瀬戸の住職

瀬戸内のちいさな島。そこに暮らす住職の日常。

72年めの第十東予丸遭難者供養

2017-11-09 | Weblog
11/3に第十東予丸遭難者の72年めのご供養を勤めました。
遭難の日は6日ですが、参集の都合上この祝日にしました。

15名程のご遺族と島内の有志数名、愛媛新聞と毎日新聞の記者さんも取材を兼ねてお参り下さいました。
まずは本堂にて読経。
島内観音寺の上本師にもお手伝いいただきましたが、師は曹洞宗の特派ご詠歌講師として全国を巡ってご指導されている方です。
折角なので、ご詠歌もお唱えいだだきましたら、素晴らしい歌声に心が洗われるようでした。

法要後、少しお話しをさせていただき、ご遺族の方にもコメントをいただきました。
遭難者の子供さん達は、皆一様に親の顔を知らずに育ったという事をお聞きし、戦後の貧しさの中、家の大黒柱を失っての家計子育ての苦心は推して知るべしというほかありません。

その後、木浦港へ移動、港近くの三享商事さんが善意で出してくれているボートにて六つ磯のお地蔵さん近くへ。
それぞれ海へ花を流し、読経の声と合掌で遭難者の御霊の冥福を念じました。

当然のことながら、年々遺族の方々は高齢化しています。
一方で10代20代位の若い方も参加してくださるようになった事は心丈夫です。
高齢の方には一年一年がかけがえのない慰霊の機会ですから、可能な限り毎年お勤めしたく存じます。
私自身、72年前に住職をしていた祖父の歳と同じ頃となりました。
祖父は5月の今治空襲で長女を亡くし、心の傷を抱えていた頃で、故郷を目指す帰路に海の泡と消えた沢山の命に対して、言葉には表せられない類のシンパシーというか哀れみを抱いたのでしょう。
そんな当時の祖父の想いが、この慰霊を通じて、時間を越えて私に届いてくるようで、祖父への追慕の想いを新たにするのです。



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