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秋風

アキバ系評論・創作

コミティア90終了

2009-11-15 23:12:04 | Weblog
本日の創作系オンリー同人誌即売会コミティア90では
「秋風」(み23b)ブースにいらっしゃいました方には深くお礼申し上げます。

本日の新刊は三枚組のチラシをファイルに入れたものでした。
一枚目は当ブログや「月下の舞姫」の紹介。
二枚目は「あゆ」と新キャラの画像。
三枚目はこれからの展開に関わってくるメカの紹介。
内容は加筆修正しつつ追々ここにアップ致します。

さっぱり「ハードSF」しませんしあゆもハッカー娘なはずがゲームしたりでパソコンに触ってもいませんがもう少々お待ちください。相方の新キャラや面白真面目あゆパパの活躍をご期待下さい。

今日いらっしゃった方とちょっとお話しましたが中高生の娘が居てもおかしくないベテラン同人戦士の方にヒロイン差し置いてあゆパパが妙に人気で……?

あと前日とかの当ブログでコミティア89と誤記してしてしまいましたが90でした。サークルブース番号は間違っていませんでしたが失礼致しました。突っ込まれてしまいました。

では今夜か明日中に続きを……




月下の舞姫vol.8

2009-11-08 22:18:15 | Weblog
「私が強暴なら教頭先生は、」
「圧迫面接は止めていただけませんかね先生」
 不意に会議室のドアが開く。
「だっ誰だお前は!」
 教頭も分りそうなものだがとぼけているのか素なのか真顔で聞いてくる。
「当てて下さいメードカフェにご招待します」
 四十路前半のスーツ姿でいかにも生真面目な技術者風の男性が名刺入れを取り出しながら歩み寄る。
「お父さん、やだ何、恥ずかしい」
 それまでの目剣が険しかったあゆが父親の乱入で緊張が解ける。
 あゆの父親は少年漫画「コブラ」直撃世代で若い頃ならストレートにコブラの台詞、
『当ててみろ、ハワイへご招待するぜ』と言ったと思われる。
「私は……」
 あゆの父親が名刺を取り出しかける。何故か年相応立場相応ではない無印良品のアルミケースである。
「メードカフェの店長か?」
 この教頭先生は大丈夫かしら?とあゆの父親を除く一同が心の中で呆れる。

 あゆは教室内の騒ぎの直後素早く父親の携帯電話に連絡を入れていた。
 その様子は騒ぎを聞きつけて隣に教室から駆け付けた正担任もチラッとは見ていたが暴れる男子生徒を取り押さえるので精一杯だったので今の今まで忘れていた。
 双方、特に女の子のあゆに怪我は無かったので親への連絡はこの最初の事情聴取の直後にしようと思っていただけに先手を取られたのは対面上失策だったと正担任は思わず心の中で舌打ちをする。

その後、本来案内するはずだった先生と共に弁護士も会議室に入って来る。
 二人揃って同じポーズでメタボのお腹を揺らし息が上がっている。
「生き別れの兄弟か?」
 あゆの父親が小声でひとりごちる。耳のいいあゆが思わずふきだす。
 その弁護士はあゆの父親の商売上のパートナーで専門は貿易関係だがやはり弁護士バッチがものをいい、また遅れて来た校長も法曹関係者との直接対決は避けたがりあゆはお咎め無しで開放される。
 帰り掛けに入れ違うように男子生徒の母親らしき人が飛び込んで来る。
 危うくあゆと接触しそうになるが、ひらりとかわしぶつかるようなあゆではない。
「あのおばさん、私の事、まったく見えて無かったね?」
「そうだ視野狭窄だな。今の件はともかく息子の刃傷いや刃物沙汰の件でちょっと言いたかったが明日にしてくれと校長に頭を下げられてはな」
 あゆの父親は胸からスマートホン(携帯電話兼電子手帳のようなもの)を取り出し録音を停めた。

「なぁ、あゆ」
「何?」
 父親の真剣な顔にあゆは小競り合いを咎められるのかと思い身構える。
「お父さん、格好よかったろ?」
「……そうね、コブラならぬマムシ?」
「毒蝮三太夫は勘弁してくれウルトラシリーズのキレンジャーだよ」




