Kawolleriaへようこそ

日記・物語・エッセイ・感想その他

DVD「チボー家の人々」を観る

2008-08-24 17:14:15 | 感想その他
 第一次大戦勃発直後、フランスとドイツが対峙する戦線上空から、単身反戦ビラをばら撒くジャック・チボーのような政治的な理想主義は、おそらく、今後現れることはないのではないか。
 戦後の労働運動には、そうした理想主義的な要素が含まれていた。物語の終末と同じように、日本労働運動の理想主義も同じ運命を辿ったのではないか。
 ジャックの恋人ジェンニーが小説よりもちょっと力強さに欠ける印象があった。
 デスク四枚もの大作だが、昔読んだ原作を思い出すにはもつてこいの作品。
 それにしても、当時の時代を再現した町並み・列車・自動車など、大掛かり。小説を読む上でも、きわめて参考になる。
 アマゾンで注文すると通販よりもかなり安く手に入る。

不愉快な丸刈り

2008-08-18 05:24:30 | 日記
星野監督の采配には、前から、疑問を持っていた。
闘将などと持ち上げられているが、野球は選手がやるものだ。
感情で扇動して選手を盛り上げても、選手は踊らされるだけ
責任は自分がとればいいと、たかをくくつている。
旧日本軍の理想像そのまま、これでは国際的には通用しない。
投手の交代時期を逸した韓国戦の判断ミスも、偶然ではない。
ダルビッシュの丸刈りはわかる。
先輩の彼に強いられたという田中は仕方ないかも。
ほかの選手の丸刈りは、最悪。
こういう伝染は、感情に引きずられやすい、自主性のなさの現れで、星野と同じ。
国民性と言ってしまえば、それまでで、自分の中にも、同じような傾向が巣食っている。
なさけない。

ビデオ三昧

2008-08-12 06:45:05 | 感想その他
久しぶりに見ごたえのあるビデオに当たる。だいたい、十枚に一枚しか当たらないのだが。
一つは、「ショート・カッツ」、原作がレイモンド・カーバーなのが良い。十組もの中年カップルの物語をショートカットでつなげて、全体として、アメリカ的な猥雑な日常を活写。
文学的にも面白い。それぞれが関係なさそうでいて、つながっている。
二時間もの大作だが、手抜きがなく、リアル、時には狂気。
二つ目は、「あなたにだけ言える秘密のこと」、題は最悪、日本語ではポルノの題名にも響く。題材は深刻で重い。背後に、セルビア・クロアチア問題の深淵、ヨーロッパの傷痕が息づいている。北海の油田開発で、海で生活する孤独な人々と暗く恐ろしい記憶を持つ女性との交流を描く。孤独の価値、言葉では表現できない現実。生存の恐ろしさ。

さっぱりわからん

2008-08-02 06:58:55 | 感想その他
所属している詩人会が、大冊のアンソロジーを発行するとの通知があった。
いったいそんな本を誰が読むのか。
本棚に置くにも、邪魔だろう。
詩壇などと称するのも、コップの中の嵐、井の中の蛙とさして変わらない。
一種の馴れ合いにしか過ぎない。本まで発行することもない。
昔、勤めているとき、紳士録の掲載を勧誘する業者をよく見かけた。あの分厚い紳士録と変わらない。
参加しない者には、送ってきて欲しくない。
親睦のためのパーティーはそれはそれで結構だが。
現代詩の普及のためにいくらでも企画は考えられるはずだ。
活字離れが深刻な状況で、さっぱりわからない企画。

『眠れる美女』を読む

2008-08-01 06:50:58 | 感想その他
グロウナ監督のビデオ「眠れる美女」を観て、原作である川端康成の同名作品を読む。
三島由紀夫が絶賛した作品で、川端の晩年の代表作でもある。
一糸まとわぬ美女を睡眠薬で昏睡させて、老人にあてがう会員制の高級売春宿。
六十七歳の江口老人が主人公。かって関係を持った女の回想が物語となっている。
まだ性交も出来る江口が口走る「老人たち」への軽蔑は当然、強がりに過ぎないが、どこかエリート意識が透けて見える。
そこがこの作品を俗っぽくさせている。美意識が中途半端。
正体はおそらく彼の権力意識だろう。
最近、読んでいないが、川端の作品に共通な弱さがある。