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[ニュース] ネルソンス、ボストン響音楽監督に

2013-05-16 | クラシック、オペラのニュース



春までには発表とのうわさだったのに、なかなかないので、また来シーズン開けまで先送りになるのかと思ったら、きましたね、ビッグ・ニュース。アンドリス・ネルソンス、ボストン響15代目監督就任!

ボストンはわたしは東海岸一のいいオケだと思っていますので、やっと音楽監督が決まって、そしてあちこちでひっぱりだこの34歳の若い人気者を獲得できて、これからまたどんどん盛り上がっていくのは、とてもよいこと、まずはおめでとうございます!

わたしはボストンは、候補に挙がった中では、ガッティ希望でございましたので、少々残念ではあります。しかしガッティは何をやってもいつもかなりしつこい感じもありますかね、オール・ラウンダーのネルソンスでよかったのかも。(ガッティは実際、一年ほど前に打診されたっきり、BSOのマネージメントは話を先に進めなかったそう。去年もカーネギーのコンサートを含め、あれだけ活躍してくれたのに、ただキープしてたんですかね、変な話です。)
そしてもう一人強力視されていた、こちらも優秀な若手、個人的には将来を期待しているドゥネーヴは、コンサート中のMCでも、「ボストン響が好きなんて、いい趣味してますね」なんてお客さんに媚を売っていて、かなり狙ってるな、でしたけれど、彼はフランスもん・イギリスもんが中心レパートリーなので、BSOとはどうか?、と思っていました。ネルソンスは何でも振るようですけれど、基本はドイツ・ロシアなんじゃないか、BSOのあの響きとより相性がいいんじゃないか、と思われるのもよいこと。

わたしはネルソンスは、てっきりベルリン・フィルを狙っているのかと思ってました。BPOでは小澤さんの代振りをすることが重なって、暫く登場機会が多かったので、ますますそう思っていたところもあります。今回ちょっと探しても今回のボストンの契約期限に関する情報が出ていませんけれど最初は5年間の契約だそうですが、これで少なくとも次回のラウンド、2018年のラトル退任に向けては挑戦しない、と見ていいのでしょうかね。確かに次回を狙うのは、キャリア・パスとしてもちょっと早いですものね。例えば、ボストンで10年がんばってさらに名声を上げて、今よりずっと有力なBPO監督候補を目指すとしても、その時点でもまだ44歳の若手、ですから、まだまだ先は長いです。
また34歳でボストンのような世界的オケ着任、というのは若いようですけれど、ジョージ・ヘンシェルは31歳、ニキシュは33歳で着任したそうですし、132年もの長いBSOの歴史の中では特例でもないのですね。

正式には2014-15シーズンから始まるボストンの任期、タングルウッドの責任もあって、かなりの大役でしょう。しかし終わったばかりのメトの先シーズン(2012-13)にデビューして、随分熱狂的ファンを作った奥さんのクリスティン・オポライスのキャリアを考えても、ボストンとメトは近くて便利でしょうし、シカゴ・ヒューストン・フロリダのハウスもさほど遠くない、またお嬢さんの教育の面でもボストンは好ましいような。わたしはネルソンス&オポライス夫妻は二人とも特に凄い!と感激した経験もないし、ファンを自認するほど思い入れはありませんけれど、少なくともネルソンスはなかなか悪くないぞ、と思っています。ネルソンスには長期的に腰を落ち着けてやってくれることを期待したいので、プライベートでも状況が好ましいのはよいこと、と思います。
わたしはボストンはほんと素晴らしいオケだと思っているので、暫く音楽監督不在で不安定だった分、長期のコミットメントがふさわしいと願っています。指揮者は50、60にならないと一人前じゃない、なんていう言い方もあるのでしたっけ?、そこまでの長期にはならないでしょうし、ネルソンスは去年のタングルウッドのリハーサルでぶち切れて周りをびっくりさせたらしいですが、せっかくヨーロッパを離れて、大きくとも孤島のようなアメリカに来てくれる決意をしたのですから、今後はオケと良好な関係を長期的に維持して、さらに活躍・成長していただきたいです。


オポライス & ネルソンス夫妻、と毛ものの家族のアントンスくん (そういえばオポライスは見かけも歌唱もヨーキーっぽいかも、ふふ)


もうひとつよかったと思うのは、メトの次期監督がらみ。
レヴァインは今週末のカーネギーのコンサートで、とうとう予定通り正式復帰できるまでに回復したようですね。レヴァインは歴史に残る巨匠なのかもしれないですけれど、何年も病欠を重ねたし、どちらにしても永遠に不死身ではないですから、どうしても次期の話は出てきます(実際ボストンの音楽監督が実質的および正式にも不在状態、が長期化してしまったのも、元はと言えばレヴァインが・・・、なのです。)
メトの候補者として今まで噂された中で、わたしはどうしてもネルソンスがいいとは思ってませんが、絶対にこの人だけはなって欲しくないと思う指揮者はいます。それは、あまりに人気が先行してる割には、実際に出てくるつくりが今のところはかなり未熟で恐ろしや、のヤニック・ネゼ・セガン。彼が今シーズン(2012-13)から監督をしているフィラ管はすぐ近郊で、地理的にはメトとの兼任も楽、目の上のたんこぶ的な強力駒でやだな、と思っていました。
オペラ黄金時代の遺跡のような巨大なメトの4千近くの席を、スター人気やメディア・ハイプを使ってでも、なんとか埋めることが一番の責務であるゲルブは、なぜだか人気が上がっているネゼ・セガンあたりも考えてるんじゃないかと思いますが、同じく近郊のボストンにさらに世界的な人気者、そしてワーグナーもちゃんと振れるネルソンス(しかも人気美人ソプラノの奥さんつき)が来てくれるのは、ネゼ・セガンの可能性が霞むか、かなりの牽制になるんだわ、という意味で、ほんと良かった。


しかしネルソンスには2つ、お願いがあります。まず、少々健康に気をつけてほしい。若いうちは平気なのでしょうけれど、肥満は万病のもと、とも言いますし、腰にも悪いし、もう少し体重を落として欲しいです。
2つめのお願いは、自身で(一回のコンサートをしただけの)「始まったばっかりの短い関係なのに、監督はありえない」と否定していても、かなり噂というか、「次期監督に」の声がボストンでは高まっていたユロフスキのこと。ネルソンスとタイプは全く違いますけれど、もしや現代もの以外はレパートリーが重なったりするのかの危惧もありますが、ユロフスキの振るボストン響もとても良かったので、ぜひともちょくちょく聴かせて欲しい、末長く招聘を続けていただきたい、です。



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