第32話「現われた伝説の殺人マシーン魔破羅!」(1987年8月13日)
冒頭、真っ暗な洞窟の中を、ガシャガシャと音を立てて、鎧兜をまとった奇怪な人物が歩いている。
洞窟を抜けた先は広大な空間が広がっており、石を削った階段がかなりの高さまで聳えていた。
階段のてっぺんには、黒衣の老人が鎮座している。

果心居士「魔破羅か」
まんま、ダースベーダーなキャラ、魔破羅を演じるのは、説明不要の堀田さん。
果心居士「影が動かぬ、このままでは、翔がヴァジュラを手にすることはかなわぬであろうな」
玉座に座るものは、地の底から響くような陰に篭もった声で、悲観的な観測を口にする。
魔破羅「しかし、翔こそヴァジュラを手に出来る選ばれしものと聞きましたが」
果心居士「選ばれしものは二人おるのじゃ、翔と、そしてあの風魔の娘、決して風魔にヴァジュラを渡してはならん」

果心居士「おぬしの力で、なんとしても翔にヴァジュラを握らせるのじゃ」
まんま「スターウォーズ」の皇帝っぽいキャラ、果心居士を演じるのは佐川二郎さん。
ただし、声は飯塚昭三さんの吹き替えである。
果心居士「影星の光が満ちておる、今こそ、天と地を揺るがし、すべてを滅ぼすときぞ。そのためにも翔にヴァジュラを……」

果心居士は、手に乗せた巨大なスーパーボールのような玉を魔破羅に向かって投げつける。

魔破羅はそれを真っ二つに斬る。
果心居士「見事ぢゃ……」
魔破羅「ははーっ……って、いきなりナニさらすんじゃっ!!!!」
果心居士「ヒイイッ!!」
途中から嘘だが、果心居士の行動が意味不明なのは確かである。
まぁ、魔破羅の腕を確かめたのだろうが、続いて魔破羅が階段を駆け登っているので、なんか、魔破羅が果心居士のタマを取りに来たようにも見えるのである。

続いて、前回のラストシーンが繰り返されたあと、タイトルとなるが、今回から、タイトルの後に、こういうのが表示されるようになる。
風間家。

由真「どうしてあのとき女雛のほうに折鶴投げたんだよ」
結花「……」
由真「姉貴、姉貴は何か知ってるんじゃねえのか」
由真は結花のそばに行き、その腕を掴んで追及するが、
結花「何も知らないわ」
由真「……」
結花「翔の男雛を通して唯に呪いが掛けられたでしょう、だからあのときは、もしかしたらと思って女雛を狙っただけ」
由真「やっぱり……あいつらのあいだには何かあるんだよな」
しかし、冷静に考えたら、女雛に折鶴が刺さったからって、結花自身は呪殺は使えないのだから、それが翔の体に反映されると言うのは変じゃないか?
仮に、まだ十佐の術が女雛に掛かった状態だったとしたら、翔には呪いなど通用しないと言ったミヨズの言葉が嘘になる。
結花「父さんさえ生きていてくれたら……」
由真「あいつ、ほんとにおやじの子なのかよ?」
由真が、結花がずっと胸に抱いていた疑問を言語化する。
唯は、自分の部屋で男雛を見詰めていた。
唯(かあちゃん、なんでこれを翔が持っちょったと? かあちゃん、なんでじゃ?)

依田「その雛人形は私が預かろう、翔は必ずその雛人形を狙ってくる。ここに置いとくのはあまりに危険すぎる」
唯「いやじゃ、これは誰にも渡さん!!」
傍らにいた依田が雛人形に手を伸ばすが、唯は拒絶する。
依田「唯!!」
唯「雛人形ちゅうのは男雛と女雛が一対になっちょるもんじゃ、翔に持って行かれた女雛はわちの母ちゃんの形見じゃ、じゃったら、この男雛も母ちゃんの形見の筈じゃ」
依田「しかし」
唯「依田先生、いや、般若、あんたなんか隠しちょるんじゃないか」
依田「……」
唯「もしかして、この男雛を何で翔が持っちょったか、知っちょるんじゃろう」
依田「知らん」
唯「嘘じゃ、知っちょるはずじゃ、なんで翔がこれを持っちょるんじゃ」
依田「知らんと言ったら知らん!!」
依田は苛立たしげに唯の手を振り払うが、そこへ結花たちがやってくる。

結花「知ってるんでしょ、般若」
由真「もったいぶらずに話せよ」
依田「知らん」
唯「般若!!」
依田「たとえ知っていたとしても、話すわけにはいかん。どうしても知りたければお前たち三人力を合わせて影と戦い抜くことだ」
唯「そげなこつ言うて、こんげ名気持ちでどうやって影と戦えっちゅうとか」
由真「そうだよ、力を合わせてって言ったってな、唯と翔の関係がはっきりしなきゃ戦いようがねえじゃねえか!! もしかして、こいつと翔は……」
結花「由真!!」
由真が激情に駆られて言ってはならない言葉を口にしようとしたので、結花が鋭く遮る。
由真「だって姉貴」
唯は傷付けられたような目で二人の姉を見詰める。
唯「姉ちゃんたち、わちを、わちを疑っちょるんか? 結花姉ちゃん」
結花「……」
唯がすがるように結花を見るが、結花は冷たい目をして視線を逸らす。
唯「由真姉ちゃん!!」
由真「……」
由真もプイと顔をそむける。

