第22話「三姉妹の未来は死!? 謎の女占い師登場」(1987年5月7日)
冒頭、ダイニングの姿見に自分の制服姿を映して、得意げに眺めている唯。

唯「今日から2年生、これからはアダルトしちゃろう」
もう5月なんですが……
ま、4月はだいぶ放送が飛んでるからねえ。
と、2階から由真がドタドタ降りてきて、「どけよー」と唯の体を突き飛ばす。

由真「今日から3年、決まってるね」
唯が激怒したのは言うまでもない。
唯「この野郎、可愛い妹ば突き飛ばしやがって!! 姉ちゃんの馬鹿力!!」
おかえしに由真の体を突き飛ばす。
由真「今日と言う今日はゆるさねえ、ケリつけてやる」
唯「そりゃこっちの台詞じゃ!!」
朝っぱらからヒートアップして、それぞれの武器を構えて睨み合う二人。
由真「一本勝負、行くよ」
唯「望むところじゃ」
緊張が高まるが、無論、その程度のことで本気で喧嘩をするほど子供ではなく、

唯「わち、ここ」
由真「勝負」
由真の投げた糸を「あみだくじ」に見立てて遊ぶ、お茶目な二人であった。
しかし、これで勝ち負けが決まったとして、それが何になるのだろう?
トイレの順番とか、何か競ってるのなら分かるのだが。
結花はそんな妹たちを尻目に姿見の前に立ち、
結花「今年もまた三年、決まってるのは私だけ、なんか虚しい台詞ねえ……」
留年してもう一年女子高生をやることになった結花、思わず溜息をつくのだった。
一方、テストも赤点もない影のアジトでは、

顔をベールで隠した宝珠翠(ほうじゅみどり)と言う女性が、翔の前に参上していた。
演じるのは、美人女優の山本みどりさん。
それなのに、ほとんど常に顔をベールで隠している時点で、この話、終わってる。

翔「占いのう」
翠「我が占術は人の未来を読みます、人は知ってはならぬものを知りたがるもの……そして自ら絶望に陥り、人の心に破滅の種を埋め、広め、しかも見事、あの風間三姉妹をも倒してご覧に入れましょう」

ミヨズ「三姉妹!!」

オトヒ「して、その未来は?」
改めて見ると、眉毛太いよなぁ。
翠ちゃんは、天使のような図柄が並んでいる半紙ほどのサイズの紙を取り出すと、それを宙に舞わせて火をつける。

翠「死」
翔「そりゃまあ、人間誰でも死ぬけどねえ」
翠「おだまり!!」
翠お姉様は、揚げ足を取る奴が大嫌いなのである!!
OP後、唯が張り切って新しい2年の教室に行くが、みんなは典子と言う女生徒の占いの話に夢中で、誰も気付いてくれない。
それでもヒデとゴロウが声を掛けてくる。

ゴロウ「唯ちゃん」
ヒデ「また一緒だね」
唯「なんじゃまた一緒か」
ヒデは占いの本を取り出し、
ヒデ「唯ちゃん、2月の戌年生まれだったよね」
唯「うん、そうだけど」
ヒデ「ゴロウ、読んでやれよ」
ゴロウ「はい、冬がやってきました、一切のものが衰え始めます。大殺界です。人に騙され自分が自分でなくなるでしょう、苦しみ抜きます」
不吉な予言をするゴロウたちであったが、偶然にも、今回の唯のことをピタリと言い当てていた。
そこへ1年から引き続き担任となった依田先生があらわれるのだが、小学校ならともかく、高校で担任が持ち上がりなんて、聞いたことがない。
タイトル表示後、唯が帰宅すると、三人それぞれに招待状が届いていた。

結花「あなたの未来を占って差し上げます、あなたにこの占いの正しさを信じていただくために」
由真「こんなの単なる新装開店案内じゃん、パチンコとかわんねえよ」
由真はつまらなそうに招待状を放り投げる。
しかし、唯が帰ったときは真昼だったのに、次のシーンでいきなり夕焼けっておかしいだろ。
結花「この頃妙に流行ってるけど、ま、占いなんてね」
唯「……」
姉たちは興味なさそうであったが、唯は地図の書かれた案内状を食い入るように見詰めていた。
翌日……かどうか知らんが、唯がその占い師がいるマンションの一室に行くと、こちらが何も言わないのに「風間唯さん、どうぞお入り下さい」とインターホンから声がする。
この時点で明らかに怪しいのだが、唯は全く怪しまない。
カーテンを閉め切って真っ暗にして、奇妙な彫像やらロウソクやらいかにもオカルティックなアイテムをごたごたと無秩序に置いた部屋で待っていたのは、無論、翠お姉様であった。
翠「よくいらっしゃまいしたね、風間唯さん、いいえ、サキさんとお呼びした方が良いかしら」
唯「なんでわちのことを?」
唯のコードネームまで知ってるのは、自分が影だと白状しているようなものだったが、引き続き、唯は全く怪しまない。
さすがにおかしくないか?

