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私は猫になりたい

昔の特撮やドラマを紹介します。

「スケバン刑事3 少女忍法帖伝奇」 第6話

2024-04-10 20:17:43 | スケバン刑事3 少女忍法帖伝奇

 第6話「鈴の音は地獄の使者か!?」(1986年12月4日)

 冒頭、影の頭領「翔」に、進行中の作戦について報告に参上したシルエットだけの忍び「鈴の音」の姿。

 彼は、開平高校にて、何かどえらいことをやらかそうと企んでいるらしい。

 翔「わらわは、開平が滅びるのが見たい……」

 こちらは唯の通う星流学園。

 のっけから、依田に耳を引っ張られながら、図書館に連れて来られる唯。

 
 唯「いたっいたっ、耳が千切れてしまう! なにすんじゃーっ」
 依田「なんですか、その反抗的な目は? 君は掃除当番をさぼったんですよぉ。良心は痛まないんですか、痛むでしょう? だったら何も言わずにここの本を全部片付けましょう」
 唯「なぁーんだ、そげんこつなら簡単じゃ」

 唯、すぐに本を棚に戻し始めるが、その動きを見ていた依田は溜息をついて止めさせる。

 依田「バツ、バツ、バツ、そう言うやり方はバツでしょう? まず、棚にある本の配置を一瞬にして頭に叩き込む。しかる後……両手を素早く動かす」

 依田、自ら手本を見せて、軽快なドラムをバックに、猛烈なスピードで本を棚に入れて行く。

 唯「すごかー」
 依田「これくらいのスピードでやらないと今日中にこの図書館にある本を全て並べ替えることは出来ません」
 唯「今日中に、図書館の本全部ぅ?」

 膨大な蔵書の山を前にして、途方に暮れる唯。

 それでも、見よう見まねで依田のように素早く本を整理して行く。

 言うまでもないが、これも、罰の形を借りた依田一流の忍びの技の鍛錬なのだ。

 なんとか整理し終えて、床に座り込んだ唯の前に、司書であり、暗闇指令の代理である礼亜が現れ、新たな任務のことを伝えるのだった。

 その晩、夕食の席で、姉たちに任務のことを話している唯。

 
 由真「開平っていやぁ、偏差値70以上の超エリート校だぜ。お前みたいな頭ドッカンな奴が授業聞いたって分かる訳ないだろう」
 唯「わちはなぁ、勉強しにいくわけじゃなか」
 結花「こないだ開平で、生徒の飛び降り自殺があったそうね。そのことで学校側と生徒会が揉めてるって新聞に出てたわ」

 と言う訳で、今回の舞台は開平高校なのである。無論、開成高校のもじりである。

 唯「うっわぁーっ、結花姉ちゃん、新聞読むとー? すごかー」

 変なところに心底から感心する唯。

 由真「これだもんなぁ。お前ねえ、新聞くらい読まないとほんとに頭ドッカンになっちまうよ」
 唯「ふーんだ。由真姉ちゃんなんか、テレビの番組欄しか見ちょらんじゃねえか」
 由真「なんだとぉ、こいつー」

 毎度お馴染みの兄弟喧嘩を始める唯と由真であった。

 翌朝、唯は早速その開平高校に転校生として登校するが、門を入るなり、生徒会長の高岡がスピーカーで演説をぶっていた。

 
 厳し過ぎる校則への抗議をした生徒会に対し、学園側は生徒会活動中止命令と言う、強圧的な態度を取った。そのことへの徹底抗戦を唱え、他の生徒たちにも一緒に戦おうと呼びかけているらしい。

 高岡を演じるのは、「ちゅうかなぱいぱい」のレイモンド役の新井昌和さん。

 
 なお、演説を聴いている生徒たちの中に、おっさんにしか見えない人が混じっているのが、大変気になります。

 
 そこへ教頭やコワモテの体育教師などが現れ、「生徒会活動は禁止した筈だ」と、強引に演説を中止させようとする。

 体育教師「無責任な校長? 教師による生徒の弾圧?」
 教師「学校の批判は校則で禁じられてる筈だ! 貴様らぁ、退学になりたいのかっ」

 と、怒鳴るこのヒラ教師、演じているのは大林隆介さん。「スケバン刑事」にも端役で出ていたが、「パトレイバー」の後藤隊長の声やってた人と言う方が分かりやすいだろう。

 ちなみに同時期に放送されていた「セーラー服反逆同盟」第3話でも、これと似たようなシーンがあったなぁ。

 さて、そんな騒動の後、転入生として元気に挨拶する唯であったが、

 
 生徒たちは揃って睡眠不足のように、呆けた顔を並べて何の反応も見せない。

 空席も目立ち、とても「偏差値70以上の超エリート校」には見えなかった。

 思わず唯が「喝」を入れるが、生徒たちは引き続き無反応。

 担任「君ぃ」
 唯「しゃからしか、生徒がこんげな態度で先生は怒らんとか?」
 担任「なんだとぉ、君の態度、校長先生に報告するぞ!」

 生徒が生徒なら教師も教師、と言う感じで、うんざりした顔になる唯であった。

 その後、あの三人の教師が、朝、ビラを配っていた二人の生徒をタバコを吸ったと言う濡れ衣を着せ、どこかへ連れて行くところを目撃した唯、思わず飛び出そうとするが、ひとりの女子生徒に止められる。

 
 康子「あなたも共犯にされて退学処分になるわよ」

 彼女は新見康子と言い、生徒会に属しているひとりであった。

 演じるのは田中弥生さんで、この後、劇場版「スケバン刑事」にも出ている。

 
 高岡「田川と山本もやられたか」
 唯「一体、この学校はどうなっちょうとですか?」
 高岡「3ヶ月まえ、松山たかしと言う生徒が、校舎の屋上から飛び降り自殺をしたことがきっかけなんだ。僕たちは連鎖反応が起きるのを防ぐ為に、自殺防止のキャンペーンを張ろうとした、それを学校側が無理矢理押さえ込もうとした」
 唯「なんでじゃ?」
 高岡「校長は、一流校としての体面を考えて松山君の死を事故として片付けようとしていたんだ」

