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北朝鮮暴発・米中対立・ブレグジット…

2019年12月16日 07時01分46秒 | 保管記事

2019 12 16 北朝鮮暴発・米中対立・ブレグジット【保管記事】
 

 

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北朝鮮暴発・米中対立・ブレグジット…

日本だけが「平和ボケ」している

2019年の「激動」は来年へ持ち越される

2019 12 16

髙橋 洋一  経済学者 嘉悦大学教授

先週は、9日に臨時国会が閉じた後、11日に国連安全保障理事会で北朝鮮の核・ミサイル問題をめぐる会合があり、12日にイギリス総選挙、13日に米中貿易交渉で第一段階合意があった。

日本以外の世界情勢がめまぐるしく変化している中、日本では、国会の中心議題が「桜を見る会」、また筆者のまわりでは国会議員による人権侵害という「平和ボケ」に終始していたのには呆れてしまった。これらについては、10月21日から11月18日までの本コラムをご覧いただきたい。

世界経済の先行き不安がある中、日本でも景気対策が急がれており、筆者は臨時国会での補正予算を期待していたが、それもかなわなかった。日本に必要な景気対策については、先週の本コラムを参照してほしい。

今週は、先週おきた国際情勢の大きな変化を踏まえて、日本の経済と安全保障の先行きを考えてみたい。

 


まず、12日のイギリス総選挙からはじめよう。既に報道されているが、来年1月31日までのブレグジットを目指す、ボリス・ジョンソン首相が率いる保守党が圧勝した。

650議席中、保守党365議席(47増)、労働党203議席(59減)、スコットランド国民党(SNP)48議席(13増)、自由民主党11議席(1減)、北アイルランドの民主統一党(DUP)8議席(2減)、北アイルランドのシン・フェイン7議席(増減なし)、ウェールズのプライド・カムリ4議席(同)、緑の党1議席(同)、北アイルランド同盟党1議席(1増)、北アイルランドの社会民主労働党(SDLP)が2議席(2増)だった。

保守党は、全野党を合わせた議席より80議席多く、1987年以来の大勝だ。一方、労働党は1935年以来の大敗を喫した。

もっとも、保守党はEU離脱派が優勢な地域での得票率は大きく伸ばしているが、EU離脱が劣勢な地域では得票率を若干減らしている。差し引きの得票率は伸びており、小選挙区制の特徴から大勝したわけだ。

この選挙結果を筆者なりに解釈すると、保守党は「EU離脱」という単純明快なメッセージが支持を増やしたのに対し、労働党は「もう一度国民投票を」というスローガンでまどろっこしいのに加えて、国民保健サービス(NHS)の改革が左により過ぎたのを嫌われ、中道左派支持者からの支持を失ったのだろう。


ただし、スコットランド国民党(SNP)は支持を伸ばしている。イギリスがEU離脱を決めても、スコットランドはEU残留に向けて住民投票をするかまえである。イギリスにとって来年は一難去ってまた一難の予感がする。

そもそも、イギリス経済にとってEU離脱はマイナスの効果しかない。今回の総選挙は、EU離脱のマイナス効果を「ほぼ確定」させたことになる。

イギリスの国立経済社会研究所(NIESR)は、イギリスがEU離脱した場合、離脱しない場合に比べて年間700億ポンド(約9兆8000億円)の経済損失が見込まれるとする報告書を発表している。この報告書では、今後のEUその他との自由貿易協定はあまり考慮されていないが、それでも、欧州経済にとっていい話ではない。

イギリスは、これからEUとの包括的な自由貿易協定を結ぶだろうし、アメリカとの包括的な自由貿易も加速するだろう。これに、日本も入ってゆく必要が出るはずだ。というのは、包括的自由貿易協定は、安全保障と密接に関係するからだ。

米中貿易戦争のこれから

次に、13日の米中貿易交渉の第一段階合意だ。両国が15日に予定していた追加関税は見送られ、繰り返される制裁と報復の応酬がとりあえず一時休止になったのは、いいことだ。

具体的には、アメリカは対中制裁関税第4弾のうち9月発動分(1200億ドル分)の関税率を15%から7.5%に半減し、第4弾の残り(1600億ドル分)の発動は見合わせる。第1~3弾(2500億ドル分)の25%は継続する。

ただし中国側は、アメリカは制裁関税を段階的に取り消すことで合意したとしている。合意を急いだあまり、両国間で完全にすり合わせができていない状況だ。合意文書の署名時期についても両国間は一致していない。
          

 


それでも、第一段階は合意できたのでまだいい。問題は第二段階だ。そこには、中国の国有企業や産業への補助金見直しがある。それらは、中国がTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)に参加できなかった理由でもある。

TPPには貿易自由化だけでなく投資の自由化も含まれている。しかし、中国は社会主義国なので、生産手段の私有化を前提とする投資の自由化は基本的に受け入れられない。また、TPPでは国有企業が大きな障害になる。国有企業が大半を占める中国は、その民営化などを迫られるだろうが、国有企業改革は中国の国家体制を揺るがす事態につながりかねないのだ。

 


これらのことから、第二段階の合意はかなり困難だろう。加えて米中貿易戦争は、これまでも経済問題に限らず安全保障上の問題になっている。こうした問題意識は、2010年あたりからアメリカ議会では民主党も共和党も超党派で持ってきた。オバマ政権はこれを軽視していたので、トランプ政権が重点的に取り上げたという経緯もある。

要するに、中国への強硬姿勢は、アメリカ議会に対して共和党が自信をもって進めることができる政策なのだ。このため、少なくとも来年11月のアメリカ大統領選まで、トランプ大統領にとっては中国への強硬姿勢を続けたほうが政治的に得策となる。

