阿部ブログ

日々思うこと

リンの枯渇と先人の知恵:干鰯

2010年11月07日 | 日記
日本の総輸入量における肥料の占める割合は、石油や食糧を合わせた量に匹敵し約50%を(約382,000ト ン)占める。
また世界での肥料の消費量の約10%を日本が単独で費消している計算で、特にリン鉱石は全量輸入に頼っているが、最大の輸入先であるアメリカ は戦略物質としてリンとカリウムを指定し、これら資源の輸出禁止に踏み切っている。この動きに中国も追随しており、肥料を巡る環境は価格高騰もあいまって 厳しさを増している。

現在の農業生産に必須のこれら肥料原料の状況を打開するべく、国土交通省は下水汚泥からのリン回収の検討を昨年開始した。下水を処理 した余剰汚泥にはリンが多量に含まれており、これを効率的に回収して再利用する考え。
また同様に製鉄所からでる製鋼スラグにもリンが含まれており、これは 東北大学により「強磁場を利用した製鋼スラグからのリンの分離回収」技術として確立している。
都市鉱山ではないが、既にレアメタルも含め多種多様な資源が日本国内には流入しており、これを経済的に回収・利活用する技術の開発は更に加速せるべきである。(事業仕分けなどしている場合か)

また70年程度で枯渇するといわれているリン鉱石に関しては、先人の知恵に着目すると以外にも、漁業も含めた有効な打開策が見付かるのかもしれない。
日本では昔から魚の骨が肥料として利用されていた。特に江戸時代中期以降、土壌のリンを大量に消費する菜種と綿花という商品作物が広範に栽培されるようになると、従来の人糞や堆肥では足りなくなった。
そこで投入されたのが干鰯である。

我が国は肥料不足を補うために鰯の養殖を行っていた歴史があり、我々は謙虚に先人の知恵に学ぶべきではないか?
北海道で米が取れないにも関わらず松前藩は肥料用の鰯を内地に売り経済的に繁栄していた。今日魚や畜産からの骨などは生ゴミとして捨てられているが、これを活用しない手はない。

海外からの輸入は最小限にして農業や基幹産業群を維持できる自給循環型の経済体制を早期に構築するべき。

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