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オペラファンの仕事の合間に パート2

大好きなクラッシック音楽やフィギュアスケート、映画などを語ります。メインは荒川静香さんの美しさを語るブログ。

朝比奈隆のブルックナー交響曲第8番

2008年11月20日 11時54分19秒 | 朝比奈 隆(生誕100年記念)
朝比奈隆のブルックナーの録音を第0番より、たどっていますが作品の重みの為か、後期の作品に入ってペースダウンしてしまいました。いよいよブルックナーの最高傑作の第8番に入りたいと思います。

ブルックナー 交響曲第8番 ハ短調
 
第1楽章 アレグロ・モデラート
第2楽章 スケルツォ:アレグロ・モデラート
第3楽章 アダージョ:壮重に、ゆっくりと、しかし引きずらないで
第4楽章 フィナーレ:壮重に、速くなく

第1楽章冒頭、第1主題が盛り上がってフォルテシモで達した時、居てもたってもいられなくなるのは私だけだろうか?そして8番の核心といえる第3楽章のアダージョ。チェロが奏でる第2主題の美しさ。そしてブルックナーを聴く至福の時の頂点といえるコーダの素晴らしさ!何度聴いても飽き足らない。

1884~7年に書かれた第1版は演奏もされなかった。1888~90年に第2版を書いたが、92年に出版されたものには、シャルクやハンス・リヒターの意見にしたがったと思われる変更とカットがあるらしい。
ハース版は第2版を基にしながらも、第1版からの引用があるが、ノヴァーク版は第2版の楽譜をそのまま引用している。ハース版とノヴァーク版の違いは第3楽章と第4楽章に見る事ができる。ハース版では第1版から採られた部分がある。
またシャルクやリヒターの意見を参考にした改訂版がありクナッパーツブッシュの録音で聴くことが出来る。
また第1版の録音ではインパル指揮フランクフルト放送交響楽団の録音で聴く事ができ、ハース版やノヴァーク版と別の曲ではないかと思うくらい驚きの演奏である。

朝比奈隆はブルックナーの大家と言われたが8番を初めて振ったのは比較的に遅く1971年の秋である。1950年代から60年代、それまでブルックナーは4番、7番、9番しか演奏していない。70年代に入って5番と8番に巡り会って一気に最高のブルックナー指揮者となった。ちょうど朝比奈隆60代後半の円熟期に入り彼の音楽が一層深くなってきた時期である。彼の8番の録音はどれも名演で最高の遺産といっても良いでしょう。

私が所持している朝比奈隆の録音は下記の通りである。
①大阪フィルハーモニー交響楽団(1976年4月神戸文化ホールでのスタジオ録音)ジャンジャン盤
②大阪フィルハーモニー交響楽団(1976年8月神戸文化ホールでの公開録音)ジャンジャン盤
③大阪フィルハーモニー交響楽団(1980年10月東京カテドラル聖マリア大聖堂でのライブ録音)ビクター盤
④大阪フィルハーモニー交響楽団(1994年7月サントリーホールでのライブ録音)ポニー・キャニオン盤
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⑤NHK交響楽団(1997年3月NHKホールでのライブ映像)NHKエンタープライズ盤
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⑥大阪フィルハーモニー交響楽団(2001年7月サントリーホールでのライブ録音)EXTON盤
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⑤はDVDである。①はジャンジャンでの交響曲全集録音の際、最初に録音され指揮者やオケも出来上がりを気にいっていたとの事だが当時のジャンジャンの社長が気に入らないとの事でお蔵になり再度、録音されたのが②である。長い間、幻のブルックナー録音だったが8年ほど前、ジャンジャンの全集がCD化された時、日の目を見た録音である。
私自身、大好きな録音は②④⑤⑥である。甲乙をつけるのは、非常にむずかしい!④の録音を耳にしたとき、これが最高の8番と思ったのだが、死の年の録音の⑥をきいて、これが巨匠のまさに行き着いたブルックナーの最高の演奏を聴いて、ここまで人間は大きく、深くなれるのかと驚愕したものである。
しかしである⑥がまさに最高と思っていたが、昨年の暮れ、⑤のDVDに接して、また驚き!これも最高ではないかと思ってしまった。最高のブルックナー指揮者と我が国最高のオーケストラとのブルックナーの最高傑作の演奏である。大阪フィルとの演奏では第1楽章、第2楽章はやや様子見で第3楽章から本調子というのもありますが、⑤では、さすがN響、第1楽章からエンジン全開である。とくにティンパニの演奏は最高ではと感じました。
②はまだオケの技術が晩年の録音に比べて不十分な点は多々ありますが、1970年代の巨匠のブルックナーの演奏をきくのは大変貴重ですし、馴れのない気迫に満ちた演奏は、この後の録音にはない魅力のがあり、私ははずせません。
私自身、朝比奈隆の8番の演奏を聴く時はその時の気分で録音を選んで聴いているのが実情です。