唯「そんげなこと……ひどか、ひどかーっ!!」
唯は、親に見捨てられた幼児のように顔を歪ませ、その場に座り込む。
結花「わからないのよ、私だってどうしたら良いか」
大人びたようでもまだ子供の結花、率直に気持ちを打ち明ける。
唯は悔しそうにポロポロと涙をこぼす。
依田「お前たちがどんなことがあろうと、影と戦う宿命を背負っているのだ。それだけは忘れないでくれ」
依田はそう言い残して帰っていくが、秘密を知っていながら話そうとしない人間の言葉が、三姉妹の心に届く筈もなかった。
ところで、確か翔って、11話で、唯の持つ女雛を欲しがって、土グモ一族に狙わせてるんだよね。
そのときは失敗したが、普段、三姉妹は学校に行って家には誰もいないのだから、盗もうと思えば簡単に盗めたのではあるまいか?
それとも、以前記したように、風魔が24時間体制で警護しているのか、あるいは、セコムしているのだろうか?
それはともかく、依田が外に出て夜空を見上げると、影星が赤々と輝いていた。
影星が輝くというのもアレだが……
と、背後に帯庵が立っていた。
帯庵「ひさしぶりじゃの、般若」
依田「帯庵様……」
帯庵「唯よ、苦しかろう」
帯庵は2階の窓を見上げてつぶやく。
依田「帯庵様、私はどうすれば良いのだ」
帯庵「少し、歩こうか」
二人は近くの公園で話す。
帯庵「今、あのことを知れば唯は影と戦う気力を失のうてしまうじゃろう。かと言うて謎のまま戦うのもつらかろう。これも試練じゃ。ヴァジュラを手にし、天輪聖王と戦うものはあらゆる試練を乗り越えていかねばならん。あのことはいま、お前やワシの口から言わずとも影と戦っていればいずれ分かること……唯が唯自身の手で雛人形の謎を解くのも試練、事実を知ったとき、それを乗り越えることこそ戦う宿命を持つものに課せられたもっとも大きな試練」
と、もっともらしいことを言う帯庵だったが、ぶっちゃけ、ストーリー上の「ヒキ」としか思えない。
帯庵が言うように、「いずれ分かる」ことなら、今話しても同じことではあるまいか?
それに、出生の秘密を知ってショックを受けるのは、むしろ結花たちの方だろう。
それはそれとして、今日も元気に悪事を企む影のみなさん。
オトヒ「烈火衆にございます」
ミヨズ「刺客としてはもっとも恐るべき衆かと」

翔の前に参上したのは、男性アイドルグループのような大所帯であった。
翔「殺せ、あの風魔の娘どもが憎い、殺してわらわの人形を取り戻せ」
烈火衆が消えた後、翔はあの雛人形を手に取り、

翔「何故じゃ、何故あの時、わらわの胸に痛みが走ったのじゃ? 唯の持っておったこの人形が何故わらわを脅かすのじゃ? 消さねばならぬ、唯を、風魔の娘どもを」
雛人形と自分たちの関係は、翔も知らないのだった。
CM後、星流学園の授業風景。
依田が英文のテキストを読み上げているが、無論、唯は勉強どころではない。
唯(影と戦えと? こんげな気持ちでどうやって影と戦えばいいんじゃ……姉ちゃんたちはわちを疑っちょるし、くそぉ、こうなったらわちひとりででも)
唯はいきなり立ち上がると、荷物を手に教室を出て行こうとする。
依田「風間君、授業中ですが」
唯「しゃからしか!!」
依田が咎めるが、唯は一声吠えると出て行ってしまう。
ゴロウ「唯ちゃん!!」
ヒデ「待ってよーっ!!」
ゴロウたちが追いかけようとするが、
依田「待てーっ!!」
突然依田が大声を張り上げる。

ギョッとして、思わず振り向く生徒たち。

依田「授業中だ、勝手は許さん!!」
普段とは別人のような厳しい口調に、ヒデとゴロウはそそくさと席に戻る。
さすがの依田も平静でいられず、「素」になってしまったのだろう。
唯が敷地内を走っていると、由真のユリアンが飛んでくる。
唯「由真姉ちゃん……」
由真「何処行くんだよ」
唯「わからん、わからんけど、わち、雛人形のこと調べて見ようと思って」
由真は唯の足元にユリアンを投げつける。

