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私は猫になりたい

昔の特撮やドラマを紹介します。

「スケバン刑事3 少女忍法帖伝奇」 第26話「投げろ唯!! 逆転の新必殺ヨーヨー」

2025-01-21 19:05:53 | スケバン刑事3 少女忍法帖伝奇
 第26話「投げろ唯!! 逆転の新必殺ヨーヨー」(1987年6月11日)

 前回の続きから、目の前に父親そっくりの男があらわれ、ギョッとする結花と唯だったが、結花は目をつぶって精神を集中させ、「止観」を使う。

 
 結花「違う!! 父さんじゃない」
 般若「良くぞ見破った!! 風魔鬼組・弥助、お前たちの父・小太郎の影武者だった男だ」
 唯「影武者?」

 弥助は深々と一礼する。

 タイトル表示後、弥助が風間家に来ている。

 
 弥助「結花様、唯様、許してください、私が父上の身代わりに死ぬべきだったのです」
 唯「身代わり?」
 般若「影武者とは主人のために死ぬのが務め、そのためだけに生きているのだ」
 唯「そんげなこと」
 弥助「あのとき、私が小太郎様のそばを離れなければ……それを思いますと、悔しくて、どうしても結花様たちの前に出られませんでした」

 と言うのだが、小太郎は家と一緒に吹っ飛んでるんだから、弥助っちがそばにいても、結果は同じことだったろう。

 つーか、そもそも影武者って、高い身分の人間が使うもので、なんで一介の忍びが、影武者なんて使わなきゃならんのだ?

 それはともかく、無論、二人には弥助を恨む気持ちなど毛筋ほどもなかった。

 結花「父のことは気になさらないでください、仕方のないことです」
 弥助「いや、しかし……」
 唯「死ぬためだけに生きちょるなんて、そんげなこつおかしいわい」
 結花「弥助さん、由真に付き添ってあげてくれませんか」
 弥助「え」
 結花「あなたがそばにいたら、いえ、父さんがそばにいてくれたらあの子どんなに心強いか」

 翌日、学校の屋上で唯とかおるが話している。

 
 かおる「姉に唯さんのこと話したんです、とっても親切にしてくれたって……そしたら、是非お会いしたいって、今日、うちによっていただけませんか」
 唯「うん、別にいいけど」

 その様子を依田が物陰から見詰めていた……

 かおるの家はかなりのお金持ちのようで、広々とした日本庭園に、離れの茶室があるような由緒ありげなお屋敷だった。

 
 唯「立派なお屋敷やねえ、ふたりだけで住んじょると」
 牛頭「両親が亡くなったもので」

 亭主として茶を立てるかおるの姉は、無論、牛頭であった。

 唯、もの珍しそうに部屋の中を見回していたが、床の間に置いてある鏡に気付く。

 唯「うわー、ふるそうな鏡じゃ」
 かおる「うちの家宝なの、女が顔を映すととても綺麗に映るのよ、唯さんも映してみれば?」

 かおるが、口から出任せを言ってさりげなく唯に勧め、唯も顔を近付きかけるが、

 唯「わちゃいい」
 牛頭「そうね、唯さんは可愛いもの」

 内心舌打ちしながら、唯にお世辞を言う牛頭。

 もっとも、まだ唯の額に梵字が出ていない状態で鏡を覗かせても、あまり意味がなかったように思える。

 どうでもいいが、それを見て唯は即座に鏡と言うのだが、パッと見、皿にしか見えん。

 普通は、「あれなんね?」って聞くよね。

 唯は何の疑いも持たず、茶を喫しようとするが、横から何かが飛んできて茶碗を割る。

 見れば、庭に般若とその部下たちが立っていた。

 般若「外法衆、牛頭、馬頭!!」

 
 牛頭「要らぬ邪魔者が……」
 般若「要る邪魔者っています?」
 牛頭「おだまりっ!!!!」

 牛頭ちゃんは、揚げ足を取る奴が大嫌いなのである!!

 
 唯「お前たち、姉ちゃんをよくも、赦さん!!」

 唯、ヨーヨーを握り締めて叫ぶと、額に、牛頭姉妹が待ちに待った梵字が出現する。

 牛頭、すかさず鏡に映そうとするが、

 般若「唯!!」

 
 それより早く、般若が唯の陣鉢を投げて、その額に装着し、梵字を隠す。

 牛頭「なるほどのう、額の梵字、しかと見届けた」

 二人はどんでん返しになっている壁の向こうに消える。

 唯「待て」
 般若「追うな、唯」
 唯「なんでじゃ、せっかくあいつらがあらわれたとに」
 般若「今お前が戦っても勝てる相手ではない!!」

 その後、風間家で、結花と般若が話している。

 
 般若「外法衆に伝わる裏縫いの鏡、敵の魂を写し取り、殺すと言う恐ろしい武器だ。我ら風魔にとって体に浮かび上がる文字は魂なのだ」
 結花「なんで?」
 般若「いや、なんでと言われましても……」

 困っちゃうのである。

 しかし、実際、なんでそんな文字があるのか、何の説明もないんだよね。

 風魔の忍びは、生まれてすぐ、それぞれの宿星に応じた梵字の刺青を入れられるとかなんとか、そう言うことかしら?

 でも、唯のは明らかに生まれつきのものだよね。

 話を戻して、

 般若「今お前たちが牛頭馬頭と戦っても勝てる見込みはない、唯と二人、私の山に逃げろ」
 結花「でも、いずれは戦わなければならない相手なのでしょう」
 般若「しかし」
 結花「少し考えてさせてください」

 一方、由真は、二人の苦労も知らず、弥助の付き添いで入院生活をエンジョイしていた。

 結花が様子を見に行くと、由真は寝たまま、弥助にリンゴを食べさせてもらっていた。

 
 結花「あらあら、すっかり甘えちゃって……すいません」
 弥助「いいえ」
 由真「だって、弥助さん、マジでおやじさんみたいなんだもの」
 結花「そうね、怪我が治るまで思いっきり甘えるといいわ……よろしくお願いします」

 不意に結花が深々と頭を下げたので、弥助も由真も真顔になる。

 結花「じゃあね」
 由真「姉貴……」

 結花が廊下に出ると、弥助が追ってくる。

 
 弥助「結花様、いけません」
 結花「父が生きていたらやはりそう言ったでしょうか」
 弥助「……」
 結花「父ならどうしたと思いますか」
 弥助「小太郎様なら、あなたたちを守るために戦ったでしょう」
 結花「ありがとう」
 弥助「いや、しかし……」
 結花「由真に伝えて下さい、唯を頼むと」

 結花はそう言って立ち去る。

 そう、結花はひとりで牛頭姉妹と戦おうとしているのだ。

 その後、唯が由真のところにやってくる。

 
 唯「結花姉ちゃんどこにいったんじゃ」
 由真「知らねえよ」
 唯「もしかして結花姉ちゃん……なんでじゃ、なんでわちをのけものにするんじゃ」
 由真「そうじゃないよぉ、姉貴はお前を守るために行ったんだよ、おやじのかわりに……おやじが生きていたらこうするだろうって考えて」
 唯「いやじゃ、姉ちゃんを見殺しにしてまでわちは生き残りとぉなか、どこじゃ、どこで戦っちょるんじゃ、教えて、由真姉ちゃん」
 由真「姉貴は……」

 そこへ般若が入ってきて、

 般若「言ってはならん」
 唯「由真姉ちゃん」
 由真「姉貴は……」
 般若「由真!!」
 由真「矢板神社」

 ……

 いや、なんで知ってるの?

 あと、般若、「お願いだから、少しは言うこと聞いてっ!!」って、思ってたんじゃないかなぁ。

 その頃、結花は神社の境内で、牛頭と対峙していた。

 
 何を思ったか、制服の左袖を破り、自ら腕の梵字を露出させる結花。

 牛頭、「あざーっす!!」とばかりに鏡にそれを映そうとする。

 いや、夜なんだから、無理なのでわ?

 と、物陰から見守っていた弥助が飛び出す。

 
 弥助「いけません!!」
 結花「どいて、あの鏡さえ割れば」
 弥助「いけません」

 と、馬頭が出てきて、例の劇薬を振りまき、弥助の胸を焼く。

 弥助「ぐわぁああああーっ!!」

 弥助、悶絶して倒れる。

 結花「弥助さん!!」

 その隙に、牛頭が結花の梵字を写して針を刺す。

 結花「ああーっ!!」

 腕を走る激痛に、体を硬直させる結花。

 ……

 考えたら、胸や頭ならともかく、腕じゃあ死なないよね。

 この術、梵字のあるところを刺して殺すのか、梵字に宿った魂を刺して殺すのか、いまひとつその機序がわからない。

 そもそも、二人の実力なら、そんなものを使わずとも、普通に結花を倒せていたのではないかと思う。

 それはともかく、弥助、非常手段として、結花の梵字に太い釘のような武器を突き立てる。

 うーん、そんな過激なことをせずとも、梵字を隠せば良いのでは?

