医療マーケティングの片隅から

医療ライター・医療系定性調査インタビューアーとして活動しています。独立30年を機に改題しました。

音楽療法

2008年04月29日 | レビュー

最近、音楽療法についての原稿仕事があって、取材相手の著書を編集者Hさんが送ってくれた。

高橋多喜子・著「補完・代替医療 音楽療法」(金芳堂)

現在大学で教鞭をとっておられる著者が、教科書として書いた本だそうだが、80ページ足らずの薄い本で(このポイントは高い)、一気に読んだ。

個人的にもクラリネットアンサンブルのグループに属して18年目、沖縄三線を習いはじめて4年(ただしどちらもぼちぼちやっているため、年数から受けるイメージほど上達はしていません)と、ずっと音楽のある生活をしていたので、そもそも興味のある分野でもあったし、三線教室の姉弟子であり、一説にKY仲間といわれているHちゃんが、この春から音楽療法士として障害児の施設で活動をはじめた経緯もあり、音楽療法にはちょっと親しみがあった(と言うわりには何をするのか知らなかったのだが)。

著者は医学博士であるが、国立音大卒である。長く精神科病院や介護施設で活動してきた方なので、この本もコンパクトながら、具体例がとても多いし、がっちり気持ちの入った本である。

とにかく、教科書というには面白すぎるのである。
というか、いちいち自分のことに置き換えて読んでしまう。

音楽療法は、認知症の高齢者のケアで用いられることが最も多い。

重度の認知症の人であっても、昔好きだった歌、よく歌った歌、思い出のある歌は旋律が流れるや否や歌詞が自然に出てきて、その歌を最後まで歌えることが多い。
そして瞬時にその当時の記憶や感情が甦ってくるのである。
音楽は身近にあって、簡便にQOLを向上させることのできる道具であることを実感する。(「はじめに」より)

もしもわたしが将来認知症になったら(今でも相当あぶないが)、「でんさー節」だけは歌えるかもしれない。
そのとき瞬時にいや~な記憶や感情が甦ってこないように、今年の沖縄民謡コンクールはどうにか合格したいものである。(昨年は涙をのんで不合格、今年6月末にリベンジ予定です)

音楽療法を行なうのに適した時間は、

いつから始めても構わないが、あまり早朝だと発声が困難なこともある。
したがって午後一番から始めて、セッション後に「おやつ」というのが妥当であろう。

これはまるで所属の三線教室の実況中継?ではないか。

最近は、演奏中の生理的な変化をとらえたエビデンスが出てきている由。

NK細胞が増加したセッションでは、だんだん曲のテンポが速くなっていたことが記述されている。では、対象者のNK細胞の増加をめざして、自分のセッションでも曲をaccelerando(だんだん速く)していこうかと考えること、これがEBMである。

そういえばわたしは三線でもクラリネットでもやたらだんだんテンポが上がっていってしまうくせがあるらしいのだが(自覚なし)、本能的にNK細胞を高めていたのだろう。(嘘)

精神科病棟での音楽療法についても書かれている。

選曲はメンバー全員で自主的に行なうようにしてもらっているが、なかなか曲が決まらないことが多く、もめにもめることもある。

先日、10月に開く予定のクラリネットアンサンブルコンサートの企画打合せをしたのだが、2時間弱のコンサートの選曲に3時間くらいかかった!
9月に横浜の関内ホールで開催する三線道場の発表会の演目決めもそろそろ準備しなくてはならないのだが、これまたなかなか決まりそうにない予感・・。

まあ、精神病棟であろうがなかろうが、こういうものは「全員で自主的に」やりはじめたらまちがいなく決まらないです、ハイ。

ところで音楽療法は、歌だけでなく、ベルや打楽器を使ったりするのだが、

和太鼓は人気の楽器で、歌は歌わないが、和太鼓なら叩くという男性もいる。

おお。これはワタシのことだ!
このGWは半年ぶりに那覇にいき、同門の三線教室の発表会で太鼓伴奏を手伝わせてもらうことになっている
なぜかわからないが太鼓をたたけるのはウキウキで、こんな楽しいことはそうそうあるものではなく、ちょっとやそっとの更年期障害なら吹っ飛ぶに違いない!(予想です。)とさえ思える。ホント、楽しいですよ。

