第八芸術鑑賞日記

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マリアの受難(3/24公開)

2007-05-24 23:12:52 | 07年3月公開作品
 4/19、シアターイメージフォーラムにて鑑賞。4.0点。
 本国ドイツでの製作は93年だというからすでに十数年前の作品だが、監督トム・ティクヴァの新作『パフューム』にあわせ、国内初公開された。原案から脚本、製作、音楽にまで名を連ねるトム・ティクヴァの長編映画監督デビュー作だ。
 夫からの暴力と、寝たきり老人の父の介護とに日々を追われる主婦マリア。その日常生活と鬱屈した精神世界を描く……という筋立てを聞けばわかるように、テーマ論的には限りなく辛気くさいお話であり、それを監督らしい才気走った演出で見せるわけだ。
 しかしいかんせん、人間の嫌な部分だとか、閉塞した状況からの解放だとか、そういった題材の選び方にいかにも気鋭の新人らしいあざとさがあり、それを彼流の大仰な演出で見せられると少々辟易する。『ラン・ローラ・ラン』のようにゲーム感覚で突っ走ったり、『パフューム』のようにファンタジーとして昇華したりした方が、深いドラマを描こうなんてするよりも余程芸術性は高いと(俺には)思える。

ブラックブック(3/24公開)

2007-05-04 08:40:15 | 07年3月公開作品
5/2、テアトル新宿にて鑑賞。6.5点。
 予告編が実にシックな作りの映画を思わせた本作だが、良くも悪くもヴァーホーヴェンはヴァーホーヴェンだった。
 まずは何が良いって、どこまでもエンターテイメントであろうとしていることが素晴らしい。戦争、ナチス、ユダヤ人、レジスタンス……というキーワードから連想されるような(誤解を恐れず言えば「辛気くさい」)作品とは全く異なり、本作から主だった要素を抽出していくと娯楽映画のそればかりが出てくる。「女スパイが敵の部屋に盗聴器を仕掛ける」シーンでのサスペンスの盛り上げ方なんて、スパイ映画のそれとしか思えない。ラストではミステリーのような二転三転する展開を見せるし、『氷の微笑』のヴァーホーヴェンだけあって随所にサービスシーンがあるし、優等生的な戦争ドラマの枠組みからぐいぐいとはみ出してゆく。そしてテンポのよさ。次々と新しいイベントが起こり、ピンチが連続する。144分という長尺をまるで飽きさせない。
 しかし以上のような長所は、全てそのまま裏返って短所に転じる。戦争映画であり、恋愛映画であり、スパイ映画であり、アクション映画であり、ミステリー映画であり、社会派映画である……という多面性は、その各々がことごとく中途半端であることをも意味する。テンポの良さも手伝って、ヴァーホーヴェン映画にはどうしても「軽さ」がつきまとう。それは人物描写の甘さに最も端的にあらわれており、主人公の造形が非常にいい加減なものになってしまっている。[家族を皆殺しにされたことがどの程度心の中で重みを持っているのか]よくわからないし、[ドイツ人将校になぜ惹かれたのか]という肝心な部分もわからない。[人が人に惹かれる理由なんてどうせ合理的なもんじゃないのは確かだが、だからって「いい人よ」の一言で済ませてしまうのはあまりに適当ではないか]と思う。
 しかしそれでも、終盤で主人公が次々と窮地に追い込まれていく展開や、そこで[排出物をかけられる]シーンなどには、有無を言わせぬ力がある。ヴァーホーヴェンのエンターテイナーとしての力と題材の重厚さとが強烈な市松模様を描き出した力作だ。難点も多いが個人的には好き。

蟲師(3/24公開)

