アジアと小松

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小松基地問題研究会

20231123 石川近代文学館訪問報告

2023年11月23日 | 島田清次郎と石川の作家
20231123 石川近代文学館訪問報告

 11月22日、4年ぶりに石川近代文学館を訪問した。島清の未発表原稿「帰朝して」、「羅典区(注:カルチェラタン)の少女」と『憂汐』(1915年発行)に掲載されている「復讐」を閲覧し、1922年に島清と豊が共に暮らした穴水橋際の居宅の写真撮影もおこなった。

 豊が穴水橋の欄干に腰掛けて、その背景がふたりが暮らした居宅である。撮影は戦後である。ネット上(ブログ「アジアと小松」)への投稿は許可されていないので、紙媒体への掲載となる(穴水町の居宅の写真はもう一枚あったが、行方不明と伝えられた)。

 さて「復讐」であるが、『金沢商業70年史』にその存在が書かれており、金沢商業高校にも県内の図書館にもなく、石川近代文学館に問い合わせると、蔵書しているとの回答があり、閲覧することが出来た。この作品は1915(大正4)年、島清16歳のときの作品で、1914年に発表された処女作「若芽」に次ぐ作品である。
 しかし、『憂汐』末尾の広告欄を見ると、下記のように『弱者』の宣伝があり、16歳の島清の執筆熱は旺盛だった。この作品も、まだ見ることができていない。
 
 処女作 小説 『弱者』島田清二郎著 6月上旬発売
 わが無名の士島田清二郎氏の芸術を弘く紹介するためこの著を発行す。
 石川全装釘 定価35銭 四六判150頁
 お望みのお方は左の同氏私宅にお申込下さい。
 金沢市上小柳町1(注:野町二丁目) 西野方
 発行所 金沢市松ヶ枝町(注:高岡町) 潮社

 また、『憂汐』の扉には、室生犀星の詩「うみぎし」が掲載されている。
 金石海岸にて十月 うみぎし
 くらげは流れ
 なみだは流れ
 うみぎしなやみ
 あはれずなやみ
 うみぎし波に食まるる  室生犀星

 室生犀星は1889(M22)年生まれなので、島清と10歳違いで、会いたい人に会えずに、金石海岸にたたずんでいる26歳の自画像である。

 「復讐」それ自身は、わずか4頁しかなかったので、手書きで写すことにした。
 「奇績であった。そして傑作であった。私は女に不意を喰はしたと云ふ喜悦の情にこみ上げて来る内心の叫喚をぢいつと制(おさ)へつつ、夜の大通りを歩いた。」からはじまり、
 「と、ひょっとした不思議な幻像が私に浮んだ。『女が泣き叫んで追っかけて来る!』私は大通りを一さんにかけ出した。」で終わっている。

 16歳の少年島清が何を考えていたのか、暇々に活字化して、皆さんに読んでもらいたい。
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