 

ともあれ、音楽が人のQOLを高めるというのであれば、私はまちがいなくその恩恵を受けているなあ、としみじみ思う読書だった。取材ももちろん、楽しかった。

写真は、大阪・梅田の沖縄民謡酒場「島唄ライブ琉球」の天才少女(6歳)。
伊是名島出身のオーナーのお孫さんだが、小さい手で早弾きしちゃうのだ。

 

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原因は「Dr.コトー」だった。

2008年04月07日 | 医療・健康

3月初旬の異常なアクセス急増の理由がやっとわかりました。

それは

Dr.コトー 

のおかげでした。

2004年11月、ブログを始めたばかりの頃、Dr.コトーのモデルになった鹿児島県下甑島の瀬戸上先生にお会いした印象を書いたが(→「Dr.コトーの真実 その1」「その2」)、それから4年。67歳になられる瀬戸上先生が、3月上旬、退官を返上して島で医師の仕事を続けることになったという報道があった。

そのニュースを知らずにいたのだが、それをネタにした多くのブログが、このブログをリンクというか紹介してくれていた。そのことに、さっき気づいたのですね。

ところで、記事をよむと、瀬戸上先生の退職返上には、後継者問題があったようだ。
新臨床研修制度が導入されてからというもの、大学医局から地方への医師派遣が大幅に減り、いたるところで医療崩壊が起こっている。

取材当時は、コトーのヒットもあって「島で診療をしたい」と志願する医師が増え、「離島医療の未来は明るい」とおっしゃっていた先生だが、医療環境はこの2~3年で激変した。
いかんせん、小さい離島である。医療崩壊の余波をもろにかぶったのではないだろうか。研修医は来ても、帰っちゃうんだよね。

幸いなのは、瀬戸上先生がまだまだお元気なこと。
今回のニュースで見るお姿も4年前と全然お変わりなく、ますますお元気そうだ。
往診もあるし、車で山道を40分ほど走るへき地部にある出張診療所での診察もあるし、きつい仕事ではあるが、ご自身のお身体に気をつけて、頑張っていただきたいと祈るばかり。
さすがに今はドラマに出てくるような手術は診療所では行っていないはずだが(4年前すでに、「60歳過ぎてから体力的に手術はやめた」とおっしゃっていた)、まだまだ引退など考えるような“お年寄り”ではないだろう。

そもそも、今の60代を「高齢者」扱いしたらムッとされる。

奇しくもわたしのクラリネット師匠が瀬戸上先生と同じ67歳だが、口では自分を「じーちゃん」とか言っているくせに、年寄りだなんて自覚はゼロである(たぶん)。20年以上若い我々と飲んでいて、いまだに終電ダッシュとかしている。今年の正月は数十年ぶりにスキーに目覚めてしまったらしい。
関係ないが、沖縄にいって60代くらいの知らない女性に「おばあ」なんていおうものならかなり気まずい空気が流れるであろう。まだまだ「ねーねー」と呼ばなくてはなりませぬ。

ともあれ、謎が解明して、ちょっとスッキリ。

 

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打ち合わせの必需品

2008年04月03日 | 旅★日記

最近、麻布十番の仕事場にお客様がみえた時に、ショコラをお出しするようになった。

要は自分が食べたいだけなのだけど、甘いものをひとつふたつつまんでもらうと、なんとなく空気が和むんですよ。
かといって、ケーキじゃ重たすぎるし。

 というわけで、時間があくと、デパ地下にとびこんであれこれショコラを物色するのが楽しみに。
このデーメルのショコラはあまりにも箱がかわいくてジャケ買いしました。
さすがはウィーンの老舗、洗練されてます。

さて、ショコラの副作用は、当然ながら太ること。そこで、あわててジム通いを復活しつつある。琉髪(カンプーといいます)を結ったのに、大銀杏に見えたら悲しいから。

 

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