阿部ブログ

日々思うこと

福島第一原発4号炉の水素爆発のナゾ

2011年06月18日 | 日記
福島第一原発事故で、少々腑に落ちない事がある。4号炉の水素爆発だ。

既に報道されているように、四号炉は炉心シュラウドの交換と言う大規模な定期点検中だった。
つまり炉心には燃料など一切入っておらず“空”だった。

余談だが、原子炉の圧力容器を見た事はあるだろうか?
圧力容器は、日本製鋼所の室蘭工場で製造されており、そこで組み立て前の一部を見た事がある。
鋼製で、日本刀と同じく鍛造されるが、厚さは15cmから20cmはないくらいで「結構薄いな」と感じた。

炉心シュラウドは、この内部に設置される、沸騰水型原子炉(BWR)特有の炉心支持構造物の一つ。
この炉心シュラウドは、ジルコニウムに被覆された燃料集合体や制御棒を内部に収容し、
直径4~5m、高さ7~8m、厚さ3~5cmのステンレス鋼製。
尤も、このような部位にステンレスを使用するとは無謀極まりないと思うが~

さて燃料の入っていない4号炉より、当然、東電の対応は1号炉から3号炉の対応が優先されることになる。
しかし、その4号炉が3月15日午前六時頃に水素爆発し原子炉建屋上部が損傷し、外壁の一部が吹き飛ぶと言う惨事となった。
推定原因は、使用済み核燃料プールが地震で損傷して、水が漏れる事により水位が低下、激しい崩壊熱を持つ使用済み燃料による蒸発と冷却する水の漏洩が重なり、水素爆発に至ったとされているが、それが違うようだと米原子力規制委員会(NRC)は、6月15日に発表している。

NRCは、4号炉の水素爆発事故を分析し、燃料プールのビデオ分析から「水がなくなっていた可能性は少ない」としている。
グローバルホークか、KH-12など軍事偵察衛星が撮影したのか、判らないが、水はあったと言っている。
4号炉の爆発事故の翌日、3月16日、NRCのヤツコ委員長が「水はなくなっている」と発言し、貯蔵中の使用済み核燃料燃料が溶融して大量の放射性物質が放出された恐れがあるため、米国民に避難勧告を出す重要な根拠であった。

4号炉の使用済み核燃料プールに納められていた燃料保管体は長さ4メートルあり、合計1331体が保管されていた。
この1331体うち4割は、今回の定期点検で取り出されたピカピカの燃料体なので「崩壊熱」が殊更高い状態。
米連邦政府が自国民への退避勧告を出すのは当然の措置。

ちなみに4号炉の使用済み核燃料プールの水を全部蒸発させるには10日はかかると言われているが、水素爆発したのは地震発生から4日しか経っていないし、NRCは水はあったと言っているし、どうしても原因が解らない。

この4号炉は日立製作所製であるが、日立製作所の施工不良にあるのでは?と指摘する向きもある。
こう指摘されるのも、前科があるからだ。
六ヶ所村の再処理工場の使用済み燃料貯蔵プールの水漏れ事故。1箇所や2箇所ではなく、300箇所以上で漏れが確認されたと言う、完全な手抜き工事。当然監督責任は日立製作所にある。

良く言われる事だが「設計と施工は違う」と言う事。
日立製作所側が完璧に設計しても、その通り施工されるとは限らないのは世の常識。

日立は結構、原子力関係ではトラぶっている。
タービン関係の事故では、浜岡原発、滋賀原発。中国電力では制御棒のシステムでトラブルと、まあ大変だ。

まあ、何れにせよ4号炉の水素爆発の原因がキチンと解明され公表される事を望む。

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