翠は例の紙を三枚取り出して宙に固定し、それを手も触れずに燃やしてみせる。
唯「ぶったまげた」

翠「私には人の過去が見える、勿論未来も……あなたは自分の未来を知りたがっている。そうね?」
唯「やっばりそうなんじゃろうか」
すでに術に掛かっているのか、唯は呆けたような顔でつぶやく。

翠の声「あなたは今日これから、何か事件か事故のようなものに巻き込まれるでしょう。そして夜には誰か身近なものにいわれのない非難を受けることになります……」
マンションを後にする唯の頭に、翠から告げられた占いがリフレインする。
唯「やっぱあほらしか」
考え込んでいた唯、お告げを振り切るようにつぶやいて横断歩道を歩き出すが、そこに車が突っ込んできて危うく轢かれそうになる。

続いてバイクが突っ込んでくるが、唯はジャンプしてかわしながら、ヨーヨーを飛ばしてバイクのマフラーに巻きつける。
着地して鎖を引っ張ると、マフラーが外れてバイクはそのまま走り去る。
まあ、その行動から見て、影の一味だったのだろうが、唯が、咄嗟にヨーヨーを投げつけたのは、いささかやりすぎだったように思う。
それが影であろうがなかろうが、走行中のバイクにチェーンを巻きつけるなど、ライダーにとっても唯にとっても極めて危険な行為だからである。
ここは普通に飛んでかわすだけで良かったように思う。
それはともかく、唯、さすがに影の関与に勘付いても良さそうであったが、相変わらず露ほども疑わない。
夜、由真は遅くなって帰ってくるが、妙に機嫌が悪い。

由真「メシ」
唯「……」
由真「わかんねえのかよ、メシって言ってんだろ」
結花「由真!!」
由真「姉貴には関係ねえよ」
唯「由真姉ちゃん、わち、なんか悪いことしたかいね」
由真「なんでもねえよ」
唯が直接聞くが、由真はそう言って2階に引っ込む。
結花「ほっときなさい、虫の居所でも悪いんでしょ」
これで、翠の占いは二つとも当たったことになるが、これは、同じく占ってもらいにきた由真に、唯の悪口を吹き込んだ結果だと思われる。
しかし、由真が同じ日に来なかったら、どうするもりだったのだろう?

翌日、屋上にさっきの典子と言う女子生徒がぼんやりした顔で立っていた。
投身自殺するつもりだったが、フェンスがヤケクソに高いので諦めたのかもしれない。
彼女が持っていた新聞が唯の目の前に落ちてくる。

それを拾い上げる時の唯の顔が妙に綺麗だと思いました。
新聞には、この頃、女子高生の飛び降り自殺が多発していると書いてあった。
放課後、唯は再びあのマンションに行く。

翠「お姉さんがあなたにつらく当たるのを、あなたはとても気にしている。そのお姉さんの名は由真」
唯「そうじゃ」
翠「そのことについて占う必要はないわ、あなたにつらく当たるのは彼女が昨日ここへ来たせい」
唯「由真姉ちゃんが来たと? 何を由真姉ちゃんは占ってもらったんじゃ」
翠「心に秘めた未来の夢、それが叶うかどうか」
唯「どんな夢ね」
翠「自分が果たすべき仕事が終わったら三人姉妹で小さな店を持ち、仲良く平和に暮らすこと」
唯「由真姉ちゃんがそんげな夢をもっちょったと?」
翠「けれどそれはあるもののために実現されないと出たわ」
唯「わちの、こと?」
翠「そう、あるものとはあなたのこと」
唯「なんでわちが由真姉ちゃんの夢ば打ち砕くと?」
翠「そのお姉さんばかりじゃない、もうひとりの姉にもあなたは災いとなるでしょう。それも遠い未来のことではないわ。近い将来、もっとも悪い災いを……」
唯「なんでじゃ」
翠「これからそれを占って差し上げます」
唯「いやじゃ、聞きとうない!!」
翠が例の紙を取り出して火の中に投じるが、唯はそう叫んで飛び出す。
唯、帰宅するが、奥から二人の笑い声が聞こえてきて、なんとなく入りづらい。
家を出てあてもなく歩き出すと、すぐ結花が追いかけてくる。

結花「どうしたの、唯、寂しそうな顔しちゃって」
唯「わちな、今日、あの占い行ってきたんじゃ」
結花「……」
唯「姉ちゃんらの未来、わちの……」
結花「実はね、私もあの占い行って来たの、昨日、こっそりね」
唯「結花姉ちゃんも?」
結花「そう、ズバッと言われたわ、多分唯と同じことをね、でも私、気にしてないわ、未来ってはっきりそこにあるわけじゃないでしょ。自分で切り開くものよ」
じゃあ、最初から行くなよ……
あと、なんで唯と同じことを言われたって言えるのだろう?
結花「たとえそれがどんな運命でもね。由真もきっとわかってくれるわ」
由真「結花姉ちゃん……」
結花の言葉に、やっと唯の顔に笑みが戻る。
……
いや、「未来は自分で切り開くもの」と言いつつ、それを「運命」と表現することに、何の矛盾も感じなかったのだろうか?
それに、三姉妹が揃って同じ日に占いに行ったと言うのも、不自然だよなぁ。
CM後、由真がひとりでマンションにやってくる。
由真「だいたい言うだけ言いやがってどうすりゃいいか教えないなんてひでーよな、それを聞くまで帰ってなんかやんねーから」
どうやら由真、解決策を聞き出すまで、タダで占い続けてもらうつもりらしい。
商売あがったりである。
一方、学校の図書館では、