 学校側は、白井教頭を中心として反発する生徒たちを弾圧し、何人もの生徒が退学させられたのだと高岡は言う。

 唯「きたなかー」
 高岡「これが開平高校の現状なんだ」

 高岡の話を聞いていた康子、何故か涙を流し、生徒会室を飛び出して屋上へ上がる。

 唯「康子さん、どんげしたと?」

 唯、追いかけて優しく尋ねる。

 康子「たかしは、ここから飛び降りたの……いいえ、飛び降りたんじゃないわ、たかしは殺されたのよ!」

 康子の意外な言葉に鈴のような目を見張る唯。

 
 実は、康子はたかしと付き合っていて、二人で待ち合わせて帰ろうとしていた時、急にたかしが「鈴の音が聞こえる」と言い出し、他の者には見えない鈴をどこまでも追いかけて、最後は空中に浮かぶ鈴を掴もうとして屋上から落ちてしまったのだと言う。
 
 たかしを演じるのは、「キカイダー」や「大鉄人17」に子役として出ていた神谷政浩さん。後番組の「少女コマンドーいづみ」にも一応出ている。

 
 康子「たかしは、これを握って死んでいたわ……私、調べたわ、鈴のことを……昔の忍びの術に鈴懸けの術って言うのがあるんですって……術を掛けられた者は鈴の音を追って何処までも走らされるんですって。そしてやっと本物の鈴を掴んだ時には……」

 その後、ちょっとしたことから、術を掛けた忍びが他ならぬ高岡であることを康子は知ってしまう。

 そう、高岡こそ、影の一味「鈴の音」だったのだ。

 正体を見破られた高岡は咄嗟に鈴を使って、康子に催眠術を掛ける。

 さらに、白井教頭も高岡と結託していて、生徒の自殺を利用して現在の校長を追い落とし、自分が校長の椅子に座ろうとしていたことが明らかになる。

 高岡「そんなに校長になりたいのかね」
 白井「当たり前だ、開平の校長と言えば、教育者の頂点に上り詰めたと同じことなんだ」
 高岡「その為に、人ひとり殺してもか?」
 白井「……」

 開平を破滅させようとしている高岡だったが、出世のことしか頭にない白井に軽蔑の眼差しを向ける。

 帰宅した唯は、康子が術に陥っているとも知らず、姉ふたりにその日のことを話している。

 唯「あげな校長なら、おらんほうがマシじゃが」
 由真「センコーなんてみんなそんなもんさ」
 結花「鈴懸けの術……唯、ちょっと」

 黙って二人の会話を聞いていた結花、大きな鈴を取り出して唯に渡す。

 結花「何かの役に立つかもしれないわ」
 唯「結花姉ちゃん……」
 由真「負けんじゃねーぞ」
 唯「うん! わち頑張る!」

 姉二人に励まされて、明るい笑顔を見せる唯。

 だが、翌日、唯が学校に来てみると、術をかけられた康子が屋上に立っていた。

 唯が止める暇もないまま、康子は飛び降りてしまう。

 唯「康子さん!」
 康子「高岡が……みんなをこれで……」

 銀色の小さな鈴を唯に託し、康子は息を引き取る。

 その頃、高岡は、任務の最後の仕上げに取り掛かろうとしていた。

 あらかじめ術をかけておいた数人の生徒を集め、手に手に火のついた松明を持たせ、

 高岡「いいな、生徒たちを扇動して暴動を起こすのだ。そして校舎に火を放て」

 唯、プロテクターを身に付け、スケバン刑事として高岡のところへ乗り込む。

 
 唯「星流学園1年B組風間唯、またの名を三代目スケバン刑事、麻宮サキ!」
 高岡「桜の代紋?」
 唯「忍びの術で人をまやかし、日本を滅ぼそうなどと……このわちが許さん!」
 高岡「いや、何もそこまで考えてないんだけど……」
 唯「あ、そうなの?」

 途中から嘘だが、考えてないのはほんとだろう。

 高岡は、鈴を付けた両手を絶えず動かしながら唯を幻惑する。

 その隙に、鈴を投げ付けてダメージを与えるのだ。

 学園には、いつの間にか結花と由真も来ており、松明を持って火を付けようとする生徒たちを倒し、未然に火災を防ぐ。

 唯、高岡の手の動きを見ているうちに、依田が冒頭で見せた、本を棚に並べる動きを思い出す。

 唯(あの動きは……まさか……けんど、やってみよう)

 
 唯、一か八か、結花からもらった大きな鈴を取り出し、依田の手の動きを再現するように左右に振って鳴らしてみる。

 一応、依田の特訓が役に立ったと言うことなんだろうけど、はっきり言ってわかりにくい。

 別にあの動きでやらなくても、大きな鈴を鳴らして高岡の鈴の音を消せば勝てたと思うんだよね。

 とにかく、唯は高岡の術を破る。

 が、今回も敵は唯たちに捕まる前に煙幕を張って姿を消してしまい、不完全燃焼の結末となる。

 唯、友達になれたと思った康子も救えず、その顔には勝利の喜びは微塵もない。

 
 翔「開平高校の代わりに、そちが滅んで見せてくれりょ」

 だが、高岡の方も、翔の前に戻ってきたところを翔の命を受けたオトヒとミヨズによって処刑される。

 しかし、「忍びの掟」か何か知らないが、一度失敗したくらいでどんどん部下を処刑していくゲドン方式では、天下は取れないと思うよ、翔ちゃん。

「スケバン刑事3 少女忍法帖伝奇」 第5話

2024-03-24 20:02:53 | スケバン刑事3 少女忍法帖伝奇

 第5話「打ち破れ!魔のケン玉殺法」(11月27日)

