瀬戸の住職

瀬戸内のちいさな島。そこに暮らす住職の日常。

仏さまの眼

2019-12-19 | Weblog
令和初年がいよいよ暮れてまいりました。
俄然クリスマスと年の瀬ムードが増します。

仏教徒としては、12月には大切にすべき記念日があります。
8日の成道会(じょうどうえ)という、釈尊がお悟りを開かれた日です。
“お悟り”があったということは、その以前の“迷い”“悩み”があったわけで、釈迦族の王子さまというセレブリティとしての何不自由ない暮らしには、老病死の大問題を解決する道ははなかったのでしょう。
6年間といわれる出家修行の果てに、菩提樹下の坐禅のまま12月8日の暁の明星に照らされ、忽然としてお悟りを開かれたといいます。
その時発したのは「我とこの世のすべてが同時に悟りを開いた」という意味合いの言葉で、お悟りが開けた時すでに世界は悟りのすがただったというものです。
お悟りといえど、その瞬間に何か特別で新しいものが世界に出現したわけではなく、坐禅によって奇跡を起こしたものではありません。
世界は12/8の前日も、1年前も、釈尊がお城を飛び出した日も同じで、ただ釈尊の世界に対する見方が変わった、仏さまの眼(まなこ)が開いたと言える出来事だったでしょう。

ものの見方というのは人それぞれで、考え方にも直結する大事なものです。
今シーズンの紅葉は、暖冬の影響により2週間程度遅れたそうです。
TVを観ていると、京都などの紅葉スポットに行列が出来ている場面が写っていました。
私はTV画面を通じて観て、現地の紅葉の雰囲気を想像するのみです。
行列の末に観た人々、ある人は待った甲斐があったと喜び、ある人は待つほどでもなかった来年はいいやと感じるかもしれません。
またある人は現実の紅葉よりも、スマホの画面への写り具合と、SNSのイイネを気にしています。
管理者は後日の掃き掃除の大変さが脳裏を支配しているかもしれません。

仏さまのものの見方の特徴は、“因果”“縁起”をも見つめるところにあると思います。
この紅葉にはかつて春の淡い緑の新芽の時期があり、季節の移り変わりにより紅黄色に染まった、そして地に落ちて土に還っていく。
実は、紅葉した葉は“落ちる”のではなく、木が“落としている”ようです。
立ち枯れの木の葉は、鮮やかな紅黄色にはならず、時期に至っても落葉することがありません。
木々はいのちのはたらきの一環として古い葉を落としているのでした。

落ち葉は微生物によって土=山のいのちへ還っていきます。
そのいのちは水の流れにのって川を下り海へ注ぎます。
これもTVで観たことですが、近ごろの水産養殖業者さんには、山で植樹をする方があるそうです。
山の栄養が豊かになれば、湾の海水が良くなり、良い魚が育つとのことです。
通常の見方をすれば、山に落ちた1枚の葉と魚とは無関係です。
しかし、仏さまの眼を通じて観る世界は、すべてが繋がっていて、世界は絶妙なバランスのシステムで成り立っていて、常にサイクルしている、となります。
しかも、我もこのシステム、サイクルと一体の“いのち”を生きている。生かされている。
このようなことがお悟りとしてほぞ落ちしたであろうことは、ブッダ=覚者となり説かれた、システムやサイクルを壊さない生き方の教えから想像出来るのです。

第十東予丸慰霊祭

2019-11-05 | Weblog
秋晴れの好天の11月4日、74年めの第十東予丸慰霊祭を開催しました。

35名のご参加は、ご遺族はもとより、東予丸のひと便あとの船に乗り助かったという方、お隣の大島で沈没した宮窪丸から救助されて命拾いしたという方もご参加でした。
本堂での読経と焼香の後、グループの代表者の方にひとことご挨拶いただきました。
今回で5回めという方がおられれば、今回も初めてという方もあり、継続していく大切さを感じました。
遭難者の配偶者やごきょうだい、子供さん達も随分にご高齢となっていますが、お孫さん世代の方々も来て下さり誠に有難い限りです。

その後、木浦港からボートに乗り、遭難現場を見つめ続けている六つ磯地蔵さんへお参りしました。
毎回こころよくボートを出してくれる私の友人、海に献花するための菊花を提供して下さった隣島の池田さん、元船員で宮窪丸等の慰霊活動に尽力されている渡辺さんのサポートも心強く、無事に海上慰霊が勤められました。
穏やかな海面を眺めつつ読経していますと、この海が415名もの人命を飲み込んだことなど信じられない思いでした。

来年は75年めの節目に当たります。有縁の方々のご参加を望みます。




新居浜瑞應寺晋山式

2019-07-10 | Weblog
去る5/9、新居浜市瑞應寺におきまして、禅興寺前住職で私の師匠の村上徳存師の晋山式(就任式)が挙行され、瑞應寺31世住職に就任しました。