以下はブルックナーの8番の私のお気に入りの参考CDです。またの機会に取り上げたいと思います。
①ハンス・クナッパーツブッシュ指揮ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団「改訂版」(1963年ミュンヘンでのスタジオ録音)ウェストミンスター盤
②ハンス・クナッパーツブッシュ指揮ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団「改訂版」(1963年ミュンヘンでのライブ録音)ドリームライフ盤
③カール・シューリヒト指揮ウィーンフィルハーモニー管弦楽団(1963年ウィーンでのライブ録音)EMI盤
④ギュンター・ヴァント指揮北ドイツ放送交響楽団(1993年ハンブルクでのライブ録音)RCA盤
ヴァントはハース盤、シューリヒトは第三楽章までがハース版、第四楽章がノヴァーク版が基本となっていて、本当にブルックナーの版はややこしい。
ヴァントの録音では晩年のベルリンフィルとの録音が有名ですが私はこちらの方が好きです。

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16 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ブルックナー8番 (ハルくん)
2008-11-20 23:41:30
フィギュアスケートと朝比奈ブルックナーと、いつもながら話題の切り替えが忙しいですね。(笑)

朝比奈御大のCDで私が持っているのはEXTON盤のみです。早めのテンポが意外でしたね。

8番の演奏で好きなのは同じ3人です。

①クナッパーツブッシュ/ミュンヘンフィル、ただし私は録音条件の良いウェストミンスター盤で。
②シューリヒト/ウイーンフィル(EMI)、何度聴いても飽きない奇跡の名演。でもこれはスタジオ録音ではなかったでしょうか?
以上2つがベストですが、強いて言えばもうひとつだけ、
③ヴァント/ミュンヘンフィル(Profile)、ヴァントの晩年2000年のライブ録音です。
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ブルックナー8番 (オペラファン)
2008-11-21 22:06:00
クナのウェストミンスター盤、シューリヒト/ウイーンフィル盤はブルックナーの8番を語るには絶対はずせない録音。朝比奈隆の録音(どの録音にすべきか悩むところです)とあわせて私にとってベスト3です。
そのあとのチョイスではヴァントの録音を挙げましたが、完成度は落ちますが2種類のマタチッチ指揮NHK交響楽団とのライブ録音にすべきだったかと今も悩んでいます。
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昔のスレを引っ張り出します。 (みけらん)
2012-09-13 13:24:41
 ハル君 今度はカテゴ通りに書きます。
クナッパのブル8(61’ウィーン)は、ライブ版だったのですね。(最後に拍手が入ってました。)
 すばらしい出来だと思います。特に第4楽章はこれから、スターウォーズ級の映画の大作が始まるような気がしました。たしか前奏曲って、オペラの幕間の曲ですよね。ワグナーにはロー苑グリンの第3幕への前奏曲っていうトランペット大活躍のみけらんの愛する曲があるんですが、この間kazumaさんに教わったように、まずブルがワグネリアンで、かつクナもワグネリアンとすれば、前奏曲的盛り上げというのが、もうお約束(だんじりのやかましさ)みたいなものだと思います。
 みけらんはスクリーンミュウジック大好き人間なので、ブルもクナも大いに気に入りました。ブルではベーム(ウィーンフィル)の4番、7番も大好きです。
 ところで、この間、ちらっと書いた朝比奈元帥のエロイカ(これを朝エロなどと略してはいけない)なんですが、
職場のクラ好き(以下「白毛」という。)の感想も入手しましたので、戦時発表風に報告いたします。
 朝比奈元帥におかれては、かっての友邦とはいえ、アウェイのドイツベルリンにて、かのベートーベン作曲交響曲第3番英雄の演奏を文字通り全力で敢行!アウェイの不利をものともせず、まるで、大阪フィルを振るかのごとく普段と変わらぬ堂々たる演奏振りは、かの地において今後100年は語られる名演奏となった模様、以下詳細は白毛より。
白毛(詳細報告)