結花「あの占い師、私たちのこと知り過ぎてる。ただの占いでそこまで分かるなんて何かおかしいわ」
般若「中国古占術・七星四余……紀元前三千年のバビロニアに生まれ、エジプト、インド、中国を渡り完成した、占術の究極、おそろしいほど当たるがゆえに絶望のあまりに自殺するものも……その一切の研究を禁じた時代もあった」
結花「物凄く腕のいいただの占い師、そう言うこと?」
般若「いや、お前たちの話からすればその占い師の使うものはある特徴を持っている。ゴケイ(五形?)、符、それらを一体何のために使うか分かるか?」
結花「……」
般若「芳山秘術」
結花「芳山秘術?」
般若「呪詛の法、すなわち、人を呪い、死に導く恐ろしい邪法だ」
結花「忍び?」
般若「うむ、それも、邪悪にとらえられしもの……影だ!!」
夜、唯がひとりで歩いている。
唯(わちの未来とわちはむきあっちゃる、わちの未来が本当に姉ちゃんらに災いをもたらすっちゅうなら、いんじゃる。どっか遠くひとりで二度と姉ちゃんらと会わんで)
なんで、そうなるのっ!!(欽ちゃん風)
何故、唯がそこまであの占いを絶対視するのか、それがわからない。
そして、「向き合う」と言う前向きな台詞のあとに、「いんじゃる」と言う真逆の台詞が飛び出したので、思わずコケそうになる管理人であった。
それはそれとして、ふと唯が視線を上げると、マンションの屋上に人がいるのが見えた。
もしやと思って行ってみると、果たして、それはクラスメイトの典子で、フェンスを乗り越えて飛び降り自殺をしようとしていた。

唯「典子さん」
典子「来ないで、お願い、死なせて」
唯「なんでじゃ」
典子「未来を知ってしまったから」
唯「……」

典子「恐ろしい未来を」
うむ、威風堂々たる大根である。
唯「あの占いのせいね」
典子「あの人の占いでもう何人もの人が死んだって私、聞いてた。おとついも絶望して死んだ人がいたわ」
典子の言葉に、唯はあの新聞記事のことを思い出す。
典子「だけど私、そんな話を聞いても自分は平気だって思ってた。でも、そうじゃなかった」
唯「わちも典子さんとおんなじじゃ、わちは最後まで聞く勇気もてんかった、じゃけん、今は違う、最後まで聞いちゃろう、そう思っちょる、今典子さんにわちはえらそうなことは言えん、未来を聞いたら典子さんと同じように思うかも知れん、でも……」
全く中身のない台詞を言いながら、唯はハンカチを半分に裂いて典子に飛びつき、その両腕を柵に結びつける。
唯「もしわちが絶望せんで戻れたら、典子さんに諦めるなって言える。死ぬのはそれからでも遅くないじゃろ」
いや、そもそもなんで占いで不吉なことを言われたくらいで自殺しようと思うのか、その辺がよくわからないのである。
唯の「死ぬのはそれからでも遅くない」と言う台詞も、なんかピントがずれてるし……
普通は「占いなんか信じたらいけん」とか、「今からあの占い師の化けの皮を剥がしてきちゃる」だよね。
再びあの部屋で翠と向き合っている唯。
今回の話、せっかく山本さんがゲストなのに、彼女がほぼこの暗い部屋の中にしか出て来ないと言うのが、シナリオの退屈さに拍車をかけていると思う。
ま、山本さんのスケジュールの都合もあったのだろうが……

翠「見えた、あなたたち姉妹を待ち受ける未来が……死!! あなたの戦いがもたらす姉妹のはじめの死は、そこに見えるもの……」
翠が視線を向けると、ベランダに面したカーテンが開き、そこに由真が立っていた。
しかし、占いの結果があまりに抽象的過ぎるよなぁ。日本語も変だし……
ますます、若い女の子たちが自殺したのが信じられなくなる。
唯「由真姉ちゃん!!」
翠「慌てることはない、あれは幻覚、だが、あなたが戦いを続ければあの娘に訪れるのは死、夢は破れ、心を打ち砕かれ、あなたを恨んで泣きながら悶え、死んで行くことになる」
唯「どうすればいいんじゃ、どうすれば」
翠「ひとり、あなたが死ねば、他の二人は助かる、それ以外に道はない」
唯「わちが死ねば……」
翠「あなたがその窓を開け、ベランダを飛び越えれば二人の姉に平和は蘇る。けれどあなたがそうする必要はない、あなたのために姉たちが死んだとしてもあなた自身は助かるかも知れないのだから」
翠さん、自分でナニ言ってるのかわかってます?
「それ以外に道はない」と言ったそばから、「必要はない」って、もう日本語めちゃくちゃである。
唯が、ふらふらとベランダの方に行こうとすると、そこに結花が飛び込んでくる。
結花「騙されちゃだめよ、由真は本物よ、この女は影!!」
……
今気付いたけど、由真を完全に操ってるのなら、さっさと由真を飛び降りさせれば良かったのでは?
ともあれ、翠が呪文を唱えると、結花の体がすっ飛んで由真と一緒に落ちていく。
これって、忍びと言うより、エスパーだよね。
しかも、ほとんど翔レベルの使い手である。
咄嗟に唯がヨーヨーを投げ、二人の体をチェーンで縛って何とか支える。