瑞應寺は曹洞宗僧侶育成機関である僧堂を併設してあり、修行僧の育成の面でも重責を担っているお寺です。
戦後復員され瑞應寺を継承された楢崎一光老師はまさに八面六臂のご活躍で、お寺の運営はもとより、ひかり幼稚園の開園運営による児童教育、僧堂を振興して数多の僧宝を育成し、国内外を教導して廻られ、大本山永平寺副管主在任中の平成8年にお亡くなりになりました。昨年23回忌でしたが、その法要には本堂満席となる僧俗の方々が参集し、今なおご遺徳を仰いでいます。
一光老師の後を継がれたのが実弟である楢崎通元老師で、私が瑞應寺での修行に入った平成9年の春に晋山式を挙げられ、以来20余年のご教導でしたが、齢90を過ぎての骨折などもあり、辞意を表明され、晋山式に併せて退董式(退任式)をされました。

師匠は昭和18年生まれ喜寿の齢での新任ですから、その双肩に負う荷は大変に重いものです。脈々と続く教えを守りつつも、時代に即した改善も求められます。

ともあれ、当日は僧侶一般合わせて300名を超すご出席をいただき、厳粛かつ盛大に式典が勤められましたこと、安堵しています。


退董された楢崎通元老師



賞桜

2019-04-12 | Weblog
当地伯方島の開き山は桜の名所です。
入場料も駐車料金もインターチェンジ付近からの送迎バスも、全て無料という、神対応で愛媛第2位の人気花見スポットとなったとか。
道路の渋滞がすごいとか日中はとても花見に行けないとか、島民の恨み節が漏れ聞こえてまいります。
ということで、今年も夜桜鑑賞に開き山へ参りました。

中国秦の時代、徐福という人物がいました。
秦の皇帝は始皇帝。
広大な土地を手中に収め、最後に必要としたのが“永遠の命”“不老不死”でした。
始皇帝の命を受け“仙薬”を探しの旅に出た徐福は東へ向かい、海を越え、日本に辿り着きました。
そこで徐福が詠んだ詩

西土牡丹徒自誇(西土の牡丹はいたずらに自らを誇る)
不知東海有名葩(東海に名葩あるを知らざればなり)
徐生当日求仙處(徐生当日 仙を求めしところ)
看做祥雲是此花(看て祥雲となせるは これこの花)

西の国(中国)の牡丹は誇らしげに咲いているが、それは東の国(日本)に名葩(素晴らしい景色)があるのを知らないからだ。
わたくし徐福はこの日、皇帝の命により仙薬を求めて辿り着いたこの地で、まるで祥雲のように咲き乱れるこの花に心惹かれている。

凡そこのような意味でしょうか。
徐福の使命は“永遠の命”を持ち帰ることだったはずなのに、“儚くも美しい”桜に心惹かれたとは皮肉な話です。

この詩が好きで暗唱するほどで、インスパイアされた私も桜の詩を詠みました。

【賞桜】
望汐丘陵万朶桜(汐を望む丘陵 万朶の桜)
恰如仙島瑞雲縈(あたかも仙島に瑞雲めぐるが如し)
酣歌管舞誰知刻(酣歌 管舞 誰か刻を知らん)
花影飛過頭上軽(花影は頭上を飛んで過ぎて軽し)

満開の桜花は島の丘をぐるっとめぐる祥雲瑞雲のごとき美しさです。
しかし惜しくもすぐに散ってしまいます。
また来年。

『しまのわ禅興寺音楽祭 Vol.4』

2019-03-10 | Weblog


約2年ぶりの『しまのわ禅興寺音楽祭 Vol.4』
とても豪華な顔ぶれとなりました。

◎奇妙礼太郎
◎コトリンゴ
◎優河

DJ瀬戸洋樹(大三島)
近隣の島々から出店のフードやドリンクや雑貨etc…販売あります。

●6月2日(日)@禅興寺
(愛媛県今治市伯方町木浦甲3645)
http://zenkou.net/

開場 17:00 / 開演 18:00 / 終演 21:00
前売 3,000円 (学生1,000円 ※要証・小学生以下無料)
※予定枚数に達し次第受付を終了致します。

[ご予約&お問合せ]
電話:0897-72-0126 (禅興寺)
メール:zenkou.abe@gmail.com

※件名を『しまのわ音楽祭』とし、
代表者のお名前(フルネーム)、
枚数、電話番号を記入して送信してください。

主催:禅興寺
企画制作:Cow and Mouse

詳細:http://www.cowandmouse.info/zenkouji

永井ホトケ隆&田中晴之“Blues After Hours”禅興寺公演

2018-12-19 | Weblog
Jブルースのレジェンドシンガー永井ホトケ隆と、名ギタリスト故・塩次伸二の愛弟子ギタリスト田中晴之の新春デュオライブが決定しました。
ホトケさんは約1年半ぶり、田中さんは初登場。
本堂横のお座敷会場にて、温かいフードとドリンクをご用意してお待ちしております。