ベト氏の交響曲をゆっくり振ることは、成しがたき難事であるが、朝比奈(敬称略)はかってのフルトベングラーのように、威風堂々、一瞬の焦りもない見事な演奏を伯林市民にプレゼントした。出だしの2つの「C音」から既に大河の流れのような悠然さは、一点の曇りなく、聴衆の心をわしづかみにし、第2楽章、第3楽章においてもそのペースは守られ、誰もが少しはペースチェンジを試みる終楽章においても、その堂々たる悠然さは、いささかも色あせることないものであった。これには、音楽に親しい伯林市民の中にも、脳貧血、呼吸困難におちいるものも多数出た模様である。われらが、大阪、いや日本のマエストロ朝比奈面目躍如たる名演奏であり、これに立ち会えたものとして、感涙を禁じ得ず、おそらくは天国のベト氏の耳にも届いたものと思われる。あるいは、耳の不自由なベト氏のため、かのフルトベングラー氏が、演奏会場の方に、ベト氏の向きを変えるなどの光景も、容易に想像され、日本とドイツが真の友好を結び得たことについては、かしこくも天上の昭和天皇陛下も、さぞやお喜びのことと思料させていただく次第であります。両国の友好に敬礼!
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お詫び (オペラファン)
2012-09-13 18:30:09
上記コメント、私に対するコメントでは無さそうなので、私のコメントは差し控えます。
クナパーツブッシュの61年のウィーンでのライブ盤は、まだ聴いたことがないので、語る資格がない。
また純粋に朝比奈隆を敬愛している私にとって、何か茶化されているようで非常に気分が悪い。
なお、ハル様のブログには連絡済です。
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Unknown (みけらん)
2012-09-13 21:21:50
お怒りごもっともです。
ただし誤解を解いておきたい部分もありますので、一言弁明を
朝比奈隆のベルリンでの「英雄」については、ハル君のブログにはああいう書き方ですが、入手したCDの解説にもあるよう、まさにクナッパーブッシュを思わせるような、堂々と自分の解釈を貫き通した演奏に対する感銘は真実の感想です。(これは、白毛と書きましたが当方の友人も同じです)
後半はその友人の感想(フルトヴェングラー級に、スローな演奏であり、英雄をそのように指揮することは大変難しいのではないか、特に第4楽章の抑制ぶり(スロー)は特筆に値する。最後に待ちきれずにブラボーの声が一呼吸早いのも、そういう理由かもしれない)というのをハル君のブログ(最近愛国ネタもおおいので)
に合わせるように私が戯作としただけであり、二人とも(いま大阪で勤務しており)当地のマエストロに対する敬愛は深いものであります。私は朝比奈氏についてはこれが初めてのディスクですが、ドイツという地の利を得ない(そこをアウェーと表現したんですが)場所で現地のオケを、それこそ自然体で振ったと思われる演奏は日本・ドイツ両国にとっての名演奏と思います。戯作ぶりについて気分を悪くした点、大いに謝りますが以上が偽りのない所信表明であります。(当方現在52歳、白毛氏56歳、表現は悪くともオペラファン様の朝比奈への敬愛を汚すものではないと思います。)
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Unknown (オペラファン)
2012-09-14 22:44:59
みけらん様へ

丁重なコメント、ありがとうございます。もう、気にしていないのでご心配なく。
これからも宜しく御願い申し上げます。
さて、朝比奈隆のベルリンでの「英雄」は1989年の当時のベルリン放送交響楽団との録音かな?
同じ顔合わせでしたら1970年代のハイドンの交響曲第92番と第99番の録音があり、特に第92番は朝比奈隆に興味がある方には、ぜひ聴いて欲しい録音です。
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Unknown (みけらん)
2012-09-15 17:32:28
えーベルリン放送交響楽団です。
ハイドンですか、その前に大阪を振ったブル8聞いてみます。
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Unknown (オペラファン)
2012-09-15 18:27:41
みけらん様へ

朝比奈隆には1975年大阪フィルとのヨーロッパ演奏旅行の時のベルリンでの「英雄」のライブ録音がありました。
かれはCD化されたのかな?
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Unknown (みけらん)
2012-09-15 20:22:58
1977の大阪フィル版はCD化されてますが(エルパカ)
1975は見なかったですね。ベルリンで大阪フィルを振ったんですね。もし情報見つけたら書き込みますよ
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Unknown (オペラファン)
2012-09-16 21:46:39
みけらん様へ

1977年の東京文化会館でのライブ録音は、私はホールの最前列で聴きました。
私の青春の思い出に1ページです。
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