翠「よく踏み止まったわね、ほめてあげるわ。でも残念ながら私の占いは外れたことがない、その状態で戦えるかしら」

由真「もういいよ、唯、このままじゃ、お前がやられちまうよ」
ベランダの柵のようなところを掴んでいる二人。
うーん、それくらい自力で這い上がれそうなものだが……

唯「由真姉ちゃん……」
二人の体重を支える唯の右手にギリギリと鎖が食い込み、血が流れる。
結花「由真の言うとおりよ、唯、手を離して戦わなきゃ三人無駄死にするだけだわ」
由真「そうだよ、手を離せよ」
唯「……」
翠「手を離せ、運命には逆らえない」
唯「このヨーヨーは離すわけにはいかん、これはわちの心じゃ、わちには戦うために心は捨てられん、死んでも捨てん!!」
と、唯の額にカーンの梵字が浮かび上がる。
翠「風間三姉妹、すでにこの世での時は過ぎた、死と共に消えよ」
翠はあの紙を投げつけ、唯の体に何枚も張り付かせる。

唯「結花姉ちゃん、由真姉ちゃん、めぐりあえて、わちはほんとに幸せじゃった、わちは絶望せん、今が一番幸せじゃ」
姉と一緒なら自分が死ぬことも厭わない唯。
その姉妹愛は大変うるわしいが、般若や暗闇指令たちのメーワクも、少しは考えて頂きたい。
それに、自分たちが影と戦う宿命を背負っているのはずっと前から知ってるんだから、ここは、涙を飲んで姉たちを見捨て、戦うのが忍びとしてのつとめであろう。
つーか、そのチェーンを何処かに縛り付ければ済む話なのでは?
ともあれ、翠が唯を焼き殺そうとした瞬間、

唯の背後から、神々しい後光のような光が差す。
……
笑っちゃいけないシーンなんだろうけど、なんとなく笑ってしまうのは管理人だけかしら?
なんか、パチンコの予告演出みたいで。
あるいは、「ねるねるねるね」のCMを連想してしまうからだろうか。
ま、これは一応、大日如来のイメージなんだろうけどね。
翠「……」
その姿をあっけにとられたように見詰める翠。
と、何故か炎を消すと、ベールを外し、素顔を見せる。

やっばり山本さんは綺麗じゃ。
それなのに、素顔が見えるのが、この1カットだけなのは実に勿体無い。
部屋が明るくなると同時に、翠の姿は消えていた。

翠の声「あなたはもしかしたら、人々はおろか、影にとらわれたものたちをも救う救世主になるかもしれない。厳しく険しい道の彼方に素晴らしい未来をもたらすかもしれない。そんな日が来るかどうか、それはあなたたちの未来の選び方次第、私はそんなあなたたちを何処かで見守ることにする、もしもあの恐ろしい翔の手から逃れることが出来たなら……」
唯の持つ無限大の愛の力に打たれたのか、それとも、その類稀な予知能力で唯がこの世界を救うことを知ったのか、翠は途中で戦いを放棄したうえ、影からもトンズラしてしまうのだった。
まぁ、山本さんをただの悪役で終わらせたくなかった気持ちはわからないでもないが、かなり唐突だし、翠は実際に10人もの少女を死に追いやっているのだから、どうにも釈然としない結末である。
由真「早く引き揚げろよぉ」
結花「こら、救世主!!」
唯「ちぇっ、手ぇ離しときゃよかった」
結局、最後まで自分で何とかしようとはしない結花たちなのだった。
ラスト、唯たちは典子のところへ行き、その身を自由にする。
唯「典子さんとわちの未来、変えてきてもらったんじゃ、明日のことは誰にも分からん、そうじゃろ?」
典子「……」
唯「わからんじゃろ、あとで救世主のわちがよーく説明してやるかいね」
由真「お前、救世主って意味わかってんの」
唯「なんね、結花姉ちゃん?」

結花「人々を救う人」
唯「はー、するとわちは看護婦っちゅうわけじゃね」
由真「私ならともかく、お前になれるわけないだろ」
ピントの外れたボケをかます唯の頭を、これまたピントの外れたツッコミを入れながら殴る由真。
唯「いてー、なんか由真姉ちゃんなんか暴力看護婦の癖してからに」
由真「なんだよー」

結花「白衣の天使にふさわしいのは私だけね」
典子(前が見えん……)
二人がどつきあうのを見ながら、ご丁寧にピントの外れた台詞で締め括る結花。
とにかく、今回のシナリオ、最初から最後までピントが外れまくりであった。
冒頭、ダイニングの姿見に自分の制服姿を映して、得意げに眺めている唯。