2019年2月1日(金)しまなみ海道伯方島
会場:禅興寺
愛媛県今治市伯方町木浦甲3645
時間:開場18:30/開演19:00
料金:¥2500
問い合わせ:0897-72-0126(禅興寺)

【永井ホトケ隆 公式サイト】 http://www.hotoke-blues.com/top/index.html

※ツアー翌日2/2㈯は、四国中央市吟醸倶楽部にて、同デュオライブあり。
【吟醸倶楽部Facebook】 https://www.facebook.com/ginjyoclub/




本堂前スロープ工事完了

2018-12-02 | Weblog
本堂前のスロープ工事が無事完了しました。
今年急逝された老婦人Sさんは、梅花講員として長くお寺に通ってこられた方です。
生前から没後にはお寺に何かするようにと仰っていたそうで、喪主ご子息さんの発願と賛同者数名の浄財を加えて、今回の工事が成りました。
誠に有難く存じます。
画像数点掲示しますのでご覧ください。










73年めの第十東予丸遭難者慰霊祭

2018-09-24 | Weblog
昭和20年(1945)11月6日、伯方島木浦沖で沈没、415名もの犠牲者を出した第十東予丸沈没事故より73年。
今年も慰霊祭を開催します。

【日時】平成30年11月4日(日) 午後1時より

【会場】禅興寺本堂(愛媛県今治市伯方町木浦甲3645)

※慰霊塔へは各自ご参詣ください。
※海上慰霊はボートの調整中で、有無未定です。慰霊祭ご参加ご予定の方へは改めてご報告します。

連絡先を頂いたご遺族にはご案内をお出ししています。
このブログや新聞記事をご覧になって参加を希望される方は禅興寺(電話0897-72-0126)へお問い合わせください。

10/13(土)鈴木トオル音楽会

2018-09-01 | Weblog


今年も鈴木トオルさんの音楽会が決まりました。
LOOKの元リードシンガー鈴木トオルさんの奇跡の歌声をぜひ体感してください。

2018年10月13(土)
『Love in City 2018/鈴木トオル 愛するカバー曲へのオマージュ』
出演:鈴木トオル(Vo.G)

会場:愛媛今治・禅興寺(今治市伯方町木浦甲3645)

時間:開場 18:00/開演 18:30
料金:予約 3,000円 (高校生以下無料)

[ご予約&お問合わせ]
zenkou.abe@gmail.com/ 0897-72-0126(禅興寺)
◆ご予約の際、件名に[10/13鈴木トオル]と明記の上、
お名前・お電話番号・チケット枚数をご記入いただき、上記メールアドレスにお申し込み下さい。確認後、折り返しご返信致します。
ご予約無しでもご入場出来ます(当日料金加算無し)が、座席準備の都合上、なるべくご予約頂けると助かります。
開場時間のご入場はご予約の方を優先とさせていただきます。

◆鈴木トオル profile 1985年、LOOKのリード・シンガーとしてデビュー曲『シャイニン・オン~君が哀しい~』が大 ヒットとなる。 LOOK脱退後もソロ・シンガーとして身近に感じる「愛」をテーマにした多くの作品を世に送り 出している。ノエビア化粧品や欧州車アウディなどのコマーシャルでも洋邦の代表曲をカバー した楽曲が使用され好評を得た。 一方、『Love in City ~』と題したライヴは今や年間に130本を超える程に浸透し、同タイト ルのライヴで現在も全国を巡る旅を続けている。そんなライヴを重ねてながらファンの声やリ クエストにも応えたアルバム制作も意欲的に行い、ニューアルバム「RECORD」が絶賛発売中。 http://www.the-musix.com/tohru/

8/31(金)リクオLIVE

2018-06-27 | Weblog
昨年好評だった“Rollin' Pianoman”リクオさんのLIVEが今年も決まりました。
8月最終日です。お楽しみに。



⚫︎8/31(金)愛媛県今治市しまなみ海道伯方島・禅興寺 tel.0897-72-0126
〜リクオ・シングル『永遠のロックンロール/海さくら』発売記念ツアー〜
料金¥2000  開場18:00 開演19:00
オープニングアクト:Music Lobby
DJアクト:DJ瀬戸洋樹
予約&問合:禅興寺
tel.0897-72-0126
mail zenkou.abe@gmail.com
件名を『リクオライブ』とし、1.代表者氏名 2.人数 3.電話番号、1~3を上記メールアドレスへ送信してください。
※無料駐車場あり。
※当日会場にてフード&ドリンク、雑貨等の出店あり。