先日、部屋に閉じ込められた。
本当に、閉じ込められた。
部屋から一歩も出られなくなった。
早い話、ドアノブが壊れた。
それは、草木も眠る午前1時。
「明日も授業だから」と思い、日記23人分の添削を終え、寝ようとした。
リビングの電気が付いているのを確認したあたしは、消そうとして、リビングへと通じるドアのドアノブを回した。
カチッ
なんだか嫌な音がした。
もう一度、ドアノブを回した。
カスッ
今度はカチリとも音がしない。
それどころか、空回りするだけで、ドアがあかない。
これは、もしや、閉じ込められた?
とりあえず、何度かガチャガチャとドアノブを回してみる。
が、開かない。
ドライバーを持ってきて、隙間に突っ込んでガチャガチャやってみるが、もちろん、開かない。
うんともすんとも言わない。
「もしかして、鍵がかかっちゃったのかも」
楽天的なあたしは、鍵のボタンを押してみた。
(よくトイレにある押すタイプの鍵ね)
やはりうんともすんとも言わない。
確実に、壊れた。
そして、開かなくなった。
さて、こまった。
このドアが開かないと、リビングに行けない。
つまりは、玄関に行けないということだ。
したがって、明日の朝8じからの授業に行けないということか?!
それは困る。
授業に穴をあけるわけにはいかない。
しかも、
「部屋に閉じ込められたので、授業に行けません」
なんて恥ずかしいことは言えない。
学生になんて言われるかわかったもんじゃない。
「先生部屋に閉じ込められたって本当ですか」
と言われたら、もう恥ずかしくて恥ずかしくて。
かといって、
「急用が」
ともいえない。
うーん。
考えてたら、なんだかおかしくなってしまって、
一人で笑いながらガチャガチャやっていた。
というわけで、とりあえず、深夜1時なのに、某見た目麗しき日本人の同僚に電話をしてみる。
しかし、この電話も問題で、お互い携帯電話の調子が悪いと来たもんだ。
同僚の電話は勝手に電源が切れたり、電波が入らなかったりするのだ。
あげく、すでに深夜1時。
すでにお休みになっている可能性が高い。
実際、2回電話をしたが、やはり「電波が入っておりません(中国語)」と言われ、しかたなくあきらめて寝ることに。
確か、同僚は朝5時半には起きているはず。
と思い、あたしも目覚ましを5時半にセットする。
明日、ドアが開かないと、あたし授業に行けない!
ここは、同僚に助けてもらって、管理人(門の前にいる)にどうにかしてもらおう。
しかし、とりあえず、布団にはいっては見たものの、心配で眠れるはずもなく。
うつらうつらしても、夢に出てきてしまう。
結局、熟睡できずに5時半起床。
お風呂に入るも、やはりゆっくり入れず、駆け足で髪とからだを洗う。
そして、6時。
同僚に電話をする。
・・・・・出ない。
焦る。
そして、めったに使わない固定電話に電話をする。
・・・・・出ない。
困った。
同僚もこの日は朝から授業のため、起きているはず。
とりあえず、授業に行く準備をしていると、同僚から電話が。
同僚「先生、どうしました?」
おかめ「いや~、部屋に閉じ込められまして」
同「は?」
お「実は昨日から寝室のドアが開かないんですよー」
同「え?」
お「それで、ちょっとらおちぇん(管理人)を呼んでもらえないかと・・・・」
同「わかりました!今から行きます!」
同僚がすごい勢いで6階から1階の管理人のところまで行き、らおちぇんを呼んでくれた。
そして、合鍵で私の部屋へ入ってきた。
同「先生、大丈夫ですか?」
お「あたしは大丈夫なんですが・・・・そちらから開かないですか?」
同「駄目みたいです・・・・」
らおちぇん「ぐぃてぃえ~ん(あたしの名前)、ここの鍵がないかい?(中国語)」
お「鍵?そんなものない!(中国語)」
すると、ドアの向こうで同僚とらおちぇんがなにやらごそごそと話している。
同「先生~、なんだかドアを蹴って壊すらしいので、ドアの前から離れろってらおちぇんが」
という、同僚の困ったような声が。
お「なんでもいいですから、あけてください~」
そのとたん。
バンッ
という音とともにドアが開いた。
らおちぇん・・・・・
本当に蹴ったよ・・・・・
しかも蹴ったら開いたよ・・・・・・
あたしと同僚が感動の再会をしているのをしり目に、らおちぇんは何事もなかったように部屋を出て行った。
開いた。
ドアは開いた。
それは、本当に良かったと思う。
らおちぇんにも感謝している。
しかし。だ。
壊れたドアはどうするんだ~~~~!!!!!!
同僚曰く、
「すごい位置まで足をあげて、一撃で蹴り飛ばしました」
とのこと。
らおちぇん、推定年齢70近く。
やるなぁ。
しかし。
ドアが壊れている。
「直すから」
という一言もなく、さっそうと帰って行ったらおちぇん。
残されたのは、
壊れたドアと、
方々に飛び散ったドアノブの中の破片。

壊れたドアノブ。

記念にかき集めてみた。
この事件から6日たった今日。
また一つ、発見された。
そして、ドアは、まだこのままだ。
ドアノブが壊れているため、きちんとしまらない。
しかし、あたしは心に決めた。
来年の冬まで、ドアノブを直すのはやめよう。
だって、また壊れるかもしれないから。
ドアノブが壊れて閉じ込められたって話、聞いたことありますか?
そんな話、募集中です。