2007-04-28 07:17:56 | 07年3月公開作品
 4/15、新宿ミラノにて鑑賞。5.5点。
 『スチームボーイ』以来三年ぶりの大友克洋の新作は、漫画作品の実写化。最近多い人気漫画の映画化の一つとしても捉えられるが、何しろ人気漫画といってもアフタヌーン誌発の作品なので、知名度にせよ内容にせよ派手さはない。原作を知らない人がこの映画を観て「映像はいいけどストーリーがつまらない」という内容の批判をよくしているが、まぁ原作自体が世界観の面白さで読ませるタイプの作品なので、映画化を試みた時点で避けえなかった弱点ではある。なお、原作は基本的に各話読み切り式の作品なので、この映画版では、まず物語へのイントロとしての短いエピソードを1つオープニングに置き、それから中盤以降で主人公の過去に関するエピソードを中心に据えていくという方式を採っている。
 さて結論からいえば、映画化した意義の感じられない作品になってしまっている。ウリであるユニークな世界観の表現に関してはやはり実写化した映画ではどうしても原作に敵わないし(まぁオダギリジョーとか蒼井優とか見慣れた顔が出てくるわけだし)、映画ならではのVFXも(それ自体は綺麗であるものの)それによって作品の水準を上げるまでには至っていない。脚本の尻切れトンボな印象もよろしくない。少々残念な出来だ。
 それにしても大友克洋、50代になってそろそろ、『AKIRA』に並ぶくらいの代表作を生んで欲しいなぁと思うのは難しい注文だろうか。大友の魅力は一枚絵のセンスにこそあると思っているので、無理に映画でなくても、漫画に戻ってくれればいいのに(俺は『AKIRA』も映画より原作の方が遥かに優れていると思う)。

絶対の愛(3/17公開)

2007-04-20 02:38:16 | 07年3月公開作品
 4/1、ユーロスペースにて鑑賞。7.5点。
 目下のところキム・ギドクの最新作である。『グエムル』が韓国内で大ヒットした折の論争の過程で彼からは「引退」発言が飛び出したが、まだまだ観たい監督である。これまでに作られたどの作品も、俺にはまだ完成に達していないように思えるのでなおさらだ。
 『うつせみ』『弓』とファンタジックな作品が続いた後で、『サマリア』のように韓国内で社会問題となっているテーマ―――整形―――を扱っている。が、もちろん社会派ではない。美容整形が一般的になるなど思いもよらない時代(ぐっと遡って20世紀初頭とかね)に作られていたなら、「SFサスペンス」と分類されてもおかしくない作品になっているのだ。徹底して視覚に訴えることで成立している映画というメディアにおいて、「顔を変える」という事態がどれほど強烈な効果を及ぼすのか、それを実験してみた作品ともいえる。
 整形手術で以前と全く違う顔になり、そのことを隠して恋人のもとに戻る……というストーリーは安部公房の『他人の顔』あたりを連想させるのだが、同作が精巧極まりない散文小説として完成しているのに対し、終盤に進むに従ってどんどん破綻していく本作のあり様はまさしく映画的である。破綻といっても、プロット自体は計算された通りに進んでいく。登場人物の感情の推移など、通常なら丁寧に描くことが重要とされる部分を(映画的に面白いからという理由だけで)あえて破綻させていくのだ。これまでもギドク作品のクライマックスというのはいつだって感情移入を拒むものだったが、本作でのそれは試みとして最も面白いように思われる。少なくとも、前二作でのような作為の目立つ寓話的描写や、初期のように過激な描写を売り物にするのと比べれば、ずっと素直に楽しめる(とはいえ、同じ場所やシチュエーションを繰り返すという技巧は依然としてあざとすぎる感が強く、残念)。
 『うつせみ』に続いて『弓』を観たときには、このまま手堅くまとまっていってしまうのかな、と少し危惧したのだが、ここにきて再びケレン味たっぷりの作品を撮ってくれた。まだまだ熟す過程にある作家だと思う。美しくまとまるのはそれからでいい。叶うことなら、これからもコンスタントに新作が観たいものだ。
 なお原題は"TIME"らしいが、邦題のセンスはいつもながらミステリーだ。