月下の舞姫vol.7

2009-11-04 22:57:34 | Weblog
「申し上げる事は全て述べました。ご判断は先生方にお任せします」
 職員室の隣の会議室であゆは凛とした声で堂々と事情を説明した。
 あゆの前の会議用長机の上にはA4用浅型書類ケースが置かれその中にはあゆの足用デオトラントスプレー、カンペンケースそして男子生徒が振り上げたペン型カッターが置かれている。
 校長は不在で連絡を受け急ぎタクシーで高校に向かっている。
 会議室には場を仕切っている教頭、あゆ達の正担任ベテラン男性教諭、副担任の新人女性教諭があゆの近くに座っている。
 小柄なあゆが頭ひとつ以上大きい男子生徒をアクション映画よろしく制圧した事をまだ信じられないといった様子で何かおっかなびっくり接しているのがあゆには滑稽だった。

 刃傷沙汰未遂をやらかした男子生徒は足用デオトラントスプレーを目に喰らったので洗眼がてら保健室で事情を聞かれている。非常に興奮していたのでこちらは保健の先生こと女性養護教諭は勿論、生活指導や体育教諭2名さらに男性教諭3名が付き添っている。半数は授業を休講して駆り出された先生たちである。

「事情はまぁ分かったがやはり目にスプレーはいかんよ失明したらどうするんだ」
 それまで黙って話を聞いていた教頭が開口一番、頓珍漢な事を言い出してあゆは少なからず失望した。
「相手は刃物ですが?」
「君は柔道の有段者なんだろう?こう……空気投げというか……」
「稽古した武道は合気道ですし段位は取っていません」
 あゆは少し苛立った態度を隠さなかった。
「強暴だな君は」
「何ですって?」
 いよいよ語気の荒くなったあゆに正副担任は困惑するばかりだった。

遅刻

2009-11-03 00:06:40 | Weblog
パンをくわえ「遅刻、遅刻~」と言いながら走り込んで来ても許されるのは美少女だけですね。
月曜日中に更新したかったのですが数分遅れてしまいました。
零時前後というのはやはり更新する方が多いのか画面が重くなりました。

さて月下の舞姫ですがどこが月下で舞姫でハードSFなのかと思われるでしょうがもう少しお待ち下さい。

月下の舞姫vol.6

2009-11-03 00:02:56 | Weblog
「違う! そうじゃない!」
 昼下がりの高校の教室であゆの絶叫が響きわたる。
 合気道や弓道で鍛えたので小学校4年生並の体躯とは思えない程の大声が出る。

「すみません、えと、あの、どこが?」 つДT)
 あゆ達の副担任でこの四月から高校教諭になったばかりの若い女の先生が黒板ならぬホワイトボード前でおろおろしている。
「失礼しました私語です、廊下に立っています」
「いいいいです、気を付けて下さいね、では気を取り直して続きを……あきゃきゃきゃペンが!」
 真っ直ぐに先生の目を見た後、深々と頭を下げるあゆに先生はかえって恐縮してしまいホワイトボード用ペンを取り落としてしまいわたわたしてしまっている。
 大きな声だったのであゆが今居る教室と左右合わせて3教室が爆笑する。
 今は教育を受ける権利がどうので滅多な事では退室にならないし廊下で立たせるのは体罰なのでそれもない。
 あゆはそれを見越したのではなく武道家の端くれとして普通の態度だったがこれをよく思わない人も当然居て厳しい視線を背中に感じていた。