 夜の繁華街。

 とあるビルの屋上で、中井哲夫と言う少年が、数人の不良学生たちにカツアゲされていたが、赤いケン玉を取り出すと、

 哲夫「僕は死神小僧だ! ツバメ返し! 回転飛行機!」

 哲夫は、次々と高度な技を披露する。

 哲夫「お前らなんかもう怖くはない、天誅だ!」

 哲夫はスケバン刑事のヨーヨーの如く、ケン玉を巧みに操り、屈強な不良たちをあっという間にぶちのめすのだった。

 一方、唯は新しい高校にすっかり馴染んでゴロウたちと楽しくじゃれていたが、スケバン刑事としての指令が投げ文で届けられる。

 唯、指定された音楽室へ行くと、待っていたのは礼亜だった。

 唯「あんた、図書室のお姉さん?」
 礼亜「暗闇指令代理、礼亜」
 唯「そうか、あんたが……」
 礼亜「指令を伝えます。死神小僧と名乗る少年に会いなさい……」

 その死神小僧こと哲夫は、その後も街の不良たちに手当たり次第に制裁を加えていた。

 神社の境内で暴れている死神小僧の前に早くも唯が姿を見せる。

 
 唯「死神小僧、おぬし、忍びの術を使うげな。どこで習うた?」
 哲夫「お前も忍び?」
 唯「どうかの~」

 唯、哲夫の投じたケン玉をヨーヨーで弾き返し、得意の鼻の下コスコス。

 小競り合いになるが、なにしろ街中である。すぐ警官が駆けつけ、二人は仲良く補導される。

 すぐに結花と由真が唯の身柄を引き取りに来る。

 
 由真「呆れたねえ、ゴロ巻いてマッポに捕まるたぁ、てめえそれでもいっぱしのスケバンかよ!」
 警官「おいおい、君ぃ」
 結花「ご迷惑をお掛けしました」

 警官が目の前にいるのに、マッポとか言っちゃう天然の由真さん。

 三人の中では最も常識人の結花が礼儀正しく頭を下げる。

 哲夫も警官に付き添われて廊下へ出てくる。

 唯「中井哲夫って言うっちゃね、母ちゃんと二人きりなんか? もし寂しかったら遊びに来てええぞ」

 哲夫の背中に親しげに言葉を掛ける唯。

 
 無言で行こうとする哲夫を、結花が「待って」と呼び止め、手の横の傷にハンカチを巻いてやる。

 これが後の伏線になっているのだが、ちょっと不自然な感じがする。

 哲夫、結局何も言わずに行ってしまう。

 由真「なんだあのヤロー、姉貴がせっかく……」
 唯「照れちょるんじゃ、かわいいとこあるのう、あいつも」

 顔を見合わせて微笑む三人。ちょっと前までの刺々しさが嘘のように仲が良い。

 そんな三人に「風間さん!」と、小坂先生の声が鞭のように飛んでくる。

 警察から連絡を受けてやってきた教師たちに改めて説教される唯たち。

 
 教師「お前たちは我が校の恥だ。風間結花、今度の西関東の統一模試、やめたらどうだ。私はねえ、いくら成績が良くてもお前のような不良にはテストを受けて欲しくないんだ。空気が乱れる」

 右端の男性教師を演じているのは、特撮モノの悪役の声などでお馴染み、渡部猛さん。他の回でも出ているのかどうかは分からない。

 左端の女性教師が、準レギュラー(と言うほど出番はないが)の小坂先生で、演じているのは紀ノ川瞳(松岡ふたみ)さん。「スカイライダー」のミス・キレーダね。

 唯「こんにゃろーっ!」

 教師の暴言に、唯や由真が思わず声を荒げるが、言われた当の結花が二人を制する。

 同行していた依田が、「唯君が起こした問題なんですから、僕が唯君にビシッと厳しい罰を与えます」と提案し、とりあえずその場を収める。

 依田が与えた罰は、学校の裏庭の一画を花壇にする為に耕せ、と言うものだった。

 ただし、

 
 使うのはこんな小さな移植ごてのみ。

 唯「こんなんでやっちょったら、一晩かかってしまおうがっ」
 依田「そっ、かかりますね」

 腹立たしそうに唇を噛んで依田を見る唯。

 依田「あれー、始める前から降参ですか」

 唯、仕方なく、しゃがんでスコップを動かし始める。

 
 依田「なんですかー、そんな上っ面だけ掘り返してー、深く掘んなさい、深く」
 唯「……」
 依田「そう、手首を使うんですよ」

 依田は笑いながらその場を立ち去る。

 唯は気付いていないが、これは4話のバケツの罰と同様、忍びとしての鍛錬になっているのだ。

 その頃、哲夫は自宅アパートの一室でベッドに寝転がって天井を見上げていた。

 その脳裏に、道場のようなところで彼にケン玉の術を仕込んでいる謎の人物の姿が甦る。

 天狗「恨め、全てをぶち壊せ、邪悪を友とせよ、死神小僧となり……」

 
 天狗「世界を滅ぼせっ!」

 さすがにケン玉で世界を滅ぼすのは無理だと思いますが……

 その夜の風間家。

 結花が模試に備えて勉強していると、ダンベルを手にした由真が顔を出す。

 由真「唯の奴、遅いねえ」
 結花「うん」
 由真「センコーの言うことなんて気にすることねえよ、試験受けなよね、姉貴は成績だって星流ナンバー1なんだから」
 結花「父さんが死んで、先生たちの態度変わったね。どうせ学費なんて払えないんだろうって目で見て……はっきりしてるねえ、世間は」
 由真「大学行きなよね、由真、働くから」
 結花「バカねえ、余計なこと考えるんじゃないの」

 言いながら、結花は机から離れて部屋を出て行こうとする。

 
 由真「何処行くの?」
 結花「唯を捜しに!」
 由真「よし、由真も行く!」

 ちょっと由真さん、スケバンと言うより、めっちゃ純朴そうな田舎の女子中学生みたいな顔になってますよ。

 唯はあれからひとりでずっとスコップを動かし、荒れ地を掘り返し続けていた。

 ふと、手を休め、汚れた手を見詰めてつらそうな表情になる。

 その背後に、ふらっと般若おじさんが立つ。

 
 般若「どうした、弱音を吐いて?」

 吐いてないと思いますが……

 唯「違うわい、姉ちゃんに済まんことしたちゅう思うて……たまらん悪口言われて……姉ちゃんかわいそうじゃ」

 唯、作業のつらさにではなく、昼間の教師の心ない言葉に傷ついたであろう結花の心情を思いやって涙ぐんでいたのだ。

 般若「教師たちが憎いか?」
 唯「わからん、じゃけんど、東京の学校はなんか変じゃ、なんかまちごうちょる」
 般若「教師たちの言葉に惑わされることはない! 自分を信じ、やりたいことをやり抜く! お前たちにはそれが絶対出来るのだ!」

