阿部ブログ

日々思うこと

アジアで拡大する性比不均衡

2012年06月28日 | 日記

日本では出生率が話題にのぼる事が多いが、世界的には出生性比に注目が集まっている。性比のアンバランスは中国などアジア地域の不安定要素の一つとなるだろう。

出生性比の世界平均は、女子100に対して、男子105であるが、中国、インドなどではこの性比が著しく均衡を欠いている状況にある。中国の出生性比は121、インドは112となっており、女子を望まず男子を欲しがる傾向が顕著である。
この性比不均衡の原因は、医療技術の進歩により妊娠早期に性別を判別する事が可能となっている事がある。特に農村など将来の労働力を得たい場合女子とわかると堕胎する事が多い。中国では年間1300万件の中絶が行われているとされるが、産児を制限する手段としての妊娠中絶への過度な依存は犯罪の温床となっている可能性が非常に高い。

この性比不均衡は、中国やインドにとどまらない。韓国、ベトナム、台湾、シンガポール、パキスタン、アゼルバイジャン、アルメニア、グルジアなどで性比不均衡が拡大している。もしアジアにおいて自然な性比である105を維持していれば、1億6300万人の女性が生まれていた筈とフランスの人口開発研究所では推計している。

容易に想像できるのは、一生結婚出来ない大量の余剰男子が生まれると言う事であり、人身売買や強制結婚、花嫁売買など女性に対する人権侵害事案が増える事は間違いない。既に韓国や台湾ではベトナムへの「花嫁ツアー」で結婚相手を探すと言うビジネスが成立している。

中国政府は「中華人民共和国人口計画出産法」や「中華人民共和国母体乳児保護法」などの法律を整備し、男女比率の不均衡の解消と女児の人権保護に注力しているが、中国での性比不均衡是正策が成功裡に推移しても、世界平均の105に戻るのは2050年代以降となるされる。中国のみならず、アジアにおける性比不均衡がもたらす余剰男子の存在は、様々な犯罪を誘発し社会の安定化に対する脅威となるだろう。

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