 休み時間になりあゆの隣の女生徒が話しかける。
「もう、あゆったらあんな大声出してびっくりししたわよ」
「あなたが足臭いの? なんて言うから!」
「だってだって、あたた」
 生真面目そうな男子がじゃれあうようなふたりにわざとぶつかる。あゆは直前で避けられたが相方が肘を打ってしまった。神経に障ったようで衝撃の割りに痛がる。
「じゃまだよ」
 その男子生徒はあゆを睨む。
「ぶつかってそれはないでしょう?」
「いいよ、あゆ」
「よくない! 謝りなさいよ」
「授業妨害だよ」
「話が噛み合っていない、私に文句があるなら私に直接言えばいい」
「言っているだろう」
「最初から私に言いなさいよ、彼女にわざとぶつかるなんて」
「そうよそうよ」
 それまで黙って見ていたクラスの女子が同調し始める。
「あいつさー、さっきの先生の事好きなんだぜw」
「だまれ!」
 男子生徒は机の上にあったあゆのカンペンケースを掴み投げつけようとしたがとっさにあゆが彼の腕を取り掴み合いになる。こうなると小さな体躯でもあゆの土俵であっけなく腕を捻られ制圧される……と思いきやその男子はもう片方の手でカッターを取り出した。
 あゆはとっさに手を離しスカートのポケットから足用のデオドラントスプレーを取り出し男子生徒の顔面に噴射して目潰しとした。

「こらっ! 何をやっている?」
正担任のベテラン男性教諭が飛び込んできた。

再開!

2009-11-01 22:59:09 | Weblog
公私ともにバタついているうちに間が開いてしまい申し訳ありません。
月曜中には月下の舞姫を再開いたします。

コミティア受かりました。
冬コミには落ちてしまったので友人のサークルに委託します。

八月最後の週末

2009-08-29 23:32:53 | Weblog
まだ暑いのに冬コミのネット申し込みは昨日で締め切りでした。受かるといいな……
さて月下の舞姫ですが間が開いてしまいまして申し訳ないです。
毎日ブログ更新の方は本当に凄いですね。

どこが月下で舞姫なのかはもう暫くお待ち下さい。
まぁ今のところ主に夕方のから夜へかけての話で月は見えているかも知れませんが。
基本的に現実世界をベースにしていてそこにフィクションを被せていくスタイルの予定です。

だからちょっとオタクなあゆは基本的に学校の帰りに秋葉原電気街を巡回して台東区のリアル秋葉原に帰るのです。


月下の舞姫vol.5

2009-08-29 23:08:10 | Weblog
「驚き、恐れ、疑い、惑い、マイナスからのスタート」

 あゆは昨日の自宅前遭遇戦(未満)を受けて高校に進学してから初めて約半月ぶりに合気道場に来ていた。
 地下鉄千代田線湯島駅近くの住宅地一角に在ってあゆの住む台東区秋葉原からも歩いて行ける距離にある。
 しばらく来なくて敷居が高かったのでゲーセン友達(月下の舞姫vol.3)の亜里沙(ありさ)を体験入門に誘った。
 あゆ高1、亜里沙小5だが背は亜里沙の方が10㎝程高い。さすがに見比べればあゆの方が大人っぽい顔をしているがパッと見は小学生同士に見える。
 稽古前に恒例の剣道の四戒(驚、懼、疑、惑)をベースにした四戒+αを師弟が一緒に斉唱する。壁に貼ったA1の紙に大きく達筆な毛筆で書かれている。
 
 斉唱し終わり一見武道家には見えない普通の四十路サラリーマン風の師範が向き直る。午後6時から夕方の部が始まるが今は15分前で道場には師範とあゆ、亜里沙の三人しか居ない。あゆと亜里沙は学校の制服姿で師匠は道衣姿である。
「あゆ、解説して」
「はい、先生」
 ここの合気道場は学習塾愚問式も兼ねているので師匠を先生と呼ぶ。
「んん……」
 あゆが小さく咳払いしてかしこまる。
「んぎゃぁー!!」
 あゆは突然、年頃の女の子とは思えない怪鳥のような奇声を上げ亜里沙に抱き付き頬擦りをする。
「んん~すべすべしててかわいい~普段はブレザーの方が楽だけどセーラー服もいいわねー」
 亜里沙は硬直して声も出ない。師範はやれやれといった仕草で呆れている。
「びっくりした? これに全てが込められているのよ」
「な、な、何? あゆさん?」
「今の場合、突然抱きつかれて驚き、次に恐れるというか怖く思う。それから私が何考えているかと疑い、これからどうしようと戸惑うつまり惑う。分かる?」
「うん」
 あゆはまだ亜里沙に抱き付いたまま説明している。
「これが変な人に絡まれた場合、いつまでもびっくりしていないで早く立ち直って逃げないと。抱き付かれていたら振り解かないと。さ、やってみて」
「う、うん」
 亜里沙は少しジタバタするがどうにもならない。
「うわー逃げられた」(棒読み)
 あゆがわざと手を離しふたりは正対する。 
「この状態でやっとまぁ対等。空手や柔道の試合と違って街中での護身術は常に何かされてから、されそうになってからスタートするの」
「だからマイナスからのスタート?」
「そう、先手必勝、攻撃は最大の防御なり! ってのはゲームの中の話ね。ちなみにゲーム脳ってのは嘘で、」
「ああ、いいかな?」
 そろそろ夕方の部の合気道や塾の生徒がやって来たのであゆの薀蓄話を遮った。