 般若の力強い励ましを、ちょうど唯を探しに来た結花と由真も聞いていた。

 同時刻、哲夫は道場で天狗から受けた命令を思い返していた。

 
 天狗「関東統一模擬試験なるものが星流学園で開かれる。東大合格間違いなしと言われるエリートどもが集まってくると言う。こいつら、いずれ日本を管理する側に回り、お前たちを締め付け、飼い殺しにして行く連中だ。奴らを滅ぼせ、世の中を変えるんだ! その為の忍びだ。呪え、恨め! 全てをぶち壊せ!」

 天狗はずーっと面を付けているので顔は分からないが、声は一言聞いただけであの石橋雅史さんだとモロ分かり。ただし、実際に演じているのかどうかはわからない。

 ストーリーとは関係ないが、道場の壁にかかっている額の字が妙にヘタクソなのが気になる。

 
 管理人もあまり偉そうなことは言えないが、さすがにこれはひどい字だ。

 さて翌日、模擬試験を受ける為に、地区内の色んな高校から生徒たちが星流へやってくる。

 
 一方、唯は(学校の)林の中でヨーヨーの特訓を行っていた。

 浅香唯さん、最終話でも死ぬほど苦労していた1の斉藤由貴さんと違い、序盤からヨーヨーを使いこなして、身体能力の高さの片鱗がうかがえる。

 唯(手首の返しにこそ、極意は潜めり)

 唯、昨日のスコップで鍛えた手首のスナップを利かせつつ、腕ほどの太さの木の幹の一点にヨーヨーを集中的に投げ続け、遂には木をへし折ってしまう。

 哲夫や他の影たちが、屋上からロープを伝って試験会場となっている教室の窓へ取り付き、発炎筒のような物を投げ込んだ上、竹の楔で窓をロックしてしまう。

 が、哲夫は咳き込んで苦しむ生徒たちの中に、あの優しい結花の姿を見出し、窓を開けて彼らを助けようとする。

 哲夫「みんな、教室を出ろ。硫黄筒だ。亜硫酸ガスでやられちゃうぞ!」

 直後、その背中に何処からか飛んで来た矢が突き刺さり、哲夫はそのまま地面に落下する。

 矢を放ったのは、屋上にいた天狗男だった。

 
 唯「死神小僧? なんでこんげなバカな真似するんじゃっ」
 哲夫「僕はおちこぼれだ。賢い奴も強い奴もみんなが憎い。世の中をぶっ潰したかった」
 唯「アホじゃ、お前はアホじゃ!」

 少し遅れて結花も駆けつける。

 哲夫「ごめん、俺は……」
 結花「……」

 結花は瀕死の哲夫に優しく頷いて見せるのだった。

 哲夫、妖異流鬼能道場の天狗師範が今回の一件の黒幕だと告げ、息を引き取る(?)

 唯、静かな怒りを胸に秘め、完全武装でその道場へ乗り込む。

 門下生達を叩きのめした後、天狗師範が悠々姿を現わす。

 
 天狗「忍びの技を心得ておる、風魔か?」
 唯「風魔じゃ、そして同時に……」
 天狗「桜の代紋!」
 唯「三代目スケバン刑事・麻宮サキ! 人の世に邪悪をなす影の住人ども、許さんかいね!」

 唯と天狗の一騎打ち。

 天狗は、ケン玉に似た鎖分銅と言う武器を使う強敵であった。

 唯、ピンチに陥るが、そこへ頼もしい二人の姉が加勢に来る。

 
 由真「唯、なんだよそのへっぴり腰は?」
 結花「兄弟の仁義によって助太刀!」

 この辺から、由真の歌う挿入歌「ジレンマ」が流れ出す。この曲好きなんだよね。

 泣いてるとこはハダカより見られたくない、分からないの~♪

 ごめんね、性格悪くて、言葉が先に出ちゃうの~♪

 唯、特訓の成果を活かし、天狗師範の分銅をヨーヨーで撃砕する。

 しかし、ヨーヨーで天狗の面を割ると、その体が爆発を起こす。

 三人が駆け寄ると、いつの間にか天狗がバラバラの人形に変わっていた。変わり身の術である。

 天狗の声「むっはははははっ、今日のところはワシの負けだ。おぬしら三姉妹のことは覚えておく。次に会った時は殺す! むはははははははっ……」

 天狗師範はこの後、スペシャル版で再登場することになる。

「スケバン刑事3 少女忍法帖伝奇」 第4話 後編

2024-03-08 20:10:07 | スケバン刑事3 少女忍法帖伝奇

 第4話「決斗!!唯vs由真 わちは弱虫じゃなか」(1986年11月20日)
 の続きです。

 東京行きのトラックの荷台に便乗し、再び東京へ向かっている唯。

 その途中も、梨の詰まった重たい箱を親指だけで持ち上げると言う鍛錬にいそしむ。

 唯「勝つとは思うちょらん、けんど、姉ちゃんたちとたたこうて、最後まで立っておられたら、そん時は……うちはお前らの妹じゃちゅうて、胸を張って言える」

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 何を思ったか、突然、積み上げられた段ボール箱を壁にして、逆立ちをする唯。

 スカートを履いたアイドルがいきなりこういうことをするとドキッとするなぁ。

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 唯、親指を立てて体重を支え、鍛錬の成果を確認する。

 しかし、こういう芸当は、斉藤由貴さんや南野陽子さんにはまず無理だろうから、浅香唯さんの運動能力の高さは「3」における大きな武器になった筈である。

 さて、結花、授業中、ぼんやりと窓から校庭を見下ろしていると、いつの間にか唯の姿があった。

 一目散に教室を飛び出して駆け寄ると、ほぼ同時に由真も唯の前にやってくる。

 由真「バカヤロウ! ちょっといじめられたくらいで家出なんてしやがって! この弱虫!」

 由真、とりあえず唯をビンタして叱り付ける。

 唯、無言で由真を叩き返すと、

 唯「お前らに決闘を申し込む!」

 放課後かどうか知らないが、水門近くの河川敷で対決している唯と二人の姉。

 と言っても、実際に戦うのは由真だけで、結花は審判役に回る。

 結花「どっちかが相手の急所に一本決めたら勝負ありとするよ。それ以外はルールなし」

 二人の子分たちも見物していて、当然、みんな由真を応援するが、

 ヒデ「唯ちゃんガンバレ!」

 と、唯に声援を送る者もいた。

 PDVD_040.jpg
 距離を取って向かい合う両者。

 川を挟んだ向こう岸に、釣り糸を垂れている人がいたが……、

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 実はそれ、般若おじさんだったのだ。

 ……さすがにこんな格好で釣りしてたら通報されるだろう。

 その横に、身なりを変えた礼亜も降りてくる。

 役者が揃ったところで唯と由真のバトル開始。

 PDVD_045.jpg
 くるくる回転した後、ファイティングポーズを決める唯がカッコイイのである!

