(クリスマスイヴ/江ノ島ヨットハーバー)
冬至も過ぎた。
『一年経つのが早い~』と、特にそれなりの歳のおネエさん達は、まるで呪文のように誰に言うともなく呟いている。
何かの雑誌で読んだ事がある、時間の感覚について。一年と言う時間は、5歳の子供にとっては自分が経験した時間の1/5だし、50歳の人にとっては自分の人生経験の1/50の時間だ。
だから例えば、子供にとって来年の誕生日まで待てと言われるのは、自分の経験の全ての1/5も待たなくてはいけないとなると、とんでもなく長く感じるだろうし、逆に50歳の大人にとっては、一年と言うのは自分が過ごした1/50の時間だ。更に60歳では1/60だ。加齢に反比例して徐々に一年と言う時間感覚は短くなっていくと。
12月になり意味不明の呪文を幾度となく聞きながら、スエーデンから流れたニュースの言葉一つ一つがココロに沁み入ってきた。
ノーベル賞を受賞した山中伸弥さん、心境を聞かれ迷わず色紙に書いたと言う「初心」の一言。『研究者を目指した最初の日に戻って又やりたい』と爽やかだ。そして『科学者としての新しい始まり』と自らに言い聞かすかの様だ。IPS細胞を医療応用に生かし、患者を救いたい。だから『ノーベル賞は私にとって過去形だ』と言い、贈られた金メダルは『大切に保管して、もう見ることもないと思う』と語っていた。また受賞をマラソンンの折り返し点に例えた山中さんは、少しでも足を休めたのだろうか。とっくに走り始めている。
「海側生活」を始めてから全てを決め付け、すぐにでも来るであろう“その刻”まで、ただ楽しく、ココロも気持ち良くありたいと過ごしてきた。しかし想定に反して今年も特に嫌な事は無かった、そして今日もお酒が美味い。
あらゆる事を遣り尽くしたと思ってはいないが、自分の人生を決め付けてはいけないと改めて知った。
正月を期してハートを新たにしようと思っていたが、人生の時間にはそんな節目は無い。
山中さんの言葉に何だか背中を押された気分だ。
自分のハートも今、入れ替えよう。明日の事は分らない。全てが変わる出来事が起こるかも知れない。人生を変える出会いが待っているかも知れない。
生きること自体が予想外との遭遇の連なりだから。
※明るい新年をお迎え下さい。