今宵、フィッツジェラルド劇場で(3/3公開)

2007-04-16 02:36:16 | 07年3月公開作品
 3/18、渋谷のル・シネマにて鑑賞。6.0点。
 巨匠ロバート・アルトマンの遺作……といっても俺が彼の作品を観るのは『ゴスフォード・パーク』('01)に続いてこれがまだ二作目だが、全く同じ匂いを感じた。
 まず第一に、群像劇であるということが決定的に大事だ。本作の主役はあくまでも複数形の「人々」であり、誰か一人の登場人物が物語を進行させる鍵となることはないし、人々を追うカメラが誰か一人に過度に感情移入することもない。カメラと登場人物とのその距離感が悲喜こもごもの人生模様をうっすらと染め上げる(イギリス上流社会を描いた『ゴスフォード~』も同様の群像劇だった)。
 そして、映画的な狂言回しの存在がまた重要だ。本作の基本的なプロットは、長年続いてきた公開ラジオ番組が最終回を迎えた晩の収録ステージを舞台に、出演者たち各人の様子を点描するというもの。実に落ち着いた大人の味わいの作品だ。ところがそこに、劇場の警備員が見かけた謎の女という異質なファクターが彷徨いこんでくる。ここに一挙に、警備員を探偵役とする一種のミステリーやノワールのような雰囲気が醸成される。この映画的高揚はほとんどファンタジックなほどだ。ところが、ミステリーらしい結末を期待するとそんな当ては外れることになる。謎の女は謎のままに映画から去ってゆくのだ(『ゴスフォード~』もまた、ミステリーという衣をまといながらも本質が全くそこに存していないという構成をとっていた。しかし、ともすれば単調な人間ドラマになってしまうストーリーに映画的高揚を与えているのは間違いなくミステリーという「形式」なのだ)。
 映画が終わるとき、最後まで距離感を保ったままのカメラの向こう側に、観客は人生への不思議な感慨を抱かされることになる。群像劇という手法の勝利であり、ファンタジックな狂言回しによって作られた雰囲気の賜物だ。個人的にはこの監督の作品のテンポの遅さがどうしても引っかかって高い評価をつけられないのだが、しかし確かに佳作である。
 なお、奇しくも遺作となってしまった本作において「老人の死は悲劇ではない」という台詞が偶然に登場することには、なんだか天の配剤を思わざるをえない。

デジャヴ(3/17公開)

2007-04-10 16:01:37 | 07年3月公開作品
 4/1、新宿バルト9にて鑑賞。7.5点。
 一介の映画ファンがこんなことを言うのは驕っているようだが、本作を全く褒めない人の映画評は役に立たないと見なしてもかまわない……そんな気にさえなる出来栄え。
 本作の宣伝文句はもっぱら「製作:ジェリー・ブラッカイマー」に力点が置かれている。折しも『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズの大ヒット中だけに、これは当然の殺し文句かもしれない。もちろん彼は、『ザ・ロック』『ブラックホーク・ダウン』のブラッカイマーでもあるし、『アルマゲドン』『パール・ハーバー』のブラッカイマーでもある。ともかく信者もアンチも認めなければいけないのは、彼がハリウッドを知り尽くした男であるという一点に尽きる。金と力をかけるべき部分はどこか、手を抜いてはいけない部分はどこか、そういった点でまるで抜かりが無い。
 そして、メディアからはほとんど無視されているが決定的に重要なのが「監督:トニー・スコット」である。彼はもちろん『トップガン』のトニスコであるが、『トゥルー・ロマンス』のトニスコでもあり、そして『ドミノ』のトニスコである。小奇麗でオシャレな「スタイリッシュ」を撮る人はたくさんいるが、これだけザラザラした質感とギラギラした色彩を持ちつつも圧倒的に「スタイリッシュ」な映像を撮れる人は他にいない。そして編集。『ドミノ』の時ほどにやりたい放題ではないが、本作の冒頭10分は鳥肌もの。水兵たち。港。出航する客船。乗客たち。演奏される管楽器の響き。それを断ち切って流れるThe beach boysの"Don't worry baby"。再び船。乗客たち。ブラス。"Don't worry baby"。再び……そして。ため息と共に「完璧だ……」と呟くしかない。
 なお鑑賞前に一つ知っておくべきことは、これが予告編などから想像されるようなサスペンス作品ではないということだ。本作は本質的にレトロ感溢れる題材のSF作品である。緊張して観ていたら○○○○○○が出てきたからといってガックリしないように。
 伏線を巧みに張った脚本はなかなか面白く、よく出来ている。終盤は否応なしにのめりこまされるし、ラストも秀逸。ただし、そのストーリー説明のためにやや中盤がだれてしまう。「四日半」とか必然性がないにもかかわらず引っかかるポイントに苛立ってみたり。映像の力だけで魅せられる作家だけに少し残念。語り口と見せ方だけで突っ走った『ドミノ』の方が個人的には好きだ。
 それにしても本作の爆発シーンが頭から離れない。迫力ある爆発を撮ろうと思えばまずは画面を炎でいっぱいにするようなアップのショットから始めるところだが、引きの構図でなんでこの衝撃が作り出せるのか。魔術としか言いようがない。
 今もっともコンスタントに新作を観たい監督だ。