 この術は、梵字を写し続けないと無効みたいだから。

 CM後、般若と唯が神社に駆けつけると、結花がひとり倒れていた。

 
 唯「結花姉ちゃん、しっかりして」
 般若「これは……」
 弥助「それしか、助ける方法がなかったのです」

 横手から、弥助があらわれる。

 
 結花「弥助さん、ありがとう」
 弥助「結花様こそ魂を切り裂かれる痛みに、よく耐えて下さいました」
 結花「唯、あなたは般若の言うとおり、山へ……」

 結花はそれだけ言って気を失う。

 しかし、牛頭たちが、何故二人を殺さずに引き揚げたのか、謎である。

 唯「許さん、許さんぞ、牛頭馬頭!!」

 怒りを滾らせる唯だったが、突然、弥助の持っていた武器を奪い、自分の額を突こうとしたので、慌てて般若が止める。

 般若「バカモノ、何をする」
 唯「はなせ、わちも額の梵字を切って、あの二人と戦う、はなせーっ!!」
 般若「ええい、それほどの覚悟があるのなら、封魂の技を習得しろ」
 唯「封魂の技?」
 般若「魂を体から引き剥がし、生ける屍となって戦う技だ」
 弥助「般若様、あの技を得るには死を乗り越えるほどおそろしい修行をせねばなりません」
 般若「お前の父・小太郎も、その封魂の技をもって外法衆と戦った」

 と言うのだが、だったら、牛頭馬頭を倒してないとおかしいので、その設定は要らなかったと思う。

 第一、生ける屍になったら戦えんだろう。

 ここは、感情をコントロールして、梵字が出ないようにする……程度で良かっただろう。

 だいたい、般若もそうしたように、額を何かで隠せば簡単に防げる技なので、そこまでする必要はないし、そもそも、まともに戦ったら勝てない相手なんだから、その術を会得する前に、やることがあるだろうと思うのだ。

 それはともかく、唯は弥助と一緒に、人里離れた岩山に篭もることになる。

 
 唯「弥助さん、うちの父ちゃんてどんげなひとやったと」
 弥助「はぁ、忍びとしてだけではなく人間としても素晴らしい人でした。私たち忍びはたとえ親が死んだときでも泣くことは許されないのです。が、私の母が死んだとき、私を山奥に連れて行かれましてね」

 その時のことが回想される。

 
 小太郎「お前と俺は小さいときから一緒に育った仲だ、お前の母は俺の母でもある。ここまでくれば誰にも分からん、一緒に泣こう」
 弥助「小太郎様」
 小太郎「弥助」

 弥助は、たちまち嗚咽を漏らすが、それは母親の死を悲しむというより、小太郎の優しさに感激しているようにも見えた。

 
 弥助「う、うう……」
 小太郎「弥助」
 弥助「小太郎様……」(註1)

 註1……下書きではこの後、大変下品で幼稚なギャグを書いていたのだが、このブログの品位(そんなもんあるんか?)を落とすことになるので、カットした。

 しかし、なんで忍びは親が死んでも泣いちゃダメなの?

 その禁則に、業務上のメリットがあるの?

 あと、幼い頃から一緒に育った同士が、瓜二つの顔してるって、さすがに変じゃないか?

 二人は双子か、少なくとも血縁関係があると見るのが自然だろう。

 回想終わり。

 唯「優しい人やったんやね」

 弥助は無言で頷くと、

 弥助「さ、少し休んでおきましょう、明日からは地獄の苦しみを味わう修行です」

 弥助はそう言って囲炉裏にかけていた鍋を取って土間に降り、お湯をカップラーメンに注いでいたが、

 
 唯「弥助さん、わちのこと、唯って呼んでみて」

 その背中に、唯が恥ずかしそうにお願いする。

 唯「わち、父ちゃんと一度も話したことないかい……いや、やめちょこう、修行の前に甘えたらいかんかいね」

 唯、弥助の返事も聞かずに撤回し、己を戒めると、腕を枕にして横になる。

 弥助「唯……」

 その寂しげな後ろ姿を見ていた弥助は、思わずその名を口にする。

 
 唯「父ちゃん……」

 うーん、感動的といえば感動的だが、あまりに湿っぽいなぁ。

 翌日から「地獄の苦しみを味わう修行」とやらがはじまるが、二人がお寺の石段を上がり、洞穴を抜け、道なき道を進み、入り口に小さな鳥居のある洞窟に入った後、唯の悲鳴が何度か聞こえ、般若たちが護摩壇の前で九字を切る様子がネガポジ反転で映し出されるだけで、具体的に何をしていたのかさっぱり分からないまま修行は終わり、唯と弥助が洞窟から出て来るのだった。

 これを専門用語で「手ぇ抜くのもたいがいにしときや」と言います。

 でも、真面目な話、これはないよなぁ……

 いくら尺や予算に限りがあるとは言え。

 ともあれ、二人が山を下ってくると、般若たちがあらわれる。

 
 般若「三日間、よく耐えた」

 えっ、もう三日も経ってるの?

 うーん、三日間の修行を「きゃー」だけで片付けてしまうとは、どてらい奴だ。

 般若「ためさせてもらうぞ」

 般若の言葉に、望むところとばかり、唯が陣鉢を外す。

 般若、九字の印をテロップつきで結ぶと、

 

 
 般若「カーッ!!」

 物凄い、それこそ般若のような物凄い顔で叫ぶ。

 そう言えば、海覚上人も似たようなことをして梵字を浮かび上がらせていたが、そう言う術なのだろう。

 だが、それを真っ向から受け止めても、唯の額には何も浮かび上がらない。

 あ、管理人、今、梵字の代わりに「肉」と言う字が浮かび上がるというギャグが天啓のように閃きましたが、なかったことにします。

 般若「うむ」
 唯「牛頭馬頭はどこにおるんじゃ」
 般若「魔鏡ヶ原」
 唯「ようし」

 いよいよ決戦の時が来た。

 
 あおりで撮った唯の立ち姿が実に良い。

 ミニスカだったらなお良い。

 
 牛頭「どうした、陣鉢はつけぬのか」
 唯「あんげなものがなくても、お前らを倒す」

 前回も書いたが、二人が常に顔を隠しているのはつまらんなぁ。

 せめて、アクションシーンに入るまでは素顔を見せて欲しかった。

 唯「星流学園2年B組・風間唯、またの名を三代目スケバン刑事、麻宮サキ!!」
 牛頭&馬頭(知らんがな……)

 と言うのは嘘だが、3におけるこの名乗り、思いっきり空回りしてるよね。

 唯「世の中を悪に引き込む影の手先、牛頭・馬頭、お前ら許さん!!」

 バトル開始となるが、そもそも実力が桁違いの上、相手は二人である。

 全く歯が立たない。

 唯さん、

 唯(封魂の術なんかより、忍びの訓練するんやった……)

 と、後悔したとかしないとか。

 そう言えば、「生ける屍」になるとか言ってたけど、どこがやねん。

 
 馬頭「姉者、こやつ額の梵字を出さぬ気らしいぞ」
 牛頭「出さぬなら出さぬで良い」

 二人はなおも攻撃を加えるが、額に梵字は浮かばない。

 
 馬頭「早う梵字を出した方が、ぬしのためぞ」
 牛頭「嬲り殺すより、楽に死なせてやるぞ」
 唯「しゃからしか、ぐだぐだ言わんでかかって来い」

 牛頭の最初の台詞、術を使わずに殺すつもりなのかと思ったが、次の台詞では、また術にこだわっていて、いささか矛盾している。

 何度も言うように、これだけの実力を持っているのなら、普通に戦った方がもっと早く唯を仕留められたと思うんだよね。

 25話の飛燕との戦いだって、ガチンコでねじ伏せた上であの術を使ってるので、なんか無意味な気がするのだ。

 色々あって、二人は蹄鉄手裏剣で唯の手足を地面に打ち付けると、ジャンプして踏み潰そうとするが、

 
 弥助「ぐあっ」

 弥助が唯の上に覆い被さり、自分の背中で蹴りを受ける。

 弥助、唯の蹄鉄を外すと、

 
 爆弾(?)を手に二人に突進する。

 
 馬頭「姉者!!」

 咄嗟に、馬頭は姉の体を突き飛ばし、

 
 自分ひとりで立ち向かう。

 馬頭ちゃんが、悪人でも姉思いの優しい女の子だったことが分かって嬉しくなる管理人だったが、冷静に考えたら、別に弥助を待ち構えなくても、自分も逃げれば良いのでは?

 ま、爆弾持って追いかけてくるおっさんと、それから逃げ回っている女の子二人では、「絵」にならないからねえ。

 
 弥助と馬頭は、抱き合ったまま爆発する。

 小太郎は家と一緒に爆死。

 弥助は女の子と一緒に爆死。

 派手な点では共通している主従である。

 と言っても、二人とも原型は保っていて、唯が弥助に、牛頭が馬頭にそれぞれ駆け寄る。

 
 唯「弥助さん!!」
 弥助「これで小太郎様のそばに行けます、唯様が立派に戦っていると小太郎様に申し上げられます……唯様、必ず影を倒して下さい」
 唯「弥助さん……」

 弥助はそう言い残して息絶える。

 おそらく弥助は、死に場所を探していたのだろう。

 唯「こらえきれん、わちは、この怒り、わちは、わちはこらえきれーん!!」

 弥助の死に悲しみと怒りを爆発させた唯、とうとう額に梵字が出現する。

 ……

 修行の意味、ナッシング!!

 
 牛頭「死ぬ覚悟が出来たようだな」

 牛頭、立ち上がると、鏡に梵字を写して針を刺そうとする。

 ……

 うーん、相手を拘束しない限り、この方法で人を殺すのは無理じゃないかと……

 相手が動き回ってたら鏡に写すことなんて不可能なのだから。

 結局、最初に提示した疑問に撞着してしまうんだよね。

 相手を拘束しなければ使えない術ならば、使う意味がないのではないかと言う……

 たとえば、相手の持っている梵字を一度鏡に写せば、離れたところにいても相手を殺せるとか、そう言う術なら、使う意味があるんだけどね。

 それはともかく、唯は渾身の力でヨーヨーを投げ、それを空中で二つに割り、ひとつで鏡を砕き、もうひとつで牛頭の胸を打って、なんとかこの強敵を倒す。

 もっとも、この程度で人が死ぬわけがない。

 そう言えば、馬頭も死んだかどうか不明なんだよね。

 なので、馬頭ちゃんも実は生きていて、その後、更生してセントラルシティ署の刑事になったと言う妄想も可能なのである。

 だとすれば、洋子先輩のあの超人的な強さも納得できるし……

 ラスト、改めて三姉妹が墓参りをしている。

 
 結花「父さん、唯は立派に戦いました」
 由真「弥助さんが話してくれるから、楽しみにしてろよな、おやじ」
 唯「父ちゃん、わちは必ず、姉ちゃんたちと影を倒します」
 結花&由真(えっ、ワシらも倒されるの?)

