オペラファンの仕事の合間に パート2

大好きなクラッシック音楽やフィギュアスケート、映画などを語ります。メインは荒川静香さんの美しさを語るブログ。

カール・ベーム、没後30周年、「エレクトラ」

2011年06月15日 10時02分36秒 | カール・ベーム(没後30周年)
Elektra's death dance (Leonie Rysanek)


クラシック音楽の映像化と言えば、すぐにカラヤンを連想しますが、ベームも多くの映像を残しています。
ベームファンとして忘れてはいけないのはR・シュトラウスの楽劇「エレクトラ」の映像です。
ベーム生涯最後の録音である。ウィーンフィルを前にしての最後の録音が1981年6月11日。そして亡くなったのが同年の8月5日。なお6月11日はR・シュトラウスの誕生日である!
まさにベームの遺言と言うべき録音である。
生涯最後の録音に「エレクトラ」を選んだベーム。生涯に渡ってR・シュトラウスの多くのオペラを指揮を続けてきた中で「エレクトラ」を選び、録音そして映像化した理由は何だろうか?
ベームはギリシャの歴史や文化、哲学にも造詣が深かったらしい。若いころから、それらが体に染み渡っていたらしい。そしてR・シュトラウスの音楽。台詞(せりふ)と音楽の一体化。数多くのオペラの中でも最も規模の大きい管弦楽編成。
生涯、オペラと共に生きてきたベームにとって、やはり「エレクトラ」は特別な作品であり、最高の作品という思いが強かったのかもしれません。

戦後、ウィーンを中心にベームの指揮する「エレクトラ」の公演でのエレクトラ役はビルギッド・ニルソン、クリテムネストラ役はレオニー・リザネクがほとんどでしたが、この録音では長い間ベームのクリテムネストラ役だったレオニー・リザネクがエレクトラ役である。おそらく映像化という事を念頭においての配役でしょう。リザネックはベームの期待通り見事なエレクトラである。とてもエレクトラ初役とは思えません。
リザネックとの最初のピアノリハーサルでベームは言ったそうである。
「言葉が全然聴き取れないじゃないか。テキストはものすごく大事なんだよ」
音楽と台詞(せりふ)。ホフマンスタールのテキストの大切さ。
R・シュトラウスというと、どうしても大掛かりなオーケストラの響きの方へ気が行きがちですが、R・シュトラウスのオペラにとって一番大切なものは何なのか改めて教えてくれた気持ちになります。

クリテムネストラ役はバイロイトでも活躍したワーグナー歌手のカタリナ・リゲンツァ。リゲンツァの扮するクリテムネストラは本当に美しい。乙女の初々しさ、そして強さが伝わってくる。見事な配役といえます。録音や映像に恵まれていなかったリゲンツァだけに、この「エレクトラ」の映像はたいへん貴重です。写真は見た事はありますが彼女の演ずるワーグナーの楽劇「トリスタンとイゾルデ」の映像は残っているのだろうか?舞台栄えする見事なイゾルデであったに違いありません。

その他フィシャー・ディースカウ、アストリッド・ヴァルナイ、ヨーゼフ・クラインドル、クルト・ベーメといった名歌手がこの録音に厚みを加えてくれます。
そしてウィーンフィル!
ベームには1960年のドレスデンでのスタジオ録音もあり、こちらも「エレクトラ」を語るには絶対はずせない録音ですが、どうしてもベーム最後の録音ということで、この最後の「エレクトラ」を取り上げました。
このオペラの持つ懐の深さ、作品の本当の真価を私自身、充分に理解できているとは、まだまだ思えません。
ベームが亡くなって30年経ちましたが、これからも演奏と映像を通じて教えてくれるでしょう。



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