すみません、このエントリは、つまらない私の思い出から始まります。
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私には小さい頃、父親と話し合ったり遊んだりした記憶があまりない。
(全くないわけではないし、それを恨んだり悲しんだりはしていないが。)
当時それほど珍しい話ではないと思うが、父は仕事人間で、毎日朝早くから日が変わるまで家におらず、休日も同様だった。
休日、家にいないのには訳があった。
父はある自動車メーカーの営業職だったのだが、その仕事として休日営業に執念を燃やしていたのだ。
昔、自動車ディーラーは平日営業で休日が休みだった。
だが、お客さんは平日は仕事で時間がとれない。
そこで、ディーラーの営業は、お客さんの時間が空いている時に自宅を訪れて、説明するという手法をとっていた。
きめ細かい説明、サービスという点ではよかったが、この方法では効率が悪かったし、何よりもビジネスの裾野が広がらなかった。
高級品市場ではよくあることかもしれないが、営業は人脈がものを言う。
お客さんからお客さんの紹介という形が重要な販路なのである。
だが、その販売モデルでは、営業職の属人的な能力に大きく左右されてしまう。
優秀な営業マンは一朝一夕に生まれるものではなく、人材育成には長い時間が必要だった。
競合メーカーとの熾烈な競争に打ち勝つためには、質の高いサービスと迅速な拡販の相反する問題を両立する必要があったが、この高コスト構造が頭を悩ませていた。
誰もが大きな問題だとわかっていたが、かといって誰もその問題に立ち向かおうとはしなかった。
なぜなら、誰もが「当たり前の問題」だと思っていたからだ。
誰も「解決すべき問題」だとは思わなかった。
父は、この点について目を付けた。
お客さんの忙しい平日にはカタログや名刺を配って、一言だけ伝えておく。
「お仕事がお休みの日に、ご家族を連れてお店に遊びに来てください。」
忙しい平日には、お客さんとのパスだけを作っておいて、休日に、しかも家族サービスの一環として、ゆっくりと車のお話をしませんか?ということだ。
販売営業の場を販売店に集中することによって効率よく接客ができるばかりか、お客さんはいろんな車種を直接触れて確認できるし試乗もできるため顧客満足度の高い接客も可能になり、遊びに行くつもりで販売店に訪れることが可能になれば、人脈によってではなく誰でも気軽に車のことを考える機会を提供することができる。
そう、販売モデルに「休日営業」というイノベーションを起こしたのだった。
ただし、営業員とその家族の休日を犠牲にすることによって。
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以上の話は、父や関係者から聞いた話だから、本当かどうかの裏はとっていない。
休日営業のアイディアを誰が考えたのか、誰がはじめたのか、先駆者は他にいたけれど、本格的に手を付けたのが父だったのかもしれない。
そして、当初は誰の理解も得られず苦労したそうだ。
役員から「お前のやり方は間違っている。」と何度も否定され、止めるように言われたが、やり切ったと豪語していた。
たぶん、父は話を盛っているとは思う。
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そんな「休日営業」のおかげで、小さい頃の父との思い出の少ない私が、よく覚えている父の言葉がいくつかある。
その一つが次の言葉だ。
知っている人は知ってると思うが、某企業の社是のような言葉だ。
父が直接的に私に言ったのではなく、酒の席で父が親戚に仕事の仕方について説明した時に出てきた言葉だった。
仕事でうまくいくと、怖くなるんですね。
日頃から「カイゼン」というのが頭にありまして、
何も問題がないと、何か大切な事を見落としているんじゃないかと不安な気持ちになるんです。
「なぜ」を5回言えというのが植え付けられているので
うまくいったら、なぜうまくいったのか、うまくいかなかったら、なぜうまくいかなかったのか、
「なぜ」「なぜ」「なぜ」・・と、つい改善できるところを探してしまうのです。
だから問題が起きても、問題が起きなくても、問題を追及してしまうことになってしまって心が休まらないのですね(笑)
当時の私には、当たり前だが組織論などに興味がなかったので何も思わなかったのだが、ただ覚えていたのは、数少ない父の仕事観を聞いた機会だったからだろう。
今思い出すと、非常に有意義な話だったと思う。
「5回のなぜ」は、問題の本質をシステム的に捉えるのに非常に役立つ方法論だ。
「5回のなぜ」の生みの親、大野耐一氏の言葉を引用しよう。
何か問題に直面した時、立ち止まって「なぜ」を5回繰り返してみたことはあるだろうか。
これは言うは易く行うは難しだ。たとえば機械がおかしくなったとしよう。
1. なぜ、この機械は止まったのか?