 と言うのは嘘だが、管理人に小姑のような細かいツッコミを入れられないためにも、ここは、「姉ちゃんたちと一緒に影を倒します」or「姉ちゃんたちと力を合わせて影を倒します」のほうがモアベター。

 以上、色々と腑に落ちない点はあるが、過去最強の強敵との死闘を描いた力作であった。

「スケバン刑事3 少女忍法帖伝奇」 第25話「立ちつくす三姉妹! 生きていた父!?」

2025-01-13 19:21:32 | スケバン刑事3 少女忍法帖伝奇
 第25話「立ちつくす三姉妹! 生きていた父!?」(1987年6月4日)

 冒頭、ひとりの忍びが森の中を疾走している。

 と、その前に、編み笠に手甲脚絆、顔を布で隠した女があらわれ、激しい格闘の末、馬蹄形の手裏剣で、その体を木の幹に固定する。

 
 影の中でも有数の使い手、馬頭(めず)である。

 演じるのは、洋子先輩の榎田路子さんだが、せっかくの美貌を、その布で隠しているのは実に勿体無い話である。

 無論、アクションの際、男性スタントと入れ替わりやすくするための措置なのだが、だったらアクションシーン以外は布を外してほしかった。

 それはともかく、馬頭と全く同じ恰好をした、姉の牛頭(ごず)があらわれ、念入りに忍びの体を鎖で縛る。

 ついで、馬頭が竹筒に入れた劇薬を忍びの体にふりかけると、忍び装束が焼けて、胸の梵字が露出する。

 
 牛頭が、小さな銅鏡のようなものを取り出し、鏡にその梵字を写し、それを針で刺すと、忍びは呻き声を上げて息絶える。

 恐るべき妖術……と言いたいところだが、相手の体を拘束してるのなら、そんな七面倒臭いことをせずとも、直接針を刺せば良いのでは?

 それはともかく、二人は牛頭と馬頭の絵と梵字の書かれた紙を死体の上に残して立ち去る。
 
 OP後、由真が学校の屋上で寝ていると、ヒデがやってきて、

 
 ヒデ「由真姐御、起きて下さいよ」
 由真「なんだよー、うるせえなぁ」
 ヒデ「なんだよじゃないでしょ、お墓参り行くんでしょー」

 ヒデの言葉に由真は慌てて体を起こす。

 由真「やっべえ、授業が終わったら起こしに来いって言っただろう」
 ヒデ「だって何処で寝てんだか、わかんなかったんだもん」
 由真「姉貴たちは」
 ヒデ「先行っちゃいましたよ」

 由真は急いで階段を降りるが、

 
 人の気配を感じて振り向けば、なんと、死んだはずの父・小太郎が物陰からこちらをじっと見ているではないか。

 由真はすぐ追いかけるが、男は脱兎のごとく逃げ出す。

 由真「おやじ……おやじだ、あの時計……」

 由真、男の腕時計が、死んだ父親と同じものだと気付く。

 タイトル表示後、般若が部下からの報告にびっくらしている。

 般若「なに、地蔵組の飛燕が?」
 部下「はっ」

 部下は飛燕の死体の写真を見せるが、

 
 妙にセクシーだった。

 部下はあの紙切れも持参していた。

 
 般若は、そこに記されている梵字を見て、ますます厳しい顔になる。

 般若「次は水組の水天を狙うと言うことか」
 部下「はい、それで水天様が大至急お目にかかりたいと」
 般若「わかった、水天には至急行くと伝えろ」

 しかし、なんで牛頭馬頭姉妹は、水天の梵字を知っていたのだろう?

 と、般若はひとりで歩いている由真の姿を見かけ、依田先生の声で朗らかに話し掛ける。

 依田「バツですねえ、勉強もせずに街をうろついてばかり」
 由真「うるせえな、かまうなよ」
 依田「あれ、今日は三人でお墓参りに行くんだったんでしょう」
 由真「それどころじゃねーんだよ」

 由真、歩きかけたが立ち止まり、

 由真「般若よー、おやじ、生きてんじゃねえのか」
 依田「……」
 由真「死んでねえんじゃねえのか」
 依田「何を言ってるんだ?」

 由真の言葉に、たちまち般若の顔になる依田。

 コロコロと人格が変わって、せわしないお方だ。

 由真、振り向いて、

 由真「おやじ、生きてるんだろ」
 依田「……」
 由真「なぁ、そうだろ」
 依田「父上は亡くなった」

 一方、結花と唯は、いつまで経っても由真が来ないので、二人だけで線香を手向けていた。

 
 と、手を合わせる二人の後ろにも、あの男があらわれる。

 結花「唯、どうしたの」
 唯「うん、父ちゃんてどんげなひとやったとかなぁと思うて……こうやって手ぇあわせてちょっても、わち、父ちゃんのことなんも知らんかい」

 
 結花「そうね、そうだったわね……私たちが小さい時からあまりうちにいないひとだったわ、今考えるときっと影と戦ってたのね。でもうちにいるときはとっても優しかった。私と由真をキャンプや山登りに連れて行ってくれたわ。色んなことも教えてくれたわ」

 唯に父親のことを話しているうちに、結花の目から一筋の涙がこぼれる。

 それを見た唯は、悪いことでもしたように姉の体に飛びつく。

 
 唯「もういいよ、結花姉ちゃん、思い出させてごめん、わち、わち……」
 結花「ううん、あやまるのは私のほうよ、私には思い出があるけど、あんたには何もないんだもんね」

 二人は帰り支度をはじめるが、そこでやっと、結花があの男の存在に気付く。

 男は気付いてくれるのを待っていたかのように、すぐに背を向けて走り去る。

 一方、翔のアジト。

 
 牛頭「外法衆かしら、牛頭」

 
 馬頭「馬頭にございます」

 牛頭馬頭姉妹が、翔の前にかしこまっている。

 前記したように、せっかくのゲストヒロインだと言うのに、常時顔を布で覆わせているスタッフの正気を疑いたくなる管理人であった。

 翔「なかなかの使い手のようではないか」
 ミヨズ「はい、このふたり、風魔地蔵組・飛燕を倒したそうにございます」
 翔「ほお」
 馬頭「次は水組・水天を倒してご覧に入れまする」
 翔「頼もしいのう」
 牛頭「我ら外法衆は風魔を封じる秘術を受け継いでおりますゆえ」

 牛頭が、そう言ってあの鏡を取り出して見せる。

 
 翔「おお、それが噂に聞く鏡か」

 珍しく、感情をあらわにして驚く翔。

 牛頭「外法衆に伝わる、裏縫いの鏡」
 翔「オトヒ、筆と紙を持て」

 翔、紙にサラサラと何か書いて、オトヒに渡す。

 翔「見せてくりゃれ」

 
 そこに書かれていたのは、唯の額に浮かび上がるカーンの梵字であった。

 どうでもいいが、紙に「勝訴」とか書いてあったら面白いなぁと思いました。

 
 鏡に梵字を写した状態で、牛頭が銅鏡の裏側から針を刺すと、

 
 紙に書かれた梵字が赤く染まる。

 それを見て、

 
 翔「いや、紙から血が出るっておかしいやろっ!!」

 思わず関西弁で突っ込む翔であったが、嘘である。

 嘘だけど、おかしいのは事実である。

 翔「どうじゃ、水組の水天などより、その梵字を額に抱く娘を倒さぬか、その娘を倒さば、お前たちを影に集まるものどものかしらとして遇する、どうじゃ」
 牛頭「ありがたきお言葉」
 馬頭「姫様のご期待に沿うよう全力を持ってその娘、倒しまする」

 こうして、水天さんは命拾いしたわけだが、翔に「など」扱いされた上、顔も映して貰えずじまいだったのだから、キャラとしては、殺された飛燕よりみじめだったかもしれない。

 
 唯「ただいまー、由真姉ちゃん、なんでこんかったとー? どうしたと?」

 唯、帰ってくるなり由真を責めるが、由真がポロポロ泣いているのに気付いて驚く。

 唯「結花姉ちゃん、由真姉ちゃんが……」
 結花「どうしたの?」

 
 由真「姉貴、おやじが生きてる……見たんだよ、私、この目で見たんだ」
 唯「由真姉ちゃん」
 由真「見たんだよ、見たんだよ、姉貴ぃ!!」

 由真は繰り返し訴えると、結花の膝にしがみつき、頑是無い子供のように泣きじゃくる。

 夜、布団の中に入って、天井を見上げて考え込んでいる唯。

 
 唯(父ちゃんが生きちょるなんて、本当じゃろうか……もし、本当じゃったら)

 唯、横を見ると、

 
 こんなのがいた。

 唯「ぎゃあああああああああーっ!!」

 ……と言うのは嘘だが、夜中にこんなんと目が合ったら、かなり怖いよね。

 管理人、怖い話やホラー映画は平気なほうだが、こういう日本人形だけは苦手だ。

 無論、唯は恐れる色もなく雛人形を手に取り、

 唯「会いたか、会って話してみたかー」

 結花と由真もなかなか寝付けず、天井を見ながら話していた。

 
 由真「学校で、見かけたんだ」
 結花「……」
 由真「背中だけだったけど、でも、あの時計はおやじの時計だった。間違いないんだ」
 結花「私も、見たのよ、今日」
 由真「!!」
 結花「お墓のそばでやっぱり背中だけだったけど、父さんにそっくりだった」

 と言うのだが、映像だと、思いっきり相手の顔見てるんだけどね。

 由真は思わず起き上がり、

 由真「じゃあ、やっぱりおやじは生きてるんだね、死んでないんだね」
 結花「さあ、それはどうかな」
 由真「……」
 結花「あのときのことをもう一度思い出して見なさい」

