐのが精一杯だった・・。

     このままじゃ・・・ 何も守れない・・・



















  そのとき、後ろから声がした。



















輝:空、こいつは俺に任せろ。



空:て、輝? どうして・・・



輝:いいから早く! 世界を・・・守るんだろ・・?












      そう言うと、輝は紅い短剣を取り出す・・






空:輝・・・ お前・・



輝:いいから! 早くいけ!











   僕はその場を走りぬけた・・











  ──輝ならきっと大丈夫・・・ そう信じて階段を駆け上がる・・・










男:ふん、お前では話にならん。


輝:ちっ・・・ 勝てる気がしねぇな・・。







男:お前には、あのチビと比べて圧倒的に足りない物がある・・。







輝:・・・







男:それは、俺も持っていない物だ・・。











  ──わかってるさ・・・そんなの・・。












      『あいつにあって、俺にないもの・・?』








男:強く・・・なりたいか・・?








輝:あぁ、でも・・・












   一閃・・・ 男はその場に倒れこむ・・・ 













輝:俺がほしいのは、闇に頼った力なんかじゃない・・。








  ──何かを、守ろうとする力・・・



    ──信じる・・・力・・



  この二つを得た時


    人は、無限の力を得る・・・。




















The Last Days











  ──最上階に着いたようだ、しかしそこには人の気配はないように思えた・・。










 次の瞬間、目の前に剣を突きつけられる・・。









白夜:選択者よ、よく来てくれた・・・



白夜は剣を降ろし、こう言う。








白夜:いいか、一つだけ言っておく。 わかっているかもしれんが・・・







  『俺は、お前をただ殺す事が目的じゃない。』


    『お前を苦しませる事が目的なんだ』







  『──つまり・・・』





       『ただ、殺すだけなら俺は逃げて貴様のいる地域に核爆弾を投下すれば済む事だが・・・』


  『貴様には、最大限の苦しみを味合わせてやる。』










  そう言って。白夜は部屋に一つだけある明かりを点ける・・・。









    奥のベッドには、水無瀬が横たわっていた・・・








空:な・・ 水無瀬に何を・・・?





白夜:さぁな・・? 貴様が知る価値などない。








  ──水無瀬を人質に・・・ 油断しすぎていた・・。


    僕は、誰も守れてなんかいないじゃないか・・・








白夜:お前は、お前にとっての光を守れなかった。






白夜:だから、これから選べ・・・



 『俺に屈して、闇になるか。それとも・・・ 俺と戦って、光を目指すか・・。』






白夜:当然、闇を選べばその女は助けてやる。

  ──光を・・目指して・・・




     ・・・わかってる...










空:僕は・・・ 闇には屈しない・・・








白夜:・・・そうか、なら仕方ない・・。







  



   白夜は、再び部屋の照明を落とす・・・









空:どういうつもりだ・・・?





白夜:ふん、俺は暗い所のほうが好きでな。 それより、自分の命の心配でもしたほうがいいぞ









  ふいに背後から殺気を感じた。








  全身黒い服を纏った 不思議な人物がそこにいた。








白夜:シャドウ、遊んでやれ。


シャドウ:はい、白夜さま・・、












   シャドウは、橙色の長く、長い刀をこちらに向けた。












空:く... やるしかないのか・・・






   剣を構える・・・








 







  ──実力は、ほとんど変わらない・・・



 




白夜:いいか、空・・ いい事を教えてやる



  ふいに白夜が口を開く・・











白夜:いいか? お前には足りない物がある







空:なぜそんな事を言う・・・?









白夜:それは、俺にとってこの勝負なんてどうでもいいものだからだ。












    『空、お前に足りない物は・・』










  ──信念・・・












空:・・・信念・・?







白夜:そうだ、俺は闇を貫く、どんな時でもな・・・













  そうか、僕に足りない物・・・







   ──どんな時にでも光を目指すという


     信念・・・












   ──光・・ どこまでも澄んだ光を思い浮かべる・・・














 一度体験した事は忘れない・・



     手を空にかざすと、そこにもう一つの剣が現れた・・。














空:シャドウ、これで終わりだ・・・ 








  刃は、シャドウの体を捕らえた





    シャドウは、その場にゆっくりと倒れこむ・・・












白夜:やるじゃないか、空。 俺の負けだよ。












   ──ほんとに・・ これで終わりなのか・・?






  そう思った瞬間、白夜の刃がほほをかすめた・・・













空:白夜・・・


 
 
  


白夜:油断するな 俺はこういう奴だぞ









白夜:いいか、一つ教えてやるよ。








 『さっきの助言は、貴様が俺と戦う前に死んでは面白くないと思ったからだ。』









『そして、お前の力ではまだ俺には勝てない・・・。』














空:やってみないとわからないだろう








白夜:はは、いい答えだ。 しかし後悔させてやる・・・ 闇に 逆らった事を・・・
















  ──白夜は強い、 それだけはわかった・・・













    ──このままじゃ、勝てない・・








白夜:どうした? 守ってるだけじゃ、俺には勝てないぜ・・・?








空:──ッ



    白夜の剣が 再びほほをかすめる・・・









  ──確かに、守ってるだけじゃ勝てないかもしれない・・・









  でも、僕は弱い・・


    仲間がいないと、生きていけなかった・・。







      だから、最後くらいは



  自分ひとりで決着を着けたい・・・。









  ──僕が望むのは・・















    ─全てを、包み込む光・・・─
















  『──選択者よ、私の声が聞こえますか・・・?』


    『これが、私の最後の言葉になるでしょう。』



  『あなたには、力があります、でも、それは普段隠れているもの・・・。』














  『その力は、誰にも負けない・・・』







   『さぁ、使って・・・。 今のあなたならできるはず・・。』









  ──ココロノチカラ・・・







     そう、それが誰にも負けないたった一つの力・・・














  僕は、光を守る。



    何があっても・・・。










空:・・・ここからが本番だ 白夜。











   白夜:──おもしろい・・・










               
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