 剣道の四戒解説は「剣道 四戒」でググると簡単に出てくるのでそちらを参照。


「ありがとうございました」
 午後8時過ぎ、道場が入っているビルの玄関で亜里沙がぺこりとお辞儀をした。
「今日はびっくりさせたね。また気が向いたらいらっしゃい」
 師範が見送る横であゆはいつものいたずらっぽい笑顔で靴を履いている。
「は、はい」
 これはどうなるかなー? と思いながら師範は手を繋いで帰るふたりを見送った。

「どうだった?」
「ん……わかんない」
 亜里沙はいつものちょっと優柔不断な応対をする。フライトシミュレーションゲーム『月下の咆哮』であゆと編隊を組んでいてもそうで物事をひとりでを決めるのが苦手なようだ。
 対地攻撃のコースに入った時、敵機襲来の時、直ちに爆装を捨てて応戦するか投弾してからそうするかではあゆの指示がないと成り行き任せでいい的にされてしまう。
 あゆはギリギリまで対地攻撃していて投弾・機関砲掃射後、極超低空で背面飛行しながら機体下部に備わっているチャフ・フレアを撒いて敵機の攻撃を交わした後ドックファイトに臨むが多くの人は真似出来ない。
http://www.wdic.org/w/MILI/%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%95

「とりあえず学習塾の愚問式の方にだけでも来る? あの先生教えるの巧いよ」
「色々やっているんだ」
「元々、代々合気道と弓道の道場で、合い間に昔はソロバンかなんかも教えていたんだって。それで建物が老朽化したから一昨年ビルに立て替えたのよ」
 末広町交差点に出たところでふたりは止まり亜里沙の父親の運転する車を待つ。道場の体験入門に誘った時、亜里沙が父親に連絡しそういう段取りになった。 
 交差点にあるコンビニで飲み物やお菓子を買いあゆは再び道場の説明をする。
「今はあのビルの最上階に住んでその下が愚問式学習塾と合気道場そのもっと下は他人に貸していてパソコン教室とかが入っているね」
「あれ? 弓道道もあったっけ?」
 亜里沙はポッキーをかじりながら思い出したように尋ねる。
「……今は無いのよ、あの先生のお父さんが師範だったけどもう引退しちゃったし何よりも場所取るし安全管理も大変だし」
 あゆはドーナツをもぐもぐして嚥下してから答える。
「あゆさんは習っていたのよね?」
「うん、小学校に上がった時、多分一生他人より小柄っぽいからってお父さんに連れられて合気道を習いに来たんだ」
 亜里沙はあゆよりも5歳も年下なのに10㎝以上背が高いので何とも返答に困る。
「……気にしてないし身軽なせいかそんなに困らないけどね」
 ひょいとガードレールの上に飛び乗りすたすた歩いて見せる。
「はい、そこの女の子危ないから降りて!」
 巡回中のパトカーからスピーカーで注意されるもあゆは屈託の無い笑顔で手を振る。
「それで一緒に愚問式と弓道もやり始めたんだ」
 あゆはぱっと飛び降り何事も無かったように話続ける。