唯「なにするんじゃ、由真姉ちゃん」
由真「てめえひとりに勝手な真似させるわけにいかねえんだよ」
唯「なんでじゃ、わちはただこの雛人形を……」
由真「うるせえ」
由真はまたユリアンを投げて来る。
唯「やめんね、由真姉ちゃん」
由真「やっと妹だって思えてきたのに、マジで兄弟だって思えてきたのに、どう考えたって、てめえと翔はワケありじゃねえか」
由真はしゃくりあげながら、もう一度ユリアンを投げる。
唯「由真姉ちゃん……」

由真「姉ちゃんなんて呼ぶんじゃねえ!! てめえなんか、もしかしたら翔の奴……」
由真がなおも言いかけると、結花の折鶴が飛んでくる。

結花「やめなさい」
由真「姉貴」
結花「それ以上は口に出してはいけないことよ」
由真「だって……」
唯「姉ちゃんたちは……姉ちゃんたちは……姉ちゃんたちのバカーっ!!」
彼らの、他人を見るような視線に耐えられず、唯は二人に罵声を浴びせて走り去る。
結花「来なさい」
結花は由真の手を掴み、有無を言わさず別の場所に連れて行く。
結花「あの子に八つ当たりしてなんになるって言うのよ!!」
由真「だって、あいつと翔は……」
由真は姉の手を振り解くと、
由真「やっぱりあいつのせいなんだよ、オヤジが殺されたのはあいつのせいなんだよ!!」
と、論理的に無茶苦茶なことを言い出す。
この一連のシーンにおける由真の態度はあまりにガキっぽくて、ドラマとは言え、いささかうんざりしてしまう。
結花「由真!!」
結花は由真の前に立つと、思いっきり引っ叩く。

結花「なんてこと言うのよ!!」
由真「言いたかないよ、だけど、だけどなにもわかんないんだぜ、考えれば考えるほど頭の中がめちゃくちゃになって……悔しくて」
両手をついて、さめざめと泣く由真。
結花「私だって、悔しいわよ。あんたとおなじこと考えないわけないじゃない」
由真「……」
結花「でもね、唯はもっと悔しいんじゃないの? もっと居たたまれない気持ちなんじゃないの?」
由真「……」
結花「あの子の気持ち、わかってあげなくちゃ」
結花に優しく諭されて、由真も反省の色を浮かべるが、そこを烈火衆が襲ってくる。

まとめて鎖で縛られる結花と由真。
「上下二段式Wおっぱい」挟みならぬ、「前後二列式Wおっぱい」挟みである。
この時、中村さんが、大西さんの押し潰されたおっぱいの感触を背中に感じていたかと思うと、なんとなくニヤニヤしてしまう管理人であった。
さっさと殺せば良いのに、その周りをぐるぐる回る烈火衆のみなさん。

と、それぞれ爆弾のような物に火をつけると、二人の忍びが結花たちに密着する。
由真「こいつら一緒に死ぬ気だよ」
結花「まさか」
そのまさかであった。
彼らは自爆攻撃も辞さない……と言うより、自爆攻撃専門の、キョーフの集団なのだった。
もっとも、二人の身動きを封じているこの状況で、自爆攻撃を仕掛ける必要は、全くないと思うのだが……
絶体絶命のピンチだったが、そこに般若が駆けつけ、石礫(?)を投げて忍びを二人から遠ざけると、杖で鎖を切り、

二人を押し倒すようにして地に伏せる。
その直後、


二つの爆弾が連続的に爆発し、忍びは木っ端微塵になる。
これ、編集じゃなく、ほんとにスタントのすぐ近くで爆発させているのが凄い。
もっとも、俳優に関しては、本人かどうかはわからない。

休む間もなく烈火衆と戦う般若。
うーん、実にカッコイイ。
敵を片付けると、結花たちに駆け寄り、
依田「唯はどうした」
結花「ひとりで出てってしまった」
依田「……」
唯は風間家の墓の前にいた。
唯「父ちゃん、わち、どんげしたらいんじゃろ?」
と、唯の前に烈火衆があらわれ、