唯「今日から2年生、これからはアダルトしちゃろう」
もう5月なんですが……
ま、4月はだいぶ放送が飛んでるからねえ。
と、2階から由真がドタドタ降りてきて、「どけよー」と唯の体を突き飛ばす。

由真「今日から3年、決まってるね」
唯が激怒したのは言うまでもない。
唯「この野郎、可愛い妹ば突き飛ばしやがって!! 姉ちゃんの馬鹿力!!」
おかえしに由真の体を突き飛ばす。
由真「今日と言う今日はゆるさねえ、ケリつけてやる」
唯「そりゃこっちの台詞じゃ!!」
朝っぱらからヒートアップして、それぞれの武器を構えて睨み合う二人。
由真「一本勝負、行くよ」
唯「望むところじゃ」
緊張が高まるが、無論、その程度のことで本気で喧嘩をするほど子供ではなく、

唯「わち、ここ」
由真「勝負」
由真の投げた糸を「あみだくじ」に見立てて遊ぶ、お茶目な二人であった。
しかし、これで勝ち負けが決まったとして、それが何になるのだろう?
トイレの順番とか、何か競ってるのなら分かるのだが。
結花はそんな妹たちを尻目に姿見の前に立ち、
結花「今年もまた三年、決まってるのは私だけ、なんか虚しい台詞ねえ……」
留年してもう一年女子高生をやることになった結花、思わず溜息をつくのだった。
一方、テストも赤点もない影のアジトでは、

顔をベールで隠した宝珠翠(ほうじゅみどり)と言う女性が、翔の前に参上していた。
演じるのは、美人女優の山本みどりさん。
それなのに、ほとんど常に顔をベールで隠している時点で、この話、終わってる。

翔「占いのう」
翠「我が占術は人の未来を読みます、人は知ってはならぬものを知りたがるもの……そして自ら絶望に陥り、人の心に破滅の種を埋め、広め、しかも見事、あの風間三姉妹をも倒してご覧に入れましょう」

ミヨズ「三姉妹!!」

オトヒ「して、その未来は?」
改めて見ると、眉毛太いよなぁ。
翠ちゃんは、天使のような図柄が並んでいる半紙ほどのサイズの紙を取り出すと、それを宙に舞わせて火をつける。

翠「死」
翔「そりゃまあ、人間誰でも死ぬけどねえ」
翠「おだまり!!」
翠お姉様は、揚げ足を取る奴が大嫌いなのである!!
OP後、唯が張り切って新しい2年の教室に行くが、みんなは典子と言う女生徒の占いの話に夢中で、誰も気付いてくれない。
それでもヒデとゴロウが声を掛けてくる。

ゴロウ「唯ちゃん」
ヒデ「また一緒だね」
唯「なんじゃまた一緒か」
ヒデは占いの本を取り出し、
ヒデ「唯ちゃん、2月の戌年生まれだったよね」
唯「うん、そうだけど」
ヒデ「ゴロウ、読んでやれよ」
ゴロウ「はい、冬がやってきました、一切のものが衰え始めます。大殺界です。人に騙され自分が自分でなくなるでしょう、苦しみ抜きます」
不吉な予言をするゴロウたちであったが、偶然にも、今回の唯のことをピタリと言い当てていた。
そこへ1年から引き続き担任となった依田先生があらわれるのだが、小学校ならともかく、高校で担任が持ち上がりなんて、聞いたことがない。
タイトル表示後、唯が帰宅すると、三人それぞれに招待状が届いていた。

結花「あなたの未来を占って差し上げます、あなたにこの占いの正しさを信じていただくために」
由真「こんなの単なる新装開店案内じゃん、パチンコとかわんねえよ」
由真はつまらなそうに招待状を放り投げる。
しかし、唯が帰ったときは真昼だったのに、次のシーンでいきなり夕焼けっておかしいだろ。
結花「この頃妙に流行ってるけど、ま、占いなんてね」
唯「……」
姉たちは興味なさそうであったが、唯は地図の書かれた案内状を食い入るように見詰めていた。
翌日……かどうか知らんが、唯がその占い師がいるマンションの一室に行くと、こちらが何も言わないのに「風間唯さん、どうぞお入り下さい」とインターホンから声がする。
この時点で明らかに怪しいのだが、唯は全く怪しまない。
カーテンを閉め切って真っ暗にして、奇妙な彫像やらロウソクやらいかにもオカルティックなアイテムをごたごたと無秩序に置いた部屋で待っていたのは、無論、翠お姉様であった。
翠「よくいらっしゃまいしたね、風間唯さん、いいえ、サキさんとお呼びした方が良いかしら」
唯「なんでわちのことを?」
唯のコードネームまで知ってるのは、自分が影だと白状しているようなものだったが、引き続き、唯は全く怪しまない。
さすがにおかしくないか?