 無論、高度なアクションでは本職のスタントの手を借りているが、多くのアクションを女優さん自身が演じているので、シーン全体に説得力があるのである。

 結花(危ない、このままではどっちかが重傷を負うか、もっと悪くすれば……)

 礼亜も、「止めなければ」と思わず立ち上がるが、般若に「大事ない、見ておれ!」と制される。

 由真、唯のヨーヨーをリリアンのひとつに巻き付けて地面に打ち込んで封じると、「貰った!」と、唯に突進する。

 唯はヨーヨーを捨てると、

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 左右の親指をがっちり噛ませると、それで由真のリリアンをしっかり受け止め、あまつさえ金属製のリリアンをへし折ってしまう。

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 ついで、図書館で読んだあの技を由真に対して使う。

 親指で喉を打たれ、たまらず後退する由真。

 すかさず結花が「勝負あった」と戦いを止める。

 礼亜「活殺指頸拳!」
 般若「見事だ、唯」

 PDVD_056.jpg
 唯「勝った、由真姉ちゃんに勝った!」

 やっと唯の顔に笑みが戻るが、

 結花「これはほんとの勝負じゃない。由真に迷いがなければ、あんたは……」

 いや、由真が攻撃をためらうような素振り、全くなかったような気がするんですが……

 それでも唯は姉たちの顔を立てて、「わかっちょる! ほんでもわちは嬉しい」と応じるのだった。

 唯「姉ちゃん、これで認めてくれるじゃろ、わちは弱虫じゃない! わちは姉ちゃんらの妹じゃっ」

 結花と由真が何か言う前に、クマたちが駆け寄ってきて、唯の体を担いでその奮闘を讃えるのだった。

 般若「あっという間に異国の空の下に自分の居場所を見付けたな、やはり天性の物を持っているのか!」

 由真はそれでもまだ唯を妹だと認めたくない風だったが、

 PDVD_059.jpg
 結花がこんな写真を由真に見せる。

 爆発した家の焼け跡から出てきた写真であった。幼い頃の結花と由真が雛人形と一緒に写っている写真だったが、結花はそれに写っている女雛と同じ物を唯が持っていることを由真に教えるのだった。

 結花「やっぱり唯はあたしたちの……」

 いつまでも唯を担いで「ワッショイワッショイ」騒いでいる爽やかな不良たちの姿を映しつつ、終わりです。

「スケバン刑事3 少女忍法帖伝奇」 第4話 前編

2024-03-08 19:55:38 | スケバン刑事3 少女忍法帖伝奇

 
 第4話「決斗!!唯vs由真 わちは弱虫じゃなか」(1986年11月20日)

 冒頭、

 唯「やっぱ朝の散歩は気持ちよか~、姉ちゃんば、あしたっからどうね?」
 結花「……さっさと支度して」

 早朝の散歩から帰ってきた唯、親しげに長姉・結花に話しかけるが、相変わらず素っ気無い返事しかかえってこない。

 
 唯「……」

 さすがに、一緒に暮らす人間から嫌われていると思うと、元気娘の唯の顔も曇ると言うものだ。

 それでも気を取り直して、2階で寝ている由真を起こしに行く。

 由真、目の前で爆死した父親のことを思い出し、布団の中で涙ぐんでいた。

 で、いつものように、朝っぱらからつかみ合いのマジ喧嘩を始める二人。

 キャットファイトマニアにとっては夢のような家庭である。

 しかも、唯と由真の様子がいかにもリアルで、もしかして、女優同士ほんとに仲が悪かったのではないかと……いえ、なんでもありません。

 
 三人の中では最も大人びている結花も、さすがにウンザリと言ったご様子。

 落ち着いて線香を上げると、

 結花「いい加減にしなさい!」

 例によって例の如く、結花に叱られると揃ってシュンとなる二人であった。

 結花「暗闇指令からこんな家まで貰ってしまって、今日からあたしたち、半端な覚悟じゃ暮らしていけないのよ!」

 由真と唯、神妙な顔で頷く。

 そう、うっかりしていたが、彼らの自宅は1話で綺麗さっぱり吹っ飛んでしまっていたのだ。

 ここは、お金持ちの暗闇指令(の組織)に、ポンとプレゼントされた新居なのである。

 生活費の方は、まぁ、貯金とか小太郎の生命保険とかで賄っているのだろう。

 さて、その日は唯にとってはじめての登校日であった。結花たちも、爆破事件があってから最初の通学である。

 彼らが通うのは「星流学園高等学校」と言う高校。

 結花と由真が門をくぐるなり、不良っぽい生徒たちが二人の前に列を作って挨拶する。

 クマ「この度は飛んだ事件で……誠にその、ご愁傷様です」
 結花「ありがとう」
 由真「でもみんな、変に気なんか使って鬱陶しくするんじゃねえぞーっ」
 クマ「オッス」

 由真はこの学園の総番であり、結花は裏番なのだ。

 
 その後から、威勢良く唯が不良たちの中へ踊り込む。

 唯「さっすがー、大した貫禄じゃ。そういうことじゃ、よろしゅう頼むきに……今日から転校して来たんじゃ、九州にその人ありと言われた大スケバン風間唯、これから可愛がってやるきに」
 ゴロウ「なんだとチビ!」
 唯「チビ? わちはな、そこの風間結花と由真の妹、スケバン三姉妹と呼んじょくれ」
 クマ「姉御、ほんとですかい?」
 由真「そんな奴知らないよ!」