パフューム ある人殺しの物語(3/3公開)

2007-04-07 03:09:36 | 07年3月公開作品
 4/2、新宿ミラノにて鑑賞。8.0点。
 最近の映画でもっとも本作に近いのは何だろう、と考えていたところ、『ロード・オブ・ザ・リング』が思い浮かんだ。もちろん、LOTRがエルフや怪物の住まう世界で繰り広げられるファンタジック冒険譚であるのに対し、この『パフューム』は「匂い」にとり憑かれた男が最高の香水を作るために女を殺して体臭を採取する……という悪趣味全開のお話であって、物語そのものは似ても似つかない。
 しかし、ストーリーなんてのは映画のごく一部に過ぎない。本作の語り口はまさにファンタジーそのものである。主人公の生誕から終末までを語る神の視点からのナレーション。現実世界とは異なるレベルの世界観を構築することで、現実ではありえない物語に作品内リアリティを付与しようとする手法。人智の及ぶところの倫理的解釈を阻む神話的なカタストロフィ。映像的カタルシス。これら全てが、本作を紛れもなくファンタジーにしている。
 本作を観るときにもう一つ肝要になってくるポイントは、監督のトム・ティクヴァが典型的なMTV世代であることだろう。出世作『ラン・ローラ・ラン』('98)を観れば一目瞭然だが、この人は基本的にポストプロダクションが大好きである。テンポの早い編集、目まぐるしいカット繋ぎ、CGの多用、奇抜なカメラワーク、やたらとスタイリッシュな演出……『ラン~』はそれら映画編集術の見本展覧会とでも形容すべきお祭り映画であった。
 それと比べれば、18世紀のパリを舞台にした本作はかなり落ち着いたものになっているが、しかしそれでも作家の性質ってのはそう簡単に変わるものではない。オープニングからまもなくでの、様々な汚物のショットを細切れに繋いだグロテスクなシークエンス。思いっきり引いた俯瞰のアングルから一気に人物のミディアムショットまでズームアップするというようなカメラワーク。『ラン~』のセルフパロディを思わせるような、「主人公と関った人物のその後」の描き方。ハッタリを効かせまくった「見栄」の切り方……こうした演出は、本作に「軽さ」を与えてしまっているが(なんせ主人公はスーパーマンさながらに、逃げた女の匂いを嗅ぎ取って何キロも先の標的を追うのだ!)、と同時に辛気くささを取り払い、愛すべきカルト作品にしている。
 そして本作の最大の衝撃は、クライマックスで訪れる予測不可能な映画的カタルシスにある。てんで意味不明であり、冷静に見れば失笑するほかない。この終盤に至って、本作は完全に馬鹿映画と化す。まともなサスペンス映画を期待して観ていた人は再起不能なほど痛い目を見るだろう。だが、一貫してファンタジーとして作られたこの作品にとって、この結末は完全に正しい。映画から常識的な教訓を導き出そうなんてする人々へ食らわせる鉄槌だ。その意味で、本作でのカタストロフィはポール・トーマス・アンダーソンの『マグノリア』あたりは軽く越えている。
 主人公への感情移入など許さず、観る者を完全なる「観客」としてしまう快作。うーん、映画だ。