2. なぜ、過負荷が起きたのか?
3. なぜ、潤滑が十分ではないのか?
4. なぜ、ポンプが十分に働かないのか?
5. なぜ、軸が摩耗したのか?
(真因は、ヒューズ溶断という技術的障害ではなく、濾過機の付け忘れという人的ミスだということ。)
このように「なぜ」を5回繰り返すと真因を見つけて正すことができる。
追求が中途半端だとヒューズやポンプ軸の交換で終わってしまう。
その場合、数か月で問題が再発する。
トヨタ生産方式も、実は、この科学的アプローチの実践と展開によって作られたものだ。
5回の「なぜ」を自問自答すれば、表面的な症状の裏に隠れた真因を掴むことができる。
父も「休日営業」に辿り着くために「なぜ」を5回繰り返したに違いない。
「なぜもっと幅広いお客さんに車を見てもらうことができないのだろうか?」とかね。
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さて、ここまでが長いまえおきだ。
ようやく本題だ。
そして、本題は超短い。
ではみなさん。
「恋愛禁止条例」について、5回の「なぜ」を言ってみたら、どうなるだろう?
無視するのも騒ぐのも無責任。運営はこの問題に真剣に向き合う気があるなら、大島優子に舞台を!
http://blog.goo.ne.jp/advanced_future/e/9934db1c07c0ccb131f28e7f0332d3ba
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私には小さい頃、父親と話し合ったり遊んだりした記憶があまりない。
(全くないわけではないし、それを恨んだり悲しんだりはしていないが。)
当時それほど珍しい話ではないと思うが、父は仕事人間で、毎日朝早くから日が変わるまで家におらず、休日も同様だった。
休日、家にいないのには訳があった。
父はある自動車メーカーの営業職だったのだが、その仕事として休日営業に執念を燃やしていたのだ。
昔、自動車ディーラーは平日営業で休日が休みだった。
だが、お客さんは平日は仕事で時間がとれない。
そこで、ディーラーの営業は、お客さんの時間が空いている時に自宅を訪れて、説明するという手法をとっていた。
きめ細かい説明、サービスという点ではよかったが、この方法では効率が悪かったし、何よりもビジネスの裾野が広がらなかった。
高級品市場ではよくあることかもしれないが、営業は人脈がものを言う。
お客さんからお客さんの紹介という形が重要な販路なのである。
だが、その販売モデルでは、営業職の属人的な能力に大きく左右されてしまう。
優秀な営業マンは一朝一夕に生まれるものではなく、人材育成には長い時間が必要だった。
競合メーカーとの熾烈な競争に打ち勝つためには、質の高いサービスと迅速な拡販の相反する問題を両立する必要があったが、この高コスト構造が頭を悩ませていた。
誰もが大きな問題だとわかっていたが、かといって誰もその問題に立ち向かおうとはしなかった。
なぜなら、誰もが「当たり前の問題」だと思っていたからだ。
誰も「解決すべき問題」だとは思わなかった。
父は、この点について目を付けた。
お客さんの忙しい平日にはカタログや名刺を配って、一言だけ伝えておく。
「お仕事がお休みの日に、ご家族を連れてお店に遊びに来てください。」
忙しい平日には、お客さんとのパスだけを作っておいて、休日に、しかも家族サービスの一環として、ゆっくりと車のお話をしませんか?ということだ。
販売営業の場を販売店に集中することによって効率よく接客ができるばかりか、お客さんはいろんな車種を直接触れて確認できるし試乗もできるため顧客満足度の高い接客も可能になり、遊びに行くつもりで販売店に訪れることが可能になれば、人脈によってではなく誰でも気軽に車のことを考える機会を提供することができる。
そう、販売モデルに「休日営業」というイノベーションを起こしたのだった。
ただし、営業員とその家族の休日を犠牲にすることによって。