 結花の言葉に、再び小太郎の爆死シーンを思い浮かべる由真。

 結花「あれは確かに父さんだった……」

 由真は声を立てずに涙を流す。

 結花も体を起こし、

 結花「死体だってあったのよ」
 由真「だって、姉貴だって今日……」
 結花「見たわ、だけど自信がないの、わたしにはあれが父さんだって言い切る自信が」
 由真「そんなぁ、おやじの背中、忘れたって言うのかよ」
 結花「覚えてるわ、はっきりと、今でもこの手に父さんの背中の温かさが蘇ってくるわ」
 由真「だったらどうして」
 結花「わからない、わからないけど、あの背中が父さんだって言い切る自信はないのよ。それにもし父さんが生きていたとしても、今まで私たちに何の連絡もないってことは何かワケがあるはずでしょ。そうだとしたら、私たち、このまま耐えていくより仕方ないんじゃないかなぁ。それにあれは私たちを惑わす、影の仕組んだ罠だってことも考えられるし」
 由真「そんな……もういい、もういいよ!!」

 あくまで冷静に物事を見ている結花の言葉に、由真は駄々っ子のように叫んで布団を被る。

 翌日、

 
 久しぶりに登場の小坂先生が、転入生の名前を黒板に書いている。

 久しぶりなんだから、小坂先生の美貌をしっかり見せて欲しかったのに、

 
 すぐにカメラが引いてしまう。

 ちくそう。

 小坂「依田先生がお休みなので、今日は私が転校生を紹介します、西村かおるさんです」

 
 かおる「西村かおると申します、どうぞよろしく」

 その代わり、その転校生と言うのが、女子高生に扮した馬頭ちゃんなのだった。

 つまり、ミス・キレーダと洋子先輩と言う、特撮ファン的にはなかなか嬉しい共演なのだった。

 ヒデ「きれーだなーっ!!」
 ゴロウ「な、そうだろ!!」

 かおるの美しさに、興奮気味に叫ぶ男子たち。

 小坂先生、「私だって、昔はミス・キレーダって呼ばれてたのに……」と、ちょっぴり悔しかったのではあるまいか。

 休み時間、かおるが屋上でぼんやりしていると、唯が抜き足差し足で忍び寄り、その背中を叩こうとするが、

 
 寸前で、気配に気付いたかおるが振り返る。

 いやぁ、やっぱ榎田さん、綺麗やわぁ。

 唯「……」

 その目付きの鋭さに、一瞬たじろぐ唯だったが、

 
 かおる「あ、風間さん」

 かおるはわざと明るい笑顔を見せる。

 
 唯「どんげしたと、こんげなところにひとりで」
 かおる「何だか、教室にいづらくて」
 唯「誰かいじめたと」
 かおる「そんなんじゃないんだけど」

 唯はポケットからアンパンを取り出し、二つに割って片方をかおるにあげる。

 かおる「唯さんて優しいのね」
 唯「そう見える? これでもわちはスケバン張っちょるとよ」
 かおる「え、ほんとに?」
 唯「うん、結花と由真ちゅう姉ちゃんたちがおると、わちと三人でスケバン三姉妹」

 
 かおる「まあ!! 親の顔が見てみたいわ
 唯「えっ?」
 かおる「えっ?」

 じゃなくて、

 かおる「まあ!!」
 唯「なんか困ったことがあったら言うてね」
 かおる「ありがとう」

 かおる、さりげなく唯の額を見るが、梵字は見えない。

 一方、結花は由真を学校の外に連れ出し、平手打ちを食らわす。

 由真「なんなんだよ、いきなり」
 結花「あんたがしっかりしないからよ!! いい? 父さんは死んだの、もうこの世にはいないの」
 由真「そんなぁ、だって姉貴も……」

 言い返そうとする由真の顔をさらにひっぱたく。

 
 由真「姉貴……」
 結花「私たちにはやらなくちゃいけないことがある筈でしょ!! しっかりしなさいよ!! あんたが分かるまで、何度でも叩くわよ」

 そこへ唯が走ってきて、結花に抱きつくようにしてやめさせようとする。

 由真「姉貴は、姉貴は冷てえよ!!」

 由真はそう言うと走り去る。

 唯「由真姉ちゃん!! ほんとじゃ、ほんとに結花姉ちゃんは冷たか!!」

 唯、腹に据え兼ねたように結花を罵るが、結花も泣いていることに気付き、言葉を失う。

 結花「私だって……私だって父さんのことは……でも」
 唯「結花姉ちゃん!!」

 結花もその場から駆け出す。
 
 
 その様子を物陰から見ているかおる。

 猫耳みたいなリボンが可愛いのである!!

 由真は学校を抜け出し、ひとり父の墓前に立つ。

 
 馬頭「どうする姉者」
 牛頭「唯の額の梵字、怒ったときにあらわれるそうな、ならば唯を怒らせて見るのも手かも知れん」

 今更だけど、いくら忍者だからって、別に時代劇っぽい喋り方する必要ないよね。

 二人は蹄鉄型の手裏剣を投げつけ、由真の体を地面に固定する。

 
 そして、フトモモの梵字を例の鏡に写して針を刺そうとするが、由真は自力で手裏剣を外して逃げ出す。

 今、勢いで梵字と書いたが、実際に鏡に写っているのは由真の上半身で、設定と矛盾してるような気がする。

 それはともかく、彼らは今までの刺客とは次元の違う使い手で、逃げようとした由真の背中に蹄鉄手裏剣をめり込ませる。

 思わずその場に倒れる由真。

 絶体絶命のピンチだったが、殺到する二人の足元で爆発が起きる。

 ついで、風魔の忍びたちがあらわれ、二人に向かってくる。

 アクションシーンになると、急に体つきがごつくなる牛頭馬頭姉妹、女とは思えない体術を発揮して、数で上回る風魔忍者と互角以上の戦いを演じる。

 その隙に、小太郎そっくりの男が、由真を背中におぶって、でっかいお尻を両手で支えながらその場から離脱する。

 
 由真「おやじ……助けてくれたんだね」

 由真、がっしりした背中のぬくもりに、懐かしい父親の存在を感じ、嬉しそうにつぶやきながら気を失う。

 その後、病院に収容された由真の元に、結花と唯が駆けつける。

 二人の声を聞いて、由真が目を覚ます。

 結花「なに、何か言いたいの?」
 由真「……」

 結花が酸素吸入器を外してやると、

 由真「おやじ、おやじが……」

 二人が振り向くと、奥から、あの小太郎そっくりの男があらわれる。

 結花「父さん!!」

 果たして、この男の正体は……と言う所で次回に続くのだった。

「スケバン刑事3 少女忍法帖伝奇」 第24話「わちは三代目を倒す! もう一人のサキ上京す」 後編

2024-12-29 19:20:32 | スケバン刑事3 少女忍法帖伝奇
 その後、やっと新子が事情を話してくれる。

 
 新子「うちのおじいちゃんは仏像を作る職人やったとです。若い時にこの不動明王を修理したことがあって、そのとき、この像の不思議な魅力に取り付かれたごとなってこっそりニセモノば、作ってしもうたとです」
 依田「本物は自分で隠し持ち、ニセものは寺に渡したと言うわけですね」
 新子「ばってん、すぐ返すつもりやったとです、それが、戦争が起きてこの不動明王が行方不明になってしもうて」
 依田「なるほど、返すに返せなくなってしまった」
 新子「おじいちゃん、ずっとくやんどったとです」
 唯「それであんたが美術館で本物とニセモノを摩り替えようとしたと?」
 新子「すみません、泥棒みたいなことを頼もうと思うたりして」
 唯「ふふ、気にせんでいいとよ、あんたに頼まれんでも、わちはあの美術館から像盗むつもりだったと」
 新子「え?」
 唯「ちょっと調べたいことがあってね……依田先生、本物を持ってきたかいね、ちゃんと調べちくり」

 
 依田はその像をあれこれ調べて、右腕を捻ると台の底の隠し蓋が開くことを突き止めるが、中は空だった。

 依田「残念ながら、私の見込み違いだったようですね」
 由真「じゃあ、その像はヴァジュラとは関係ないのか」
 結花「せっかく秘密が分かると思ったのに……」

 さすがに落胆を隠せない由真たち。

 だが、

 新子「あのー、うち、おじいちゃんに聞いたことがあります、そのなかになんか難しい字が書いてあるボロボロの紙切れが入っとったって」
 唯「じゃあ、その紙は?」
 依田「ニセモノに入ってるかも知れん」

 新子の言葉に、望みを繋ぐ唯たち。

 三姉妹と新子はある作戦を立てて、もう一度美術館へ。

 
 由真「だけど、ほんとにうまくいくのかよ、お前の計画で」
 唯「お正月でテレビでやっちょった映画で見たもん」

 結花と由真はあまり気乗りしない様子だったが、発案者の唯に拝み倒れ、結局決行することになる。

 ちなみに唯の言う映画とは、ヘプパーン主演の「おしゃれ泥棒」と思われる。

 あちらは、ヒロインが父親の贋作した絵を美術館から盗み出すと言う話だったが、そもそもこのエピソードは、その映画を元ネタにして作られたものであろう。

 ついでに言うと、当時のテレビジョンを見ると、実際、正月ごろに「おしゃれ泥棒」が放送されており、唯の台詞は、脚本家の実体験だったのかもしれない。

 さて、まずは由真が像の前に行き、手を振って、わざと警報装置を作動させる。

 
 警備員「君、何したんだ」
 由真「知らないよ、ここで見てたら警報が勝手に鳴り出したんだもん」
 警備員「嘘つけ、この像に触れようとしたんだろう」
 由真「知らないよ」
 警備員「とにかくちょっと来てもらおう」
 由真「なにすんだよ」

 由真も新子と同じく、警備員に引っ立てられる。

 結花「次は私か……」
 唯「ファイトファイト、頑張って」

 建物の外で待機していた結花、いかにも嫌そうだったが、唯に励まされて歩き出す。

 結花も由真と同じことをして、警備員のお世話になる。

 二人は館長室に連れて行かれ、館長直々に訊問される。

 
 館長「本当に何もしなかったのかね」
 結花「してません」
 由真「私だってしてないよ」
 結花「本当に勝手に警報が鳴り出したんです」

 館長を演じるのは、毎度お馴染み、入江正徳さん。

 しかし、学生証を見られたら、二人が姉妹だと言うことがばれてしまうので、共謀して何かを企んでいるのではないかと勘繰られるのではあるまいか?

