瀬戸の住職

瀬戸内のちいさな島。そこに暮らす住職の日常。

啓建塔

2014-04-16 | Weblog
先月のことになりますが、今治市内のお寺さんで新住職さんのお披露目の式「結制・晋山式」がありました。
先代住職さまは、梅花流詠賛歌(ご詠歌)の指導を長年勤めてこられた方で、禅興寺へも毎週船で渡って熱心にご指導いただきました。
このたび住職の座を、長男でもあるお弟子さんに譲られました。

この式を修行すると、宗門から「大和尚」の位を認可されます。
同時に、首座(しゅそ)という役目の和尚さんも、この修行を経て、長老(ちょうろう)という位になります。
この首座を勤めたのが、新住職さんのご長男さん。
高校生とは思えぬ、堂々たる法要での振る舞いでした。
父子三代にわたって法や家風が伝承されていくのは有り難いことです。

行持に先立って、啓建塔(けいけんとう)を書かせていただきました。
高さ6メートルという立派なものです。

法華経「如来神力品」のなかに、

「若しは園中に於ても、若しは林中に於ても、若しは樹下に於ても、若しは僧坊に於ても、若しは白衣の舎にても、
若しは殿堂に在っても、若しは山谷曠野にても、是の中に皆塔を起てて供養すべし。」

とあります。
このたびの塔は、お釈迦さまを供養し、その功徳をもってお寺の永久の安寧をこいねがうという内容でした。
心に残る法要でした。








花まつり

2014-04-09 | Weblog




4/8は毎歳恒例のお釈迦さまのお誕生をお祝いする「花まつり」。

花御堂の中央に誕生仏をお祀りし、周囲を春の生花で飾ります。
お釈迦さまが誕生された時に、天に2匹の龍が現れ甘露の雨をふらせたという故事にちなみ、誕生仏に甘茶をそそいで祝福します。

甘茶を楽しみにしておられる方も多く、明け方から甘茶をとりに来られます。
前晩から早朝ぶんの甘茶を沸かしておき、当日も午前中は大鍋で絶え間なく沸かします。

今年はお天気が良くて気持ちの良い花まつりでした。
保育園の子供らも桜のトンネルをくぐってお詣りに来てくれました。

絡子裁縫

2014-04-03 | Weblog
梅花講の13名、絡子(略式のお袈裟)を縫い上げました。

お袈裟というと僧侶特有の衣装と思われますが、宗祖道元禅師さまは在家の信者さんへもお袈裟の着用を勧めています。
お袈裟は別称“糞掃衣”(ふんぞうえ)とも言い、本来は掃き溜めに捨てられたような生地を寄せ集め、縫いあげたものです。
世間の衣服は生地や色、そしてデザインが美しく、他人が羨むようなものが良いとされますが、仏の衣服はさにあらず。
色は壊色(原色でない濁った色)とされており、壊色は梵語のカーサを意味し、転じて袈裟となります。

今では糞掃衣とはまいりませんが、用意した布を切り分け、ひと針ひと針返しぬいで縫い上げていきます。
自分で縫い上げたものはそのまま自分のもの、とはいかず、導師さまにお授けして頂きます。

そこで3/31、私がお袈裟裁縫を習った新居浜瑞応寺へ。
到着後すぐに修行僧の皆さんと同席で精進料理を頂きました。
山菜豊富な料理はたいへん美味しかった。
食後、控え室まで楢崎通元堂長老師がお出まし下さり、お茶を頂きながらお話を拝聴しました。
私が修行中も懇切にご指導下さった米寿の老師、お元気そうでなによりです。

19時からの法要中に授衣の時間をとって頂きました。
法要は“略布薩”といい、毎月2回(15日と晦日)に修行される、気づかぬうちにチリの如くに積もる自らの罪を顧みて、仏さま方に礼拝しお預けする儀式です。
この法要中、導師さまより一人一人お袈裟をお授け頂きました。

この日の導師さまは禅興寺先代で瑞応寺副住職、私の師匠でもある村上徳存老師でした。
梅花講員の皆さんは4/18の秋葉祭法要から、自作の絡子を掛けて法要に参加します。