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予備知識ないまま、冒頭の医師の手記を読んでいくと、
ノンフィクションかと思ってしまいがちなフィクション。
人名や地名が、現実のそれとよく似た偽名なので、すぐ気づくけど。
脳梗塞などで麻痺した手足を切断するという「Aケア」を考案した医師。
架空のものとわかっていながらも、医師の解説は理路整然としていて、
日常的にそういう患者さんを診ている人なら、「ん?これもアリかも」
なんて、うっかり思ってしまうかもしれません。
まとめるとこんな感じです。
・麻痺した四肢を切断することで、体重が軽くなり介護者の負担が減る。
本人も動きやすくなるので、日常生活動作の機能が向上する。
・麻痺側の慢性的な痛みから解放される。
・麻痺した四肢の不随意運動が、非麻痺側の動作を妨げることがなくなる。
・四肢への血流が、その分脳へいくので、認知面の改善がみられる。
などなど。さすがに最後の項目は「?」って思いましたけど(笑)
作中の漆原医師いわく、
このまま高齢化が進めば、早晩介護者の手が足りなくなる。
こうでもしないと介護は不可能となってしまうとのこと。
現実に今の日本が抱えてる問題ですからね、妙に説得力あります。
しかし、物語は思わぬ方向へ進んでいき、ショッキングな結末に・・・。
ミステリー?サスペンス?ジャンルはよくわかりませんが、
背筋が寒くなる系の、コワイ小説でした・
病院のカンファレンスなどで、
「右手は廃用手ですので、利き手交換を進めていきます」
なんて日常的に使ってる言葉ですが、廃用=いらない部品
・・・ってわけじゃありませんからね。
「あーこの手ホントに言うこと聞かない!」と嘆く患者さんも、
「この手切り落としたい!」とは絶対言いません。
こういう発想をして作品を書いた作者・・・すごいです。