 あ、まあ、幸か不幸か、結花は留年して由真と同じ学年なので、苗字が同じ他人だと言い抜けられるか。

 結花「警報装置、壊れてるんじゃないのかな」
 由真「スイッチ切っちゃえば」
 館長「いや、しかし、それは……」
 結花「他のお客さんも迷惑するんじゃないかな」
 由真「そうそう、スイッチ切った方がいいって」

 いかにも優柔不断そうな館長に、スイッチを切るよう促す二人。

 
 唯「もう一息じゃ、はようスイッチ切れ」

 実行役の唯と新子は窓の外に立ち、その様子をやきもきしながら見守っていた。

 つまり、警報装置をわざと何度も作動させることで、美術館側に警報装置を切らせるように仕向けると言う、唯にしてはクレバーな計略だったのだ。

 館長「警報装置に間違えがある筈ないんだ……仕方がないな、よし」

 館長は、迷いに迷った挙句、やっとスイッチを切るために立ち上がる。

 二人は飛び上がって喜ぶが、

 
 展示室に行くと、警報装置の代わりに警備員が常駐すると言う、当たり前と言えば当たり前の措置が取られていた。

 ……と思ったのだが、

 唯(くそう、まだ切っちょらんのか、やっぱり映画は映画じゃわ)

 依然、赤外線装置が作動していることを目視した唯が心の中で舌打ちするので、見てる方は混乱してしまう。

 つまり、館長の「仕方ない」は、警報装置を切ることではなく、警報装置はそのままに警備員を常駐させることを意味していたのだろう。

 でも、結花たちは、館長が警報装置を切るのをその目で見てから唯たちに合図してる筈なので、矛盾が生じてしまう。

 ……

 つーかさぁ、盗むんじゃなくて、本物と入れ替えるだけなら、警報装置は気にせず、素早く摩り替えれば済む話なのでは?

 監視カメラもないようだし……

 それはそれとして、唯は何食わぬ顔で、像の後ろにまわり、壁の説明文を読むふりをしていたが、

 
 唯(まぁ、もっかいやってみるか……)

 
 唯、背中を向けたまま、素早くヨーヨーを投げて、みたび警報装置を作動させる。

 警備員は反射的に唯を見るが、位置的に、唯には無理のように見えた。

 すぐに館長が来て、

 
 館長「またいたずらか」
 警備員「いえ、それが……やはり故障のようです」
 館長「しょうがないな、よし、この部屋のスイッチを切ろう。君たちは警報機を調べてくれ」
 警備員「はいっ」

 うーん、唯がいるのに、その場から全員いなくなるのは、さすがに不自然だよね。

 それはともかく、唯は制服の中に入れておいた本物の像と、展示されているニセモノを摩り替える。

 唯は喜び勇んで、外で待っていた姉たちのところへ戻る。

 唯「姉ちゃん、やったよ」
 由真「そっか」
 結花「新子ちゃんは?」
 唯「さっきここで待っちょるように言ったんじゃけど……おらんと?」
 新子「唯さーん!!」

 新子の声に振り向けば、源次たちが新子と共にあらわれる。

 
 源次「ご苦労だったな、はっはっはっはっ、貴様たちがそれほどまでにして摩り替えたその不動明王像、おとなしくわたしてもらおうか」

 源次は苦無の先を新子の喉に突きつける。

 新子「唯さーん!!」

 結花たちはファイティングポーズを取るが、

 唯「待って、姉ちゃんたち、わかった、渡すから新子を放しちくり」
 結花「唯!!」
 唯「ほら、欲しけりゃもってけ」

 唯、惜しげもなく像を放り投げるが、源次が像を受け取った一瞬の隙に、ヨーヨーを投げつけて新子を助ける。

 その後、三姉妹と忍者たちのバトルとなるが、不利と見たか、源次は退却を命じる。

 三姉妹の抹殺に固執せず、像の回収を優先させたあたり、なかなか優秀な忍びであった。

 
 由真「もう、逃げられちまったじゃないか」
 結花「せっかく苦労して手に入れたのにぃ」
 新子「唯さん」
 唯「心配なか、ほら」

 不満たらたらの姉たちに、唯は古ぼけた紙切れを取り出して見せる。

 そう、唯はすでにニセモノから、それを抜いていたのだ。

 唯「敵を欺くときは、まず味方からっちゅうじゃろ」
 由真「こいつぅ」

 ニセモノは取られたが、本物を無事返すことが出来たので、新子の願いは叶ったわけである。

 九州に帰る新子を、三人が見送っている。

 
 振り向いて笑う新子。

 唯「気が向いたらいつでも遊びにおいでね」
 新子「はい」
 結花「元気でね」
 由真「博多でしっかりスケバン張るのよ」
 新子「はい」

 
 新子「うち、唯さんみたいに強いスケバンになるよう頑張るけんね」

 
 唯「いかんいかん、スケバンなんかやめて、普通の女の子にならんと」
 新子「えっ?」
 唯「普通の女の子になっておじいちゃんを大切にしてやらんとね」

 ……って、ジジイ、まだ生きてるのかよっ!!

 しかし、「おじいちゃん、ずっとくやんどったとです」と言う台詞は、どう考えても故人のことだよね。

 由真「おーおー、かっこつけやがって」
 唯「なんか文句あると」
 由真「なんだよ、半人前の癖して」
 唯「なんてや、このどっかん」

 
 唯と由真の、いささか馴れ合い臭い口喧嘩を楽しそうに聞いている新子。

 結花「やめなさい!! 唯の言うとおりかもしれないわね、新子ちゃん、これからはおじいさんを大切にしてあげなくちゃね」
 新子「はい、どうも色々とお世話になりました」

 
 新子「ありがとうございました」

 もう一度礼を言って、歩き出す新子。

 いかん、キャプが止まらなくなってきた……

 残念ながら、新子はこれっきり登場しないのだが、宮崎さんには、是非次回作の「いづみ」にレギュラー出演して欲しかった。

 新子を送り出した後、唯たちは急いで自宅に戻る。

 自宅では、依田があの紙切れに書かれていた文を解読していた。

 唯「依田先生、わかったと」
 依田「うん……光と闇をわかつ剣、ここに封印す。天より光を受けしもの、再びこの剣を抜きてすべてをおさむる」
 結花「じゃ、ヴァジュラは剣だって言うの」
 唯「ここに封印すって、場所は何処じゃ」
 依田「残念ながら、あとは虫に食われて場所までは分かりませんね」
 由真「くっそぉ、防虫剤ぐらい入れとけよな」

 唯は、ヴァジュラが剣だとわかっただけで上出来だと言うが、それだけでは、文章に書いてある剣が、ヴァジュラってことにはならないのではあるまいか?

 一方、影のアジトでは、源ちゃんが小娘たちに叱られていた。

 
 ミヨズ「愚かものめが、ヴァジュラの秘密など、何もないではないか」
 源次「しかしやつらは、それを必死で……」
 翔「ふふふ、まぁよい」

 てっきり、源ちゃんを処刑するのかと思ったが、意外にも翔はあっさり赦す。

 ま、何しろ相手は仮面ライダーの中の人だから、翔も敬意を表したのだろう。

 翔の寛大な処置と言い、唯が腕力だけに頼らず事件を解決したことと言い、今回、善悪のヒロインが、それぞれ理知的な振る舞いを見せているのは好感が持てる。

 翔「ヴァジュラは必ずわらわの手に入ろうぞ、あの方の声がそうおっしゃっておるわ、ふっふっふっふっ」

 翔は謎めいた言葉を口にすると、像を床に放り投げる。

 
 その像がひとりでに立ったので、目を見開くミヨズたん。

 ついで、翔が目を青白く光らせると、像は木っ端微塵に砕け散るのだった。

 以上、いくつか突っ込みどころはあるが、ストーリーの面白さに加え、ゲストヒロインの可愛らしさを存分に堪能できる佳作であった。

「スケバン刑事3 少女忍法帖伝奇」 第24話「わちは三代目を倒す! もう一人のサキ上京す」 前編

2024-12-29 19:05:09 | スケバン刑事3 少女忍法帖伝奇
 第24話「わちは三代目を倒す! もう一人のサキ上京す」(1987年5月28日)

 のっけから、

 

 
 星流学園の前で、硬いナマの人参をその小さなお口で齧る、末頼もしいJC。

 下校時間と見えて、校門から次々生徒が吐き出されてくる。

 どうやら誰かを探しているようであったが、そこに由真があらわれ、しげしげとその風采を眺めていたが、唯が初めて九州から上京してきたときのことを思い出し、

 
 由真「ふふふふっ」

 
 新子「こらー、なんがおかしいとかー」
 由真「言葉までそっくり、あははははっ」

 少女は由真に駆け寄り、その胸倉を遠慮がちに掴む。

 少女、鳴門新子を演じるのは、宮崎織沙さん。

 管理人、久しぶりに彼女の顔を見て、どっかで見たことあるなぁと思ったら、

 
 1981年に放送された時代劇「幻之介世直し帖」のレギュラー捨松を演じた古城和孝さんに目付きが似てるのだった。

 あ、読者のみなさんは、ここで、「知るか!!」と吐き捨てましょう。

 新子「こら、きさん、ひとんこつそげんに笑うたら九州一の大スケバン風間唯が黙っとらんぞ」
 由真「ちょっと待ってよ、お前が風間唯だってのかよ」
 新子「うちは違う、ばってん、うちは風間唯の一の子分、鳴門新子って言うと」
 由真「一の子分? 本当にぃ?」
 新子「まだなっとらんが、いずれはそうなるつもりで博多から出て来たとぉ」