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以上の話は、父や関係者から聞いた話だから、本当かどうかの裏はとっていない。
休日営業のアイディアを誰が考えたのか、誰がはじめたのか、先駆者は他にいたけれど、本格的に手を付けたのが父だったのかもしれない。
そして、当初は誰の理解も得られず苦労したそうだ。
役員から「お前のやり方は間違っている。」と何度も否定され、止めるように言われたが、やり切ったと豪語していた。
たぶん、父は話を盛っているとは思う。
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そんな「休日営業」のおかげで、小さい頃の父との思い出の少ない私が、よく覚えている父の言葉がいくつかある。
その一つが次の言葉だ。
5回の「なぜ」を言え。
知っている人は知ってると思うが、某企業の社是のような言葉だ。
父が直接的に私に言ったのではなく、酒の席で父が親戚に仕事の仕方について説明した時に出てきた言葉だった。
仕事でうまくいくと、怖くなるんですね。
日頃から「カイゼン」というのが頭にありまして、
何も問題がないと、何か大切な事を見落としているんじゃないかと不安な気持ちになるんです。
「なぜ」を5回言えというのが植え付けられているので
うまくいったら、なぜうまくいったのか、うまくいかなかったら、なぜうまくいかなかったのか、
「なぜ」「なぜ」「なぜ」・・と、つい改善できるところを探してしまうのです。
だから問題が起きても、問題が起きなくても、問題を追及してしまうことになってしまって心が休まらないのですね(笑)
当時の私には、当たり前だが組織論などに興味がなかったので何も思わなかったのだが、ただ覚えていたのは、数少ない父の仕事観を聞いた機会だったからだろう。
今思い出すと、非常に有意義な話だったと思う。
「5回のなぜ」は、問題の本質をシステム的に捉えるのに非常に役立つ方法論だ。
「5回のなぜ」の生みの親、大野耐一氏の言葉を引用しよう。
何か問題に直面した時、立ち止まって「なぜ」を5回繰り返してみたことはあるだろうか。
これは言うは易く行うは難しだ。たとえば機械がおかしくなったとしよう。
1. なぜ、この機械は止まったのか?
過負荷になってヒューズが飛んだからだ。
2. なぜ、過負荷が起きたのか?
軸受け部の潤滑が十分ではなかったからだ。
3. なぜ、潤滑が十分ではないのか?
潤滑ポンプが十分に働いていないからだ。
4. なぜ、ポンプが十分に働かないのか?
ポンプの軸が摩耗してガタガタになったからだ。
5. なぜ、軸が摩耗したのか?
濾過機がないので切粉がはいったからだ。
(真因は、ヒューズ溶断という技術的障害ではなく、濾過機の付け忘れという人的ミスだということ。)
このように「なぜ」を5回繰り返すと真因を見つけて正すことができる。
追求が中途半端だとヒューズやポンプ軸の交換で終わってしまう。
その場合、数か月で問題が再発する。
トヨタ生産方式も、実は、この科学的アプローチの実践と展開によって作られたものだ。
5回の「なぜ」を自問自答すれば、表面的な症状の裏に隠れた真因を掴むことができる。
父も「休日営業」に辿り着くために「なぜ」を5回繰り返したに違いない。
「なぜもっと幅広いお客さんに車を見てもらうことができないのだろうか?」とかね。
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さて、ここまでが長いまえおきだ。
ようやく本題だ。
そして、本題は超短い。
ではみなさん。
「恋愛禁止条例」について、5回の「なぜ」を言ってみたら、どうなるだろう?
無視するのも騒ぐのも無責任。運営はこの問題に真剣に向き合う気があるなら、大島優子に舞台を!
http://blog.goo.ne.jp/advanced_future/e/9934db1c07c0ccb131f28e7f0332d3ba
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