唯の足首に鎖を巻きつけ、両側から地面に押し付ける。
うむ、何処に出しても恥ずかしくない変質者である。
リーダー格の男が、唯の風呂敷から落ちた雛人形を拾い上げる。

唯「お前ら、何もんじゃ」
リーダー「烈火衆」
唯「烈火衆?」
リーダー「貴様の命ももうすぐ終わりだ。この二人が供をしてやる」
リーダーの言葉に、二人の忍びが爆弾の導火線に点火する。
いや、だから、そんなことせずとも、手の空いているあんたが唯を殺せば良いのでは?
リーダー「自爆を以て敵を巻き込み、倒すのが我ら烈火衆だ。貴様の父・小太郎も我らが倒した」
と言うのだが、家を爆破するのに、なんで自分まで犠牲にならねばならないのか、さっぱりわからない。
それに、攻撃のたびにメンバーが死ぬと言うのは、あまりに効率が悪く、非現実的であろう。
そして、そんな、殉職率100パーセントのアットホームな職場デス!! なのに、こんなにたくさんの若者が参加しているのは、あまりに嘘っぽいではないか。
なので、せめて、普段は普通に爆弾を投げるが、いざとなったら自爆も辞さない……と言う程度にしておくべきだったろう。
あと、序盤で小太郎を殺すと言う殊勲を上げているのに、何故今まで彼らに三姉妹抹殺を命じなかったのか、そこが最大の謎である。
それはともかく、リーダーが余計な自慢をしたせいで、唯の怒りに火をつけてしまう。
唯「父ちゃんを? お前らが? 許さん、許さん!!」
唯は手首だけでヨーヨーを空高く飛ばすと、それを分離させて二人の忍びの背中を打つ。
唯は二人を殴り倒すと、ジャンプして距離を取る。

オナニーのように空しく自爆して果てる二人。
しかし、仮にも墓地でこんな撮影が許されるとは、良い時代だったよなぁ。
リーダー、雛人形は手に入れたのだから、ひとまず退却すれば良いのに、

リーダー「あああああっ!!」
やっぱりバカだったようで、爆弾を手に突っ込んでくる。
それでもさすがリーダー、唯の投げたヨーヨーをかわすと、一瞬でその背後に回る。

唯「放せーっ!!!」
リーダー「もうすぐ楽にしてやるわ」
あとさぁ、自爆攻撃をするなら、あからさまに爆弾を持ってちゃダメだと思うんだよね。
おまけに、スイッチオンで起爆するならともかく、点火してからかなりの時間を要するのだから、今回のように敵に逃げられる可能性が高く、これほどコスパの悪い戦法もあるまい。
卑しくも自爆の専門家を名乗るなら、自分の体内に爆弾を仕込んで敵に抱き付くくらいのことはすべきだろう。
ともあれ、そこに結花と由真が駆けつける。
結花がリーダーの手から爆弾をもぎ取ろうとするが、由真は、足元に落ちていた男雛を見詰めたまま、動こうとしない。
結花「由真ーっ!!」
それでも結花の叫びに、リリアンを取り出して男の手首に巻きつける。
唯は男から離れると、その胸にヨーヨーを叩き込む。

結花「危ない!!」
結花が、唯の体に覆い被さるようにして守る。
再び激しい爆発が起き、今回5人目の犠牲者が出る。
ちなみに、唯に覆い被さっている結花だが、これはセーラー服を着た男性スタントっぽい。
唯のほうはよくわからないだが、たぶん、こちらも俳優本人ではあるまい。
結花「唯、だいじょぶ?」
唯「うん」
結花は唯を気遣うが、由真は言葉を掛けさえせず、雛人形を手にその場を立ち去る。
唯「由真姉ちゃん……」
一方、影のアジト。
翔「烈火衆も倒れたとは……わらわの人形が泣いておるわ!!」
と、ガシャガシャと言う足音が聞こえてくる。
ミヨズ「あれは……」
オトヒ「まさか……」
ミヨズ「ロボコップ?」
魔破羅「ちゃうわっ!!」
無論、それは魔破羅おじさんであった。
翔「魔破羅」
魔破羅「お方様より命を受け、今日より姫様の片腕となりまする」
翔「お方様が……」
魔破羅「まずは手土産に面白い物をご覧に入れましょうぞ」
魔破羅はあの雛人形を掴むと、宙に投げ、居合いで斬る。

床に落ちた人形を食い入るように見詰める三人。

ミヨズ(わかりにくっ!!!!)
と言うのは嘘だが、わかりにくいのはほんとである。
雛人形の体に、梵字が書かれていたと言うことなのだろうが……
一方、風間家。
依田が、一通の書状を唯に渡す。
依田「帯庵様からだ」
唯「……」
唯は黙って手紙を読む。

帯庵の声「唯よ、翔とお前の雛人形の謎、己自身の力で解き明かすのだ。身が引き裂かれるかも知れん、心が砕かれるやも知れん、しかし、そうすることがお前の身に与えられた試練なのだ」
唯「じいちゃん……」
どうでもいいが、その手紙の文字が、割りと下手なのが興醒めであった。
こういうところはケチらずに、ちゃんとした書家に書かせて欲しかった。
由真は居間で男雛を調べていたが、
由真「姉貴、背中んとこ、見てみなよ」
結花が人形の背中を見ると、唯の額と同じ梵字が書かれていた。
つまり、さっき魔破羅おじさんは、女雛の背中の飾り(帯?)を切り離したのだろう。
由真「翔が持ってた人形にどうして唯の梵字が書いてあるんだよ」
結花「……」
由真「間違いねえよ、唯と翔はやっぱり……」
と、気配を感じて振り向くと、そこに唯が幽鬼のような目付きで立っていた。
唯は人形を掴むと、その背中の文字を見る。