 新子、スケバンの割りに正直者と見え、由真が疑りぶかそうに確かめると、すぐほんとのことを話す。

 ついで、由真のまわりをぐるっと回って、その体を値踏みするように見て、

 
 新子「しかし、さすがやね、こんげなチンピラ姉ちゃんまで、風間唯のこと知っとるやなんて……こりゃどげんこつがあっても見付けんといかん」

 と言うのだが、由真はただ風間唯の名を聞いて、「Are you 風間唯?」と尋ねただけなのだから、由真が風間唯のことを知っていると決め付けるのは、ちょっと変である。

 それにしても、宮崎さん、スタイルもなかなかよさげだが、こんな、アホみたいに長いスカートでは、せっかくの細い足も見えずじまいで、実に勿体無い話だ。

 当時は、女子高生のスカートのあまりの長さに絶望して、自ら命を絶つ人もいたそうである。

 由真「あのさあ、あんたもしかして、風間唯のこと探してるわけ?」
 新子「そうじゃ、なんか文句あると」
 由真「文句なんかとんでもない、ねえねえ、その風間唯ってさ、どんな奴なのか教えてくんない? お茶ぐらい奢るからさ」
 新子「お茶だけかー」
 由真「サンドイッチもつけるから、ね、教えてくださいよ、新子姐御」
 新子「よし、ええじゃろう」

 スケバンなのに、サンドイッチにつられる新子が可愛いのである!!

 OP後、依田と唯が東京美術館に来ている。

 無論、唯の趣味ではなく、思わず欠伸を漏らす。

 依田「退屈ですか」
 唯「学校さぼってこげなとこきて、一体何の用じゃ」
 依田「まぁそうカリカリしないで、たまにはこういうものをじっくりみて、心を和ませなければねえ」
 唯「わちは忙しいんじゃ」

 依田は、特別展示室の不動明王像の前に立つと、

 依田「これを盗み出して欲しいんです」

 と、とんでもないことを言い出す。

 
 依田「あ、あまり近付かないで……警報装置が鳴りますよ」

 
 唯が、依田から渡されたサングラス越しに見ると、確かに、赤外線のようなものが張り巡らされていた。

 依田「奈良の密相寺と言うお寺にあったものなんですがね、45年間行方不明だったのが、最近になって発見されたんです」
 唯「ふーん」
 依田「普通、不動明王と言うのは右手に剣を持ち、左に羂索(けんさく)と言う縄を持っているんですが、この像は岩に突き刺さった剣を踏みしめ、天を指差している。この像の形が君にとって重要な意味を持つような気がしましてね」
 唯「なんね、重大な意味って」
 依田「ヴァジュラ」
 唯「!!」

 唯の脳裏に、過去耳にしたヴァジュラに関する断片的な情報がよぎる。

 ヴァジュラは何かの武器らしいのだが……

 唯「これがヴァジュラっちゅうとか」
 依田「シッ、あまり大声を出さないように」

 依田は唯を促して像の前から離れる。

 
 が、その場にいた、顔が異様に濃い男が、二人を意味ありげに見詰めていた。

 飛燕の源次と言う影のしのびで、演じるのは、説明不要の中屋敷さん。

 一方、由真と新子は、喫茶店にいた。

 新子は、ひたすらサンドイッチをパクついていた。

 由真「早くしゃべろよ」
 新子「うーん、なんせ、九州一の大スケバンやけん、すごかとよー、身長180センチもある大女でそこらへんのチンピラなんかギロッと睨まれただけで10メートルは吹っ飛んでしまうげな」
 由真「へー、そりゃ凄いわ」

 何食わぬ顔で、新子の与太話に感心して見せる由真。

 新子「それだけじゃなかよ、風間唯には結花と由真っていう姉貴がおって、これがまたむっちゃくちゃ強いって噂たい」
 由真「お前、これ、どんどん食べな」

 由真、嬉しそうに新子にサンドイッチを勧める。

 由真「そんでその由真ってほうの姉貴はどうなんだい」

 
 新子「由真?」

 
 新子「ああ、由真の方は頭ドッカンそうやけど」

 小さなお口にせわしくなくサンドイッチを詰め込みながら答える新子。

 ああ、かわええ……

 由真「なんだとぉ、この野郎」
 新子「えっ、どうかしたと」
 由真「別にどうもしねえよ、それで」
 新子「これが喧嘩したら、リリアン棒たる編み棒使おて相手を串刺しにして縫いつけてしまうげな、おそろしかとやろー」

 日本昔話みたいな口調で、東京から九州に伝播するまでにオーバーになった由真の武勇伝を語る新子が可愛いのである!!

 由真、そろそろ正体を明かすべきかと、そのリリアン棒を取り出し、

 
 由真「もしかして、そのリリアン棒ってこういう棒のこと言うのかなぁ」

 
 新子「……」

 呆然と由真を見詰める新子が可愛いのである!!

 由真「星流学園総番・風間由真、またの名をリリアンの由真ってのは私のことなんだけどね」

 と、新子、いきなり床に手を突くと、

 新子「お願いします、唯さんに会わせてください!! 唯さんにお願いしたかこつがあって、はるばる博多から出て来たとです、お願いします!!」

 
 次のシーンでは、新子が、風間家のダイニングで、結花と由真と一緒に食事をとっている。

 結花「良く噛んで食べなきゃ駄目よ」

 一心不乱に食べている新子に、母親のような口調で注意する結花。

 
 新子「はい」

 ハクハクと言う擬音が聞こえてきそうな勢いで、串カツに齧りつく新子。

 それにしても、女の子が一生懸命ご飯を食べてる姿って、妙に可愛いよね。

 由真「お前、ほんとに腹減ってたんだねえ」
 新子「はい……だって、唯さんを探して東京三日も歩き回っとったちけん」
 結花「へえ、そんなにしてまで唯に会いたかったの」
 新子「はい、唯さんなら絶対にうちの力になってくれるとおもうて」
 由真「あんまり期待しない方が言いと思うけどね……」
 結花「期待が大きいと失望も大きいって言うからね」

 そこへ、クシャミをしながら唯が帰ってくる。

 
 唯「くしゅん!!」
 結花「うふふふふ」
 新子「あのー、あのチビ誰ですか」
 唯「チビ!!」
 由真「あれが九州一の大スケバン」
 新子「うっそーっ!!」

 新子、思わずギャルっぽい声を上げると、

 
 新子「こげんチビがー? そぉんげなことなか、こげんチビが? うっそーっ」

 唯の前に立ち、わざわざ自分の背と比べてバカにする。

 唯「なんてやーっ? さっきから人のことチビチビちゅうて、吹っ飛ばすぞーっ!!」
 新子「なんてや、なんが九州一の大スケバンか、このーっ!!」
 唯「もう許さん!!」

 くんずほぐれつ、取っ組み合いの喧嘩を始める二人。

 その後、パジャマに着替えた新子が、由真の部屋で自分の制服を畳んでいる。

 
 由真「あんなやつだけどさー、あれで結構しっかりしたとこあるんだよ」
 新子「……」
 由真「頼んで見なよ、なんとかしてくれるって」
 新子「もうよかです」
 由真「てめーなー、私の妹信じらんねえのかよ」
 新子「そげんことじゃなかと」
 由真「じゃあなんだよ」
 新子「色々考えたらやっぱ頼まんほうがええて……うちの相談ごとは結花さんや由真さんにご迷惑かけることになるかもしれんて……せやけん、やっぱ自分ひとりで片付けることにしたと」

 思い詰めた表情で、唐草模様の風呂敷に包んだ細長いものを制服の上に置く新子。

 唯は、新子のことなどより、例の不動明王像のことで頭が一杯だった。

 帰りの車の中で、依田と交わした会話が回想される。

 依田「国宝に指定される前にあの像はX線やガンマ線を当てられ学術的な調査が行われる筈です。そしてその調査結果は公表される」
 唯「もし、あの像にヴァジュラの秘密が隠されちょったら、それも?」
 依田「ええ、そうなれば影たちにも知られてしまうことになりますねえ」

 一方、翔の前に、さきほどの忍びが参上している。

 
 オトヒ「不動明王とな」
 源次「はっ、非常に奇妙な形をしておりまして、もしや姫様がお探しのものに関わりがあるのではないかと」

 
 源ちゃんの言葉に、ギロッとした目を向けるミヨズたん。

 翔「ふっふっふっ、飛燕の源次と申したな、その奇なる不動明王像、わらわのもとへ運んでたも」
 源次「はっ」

 翌日、新子はひとりで美術館に行き、不動明王像に手を伸ばすが、警報装置が作動して、直ちに警備員が駆けつける。

 
 警備員「君、何をしたんだ」
 新子「なんもしてません!!」
 警備員「ちょっと来たまえ」
 新子「いやーっ!!」

 激しく抵抗しながら、連行される新子。

 CM後、その場にいた唯が、(説教されて解放された)新子の後をつけると、公園のベンチに座った新子が、不動明王像そっくりの像をあの風呂敷包みから取り出すのを目撃する。

 新子「じいちゃん、やっぱうちにはできんやね、じいちゃん……」

 泣きながらひとりごとを言っていると、源次たちがあらわれて、新子を捕まえる。

 
 源次「何故あの像と同じものを持っておるのだ」

 と、横からヨーヨーが飛んできて忍者たちを打ち、源次の手から不動明王像が落ちる。

 唯「新子、像を持って早く逃げない」
 新子「えっ?」

 新子は像を拾って逃げ、それを源次が追いかけるが、反対側から結花と由真が駆けつける。

 結花「般若に聞いたわ」
 由真「このやろう、ひとりでこそこそしやがって」

 唯は源次たちを撃退するが、

 
 新子「つよかー、めっちゃくちゃつよかー、やっぱ九州一の大スケバンたい、つよっかー」

 唯の戦闘能力を目の当たりにした新子は、コロッと態度を変えて感心しきりであった。

 新子「お願いです、うちを助けて下さい!! 実は美術館に飾られとる像はニセモノなんです。本物はこれなんです」

 新子、その場に土下座して改めて助けを求める。

 後編に続く。

「スケバン刑事3 少女忍法帖伝奇」 第23話「ウェディング・マーチは闇の調べ 三代目の結婚!?」

2024-12-14 18:55:07 | スケバン刑事3 少女忍法帖伝奇
 第23話「ウェディング・マーチは闇の調べ 三代目の結婚!?」(1987年5月14日)

