ヒュペーリオンはベラルミンに当時の手紙を書き写して送る。彼女と別れてからの二人が交わした数通の手紙である。最初、戦況は味方に有利に進展し意気揚々たるヒュペーリオンの心情が語られる。しかし、ほどなくディオティーマ宛に悲痛な手紙が書かれる。
「万事休した、ディオティーマよ、わが部下はだれかれの区別なしに、掠奪をほしいままにし、殺戮を始めた。私たちの同胞、ミジストラに住んでいるギリシア人はなんら罪なくして殺されてしまった」(178頁)「ほんとに! 群盗の一団によって私の楽園を樹立せんとするのは、常軌を逸した計画でなければならなかった。いや! 聖なる復讐女神にかけて! 私には当然な結果が与えられたのだ」「私は、残虐なことを食い止めようとすると、私の忠実なる部下の一人が私に斬りかかってきたために、名誉の負傷をしたのだ」「凶暴な群集はどこといわず侵入して来るし、モレアでは掠奪欲は疫病のように荒れ狂った。剣を手にしないものまでも追い立てられ、されるような勢いで、しかもそういう狼藉者の言い草は、われわれはわれらの自由のために戦っている、というのだ」「ああ、あなたに新しいギリシアを約束した、ところがあなたに差しあげたのは嘆きの歌曲だけである」(180頁)
「万事休した、ディオティーマよ、わが部下はだれかれの区別なしに、掠奪をほしいままにし、殺戮を始めた。私たちの同胞、ミジストラに住んでいるギリシア人はなんら罪なくして殺されてしまった」(178頁)「ほんとに! 群盗の一団によって私の楽園を樹立せんとするのは、常軌を逸した計画でなければならなかった。いや! 聖なる復讐女神にかけて! 私には当然な結果が与えられたのだ」「私は、残虐なことを食い止めようとすると、私の忠実なる部下の一人が私に斬りかかってきたために、名誉の負傷をしたのだ」「凶暴な群集はどこといわず侵入して来るし、モレアでは掠奪欲は疫病のように荒れ狂った。剣を手にしないものまでも追い立てられ、されるような勢いで、しかもそういう狼藉者の言い草は、われわれはわれらの自由のために戦っている、というのだ」「ああ、あなたに新しいギリシアを約束した、ところがあなたに差しあげたのは嘆きの歌曲だけである」(180頁)