唯「なんでじゃ、なんでじゃーっ!!」
唯が叫んでいるところで次回へ「つづく」のだった。
冒頭、真っ暗な洞窟の中を、ガシャガシャと音を立てて、鎧兜をまとった奇怪な人物が歩いている。
洞窟を抜けた先は広大な空間が広がっており、石を削った階段がかなりの高さまで聳えていた。
階段のてっぺんには、黒衣の老人が鎮座している。

果心居士「魔破羅か」
まんま、ダースベーダーなキャラ、魔破羅を演じるのは、説明不要の堀田さん。
果心居士「影が動かぬ、このままでは、翔がヴァジュラを手にすることはかなわぬであろうな」
玉座に座るものは、地の底から響くような陰に篭もった声で、悲観的な観測を口にする。
魔破羅「しかし、翔こそヴァジュラを手に出来る選ばれしものと聞きましたが」
果心居士「選ばれしものは二人おるのじゃ、翔と、そしてあの風魔の娘、決して風魔にヴァジュラを渡してはならん」

果心居士「おぬしの力で、なんとしても翔にヴァジュラを握らせるのじゃ」
まんま「スターウォーズ」の皇帝っぽいキャラ、果心居士を演じるのは佐川二郎さん。
ただし、声は飯塚昭三さんの吹き替えである。
果心居士「影星の光が満ちておる、今こそ、天と地を揺るがし、すべてを滅ぼすときぞ。そのためにも翔にヴァジュラを……」

果心居士は、手に乗せた巨大なスーパーボールのような玉を魔破羅に向かって投げつける。

魔破羅はそれを真っ二つに斬る。
果心居士「見事ぢゃ……」
魔破羅「ははーっ……って、いきなりナニさらすんじゃっ!!!!」
果心居士「ヒイイッ!!」
途中から嘘だが、果心居士の行動が意味不明なのは確かである。
まぁ、魔破羅の腕を確かめたのだろうが、続いて魔破羅が階段を駆け登っているので、なんか、魔破羅が果心居士のタマを取りに来たようにも見えるのである。

続いて、前回のラストシーンが繰り返されたあと、タイトルとなるが、今回から、タイトルの後に、こういうのが表示されるようになる。
風間家。

由真「どうしてあのとき女雛のほうに折鶴投げたんだよ」
結花「……」
由真「姉貴、姉貴は何か知ってるんじゃねえのか」
由真は結花のそばに行き、その腕を掴んで追及するが、
結花「何も知らないわ」
由真「……」
結花「翔の男雛を通して唯に呪いが掛けられたでしょう、だからあのときは、もしかしたらと思って女雛を狙っただけ」
由真「やっぱり……あいつらのあいだには何かあるんだよな」
しかし、冷静に考えたら、女雛に折鶴が刺さったからって、結花自身は呪殺は使えないのだから、それが翔の体に反映されると言うのは変じゃないか?
仮に、まだ十佐の術が女雛に掛かった状態だったとしたら、翔には呪いなど通用しないと言ったミヨズの言葉が嘘になる。
結花「父さんさえ生きていてくれたら……」
由真「あいつ、ほんとにおやじの子なのかよ?」
由真が、結花がずっと胸に抱いていた疑問を言語化する。
唯は、自分の部屋で男雛を見詰めていた。
唯(かあちゃん、なんでこれを翔が持っちょったと? かあちゃん、なんでじゃ?)

依田「その雛人形は私が預かろう、翔は必ずその雛人形を狙ってくる。ここに置いとくのはあまりに危険すぎる」
唯「いやじゃ、これは誰にも渡さん!!」
傍らにいた依田が雛人形に手を伸ばすが、唯は拒絶する。
依田「唯!!」
唯「雛人形ちゅうのは男雛と女雛が一対になっちょるもんじゃ、翔に持って行かれた女雛はわちの母ちゃんの形見じゃ、じゃったら、この男雛も母ちゃんの形見の筈じゃ」
依田「しかし」
唯「依田先生、いや、般若、あんたなんか隠しちょるんじゃないか」
依田「……」
唯「もしかして、この男雛を何で翔が持っちょったか、知っちょるんじゃろう」
依田「知らん」
唯「嘘じゃ、知っちょるはずじゃ、なんで翔がこれを持っちょるんじゃ」
依田「知らんと言ったら知らん!!」
依田は苛立たしげに唯の手を振り払うが、そこへ結花たちがやってくる。

結花「知ってるんでしょ、般若」
由真「もったいぶらずに話せよ」
依田「知らん」
唯「般若!!」
依田「たとえ知っていたとしても、話すわけにはいかん。どうしても知りたければお前たち三人力を合わせて影と戦い抜くことだ」
唯「そげなこつ言うて、こんげ名気持ちでどうやって影と戦えっちゅうとか」
由真「そうだよ、力を合わせてって言ったってな、唯と翔の関係がはっきりしなきゃ戦いようがねえじゃねえか!! もしかして、こいつと翔は……」
結花「由真!!」
由真が激情に駆られて言ってはならない言葉を口にしようとしたので、結花が鋭く遮る。
由真「だって姉貴」
唯は傷付けられたような目で二人の姉を見詰める。
唯「姉ちゃんたち、わちを、わちを疑っちょるんか? 結花姉ちゃん」
結花「……」
唯がすがるように結花を見るが、結花は冷たい目をして視線を逸らす。
唯「由真姉ちゃん!!」
由真「……」
由真もプイと顔をそむける。

