阿部ブログ

日々思うこと

準天頂衛星のセンチメートルオーダー位置測位は無理らしい〜戦犯は三菱電機

2017年06月02日 | 雑感

準天頂衛星(Quasi-Zenith Satellite System)2号機が6月1日、打ち上げられメディアではセンチメートルオーダーでの位置測位が実現すると報じているが、センチメートルオーダーの位置測位の目途は全く立っていないのが現状。「選択」など一部メディアでは準天頂衛星の地上局システムを担当するNECを槍玉に挙げているが、これは間違いだ。駄目なのは三菱電機。NECの宇宙事業も評判が芳しくないが、三菱電機もそれ以上にダメダメで、三菱自動車なみで最低。これじゃ準天頂衛星も浮かばれない・・・

準天頂衛星は、2号機に次いで3号機と4号機が年内に打ち上げられ、2018年からのサービス提供開始を目指している。まあ4基体制にはなるのだろうが、地上システムが思わしくない。地上システムは、特定目的会社、所謂SPCの準天頂衛星システムサービスが15年という運用期間、センチメートルオーダーに位置測位を可能とするシステムの運用を行う。前述の「選択」は、NECをけちょんけちょんに貶しているが、三菱電機関係者に取材しているのだから、そうなるわなー。杜撰な取材〜

さて、センチメートルオーダーの超精密な位置補正技術を担当するのは、三菱電気で開発は、完全に袋小路に入っている。三菱電機は、ドイツのGeo++と言う企業の補正技術を導入して対応しようとしているが、これが完全な目論見はずれ。きちんと技術評価したのかな?? 
Geo++は10人いない程の小世帯で、せいぜい5人から6人程度だろう。何れにせよ戦犯は三菱電気である。

三菱自動車なみの三菱電機を責めても、今更仕方ないが、センチメートルオーダーの精密位置測位は是非とも実現して欲しい。
三菱電気の技術が駄目なら、日立の「MADOKA」があるか。MADOCAは、精密な位置測位を行うために電子基準点を必要としないで単独での測位が可能な技術で、IGS(国際GNSSデータサービス)とJAXAのMGM-Net(Multi GNSS Monitoring Network)を用いてグローバルな位置測位補正情報を求める。しかし、難点はセンチメートルオーダーの測位精度を出すには、結構な時間を要する点。正直ビジネスで使うには現行厳しい。現在、日立は、電子基準点を使用して精密な測位補正を行うPPP-AR方式を開発中である。また、別の補正技術もある。それは準天頂衛星の搬送波を使う技術で、周波数が1.5Mhzなので理論上、搬送波の波長30cm程度で、1/100以下の精度までは出せる。現実はそういかないが、1.5m程度の精度は出せるだろう。

準天頂衛星は多事多難だが、JAXAの人材も払底している。1号機「みちびき」の打ち上げからはや6年。運用は10年、設計寿命は12年だが、1号機の後継機を検討せねばならないが人材がいない。この6年で準天頂衛星プロジェクトに係わった技術者らは定年退職や転職して、1号機の設計開発に携わった技術者らは3人ほどが在籍しているだけ。有為の人材は、内閣府の宇宙開発推進戦略事務局に出向しており、人材不足が深刻。そして、JAXAを所管する文部科学省は、準天頂衛星には完全に後ろ向きで、JAXAに圧力をかけ続けている。

繰り返すが、準天頂衛星は多事多難だが、最終的には防衛省が担任することで決着するのではないか?

※過去ブログ:「航空幕僚監部(空幕)の宇宙監視班
       「日本の情報収集衛星が中国上空で機能停止と中国の宇宙戦能力

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