 薄情な姉たちは、ニヤッと笑いながらさっさと行こうとする。

 唯、クマたちに取り囲まれてフクロ叩きにされそうになるが、

 
 依田「待ちたまえ、今日から赴任してきた依田です。君たち、暴力はいけませんねえ、暴力はバツですよ」

 爽やかに現れて止めに入ったのが、故・萩原流行さん演じる英語教師・依田であった。

 ちなみに依田(よだ)は、「スターウォーズ」のヨーダから来ている。

 依田「番格、星流のクマこと山田熊之介君ですね。裏番、折鶴の結花こと風間結花くん、総番、リリアンの由真こと風間由真くん、君たちぃ英雄気取りだそうですね。でも弱い者を救う番長グループを自称していても番長グループは番長グループです。僕はこの学園にそういうものの存在は認めかねますね。その辺のところをひとつよろしく……」

 依田、物腰はとても穏やかだが、実はとても厳しい教師なのだ。

 結花「依田先生とか言ったね、覚えておくよ」

 結花は大人しくその場を離れるが、由真は妙に嬉しそうに「姉貴ぃ、良い男だね」と囁くのだった。

 そして、偶然……じゃないけど、唯のクラスは依田の担任する1年B組だった。

 
 新学期でもないのに、新任教師と転校生が一緒にやってくると言うのもアレだが、それぞれ黒板に名前を書いて自己紹介する。

 唯の、アホみたいにでかい文字がいかにも彼女のキャラクターにマッチしている。

 唯は空いた席に座ろうとするが、すぐ近くにさっきの不良たちの中にいたゴロウとヒデがいて、早速唯の席に悪戯を仕掛けていた。

 唯、カッとなって二人に殴りかかって大暴れするが、依田がチョークを投げて唯の延髄にヒットさせ、一瞬だけ気絶させる。

 依田「暴力は許さんと言ってるそばからこれだから……廊下に立ってて貰いますよ」
 唯「仕掛けたのはこいつらじゃ」
 依田「ほう、人のせいにするんですか、私はそう言うのは認めません」

 依田は唯のセーラー服の襟を掴んで猫でも扱うように廊下へ連れて行く。

 
 水のたっぷり入ったバケツを両手で持たせて廊下に立たせると言う、由緒正しい罰を与える依田であったが、普通に持つのではなく、親指だけでバケツの重さを支えろとムチャを言う。