翠は例の紙を三枚取り出して宙に固定し、それを手も触れずに燃やしてみせる。
唯「ぶったまげた」

翠「私には人の過去が見える、勿論未来も……あなたは自分の未来を知りたがっている。そうね?」
唯「やっばりそうなんじゃろうか」
すでに術に掛かっているのか、唯は呆けたような顔でつぶやく。

翠の声「あなたは今日これから、何か事件か事故のようなものに巻き込まれるでしょう。そして夜には誰か身近なものにいわれのない非難を受けることになります……」
マンションを後にする唯の頭に、翠から告げられた占いがリフレインする。
唯「やっぱあほらしか」
考え込んでいた唯、お告げを振り切るようにつぶやいて横断歩道を歩き出すが、そこに車が突っ込んできて危うく轢かれそうになる。

続いてバイクが突っ込んでくるが、唯はジャンプしてかわしながら、ヨーヨーを飛ばしてバイクのマフラーに巻きつける。
着地して鎖を引っ張ると、マフラーが外れてバイクはそのまま走り去る。
まあ、その行動から見て、影の一味だったのだろうが、唯が、咄嗟にヨーヨーを投げつけたのは、いささかやりすぎだったように思う。
それが影であろうがなかろうが、走行中のバイクにチェーンを巻きつけるなど、ライダーにとっても唯にとっても極めて危険な行為だからである。
ここは普通に飛んでかわすだけで良かったように思う。
それはともかく、唯、さすがに影の関与に勘付いても良さそうであったが、相変わらず露ほども疑わない。
夜、由真は遅くなって帰ってくるが、妙に機嫌が悪い。

由真「メシ」
唯「……」
由真「わかんねえのかよ、メシって言ってんだろ」
結花「由真!!」
由真「姉貴には関係ねえよ」
唯「由真姉ちゃん、わち、なんか悪いことしたかいね」
由真「なんでもねえよ」
唯が直接聞くが、由真はそう言って2階に引っ込む。
結花「ほっときなさい、虫の居所でも悪いんでしょ」
これで、翠の占いは二つとも当たったことになるが、これは、同じく占ってもらいにきた由真に、唯の悪口を吹き込んだ結果だと思われる。
しかし、由真が同じ日に来なかったら、どうするもりだったのだろう?

翌日、屋上にさっきの典子と言う女子生徒がぼんやりした顔で立っていた。
投身自殺するつもりだったが、フェンスがヤケクソに高いので諦めたのかもしれない。
彼女が持っていた新聞が唯の目の前に落ちてくる。

それを拾い上げる時の唯の顔が妙に綺麗だと思いました。
新聞には、この頃、女子高生の飛び降り自殺が多発していると書いてあった。
放課後、唯は再びあのマンションに行く。

翠「お姉さんがあなたにつらく当たるのを、あなたはとても気にしている。そのお姉さんの名は由真」
唯「そうじゃ」
翠「そのことについて占う必要はないわ、あなたにつらく当たるのは彼女が昨日ここへ来たせい」
唯「由真姉ちゃんが来たと? 何を由真姉ちゃんは占ってもらったんじゃ」
翠「心に秘めた未来の夢、それが叶うかどうか」
唯「どんな夢ね」
翠「自分が果たすべき仕事が終わったら三人姉妹で小さな店を持ち、仲良く平和に暮らすこと」
唯「由真姉ちゃんがそんげな夢をもっちょったと?」
翠「けれどそれはあるもののために実現されないと出たわ」
唯「わちの、こと?」
翠「そう、あるものとはあなたのこと」
唯「なんでわちが由真姉ちゃんの夢ば打ち砕くと?」
翠「そのお姉さんばかりじゃない、もうひとりの姉にもあなたは災いとなるでしょう。それも遠い未来のことではないわ。近い将来、もっとも悪い災いを……」
唯「なんでじゃ」
翠「これからそれを占って差し上げます」
唯「いやじゃ、聞きとうない!!」
翠が例の紙を取り出して火の中に投じるが、唯はそう叫んで飛び出す。
唯、帰宅するが、奥から二人の笑い声が聞こえてきて、なんとなく入りづらい。
家を出てあてもなく歩き出すと、すぐ結花が追いかけてくる。

結花「どうしたの、唯、寂しそうな顔しちゃって」
唯「わちな、今日、あの占い行ってきたんじゃ」
結花「……」
唯「姉ちゃんらの未来、わちの……」
結花「実はね、私もあの占い行って来たの、昨日、こっそりね」
唯「結花姉ちゃんも?」
結花「そう、ズバッと言われたわ、多分唯と同じことをね、でも私、気にしてないわ、未来ってはっきりそこにあるわけじゃないでしょ。自分で切り開くものよ」
じゃあ、最初から行くなよ……
あと、なんで唯と同じことを言われたって言えるのだろう?
結花「たとえそれがどんな運命でもね。由真もきっとわかってくれるわ」
由真「結花姉ちゃん……」
結花の言葉に、やっと唯の顔に笑みが戻る。
……
いや、「未来は自分で切り開くもの」と言いつつ、それを「運命」と表現することに、何の矛盾も感じなかったのだろうか?
それに、三姉妹が揃って同じ日に占いに行ったと言うのも、不自然だよなぁ。
CM後、由真がひとりでマンションにやってくる。
由真「だいたい言うだけ言いやがってどうすりゃいいか教えないなんてひでーよな、それを聞くまで帰ってなんかやんねーから」
どうやら由真、解決策を聞き出すまで、タダで占い続けてもらうつもりらしい。
商売あがったりである。
一方、学校の図書館では、

