ブログ仙岩

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大石邦子「空広々と」

2020-01-30 05:48:18 | エッセイ
東京で2度目のオリンピックが開かれる年、どんな年になるであろう。

私が私のオリンピックを心に刻んだのは病状が落ち着いて1年後ぐらいだろうか、何度も放映された記録映像からだった。金メダルに輝く体操やレスリング、女子バレー等の映像を見つめながら、嬉しいのか哀しいのか自分でもよく分からなかった。涙だけが零れた。実はその後編に、脳天が割られるような映像があった。パラリンピックで、車椅子ごと激しくぶつかり合い、転倒しながら自力で立ち上がりシュートを決める。まさに神業であった。日本では障害者がスポーツをする等考えられなかった。リハビリという言葉も使われておらず、障害者の社会復帰等聞いたことがなかった。

そんな日本の福祉と整形外科学会を大きく揺さぶり、大きく変えてゆくことになる欧米選手団の姿である。病院でも、その後対応が変わり、家庭や社会復帰が目標となって作業療法も加わった。あれから半世紀余り、今や日本の障害を持つアスリートたちも世界を圧倒する存在となっている。これこそ先のオリ・パラリンピックが残したレガシーでなくてなんであろう。

空広々と、もうすぐ2度目の東京五輪である。やはり障碍者から見た言葉で考えさせられますね。