「あ、あれ、お父さんの車じゃない?」



コミティア89

2009-08-23 19:05:13 | Weblog
今日はビックサイト西館で創作系オンリー同人イベントのコミティアに行ってきました。
1800サークルと創作系オンリーとしては大規模で賑わっていましたが先週のコミケに比べ何と快適な事か!w
あれくらいの混みようなら苦しくもなく寂しくなくですね。

インフルエンザ対策でマスク着用者も少なくなかったですが皆様もお気をつけ下さい。
健康あっての趣味ですよね。

次回のコミティアは11月15日……調整がつくなら参加したいですね。

月下の舞姫vol.4

2009-08-23 18:37:45 | Weblog
「黄泉比良坂(よもつひらさか)の場所なら末広町交差点の地域安全センターで聞いて」
http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/1/manseibashi/koban/pb_suehiro.htm

 あゆは小一時間前に怒鳴りつけられた初老の男に凛とした声で言い半身に構える。
 パソコンやビデオゲームが好きな割りにあゆは目が良いので普段ならもっと遠くから視認できたはずだし、先程の事があったので警戒すべきだったのに何とした事か油断していて近づくまで気が付かなかった。
 あゆは心のどこかで情報弱者で肉体的にも貧弱な初老の男性を見下していた事を恥じて慢心を後悔した。
「うらめしや……」
 その男はビルの前の外灯の下でうなだれて呻くように呟きながら一歩前に出た。
「裏通りにあるメイド食堂、裏飯屋! あら素敵♪」
 つい、あゆの若さが出て挑発してしまい分水嶺を越えさせてしまった。
「うぼぁあぁあぁ……」
 男は身体を震わせとうとうゾンビのようにまともに喋れなくなってきた。

「しまった」
 あゆは再び後悔しつつも気持ちを切り替え素早く冷静に頭の中で戦術を組み立てる。
 まずふたつある防犯ブザーのストラップをそれぞれ抜きふたつとも鳴動させる。
 ひとつは身に付けたままでもうひとつはホルダーから出し相手の足元に投げつける。
 理性が残っていれば爆音でひるみ逃げるはずだが過剰な期待はしない。
 次にダッシュで今来たヨドバシカメラ方面に逃げる。
 同時に左手にはポケットの中の制汗スプレーを握り目潰しの用意とする。
 それでも捕捉された場合は格闘戦になるが小さい体躯によるハンディがある為カバンを振り回すなどなるべく距離を保った展開を心がける。
 状況に応じて携帯電話から110番通報をするが瞬時に場所と状況が通じるわけでもないのであまり頼りにはしないとする。

「よし!!」
 あゆは自分に号令をかけ覚悟を決める。
 その時、ビルの玄関から人影が音も無く滑るように出てくる。
「裏飯屋かゲテモノ料理専門店みたいだな、変な臭いでご近所から苦情が来そうだ」
「お父さん!」
 あゆの父の手には非常に堅牢な懐中電灯、マグライトが握られている。
 6セルC、単二電池6本を収めるロングタイプだ。6セルDの単一電池6本の方が一般的だが標準的日本人の手には太すぎるのであまり日本国内では流通していないものをあゆが見つけ出してきて玄関に備えていたものだ。

 あゆは左手に制汗スプレー、右手にホルダーから出した防犯ブザーを持つ。
「ショータイム!!」 
 あゆが引き攣った顔で気勢を上げ防犯ブザーのストラップを手榴弾の安全ピンのように口に銜える。
「お客様、お帰りはあちらでございます」
 あゆの父は慇懃無礼に恭しく謙り自分の足元からヨドバシ方面に掛けて箒で掃くように道を照らす。
 初老の男は我に帰り小走りに、でもすぐ息が切れてとぼとぼと歩いて秋葉原駅方面に消えた。
 あゆも戦闘モードから復帰していつものいたずらっぽい笑顔の少女に戻った。

「まだまだね、私……」
「分かっているならいい、無事で何よりだ、食事にしよう」
 見上げれば気配を消す為部屋の電気を消したビルの4階の窓からあゆの母が身を乗り出しこっちを見ていて目が合うと慌てて中に引っ込んでしまった。
 片手に携帯電話、片手に――何か持っていたような気がするがあゆには認識できなかった。

「お腹すいた」