結花「あの占い師、私たちのこと知り過ぎてる。ただの占いでそこまで分かるなんて何かおかしいわ」
般若「中国古占術・七星四余……紀元前三千年のバビロニアに生まれ、エジプト、インド、中国を渡り完成した、占術の究極、おそろしいほど当たるがゆえに絶望のあまりに自殺するものも……その一切の研究を禁じた時代もあった」
結花「物凄く腕のいいただの占い師、そう言うこと?」
般若「いや、お前たちの話からすればその占い師の使うものはある特徴を持っている。ゴケイ(五形?)、符、それらを一体何のために使うか分かるか?」
結花「……」
般若「芳山秘術」
結花「芳山秘術?」
般若「呪詛の法、すなわち、人を呪い、死に導く恐ろしい邪法だ」
結花「忍び?」
般若「うむ、それも、邪悪にとらえられしもの……影だ!!」
夜、唯がひとりで歩いている。
唯(わちの未来とわちはむきあっちゃる、わちの未来が本当に姉ちゃんらに災いをもたらすっちゅうなら、いんじゃる。どっか遠くひとりで二度と姉ちゃんらと会わんで)
なんで、そうなるのっ!!(欽ちゃん風)
何故、唯がそこまであの占いを絶対視するのか、それがわからない。
そして、「向き合う」と言う前向きな台詞のあとに、「いんじゃる」と言う真逆の台詞が飛び出したので、思わずコケそうになる管理人であった。
それはそれとして、ふと唯が視線を上げると、マンションの屋上に人がいるのが見えた。
もしやと思って行ってみると、果たして、それはクラスメイトの典子で、フェンスを乗り越えて飛び降り自殺をしようとしていた。

唯「典子さん」
典子「来ないで、お願い、死なせて」
唯「なんでじゃ」
典子「未来を知ってしまったから」
唯「……」

典子「恐ろしい未来を」
うむ、威風堂々たる大根である。
唯「あの占いのせいね」
典子「あの人の占いでもう何人もの人が死んだって私、聞いてた。おとついも絶望して死んだ人がいたわ」
典子の言葉に、唯はあの新聞記事のことを思い出す。
典子「だけど私、そんな話を聞いても自分は平気だって思ってた。でも、そうじゃなかった」
唯「わちも典子さんとおんなじじゃ、わちは最後まで聞く勇気もてんかった、じゃけん、今は違う、最後まで聞いちゃろう、そう思っちょる、今典子さんにわちはえらそうなことは言えん、未来を聞いたら典子さんと同じように思うかも知れん、でも……」
全く中身のない台詞を言いながら、唯はハンカチを半分に裂いて典子に飛びつき、その両腕を柵に結びつける。
唯「もしわちが絶望せんで戻れたら、典子さんに諦めるなって言える。死ぬのはそれからでも遅くないじゃろ」
いや、そもそもなんで占いで不吉なことを言われたくらいで自殺しようと思うのか、その辺がよくわからないのである。
唯の「死ぬのはそれからでも遅くない」と言う台詞も、なんかピントがずれてるし……
普通は「占いなんか信じたらいけん」とか、「今からあの占い師の化けの皮を剥がしてきちゃる」だよね。
再びあの部屋で翠と向き合っている唯。
今回の話、せっかく山本さんがゲストなのに、彼女がほぼこの暗い部屋の中にしか出て来ないと言うのが、シナリオの退屈さに拍車をかけていると思う。
ま、山本さんのスケジュールの都合もあったのだろうが……

翠「見えた、あなたたち姉妹を待ち受ける未来が……死!! あなたの戦いがもたらす姉妹のはじめの死は、そこに見えるもの……」
翠が視線を向けると、ベランダに面したカーテンが開き、そこに由真が立っていた。
しかし、占いの結果があまりに抽象的過ぎるよなぁ。日本語も変だし……
ますます、若い女の子たちが自殺したのが信じられなくなる。
唯「由真姉ちゃん!!」
翠「慌てることはない、あれは幻覚、だが、あなたが戦いを続ければあの娘に訪れるのは死、夢は破れ、心を打ち砕かれ、あなたを恨んで泣きながら悶え、死んで行くことになる」
唯「どうすればいいんじゃ、どうすれば」
翠「ひとり、あなたが死ねば、他の二人は助かる、それ以外に道はない」
唯「わちが死ねば……」
翠「あなたがその窓を開け、ベランダを飛び越えれば二人の姉に平和は蘇る。けれどあなたがそうする必要はない、あなたのために姉たちが死んだとしてもあなた自身は助かるかも知れないのだから」
翠さん、自分でナニ言ってるのかわかってます?
「それ以外に道はない」と言ったそばから、「必要はない」って、もう日本語めちゃくちゃである。
唯が、ふらふらとベランダの方に行こうとすると、そこに結花が飛び込んでくる。
結花「騙されちゃだめよ、由真は本物よ、この女は影!!」
……
今気付いたけど、由真を完全に操ってるのなら、さっさと由真を飛び降りさせれば良かったのでは?
ともあれ、翠が呪文を唱えると、結花の体がすっ飛んで由真と一緒に落ちていく。
これって、忍びと言うより、エスパーだよね。
しかも、ほとんど翔レベルの使い手である。
咄嗟に唯がヨーヨーを投げ、二人の体をチェーンで縛って何とか支える。