秒速5センチメートル(3/3公開)

2007-03-26 00:54:59 | 07年3月公開作品
 3/9、シネマライズにて鑑賞。7.0点。
 映画の命は編集だ。もちろんハナシがつまらなきゃ面白くなりようもないし、個々のショットが酷かったらとても見れたもんじゃないし、俳優が揃って冴えない顔ばかりしていたら盛り下がるだろう。だがそれでも、編集こそが映画の映画たるゆえんだと、(少なくとも今の)俺の映画観は主張する(まぁもう少し広げていえば、編集を含めたポストプロダクション全般だ)。
 適当に撮った顔のアップが、葬式のショットで挟めば悲しそうに見え、観光地のショットで挟めば楽しそうに見える。そういうモンタージュ理論の発見こそ映画史上の最大の事件であって、だから常に映画史の端緒として扱われるリュミエール兄弟は、あくまで前史という位置づけにすべきだろうとしか思えない。
 長回しとかワンシーンワンショットとか、そういった技法も「編集」という作業の存在を前提にしてこそ輝くのであって、そうでなければただの冗長な動画の垂れ流しにすぎない。


 その意味で、本作の上映時間の九割に対しては5.5点くらいしかつけられないが、ラスト5分間には9.0点くらい献上したい。いや、もう部分限定なら10点でもいい(7.0点というのはその妥協点だ)。
 山崎まさよしのフォーキーな歌を(おそらく)フルレングスで流し、その間に短いカットを目まぐるしく繋いでいく。台詞も何もない。出てくるショットのほとんどはそれまでのシーンからの抜粋であり、話が進展するわけではない。回想のような位置づけのシークエンスだ。だがこの五分間に、本作の全てが賭けられている。
 「連作短編アニメーション」と銘打たれた本作の上映時間はわずかに60分。描かれる二つの初恋の物語は、いずれもシンプル極まりなく、どこまでも青臭く、演出も限りなくベタだ。
 そんな凡庸な物語から掬い取られたショットたちが、各々は瞬時に消えてしまいながらも数積み重なって、二度と戻らない日々への郷愁を完璧に表現する。それまでの55分間は長い前フリだ。


 アニメ作品としての本作については、賛否分かれるところだろう。基本的にリアル志向な背景の上を、いかにもアニメ然としたキャラクターが動き回るのには、大きな違和感を覚える人が大半のはずだ。駅の看板や現実の街並みまで完璧に再現しようとしている背景美術に対し、クリクリとやたら目の大きいキャラクター造形。チグハグな印象は否めない。
 ただし、個々の画のクオリティは圧倒的に素晴らしい。これが三作目となる監督の新海誠は(俺は本作で初見)、25分間のデビュー作『ほしのこえ』をたった一人で作りあげた職人。
 また、鹿児島を舞台にした第二話では海や空がフィーチャーされるが、(ロケット打ち上げのシーンに顕著なように)派手な色彩によってかなりファンタジックな味わいが加えられており、独特な世界を作り上げている。


 第一話での節操の無いモノローグの使い方や、第二話での類型的な人物造形など、全編通じて恥ずかしいくらいに青臭いのは事実。また、あまりにも狭く自己完結した印象の作品世界に息苦しさを覚えるようにも思う。
 それでも、このラスト5分間をスクリーンで見逃すのはあまりにもったいない。