 依田「僕が良いと言うまで立ってて貰います……」

 負けん気の強い唯、歯を食い縛ってその罰に耐える。

 依田の方は、唯のことなど忘れたように、クラシック音楽をかけながら優雅に英語の授業をしていた。

 依田「こういう名曲を聞きながら勉強すると能率が上がるんです」

 結局依田は、唯をそのままにして授業を最後まで続けてしまう。

 しかもその後、唯を放置してそのまま引き揚げようとするので、

 ゴロウ「先生、指の関節いかれちゃうぜ」

 当の不良たちが見兼ねて依田に声を掛ける始末。

 依田「ずーっとそうやってんたんですか、案外正直なんですね~」

 依田に小馬鹿にされたように言われ、またまた頭に血が昇る唯。

 それでもその場で再び暴れることは堪えて、バケツをゴロウたちに押し付けて、憤然とその場を立ち去る。

 中庭に出て、「わちは負けん、負けんかいね、じいちゃん」と自分を鼓舞する唯。

 そんな孤独な唯の眼前に、ある建物が目に入る。校舎とは別に建てられている図書館であった。

 
 唯はなんとなく心を惹かれてその中へ入る。

 で、そこの司書をしているのが、暗闇指令の部下・礼亜なのだった。

 唯「あのー、忍者について書かれた本、ありませんかの?」
 礼亜「え?」
 唯「ないですわなー、ええんです」

 なんか、おっさんみたいな喋り方だな……

 唯は返事も聞かずに行こうとするが、「あるわよ」と優しく礼亜に言われて立ち止まる。

 その図書館の奥には、「忍術百科コーナー」と言う愉快なフロアがあって、関連する古文書や、忍者の様々な装備・道具まで展示されていた。

 普通の高校生なら怪しむところだが、田舎から出てきたばかりの唯は何の疑いも持たず、適当な本を取って熱心に読み耽る。

 
 唯「活殺指頸拳? さっきのバケツ、使える、使えるわい!」

 依田から食らった罰が、親指を鍛えて忍者の格闘技に使えることに気付き、目を輝かせる唯。

 唯が帰ったのを見て、すかさず礼亜は隠しボタンを押す。

 
 と、忍者関連の陳列ケースが、それこそ忍者屋敷のように壁ごとグルッと回転し、

 
 その後ろに引っ込んでいた普通の資料棚と入れ替わる。

 そう、そこは唯の為に……忍びの為に作られた隠し部屋だったのだ。

 昼休み、唯は屋上にたむろしている結花たち番長グループのところへ行き、その発見を教えようとするが、相変わらず姉たちは真冬の朝の便座のように冷たい。

 由真「しつこいねえ、少なくとも学校じゃ赤の他人なんだよ」
 唯「そんならわちをこの番長グループに入れてくんなっ」
 由真「うるさいね、弱虫はお断りだよ」

 唯、クマたちにまたフクロ叩きにされそうになる。

 
 ゴロウ「本当にいいんですか?」

 唯に好意的なゴロウが見兼ねて結花たちにお伺いを立てるが、二人は傍観を決め込む。

 クマに投げ飛ばされて床に突っ伏す唯、縋るような目を姉たちに向けるが、姉たちは背中を向けてベンチに座ったまま、こちらを見ようともしない。

 ここへ来て、さすがに唯の我慢も限界を越える。

 その小さな体でクマの体を持ち上げると、

 唯「そんなにわちが好かんのなら、いんじゃるわ。勝手にさらせーっ!」

 怒声と共に、クマの巨体を豪快に放り投げ、そのまま学校を飛び出してしまう。

 「いんじゃる」と言うのは、「帰ってやる」と言う意味である。

 と言う訳で、唯、貨物トラックの荷台に便乗し、宮崎へ帰ってしまう。

 唯「東京なんか、東京なんか二度と来んわい! あほたれーっ」

 その夜の風間家。

 
 由真は暢気に「ドラゴンボール」など見ているが、長女の結花はさすがに心配そうな様子であった。

 そう言えば、これは全くの偶然だが、今日、鳥山明先生が亡くなったのだった。

 ご冥福をお祈りします。

 唯、寺に戻ったはいいが、肝心の帯庵和尚の姿はなく、「ワシは旅に出る」などと書かれた掛軸が掛けてあるだけ。

 何という無責任な住職だろう。

 
 唯、ほんとに和尚と二人きりで生きてきたようで、他に会うべき人もおらず、孤独のつらさが身に沁みる。

 ……しかし、地元では普通に学校に通ってたんだから、友達くらいいそうなもんだけどね。

 唯「もうわちには、帰るところもない……行くところもない」

 目に涙を溜めて、池の畔にしゃがんでいる唯。

 だが、水面を見詰めているうちに、和尚から言われた「忍びとは刃の下に心を置いて耐ゆることなり」と言う一句を思い出すと、急に立ち上がり、凛然と踵を返して再び東京へ向かうのだった。

 後編に続く。

「スケバン刑事3 少女忍法帖伝奇」 第3話

2024-02-16 19:41:10 | スケバン刑事3 少女忍法帖伝奇

 第3話「動きはじめた影!三代目の一番手柄」(1986年11月13日)

 冒頭、原宿の、ナウなヤングたちが踊り狂っているとあるディスコ。

 何処からともなく白い煙が人の形のように立ち昇り、いつの間にか照明が消え、客たちが踊るのをやめてその場に崩れるように座り込む。

 その後に現れたのは、この場に似つかわしくない黒装束のザ・忍者であった。

 忍者「眠れ、我が子らよ、その心の奥深くに留めよ、目覚めしのち、今がことは忘れても、さだめの時来たればそれぞれにおいて動きあるべし……」

 忍者は眠ったように動かない女の子たちの髪を掴んで立ち上がらせながら、そんなことを語りかける。

 OPタイトル後、

 
 暗闇指令が自分のオフィスに三人を呼びつけ、最近発生した事故について説明している。

 暗闇「高校生のバイクライダーが、高速道路上で暴走を始め、十数台の車やトラックを巻き込んだ大事故になった。死者は13人、重軽傷者は22人……こちらはガソリンスタンドの店員がいきなり自分の店に火を放った為に起きた大爆発事故だ。調査の結果、この14に及ぶ事件の原因を作ったものたちは、すべてがある一夜、同じですこに居合わせたことが判明した。般若、この先はお前が説明しろ」

 
 暗闇指令の言葉を受け、三人の師匠であり後見役である般若が、フツーに現れてフツーに説明する。

 般若「若者たちは全て特有の症状を示している。瞳孔の濁り……傀儡の術に操られておるのだっ」
 結花「傀儡の術?」
 般若「人操りの術、忍びの技の中でも恐るべき高度な技……恐らくですこの一夜、優れた術者が若者たちに術をかけたものと……」

 しかし、上司が「暗闇指令」&「般若」って……やな職場だなぁ。

 三人に与えられたスケバン刑事としての最初の使命は、その術者の正体を探り出すことであった。

 
 いつも元気一杯の唯は、「やるやる、そんなもん目じゃないわ! 三代目スケバン刑事の一番手柄、見てんやい!」とヨーヨーを突き出して見せるが、

 
 クールな二人の姉は唯を置いてさっさと行ってしまう。

 三人は早速原宿へ行き、捜査を開始するが、歩きながら些細なことですぐ喧嘩を始める唯と由真。

 長女の結花がいつものように止めに入るが、

 結花「私だって由真に負けず劣らず、父さんを死に追いやった原因のあんたが憎いんだ。これ以上あんたの顔を見ていたら、自分でもどうなるか分からないっ」

 と、由真以上に険しい目を向ける。

 
 唯「なんかーっ、父さんが死んだのはうちのせいと違うわいっ!」

 姉たちの背中に怒鳴り返すが、二人は振り向きもせずにさっさと行ってしまう。

 その場にしょんぼりと立ち尽くす唯の姿はいかにも哀れであった。

 しかしまぁ、実際、小太郎の爆死については詳しいことは何も分かってないのだから、唯にその責任を求めるのは公平に見て言い掛かり以外の何物でもない。

 むしろ、二人が唯を迎えに外出していた為、自宅の爆発に巻き込まれるのを免れたわけで、唯は命の恩人ってことになるんじゃないの?

 とにかく、結花と由真、唯はそれぞれ独自に情報を集めて原宿を歩き回る。

 休憩がてら、オープンカフェでそれぞれ得た情報を確認している結花と由真。

 二人とも、問題の夜に、黄色い煙を出す花火が打ち上げられたと言う目撃情報を掴んでいた。

 結花「由真、昔父さんにトビヒコのことを教えられたの覚えてない?」

 
 結花の言葉で、2話と同じく、二人が幼い頃の回想シーンが流れる。

 結花「私たちは単なる花火だと思ってたけど……」

 その時小太郎は、煙(火薬)の色によって意味することが違うのだと二人に教えてくれたのだ。

 赤……危険より身を守れ
 青……集合せよ
 黄……速やかに任務を遂行すべし

 結花「今思えば、あれは忍者の通信方法だったのかもしれない」
 由真「じゃあ、みんなが見たって言うのはその……炎の色は黄色だったと言うことは……任務を遂行しろと言う指令が忍者に出されたんだ」