唯「そんげなこと……ひどか、ひどかーっ!!」
唯は、親に見捨てられた幼児のように顔を歪ませ、その場に座り込む。
結花「わからないのよ、私だってどうしたら良いか」
大人びたようでもまだ子供の結花、率直に気持ちを打ち明ける。
唯は悔しそうにポロポロと涙をこぼす。
依田「お前たちがどんなことがあろうと、影と戦う宿命を背負っているのだ。それだけは忘れないでくれ」
依田はそう言い残して帰っていくが、秘密を知っていながら話そうとしない人間の言葉が、三姉妹の心に届く筈もなかった。
ところで、確か翔って、11話で、唯の持つ女雛を欲しがって、土グモ一族に狙わせてるんだよね。
そのときは失敗したが、普段、三姉妹は学校に行って家には誰もいないのだから、盗もうと思えば簡単に盗めたのではあるまいか?
それとも、以前記したように、風魔が24時間体制で警護しているのか、あるいは、セコムしているのだろうか?
それはともかく、依田が外に出て夜空を見上げると、影星が赤々と輝いていた。
影星が輝くというのもアレだが……
と、背後に帯庵が立っていた。
帯庵「ひさしぶりじゃの、般若」
依田「帯庵様……」
帯庵「唯よ、苦しかろう」
帯庵は2階の窓を見上げてつぶやく。
依田「帯庵様、私はどうすれば良いのだ」
帯庵「少し、歩こうか」
二人は近くの公園で話す。
帯庵「今、あのことを知れば唯は影と戦う気力を失のうてしまうじゃろう。かと言うて謎のまま戦うのもつらかろう。これも試練じゃ。ヴァジュラを手にし、天輪聖王と戦うものはあらゆる試練を乗り越えていかねばならん。あのことはいま、お前やワシの口から言わずとも影と戦っていればいずれ分かること……唯が唯自身の手で雛人形の謎を解くのも試練、事実を知ったとき、それを乗り越えることこそ戦う宿命を持つものに課せられたもっとも大きな試練」
と、もっともらしいことを言う帯庵だったが、ぶっちゃけ、ストーリー上の「ヒキ」としか思えない。
帯庵が言うように、「いずれ分かる」ことなら、今話しても同じことではあるまいか?
それに、出生の秘密を知ってショックを受けるのは、むしろ結花たちの方だろう。
それはそれとして、今日も元気に悪事を企む影のみなさん。
オトヒ「烈火衆にございます」
ミヨズ「刺客としてはもっとも恐るべき衆かと」

翔の前に参上したのは、男性アイドルグループのような大所帯であった。
翔「殺せ、あの風魔の娘どもが憎い、殺してわらわの人形を取り戻せ」
烈火衆が消えた後、翔はあの雛人形を手に取り、

翔「何故じゃ、何故あの時、わらわの胸に痛みが走ったのじゃ? 唯の持っておったこの人形が何故わらわを脅かすのじゃ? 消さねばならぬ、唯を、風魔の娘どもを」
雛人形と自分たちの関係は、翔も知らないのだった。
CM後、星流学園の授業風景。
依田が英文のテキストを読み上げているが、無論、唯は勉強どころではない。
唯(影と戦えと? こんげな気持ちでどうやって影と戦えばいいんじゃ……姉ちゃんたちはわちを疑っちょるし、くそぉ、こうなったらわちひとりででも)
唯はいきなり立ち上がると、荷物を手に教室を出て行こうとする。
依田「風間君、授業中ですが」
唯「しゃからしか!!」
依田が咎めるが、唯は一声吠えると出て行ってしまう。
ゴロウ「唯ちゃん!!」
ヒデ「待ってよーっ!!」
ゴロウたちが追いかけようとするが、
依田「待てーっ!!」
突然依田が大声を張り上げる。

ギョッとして、思わず振り向く生徒たち。

依田「授業中だ、勝手は許さん!!」
普段とは別人のような厳しい口調に、ヒデとゴロウはそそくさと席に戻る。
さすがの依田も平静でいられず、「素」になってしまったのだろう。
唯が敷地内を走っていると、由真のユリアンが飛んでくる。
唯「由真姉ちゃん……」
由真「何処行くんだよ」
唯「わからん、わからんけど、わち、雛人形のこと調べて見ようと思って」
由真は唯の足元にユリアンを投げつける。