 冒頭、森の中の白い教会で、若い男女が二人だけの結婚式をあげている。

 
 浩一「誓います」

 新郎の加藤浩一を演じるのは、高杉亘さん。

 
 泰子「誓います」

 新婦の宇佐那木泰子を演じるのは、日本人の9割に白鳥(しらとり)だと思われている、白島(しらしま)靖代さん。

 
 牧師「指輪の交換を」

 んで、牧師を演じているのが、毎度お馴染み、名取幸政さん。

 式は無事終わり、二人は建物からでてくる。

 浩一「ごめん、二人だけの式なんて」
 泰子「ううん、私たちにはふさわしいわ」

 
 浩一「ようし!!」

 浩一、いきなり泰子の体を抱き上げ、その場でくるくる回る。

 ドレス越しにお尻の形が手に取るように分かる、尻フェチ垂涎のショットである。

 浩一「泰子を絶対に幸せにしてみせるぞーっ!!」
 泰子「浩一さん」

 幸せの絶頂に立つ二人だったが、ふと見ると、目の前の路上に赤と白のバラが散乱している。

 と、突然風が吹いてきて、バラを舞い上がらせる。

 浩一は思わず泰子の体を落とす。

 
 続いて、花吹雪の中から数人の忍者が飛び出て、泰子を取り囲む。

 泰子「きゃあっ、浩一さん!!」

 浩一は必死に泰子を助けようとするが、忍びにボコられてあえなく攫われる。

 ダスティン・ホフマンに花嫁を攫われたと言うのはよく聞くが、忍者に攫われるというのは珍しい。

 あと、忍びがグーで殴るのが、なんとなくおかしい。

 OP後、野外ステージの前で、依田が唯と話している。

 
 依田「今回はこの男をチェック願います」

 依田が最初に取り出したのが、浩一の写真であった。

 唯「影ね」
 依田「それは残念ながら不明です、しかし、宇佐那木家のひとり娘・泰子の失踪と関係があることは確かです」

 続いて、その泰子の写真を取り出す。

 唯「うわー、まっこと綺麗な人じゃわ」
 依田「宇佐那木家は戦前より続く名家、政財界にも繋がりが強い、世が世なら一国の姫君」
 唯「うわー、わちゃそんげなやつに憧れるわい」
 依田「宇佐那木家の名を利用して政財界で力を持とうとする勢力は多い」
 唯「やっぱり影か」
 依田「泰子を手中に入れ、一気に国家の中枢に近付く目論見かと……」

 しかし、いくら名家と言っても、今は曲がりなりにも民主主義の世の中なんだから、いかにも無理っぽく聞こえるなぁ。

 つーか、まだ影が関与してるのかどうかも不明なのに、そこまで言っちゃって良いのかしら。

 唯「何の罪もないこんげな綺麗な人まで利用するとは、影め、許さんわい」

 お前はお前で、まだ影が関与してるのかどうかもわからないのにテンション上げないの!!

 つーか、「何の罪もない」なんてことがどうして言えるんだ?

 あと、泰子がブスだったら許されるの?

 タイトル表示後、唯がぶらぶら歩いていると、城西警察署の玄関から、その浩一が警官と言い争いをしながら出てくる。

 
 浩一「何故調べてくんないんです?」
 警官「しつこいな、君も、事件が起きてもいないものを調べようがないだろう」
 浩一「バカな、目の前で誘拐されたんだ、泰子は」
 警官「君の言うとおり、教会、アパート、区役所と調べたんだ」
 唯(調べとるやん……)

 思いっきり矛盾したことを言う警官に、思わず関西弁で突っ込む唯だったが、嘘である。

 警官「だが、君の言ってることは全て嘘だ、泰子なんて女性は存在しないんだ」
 浩一「なんかのまちがいだ、もう一度詳しく調べてくれればわかるんだ」
 警官「これ以上つきまとうと、ぶち込むぞ」

 浩一は熱心に頼むが、警官は冷たく言い放って立ち去る。

 警官を演じるのは、警官役が異様に多い五野上力さん。

 しかし、これ、唯が歩いていたら偶然浩一に出くわすって、あまりに都合が良過ぎる展開だよな。

 唯が浩一がそこにいると知って会いに来たのかとも思ったが、唯のリアクションを見る限り、とてもそう言う風には見えないし……

 それはともかく、なおも泰子を探しに走り出した浩一を唯が呼び止める。

 
 唯「待ちない、泰子さんのこと気を聞きたいんじゃけど」
 浩一「泰子のことを知ってるのか」
 唯「そりゃこっちが聞きたいことじゃわ、わちも泰子さんを探しちょるんじゃ」
 浩一「お前誰だ」
 唯「あんたこそ泰子さんとどう言う関係なんじゃ」
 浩一「泰子は俺の花嫁だ」

 浩一は唯を振り切ってもう一度泰子の消息を探しに行くが、これも冷静に考えたら変だよね。

 まずは、唯から泰子との関係や、泰子が実在する人物なのかどうか根掘り葉掘り聞くと思うのだが……

 ともあれ、唯は浩一の後をつける。

 
 女「冗談じゃないわよ、私ねえ、この部屋に5年も住んでんのよ」
 浩一「ほんとのことを言ってくれ、ここは泰子の住んでた部屋だ」
 女「気持ち悪いわね、大家さんに聞いてもらってもいいわよ」

 浩一、まず泰子のアパートに行くが、そこには泰子とは似ても似つかないオバハンが住んでいた。

 彼女が影の一味とは思えないので、柘植(後述)が金の力で嘘を言わせているのだろう。

 続いて区役所。

 
 職員「警察の方にも申し上げたように、加藤浩一さんと宇佐那木泰子さんとの婚姻届は受け付けていませんですな」
 浩一「貴様、嘘をつくな、俺は確かに泰子と二人で届けを出したんだ」
 職員「何をするんだ」
 唯「やめない」

 カッとして職員の胸倉を掴む浩一を、そばにいた唯がなだめる。

 これは、影がこっそり婚姻届を盗み出し、記録も改竄したのだろう。

 浩一はなんとなく唯と行動を共にすることになり、今度はあの教会へ。

 浩一「僕らはこの教会で結婚したんだ」
 唯「神に仕える人は嘘はつかんと思うよ」

 ところがつくんだよなぁ、これが……

 浩一が扉を叩くと、すぐに扉が開いて神父が顔を出す。

 
 唯「あの、すまんけど、この人がここで結婚したかどうか調べて欲しいんじゃけど」

 神父は浩一の顔をしげしげと見るが、

 
 神父「失礼ですが、この方はこちらで結婚なさっていらっしゃいません」

 神父……に扮した柘植を演じるのは、毎度お馴染み、大木正司さん。

 浩一「お前じゃわからない、あん時の人を出してくれ」
 神父「ええっ?」
 浩一「あの時俺たちの結婚に立ち会ってくれた人さ」
 神父「ここにいるのは私ひとりだけでございますが」
 浩一「違う」
 神父「この季節になりますと、よくいらっしゃるんです、こういうかたが……憧れの女性と結婚したつもりになって、お気の毒でございます」

 神父は、めちゃくちゃ失礼なことを言って引っ込む。

 しかし、この男の服装は明らかに神父だが、冒頭の人は牧師っぽくて、なんか混乱してるな。

 その後、水門の近くの堤防にいる二人。

 浩一「どうせ信じちゃくれないだろうけど、泰子と俺はここで知り合ったんだ……お互いのアパートを通い合うようになって一年、お互いの気持ちを確かめあい、やっと結婚にたどり着いたのに……」

 唯は依田から貰った写真を取り出し、

 
 唯「ほんとに泰子さんはこの人か」
 浩一「ああ、自分の花嫁を間違える奴がいるか」

 しかし、さっきも書いたが、何故唯がそんな写真を持っているのか、浩一が疑問に思わないのは変だよなぁ。

 唯「じゃけん、こん人は、大金持ちのひとり娘やとよ」
 浩一「そんなバカな、みんな俺の思い込みだってのか」

 
 浩一「こんな偽りのブライダルリングなんか……」

 忌々しそうに結婚指輪を外した浩一は、忍者に花嫁を奪われた際、泰子の結婚指輪が外れて落ちたことを思い出す。

 二人がもう一度教会前に行って探すと、果たして、結婚指輪が落ちていた。

 しかも、ちゃんと泰子のイニシャルが彫ってある。

 
 浩一「信じてもらえますか」
 唯「勿論じゃ」

 影は全ての痕跡を消したつもりだったが、唯一見落としていたものがこの指輪だったのだ。

 こういう小道具使いのうまさは、さすが武上さんである。

 ただ、黒幕が影なら、そんな七面倒臭いことをせずに、ちゃっちゃと浩一を殺しておけば良かったのではないかと言う気もする。

 と、再びあの赤と白のバラが足元に出現し、今度はバラの花が手裏剣のように飛んでくる。

 ついで、あの神父が襲ってくる。

 唯「泰子さんを誘拐したのはやっぱり影じゃな、泰子さんを何処へやった」
 神父「ふっはっはっはっはっ」

 神父は笑いながら姿を消す。

 そして意外にも、宇佐那木家に戻ってくる。

 泰子は、屋敷の一室に軟禁されていた。

 
 泰子「柘植、あなたが仕組んだのね。こんなことをしても一介の秘書に過ぎないお前に宇佐那木家の財産がわたることはありません」
 柘植「心外ですな、お嬢様、私は父上の遺言を忠実に守ろうとしているだけ」
 泰子「やめなさい、口から出任せ、私はもう大人です、自分の将来は自分で決めます」
 柘植「そう言うわけには参りません、私は草として宇佐那木家に入り込んで10数年、この時を待ち続けていたんです」
 泰子「え」
 柘植「我ら草は日本じゅうのあらゆる階層に入り込んでおります、そう遠くない将来、日本の支配階級全てに影の力が及ぶでしょう」
 泰子「柘植……あなたは」
 柘植「大人しく花嫁になってもらいますよ、泰子様、花婿は影の中でも選び抜かれた男……われらの意のままに動きなさい」

 柘植は、赤いバラを使って泰子を術に掛ける。

 
 柘植「すでに結婚式の準備は万端整っております」
 泰子「……」

 柘植の言葉に無言で頷く泰子。

 しかし、柘植は常に泰子のそばにいるのに、一年ものあいだ、泰子が二重生活をしていて、男まで咥えこんでいたことを知らなかったと言うのは、あまりに迂闊ではあるまいか?