日本への悪影響はまだまだ続く

最近は、米中貿易戦争が経済・安全保障問題を超えて「人権問題」にもなりつつある。「あの」トランプ大統領が中国に対して人権を言うというのも、我々西側民主主義国の人間からみれば奇妙であるが、中国に対しては言ってもおかしくない。

そもそも香港人権法案が議会で圧倒的多数で成立したので、トランプ大統領も署名せざるをえない。署名せずに大統領が拒否権を使っても、議会両院の3分の2以上の多数で再可決すれば、拒否権は意味がなくなるからだ。ウイグル人に対しても似たような人権法案が議会で成立するだろう。

これらはトランプ大統領にとって中国との交渉カードになるので、そう簡単に中国とは妥協できないというわけだ。逆にいえば交渉カードはまだ豊富にあるので、貿易だけの第一段階で、中国の足下をみて合意したともいえるだろう。
 
こう考えると、米中貿易戦争は容易に終結しないという前提で考えるべきだ。第1~3弾の関税25%も、いつなくなるのかわからない。第1~3弾の対象となっている中国製品は、アメリカによって輸入代替品、つまり価格が高くなれば中国以外の国から輸入可能な製品である。中国企業は、アメリカ国内シェアを失いたくないばかりにアメリカ向け輸出価格を引き下げているところが多い。これが中国経済へ大きな打撃を与えている。

こうした状況が継続するので、中国経済と関係の深い韓国や日本への悪影響は当分続くとみたほうがいい。

 


悪影響を軽減するためには、日本国内経済をしっかりさせることが最低限必要だ。その上で、これまでの歴史を振り返ると、中国はアメリカから制裁を受けると日本にすり寄ってくる。今回も同じで、来春に習近平主席が国賓として来日する予定である。

これについては、自民党内の保守系議員から反対意見がある。尖閣諸島など安全保障上の問題や人権問題についてはっきり言う覚悟がなければ、習主席を国賓として訪日させることは、国際社会に間違ったメッセージをあたえてしまいかねない。

最近は、西欧諸国が多数加わる北大西洋条約機構(NATO)の29カ国も、NATO宣言の中で「中国からの挑戦」に言及している。対中国の距離感をどのようにとるか。下手をするとアメリカの虎の尾を踏みかねない。対中国の対応ミスで、日本企業がアメリカ市場から締め出しを食らえば、日本経済にも大打撃になる。ここは日本外交の試金石である。

北朝鮮は再び危険な状況へ

最後に、北朝鮮の動きだ。米朝首脳会談が膠着している。米朝首脳会談は、第一回が2018年6月にシンガポールで開催され、第二回は2019年2月にハノイで行われた。ハノイでは決裂したが、2019年6月に米朝両首脳が板門店で面会した。もっともこれは米朝両国とも「首脳会談ではない」としている。その後、年内の首脳会談を模索していたが、その前段階の実務者協議で難航している。

アメリカは、柔軟姿勢を示すためにボルトン補佐官を9月に解任し、10月に北朝鮮との実務者協議をストックホルムで行ったが、決裂した。その後、北朝鮮は一方的に交渉期限を年内に設定し、アメリカを牽制してきた。

北朝鮮は8日、北西部・東倉里にある「西海衛星発射場」で、前日の7日に「非常に重大な実験が行われた」と発表した。これに対して、アメリカの要請により、11日の国連安全保障理事会で核・ミサイル開発に関する公開会合が開かれた。北朝鮮は14日、13日に「重大な実験」を再び実施したと発表し、さらにアメリカを牽制した。まさに米朝のチキンレースの様相だ。

 


アメリカは、軍事偵察衛星や弾道ミサイル情報収集用偵察機「コブラボール」を朝鮮半島に飛行させ、さまざまな情報収集を行いつつ、B52戦略爆撃機を日本周辺まで飛行させ、北朝鮮に圧力をかけている。

今の状況は、トランプ大統領と金正恩委員長との個人的な関係だけが頼りの危うい状況だ。

両者による個人的な関係があるので、核実験や大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射はこの2年間抑えられてきた。この年末にどちらかが行われれば、トランプ大統領と金委員長が会談する前の険悪な米朝関係に戻ってしまう。というより、頼みの綱であった個人的な関係が崩れることになるので、2年前よりもさらに悪い状況になりかねない。その場合、ここ30年間で朝鮮半島はもっとも危険な状況に突入する。

ここ30年間の「もっとも危険な状況」とは、1994年の北朝鮮危機だ。当時のクリントン政権下のアメリカは、北朝鮮の核施設を攻撃する一歩手前だった。韓国の金泳三大統領がクリントン大統領に懇願し、なんとか北朝鮮への攻撃は回避された。

トランプ大統領は、政治家や軍人の経験のない民間人出身なので戦争は避けるだろうという見方もあるが、もし金委員長との個人的な約束が反故にされたら、どうなるかわからない。

 


その上、米韓関係も冷え込んでいる。韓国は北朝鮮からも相手にされていないようだし、今の状況ではあてにできない。日本としても、万が一の場合に備えて数々の準備をしなければいけない。

ブレグジット、米中貿易戦争、北朝鮮のどれをとっても、日本への影響は深刻だ。「桜を見る会」で平和ボケしている場合ではない。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/69230

 

   記事の紹介終わりです。

 

2019 12 17 核での、おもてなし。【わが郷】核での、おもてなし。  わが郷

 

 

 

 

 ■ Site Information

 ■ 2009年7月9日
  「我が郷は足日木の垂水のほとり」 はじめました。
  本稿はその保管用記事です。

 ■ 2010年3月2日
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