唯「なにするんじゃ、由真姉ちゃん」
由真「てめえひとりに勝手な真似させるわけにいかねえんだよ」
唯「なんでじゃ、わちはただこの雛人形を……」
由真「うるせえ」
由真はまたユリアンを投げて来る。
唯「やめんね、由真姉ちゃん」
由真「やっと妹だって思えてきたのに、マジで兄弟だって思えてきたのに、どう考えたって、てめえと翔はワケありじゃねえか」
由真はしゃくりあげながら、もう一度ユリアンを投げる。
唯「由真姉ちゃん……」

由真「姉ちゃんなんて呼ぶんじゃねえ!! てめえなんか、もしかしたら翔の奴……」
由真がなおも言いかけると、結花の折鶴が飛んでくる。

結花「やめなさい」
由真「姉貴」
結花「それ以上は口に出してはいけないことよ」
由真「だって……」
唯「姉ちゃんたちは……姉ちゃんたちは……姉ちゃんたちのバカーっ!!」
彼らの、他人を見るような視線に耐えられず、唯は二人に罵声を浴びせて走り去る。
結花「来なさい」
結花は由真の手を掴み、有無を言わさず別の場所に連れて行く。
結花「あの子に八つ当たりしてなんになるって言うのよ!!」
由真「だって、あいつと翔は……」
由真は姉の手を振り解くと、
由真「やっぱりあいつのせいなんだよ、オヤジが殺されたのはあいつのせいなんだよ!!」
と、論理的に無茶苦茶なことを言い出す。
この一連のシーンにおける由真の態度はあまりにガキっぽくて、ドラマとは言え、いささかうんざりしてしまう。
結花「由真!!」
結花は由真の前に立つと、思いっきり引っ叩く。

結花「なんてこと言うのよ!!」
由真「言いたかないよ、だけど、だけどなにもわかんないんだぜ、考えれば考えるほど頭の中がめちゃくちゃになって……悔しくて」
両手をついて、さめざめと泣く由真。
結花「私だって、悔しいわよ。あんたとおなじこと考えないわけないじゃない」
由真「……」
結花「でもね、唯はもっと悔しいんじゃないの? もっと居たたまれない気持ちなんじゃないの?」
由真「……」
結花「あの子の気持ち、わかってあげなくちゃ」
結花に優しく諭されて、由真も反省の色を浮かべるが、そこを烈火衆が襲ってくる。

まとめて鎖で縛られる結花と由真。
「上下二段式Wおっぱい」挟みならぬ、「前後二列式Wおっぱい」挟みである。
この時、中村さんが、大西さんの押し潰されたおっぱいの感触を背中に感じていたかと思うと、なんとなくニヤニヤしてしまう管理人であった。
さっさと殺せば良いのに、その周りをぐるぐる回る烈火衆のみなさん。

と、それぞれ爆弾のような物に火をつけると、二人の忍びが結花たちに密着する。
由真「こいつら一緒に死ぬ気だよ」
結花「まさか」
そのまさかであった。
彼らは自爆攻撃も辞さない……と言うより、自爆攻撃専門の、キョーフの集団なのだった。
もっとも、二人の身動きを封じているこの状況で、自爆攻撃を仕掛ける必要は、全くないと思うのだが……
絶体絶命のピンチだったが、そこに般若が駆けつけ、石礫(?)を投げて忍びを二人から遠ざけると、杖で鎖を切り、

二人を押し倒すようにして地に伏せる。
その直後、


二つの爆弾が連続的に爆発し、忍びは木っ端微塵になる。
これ、編集じゃなく、ほんとにスタントのすぐ近くで爆発させているのが凄い。
もっとも、俳優に関しては、本人かどうかはわからない。

休む間もなく烈火衆と戦う般若。
うーん、実にカッコイイ。
敵を片付けると、結花たちに駆け寄り、
依田「唯はどうした」
結花「ひとりで出てってしまった」
依田「……」
唯は風間家の墓の前にいた。
唯「父ちゃん、わち、どんげしたらいんじゃろ?」
と、唯の前に烈火衆があらわれ、