 二人は、再び傀儡使いが動き出すときに打ち上げられるはずのトビヒコを見張ることにする。

 一方の唯、夜になるのを待って問題のディスコに正面から乗り込もうとするが……

 店員「中学生は困るよ」
 唯「うちは三代目スケバン刑事じゃ。捜査せんにゃならんのじゃ、いれちゃんさいっ!」

 唯の方言といでたちを見て、店員は無遠慮に大笑いする。

 だが、ちょうど近くにいた常連客らしい早苗と言う女性の口添えで、なんとか店内に潜り込むことが出来た。

 
 宮崎の田舎から出てきたばかりの唯にとっては、そこは全く理解しがたい場所だった。

 唯「うわー、なんやこの音はー」
 早苗「あんたほんとにディスコ初めてなの?」
 唯「こんげやかましいとこで、ゆーらゆーら体ゆすぶって、なぁーんが楽しいとやー」

 唯の宮崎弁、台詞を聞き書きする管理人にとっては地獄である。

 早苗は唯のキャラを面白がって、たちまち仲良くなる。

 その早苗の世話で、客たちから話を聞くことが出来た。

 唯「なんでもええけ、気が付いたことがあったら教えちくり」

 地獄なのだが、この唯の台詞としゃべり方はめっちゃ可愛い。

 唯は彼らから仕入れた情報を真に受けて、翌日、公園でたむろしている不良っぽい若者たちのところへやってくる。

 唯「おまんらのなかに捜しちょる忍者がおると聞いて来た、どいつか?」
 男「なぁに、寝惚けちょんだ、チビ」

 彼らはほんとに事件とは何の関係もないので、たちまち喧嘩腰となる。

 唯は、宮崎で大スケバンとして鳴らしていた時の調子で、力ずくで彼らの口を割ろうとするが、ヨーヨーをまったく使いこなせず、一方的にボコボコにされる。

 唯、気がつくと早苗の仕事場で横になっていた。

 
 唯「早苗さんが助けてくれたんかい」
 早苗「あんたって無茶な人ね~」
 唯「あっちゃ~、カッコ悪いとこ見られてしもうた」

 その後、一層打ち解けて互いの身の上話などする二人。

 早苗は、三島と言う売り出し中のファッションデザイナーの内弟子をしながら、一流デザイナーになる夢を持っていた。

 唯も、自分がスケバン刑事であること、姉二人もスケバン刑事であることなどを早苗に話す。

 早苗「あんたと、姉さん二人……」
 十郎「それだけ分かれば十分だっ」

 突然男の声がして、蜘蛛の糸のように飛んで来たロープが、唯の体に巻きついて自由を奪う。

 十郎「三島秀雄こと、忍者・音羽の十郎、お前のようなオッチョコチョイを差し向けてくるとは……」

 そう、早苗も「影」の一味で、唯のことをさりげなく探っていたのだ。

 十郎はその場で唯を始末しようとするが、ちょうどその時、夜空に黄色(と言うか緑色)の軌跡を描いてトビヒコが舞い上がる。

 十郎は唯の始末を早苗に任せ、操り人形と化した若者たちに、結花と由真を待ち受けて殺せと命じる。

 早苗は、しかし、唯と二人きりになると唯のいましめを解いてくれる。

 唯「なんで?」
 早苗「助けて、私、普通の高校生だった、陰星が出たあの夜までは……いきなり現れた音羽の十郎にお前は忍びの末裔だと言われて……掟に縛られて手先にされたの……でも、こんな恐ろしいことに手を貸すの、怖い」
 唯「じゃあ、お前もわちと同じか? 陰星かなんか知らんけど、人の運命を勝手に……許せんわい」
 早苗「私、抜けたい」
 唯「分かった、まかしやっ」

 一方、十郎はまた別の若者たちに「身も心も解放してリズムに身を任せた若者ども、うぬらほど我が傀儡の術を仕掛けるのに絶好のものはない。その心の底に我が声を聞け、そしてうぬらが身辺に混乱の毒を流すのだ!」と、術をかけていた。

 そこへ唯と早苗がそれを阻止せんと現れるが、早苗はあっさり十郎に殺されてしまう。
 
 怒りに燃える唯の額に、またあの梵字が浮かび上がる。

 唯「音羽の十郎、許さんかいね」

 
 唯は十郎を追って店の外へ出て、「三代目スケバン刑事・麻宮サキ! 人の世に邪悪をなす闇の住人ども、許さんかいねっ」と桜の代紋を示す。

 しかし、忍者にそんなもん見せてもなぁ……

 十郎「その腕、そのざまでようほざくわっ、死ね」

 スケバン刑事としてはまだ半人前以下の唯、まともに戦っていれば殺されていたと思われるが、そこへ結花と由真が加勢に来る。

 3対1の戦いとなるが、そこでも唯は使いこなせないヨーヨーを味方に当てたりして、邪魔者扱いされる。

 それでも「わちは、わちは、早苗の仇をとらにゃいかんのじゃ!」と気合を入れ直し、空に飛んだ十郎にヨーヨーをヒットさせる。

 姉二人の攻撃も食らい、陸橋の上から転落する十郎。だが、三人が駆けつけると、姿が消えていた。

 結花「あの傷で……」
 由真「凄い」
 結花「悔しいけど任務は失敗ね」
 唯「悔しい! わちは悔しい、わちは早苗を救えんじゃった、十郎を倒すこともできんかった……何がスケバン刑事じゃ、何が一番手柄じゃ」

 涙を流して悔しがる唯の肩に置いた手に、微かに力を込める結花であった。

 その後、十郎は、平安貴族の部屋みたいなアジトへ戻り、任務の失敗を報告していた。

 奥に鎮座している少女が、翔(林美穂)と言い、事実上の「影」の頭領である。

 ただし、途中までははっきりと顔も見せない。

 林美穂さんは、「スケバン刑事」で、サキ(斉藤由貴)の少女時代を演じていた人。

 
 翔「ミヨズ!」

 その左右に侍る美女。

 ミヨズを演じるのが屋敷かおりさんで、

 
 翔「オトヒメ! ……忘れたかえ、十郎、忍びの掟?」

 オトヒを演じるのが森村聡美さん。どちらもなかなかの美形である。

 ちなみにここではオトヒメと呼んでいるが、正しくはオトヒである。

 翔の指示を待つまでもなく、ミヨズとオトヒによって、十郎はあっさり始末される。

 それが忍者の掟なのだ!

 おまけ

 以前、「セーラー服反逆同盟」のホームページ用に、関連記事の掲載されている昔の雑誌などをたくさん集めていたのだが、その中の一冊(アクションカメラ1986年12月号)に、同時期に放送していたこの「スケバン刑事3」と比較して紹介した記事があった。

 そんなに大したことは書かれていないのだが、

 ・1話の爆破シーンは200万円かかった
 ・サキの使うヨーヨーは1つ400円
 ・ヨーヨーは1話で10個くらい壊れる

 などと言う制作サイドからの情報が貴重かもしれない。