 そもそも、柘植に後見される身でありながら、泰子が二重生活をするなんてことが物理的に可能だろうか?

 それとも、二重生活ではなく、泰子が家出をしてアパート住まいをしていたのだろうか?

 しかし、他に家族もいないらしい泰子が家出すると言うのもおかしな話である。

 ま、泰子の現在の身分や学歴、柘植との関係、普段どういう暮らしをしていたのか、基本的なデータが全く与えられていないので、考察のしようがないのだが。

 CM後、浩一を家に連れて行き、姉たちに協力を求める唯。

 
 唯「力を落としたらいかんよ、最終的には泰子さんの気持ち次第じゃ」
 浩一「しかし、今の俺にはそれを確かめることもできないんだ」

 そこへ、由真が週刊誌を手に二階から降りてくる。

 由真「これそうじゃない? 資産数百億円の宇佐那木家に無名の青年実業家婿入り……」

 浩一が由真の手から雑誌をひったくると、

 
 果たして、泰子のことがでかでかと取り上げられていた。

 この記事、最初だけドラマに沿った内容だが、途中から全然違う記事になっている。

 ここでも、歯痒いくらいにデータがなく、せいぜい、泰子が22才で、他に兄弟がいないこと、相手が神津和典28才と言うことしかわからない。

 唯「家柄ではなく、誠実な人間性に惚れ込んでの結婚、と泰子さん……きっとなんかの間違いじゃ、そんげなこつなか」
 由真「でもさぁ、明日結婚って載ってるぜ、女心となんとかって」
 結花「由真」

 無神経なことを言う由真を結花がたしなめるが、浩一は憤然と家を飛び出す。

 そう言えば、浩一はなにやってる人なんだ?

 結婚するくらいだから、学生ではなく社会人なんだろうけど……

 浩一は、宇佐那木家に行き、ちょうど車で戻って来た泰子に必死に呼びかけるが、術に掛かっている泰子は何の反応も示さず、柘植に促されて屋敷の中へ。

 浩一はボディーガードたちにボコられて悶絶。

 そこに唯たちが駆けつけ、家に連れ帰る。

 
 浩一「やっぱり俺が見てたのは幻だったんだ。泰子は俺の心の中だけで生きてる幻だったんだよ」

 唯は、弱音を吐く浩一の傷口に消毒液を吹きつける。

 浩一「あっつ」
 唯「ぐだぐだ言う男は好かん」
 浩一「……」
 唯「ちいと邪魔されたぐらいで諦めるなんて大した愛じゃなかったんじゃね」
 由真「そんなこと言ったってさ、花嫁はしっかりガードされてるんじゃん」
 唯「相手が奪い取ったんなら、こっちも奪い返せばよか」
 結花「略奪結婚ね」
 由真「ふーん、面白そうじゃん」

 唯の提案に由真たちも乗り気になる。

 唯「わちゃあ、愛とか結婚とかようわからん、じゃけん、二人の心がほんとに結ばれちょれば、どんげな力よりも強い筈じゃ」
 浩一「……」
 唯「影も邪魔できん」
 浩一「唯さん、唯さんの目を見ていたら、勇気が出てきたぜ。二人の気持ちに偽りはなかった」

 浩一も唯の言葉に覇気を取り戻す。

 唯は、その大きな手に、泰子の結婚指輪を握らせてやるのだった。

 翌日、泰子の結婚披露宴がリッチなホテルで行われる。

 
 そこに、新郎新婦に成り済ました浩一と唯が、堂々と入り込む。

 唯「嬉しか~」

 ウェディングドレスが着れてルンルン気分の唯。

 
 由真「私だってウェディングレドレス、着たかったのに」
 結花「由真、シーッ!!」

 その後から、従業員に扮した結花たちが続く。

 披露宴は滞りなく進んでいたが、お色直しと言うことで、一旦泰子は会場の大広間を出る。

 
 その付き添いの女性を、毎度お馴染み八百原寿子さんが演じているが、その目付きからして、彼女も影の一味と思われる。

 彼女は泰子を、ボディーガード風の男たちに預けるが、

 
 結花「お二人はここでお待ち下さい」
 男「しかし」
 結花「女性の着替えですよ、遠慮なさるのが常識だと思いますが」

 結花と由真がやんわりと二人を遠ざける。

 しかし、本物の着付け担当の人たちがいるだろうに、彼らは何処に行ったのだろう?

 ともあれ、部屋では浩一が待っていた。

 
 浩一「泰子、しっかりしてくれ」

 浩一が呼びかけるが、依然、術に掛かっている泰子は無反応。

 唯が愛の力は偉大とか言っていたから、てっきりキスでもして目を覚まさせるのかと思ったが、結花が指で泰子の目蓋を閉じて、眉間を押すと、あっさり正気に返ったので、思わずコケそうになる管理人であった。

 ひしと抱き合う二人。

 
 泰子「ごめんなさい、私、今まで浩一さんをだましてました。でもそれは宇佐那木家ではなく私自身を愛してくれる人を探すため」
 浩一「何も言わなくて良い、僕は君を奪いに来たんだ」
 泰子「浩一さん!!」

 その後、泰子に扮した唯が、お色直しから戻った「てい」で会場に行く。

 その隙に結花が、浩一と泰子をホテルから逃がそうとするが、ボディーガードに見付かってバトルとなる。

 会場ではキャンドルサービスが行われていたが、

 
 和典「違う!!」

 ここでやっと和典が、隣にいるのが別人だと気付く。

 いや、背の高さで一目瞭然だと思うのだが……

 和典がほんとに影の中から選び抜かれた男だと言うなら、影の将来が不安である。

 唯は和典の腕を取り、

 
 唯「愛は人にとって一番強い力なんじゃ、本気で愛しあっちょるふたりを引き離そうじゃなんていくら影でもできんわい」

 唯、また別のドレスをまとっているが、なんか、「今くるよ」の衣装みたいだなぁ。

 柘植「これはいやがらせです」
 唯「しゃからしかーっ!!」

 唯、和典の体を突き飛ばすと、巨大なケーキの裏で制服に着替える。

 
 唯「星流学園2年B組風間唯、またの名を三代目スケバン刑事麻宮サキ!! 愛を踏み躙る奴は一番好かん」

 そして、堂々と名乗りを上げて、桜の大紋を見せる。

 しかし、会場には、影ばかりではなく、一般の招待客もいるのだから、彼らの前で本名やスケバン刑事であることを明かすのは、いささか問題ではあるまいか。

 それはともかく、

 
 突然、巨大なケーキ(に見せかけた作り物)が割れて、

 

 
 中から、由真があらわれる。

 由真「助っ人参上!!」

 いや、お色直しの時点では、まだ会場の外にいた由真が、一体どうやってこの中に潜り込めたんだ?

 唯と由真、柘植たちと戦うが、前回同様、決着がつかないまま、柘植は逃げてしまう。

 色々あって、浩一と泰子、三姉妹は無事にホテルから脱出する。

 
 浩一「泰子」
 泰子「浩一さん」

 改めて指輪の交換を行う二人に、三人が拍手で祝福する。

 二人はその格好のままバスに乗る。

 
 浩一「みんな、ありがとう」
 由真「ほんとよかったよ」
 結花「お幸せに」
 唯「おめでと」
 泰子「ありがとう」
 浩一「じゃ!!」

 バスは二人を乗せて走り出す。

 ……

 いや、柘植たちがいなくなったのなら、別に駈落ちする必要なくね?

 現在、宇佐那木家には泰子しかいないみたいだから、泰子自身が浩一と結婚すると決めればそれで済むことではないか。

 第一、資産数百億の宇佐那木グループをほったらかして男と駈落ちするなど、無責任もいいところである。

 関係者の迷惑も、少しは考えろと言いたい。

 ともあれ、泰子を影から守ると言う使命は果たしたので、三姉妹の表情は晴れやかであった。

 
 結花「行く先のない新婚旅行ね」
 唯「良いなぁ、ロマンティックじゃわー、わちもいつか素敵な旦那様と」

 唯、そう言って結花の腕を取る。

 唯「チャーンチャチャチャチャーン」
 由真「なんてことは一生ないだろうね」
 唯「ある!!」
 由真「だって、誰が貰ってくれる?」
 唯「誰かおると」
 由真「いるわけない」
 唯「おる」
 由真「いない」
 結花「もう、やめなさい!!」

 結花に叱られて、二人がそっぽを向いたところで終わりです。

 以上、前回よりは面白いが、ストーリーに全く意外性がないのが残念であった。

 ちなみに、レビューを書いたあとで、そこここに「カリオストロの城」の影響が見られることに気付いた。

 ヒロインが術に掛けられて意に沿わぬ結婚をさせられるところとか、指輪がキーアイテムになってるところとか、ヒロインの結婚を記事で知るところとかね。