唯の足首に鎖を巻きつけ、両側から地面に押し付ける。
うむ、何処に出しても恥ずかしくない変質者である。
リーダー格の男が、唯の風呂敷から落ちた雛人形を拾い上げる。

唯「お前ら、何もんじゃ」
リーダー「烈火衆」
唯「烈火衆?」
リーダー「貴様の命ももうすぐ終わりだ。この二人が供をしてやる」
リーダーの言葉に、二人の忍びが爆弾の導火線に点火する。
いや、だから、そんなことせずとも、手の空いているあんたが唯を殺せば良いのでは?
リーダー「自爆を以て敵を巻き込み、倒すのが我ら烈火衆だ。貴様の父・小太郎も我らが倒した」
と言うのだが、家を爆破するのに、なんで自分まで犠牲にならねばならないのか、さっぱりわからない。
それに、攻撃のたびにメンバーが死ぬと言うのは、あまりに効率が悪く、非現実的であろう。
そして、そんな、殉職率100パーセントのアットホームな職場デス!! なのに、こんなにたくさんの若者が参加しているのは、あまりに嘘っぽいではないか。
なので、せめて、普段は普通に爆弾を投げるが、いざとなったら自爆も辞さない……と言う程度にしておくべきだったろう。
あと、序盤で小太郎を殺すと言う殊勲を上げているのに、何故今まで彼らに三姉妹抹殺を命じなかったのか、そこが最大の謎である。
それはともかく、リーダーが余計な自慢をしたせいで、唯の怒りに火をつけてしまう。
唯「父ちゃんを? お前らが? 許さん、許さん!!」
唯は手首だけでヨーヨーを空高く飛ばすと、それを分離させて二人の忍びの背中を打つ。
唯は二人を殴り倒すと、ジャンプして距離を取る。

オナニーのように空しく自爆して果てる二人。
しかし、仮にも墓地でこんな撮影が許されるとは、良い時代だったよなぁ。
リーダー、雛人形は手に入れたのだから、ひとまず退却すれば良いのに、

リーダー「あああああっ!!」
やっぱりバカだったようで、爆弾を手に突っ込んでくる。
それでもさすがリーダー、唯の投げたヨーヨーをかわすと、一瞬でその背後に回る。

唯「放せーっ!!!」
リーダー「もうすぐ楽にしてやるわ」
あとさぁ、自爆攻撃をするなら、あからさまに爆弾を持ってちゃダメだと思うんだよね。
おまけに、スイッチオンで起爆するならともかく、点火してからかなりの時間を要するのだから、今回のように敵に逃げられる可能性が高く、これほどコスパの悪い戦法もあるまい。
卑しくも自爆の専門家を名乗るなら、自分の体内に爆弾を仕込んで敵に抱き付くくらいのことはすべきだろう。
ともあれ、そこに結花と由真が駆けつける。
結花がリーダーの手から爆弾をもぎ取ろうとするが、由真は、足元に落ちていた男雛を見詰めたまま、動こうとしない。
結花「由真ーっ!!」
それでも結花の叫びに、リリアンを取り出して男の手首に巻きつける。
唯は男から離れると、その胸にヨーヨーを叩き込む。

結花「危ない!!」
結花が、唯の体に覆い被さるようにして守る。
再び激しい爆発が起き、今回5人目の犠牲者が出る。
ちなみに、唯に覆い被さっている結花だが、これはセーラー服を着た男性スタントっぽい。
唯のほうはよくわからないだが、たぶん、こちらも俳優本人ではあるまい。
結花「唯、だいじょぶ?」
唯「うん」
結花は唯を気遣うが、由真は言葉を掛けさえせず、雛人形を手にその場を立ち去る。
唯「由真姉ちゃん……」
一方、影のアジト。
翔「烈火衆も倒れたとは……わらわの人形が泣いておるわ!!」
と、ガシャガシャと言う足音が聞こえてくる。
ミヨズ「あれは……」
オトヒ「まさか……」
ミヨズ「ロボコップ?」
魔破羅「ちゃうわっ!!」
無論、それは魔破羅おじさんであった。
翔「魔破羅」
魔破羅「お方様より命を受け、今日より姫様の片腕となりまする」
翔「お方様が……」
魔破羅「まずは手土産に面白い物をご覧に入れましょうぞ」
魔破羅はあの雛人形を掴むと、宙に投げ、居合いで斬る。

床に落ちた人形を食い入るように見詰める三人。

ミヨズ(わかりにくっ!!!!)
と言うのは嘘だが、わかりにくいのはほんとである。
雛人形の体に、梵字が書かれていたと言うことなのだろうが……
一方、風間家。
依田が、一通の書状を唯に渡す。
依田「帯庵様からだ」
唯「……」
唯は黙って手紙を読む。

帯庵の声「唯よ、翔とお前の雛人形の謎、己自身の力で解き明かすのだ。身が引き裂かれるかも知れん、心が砕かれるやも知れん、しかし、そうすることがお前の身に与えられた試練なのだ」
唯「じいちゃん……」
どうでもいいが、その手紙の文字が、割りと下手なのが興醒めであった。
こういうところはケチらずに、ちゃんとした書家に書かせて欲しかった。
由真は居間で男雛を調べていたが、
由真「姉貴、背中んとこ、見てみなよ」
結花が人形の背中を見ると、唯の額と同じ梵字が書かれていた。
つまり、さっき魔破羅おじさんは、女雛の背中の飾り(帯?)を切り離したのだろう。
由真「翔が持ってた人形にどうして唯の梵字が書いてあるんだよ」
結花「……」
由真「間違いねえよ、唯と翔はやっぱり……」
と、気配を感じて振り向くと、そこに唯が幽鬼のような目付きで立っていた。
唯は人形を掴むと、その背中の文字を見る。

唯「なんでじゃ、なんでじゃーっ!!」
唯が叫んでいるところで次回へ「つづく」のだった。