翠「よく踏み止まったわね、ほめてあげるわ。でも残念ながら私の占いは外れたことがない、その状態で戦えるかしら」

由真「もういいよ、唯、このままじゃ、お前がやられちまうよ」
ベランダの柵のようなところを掴んでいる二人。
うーん、それくらい自力で這い上がれそうなものだが……

唯「由真姉ちゃん……」
二人の体重を支える唯の右手にギリギリと鎖が食い込み、血が流れる。
結花「由真の言うとおりよ、唯、手を離して戦わなきゃ三人無駄死にするだけだわ」
由真「そうだよ、手を離せよ」
唯「……」
翠「手を離せ、運命には逆らえない」
唯「このヨーヨーは離すわけにはいかん、これはわちの心じゃ、わちには戦うために心は捨てられん、死んでも捨てん!!」
と、唯の額にカーンの梵字が浮かび上がる。
翠「風間三姉妹、すでにこの世での時は過ぎた、死と共に消えよ」
翠はあの紙を投げつけ、唯の体に何枚も張り付かせる。

唯「結花姉ちゃん、由真姉ちゃん、めぐりあえて、わちはほんとに幸せじゃった、わちは絶望せん、今が一番幸せじゃ」
姉と一緒なら自分が死ぬことも厭わない唯。
その姉妹愛は大変うるわしいが、般若や暗闇指令たちのメーワクも、少しは考えて頂きたい。
それに、自分たちが影と戦う宿命を背負っているのはずっと前から知ってるんだから、ここは、涙を飲んで姉たちを見捨て、戦うのが忍びとしてのつとめであろう。
つーか、そのチェーンを何処かに縛り付ければ済む話なのでは?
ともあれ、翠が唯を焼き殺そうとした瞬間、

唯の背後から、神々しい後光のような光が差す。
……
笑っちゃいけないシーンなんだろうけど、なんとなく笑ってしまうのは管理人だけかしら?
なんか、パチンコの予告演出みたいで。
あるいは、「ねるねるねるね」のCMを連想してしまうからだろうか。
ま、これは一応、大日如来のイメージなんだろうけどね。
翠「……」
その姿をあっけにとられたように見詰める翠。
と、何故か炎を消すと、ベールを外し、素顔を見せる。

やっばり山本さんは綺麗じゃ。
それなのに、素顔が見えるのが、この1カットだけなのは実に勿体無い。
部屋が明るくなると同時に、翠の姿は消えていた。

翠の声「あなたはもしかしたら、人々はおろか、影にとらわれたものたちをも救う救世主になるかもしれない。厳しく険しい道の彼方に素晴らしい未来をもたらすかもしれない。そんな日が来るかどうか、それはあなたたちの未来の選び方次第、私はそんなあなたたちを何処かで見守ることにする、もしもあの恐ろしい翔の手から逃れることが出来たなら……」
唯の持つ無限大の愛の力に打たれたのか、それとも、その類稀な予知能力で唯がこの世界を救うことを知ったのか、翠は途中で戦いを放棄したうえ、影からもトンズラしてしまうのだった。
まぁ、山本さんをただの悪役で終わらせたくなかった気持ちはわからないでもないが、かなり唐突だし、翠は実際に10人もの少女を死に追いやっているのだから、どうにも釈然としない結末である。
由真「早く引き揚げろよぉ」
結花「こら、救世主!!」
唯「ちぇっ、手ぇ離しときゃよかった」
結局、最後まで自分で何とかしようとはしない結花たちなのだった。
ラスト、唯たちは典子のところへ行き、その身を自由にする。
唯「典子さんとわちの未来、変えてきてもらったんじゃ、明日のことは誰にも分からん、そうじゃろ?」
典子「……」
唯「わからんじゃろ、あとで救世主のわちがよーく説明してやるかいね」
由真「お前、救世主って意味わかってんの」
唯「なんね、結花姉ちゃん?」

結花「人々を救う人」
唯「はー、するとわちは看護婦っちゅうわけじゃね」
由真「私ならともかく、お前になれるわけないだろ」
ピントの外れたボケをかます唯の頭を、これまたピントの外れたツッコミを入れながら殴る由真。
唯「いてー、なんか由真姉ちゃんなんか暴力看護婦の癖してからに」
由真「なんだよー」

結花「白衣の天使にふさわしいのは私だけね」
典子(前が見えん……)
二人がどつきあうのを見ながら、ご丁寧にピントの外れた台詞で締め括る結花。
とにかく、今回のシナリオ、最初から最後までピントが外れまくりであった。