Rising斬 the侍銃士

音楽のこと、時代小説、映画を中心にしていくと思います。タイトルは自分のHNの由来になったゲームから

PoTeChi

2005-12-16 00:55:16 | アニメ・コミック・ゲーム

影山ヒロノブプロデュースの声優アイドル、野川さくら。
もう3月の話だが、彼女の3rdアルバム「 PoTeChi 」が出ていた。
レビューを書いたのはだいぶ前なんだがアップするタイミングを逃してた。12月っぽい曲もあるし12/7には影山のソロアルバム 「 Cold Rain 」が出たし、とりあえずこのタイミングで上げてみる。

このCDの帯に書いているキャッチコピーは「女の子の気持ちアンチョコ」だそうで、自称「鋼鉄の戦士」の俺は持ってるCDは多いが女性歌手は少なく、しかもアイドルに関しては影山の曲と一緒に声優さんの曲が入ってる程度。
声優アイドル1人のアルバムというと、野川さくら以外は今1枚(水樹奈々)しか持っていない。
さくらちゃんのアルバムも、影山プロデュースで仕方なく買っている。
そんな感じだから、発売してから聴くまで結構かかったが、聴いてみりゃなかなか良いアルバムだった。
前作「URARA」にはDVDが付いてて、さくらちゃんの「もう夜中になっちゃいました、ふぇーん」にあきれつつ影山の元気なプロデューサーぶりに一喜一憂していたが、そのDVDのお陰か今度のアルバムは作曲やレコーディング中の影山の表情が浮かんでくる。
よく見ると今までと違ってさくらちゃんの作詞はタイトルトラックの超短い歌のみで、半分以上が影山、残りをいろんなゲストが作詞。ちなみに作曲は全て影山、編曲は須藤賢一。
それがあってかどうかわからないけど、今までのアルバムで一番アートしてる気がする。
手作りにこだわったとかで、やたら重そうなピアノの音に圧倒された。
さくらちゃんの歌も、声優だけあって子供から大人まで歌唱法を使い分けられることがわかる。

今回のアルバム、前2作と違って歌詞に「ニャンニャン」「にゃっほー」が無くなったと思ったら(と、思ったら 先行シングル のカップリングに「にゃっほ~♪New Year」があった)、歌詞カードにも猫が映ってる写真が無くなり代わりに犬が居る。意図があるかどうか知らないが、「今までと違うもん作ろう」って意気込みが細かい所にも現れているのは好きだ。

2曲目の「ヤダ!」が1番ノリ良くて気に入っている。
かつて影山はファンからさくらちゃんにもアップテンポを歌わせて欲しいとリクエストがあった時に、さくらちゃんに提供する曲はスローテンポにこだわっているような発言をしていたから、珍しくアップテンポの曲。
歌詞自体は、彼氏に向かってわがまま言いまくるけど、その分君を愛してるよって内容。
歌詞だけ読んでいると
「あんたの言う愛はニセもんだ!」
「でもこんなにぐうたらな彼女なら浮気してもバレないかもな」
と思えるが作詞は影山なのでケチをつけるのも胸が痛い。もちろん曲調がよく、かわいいから好きな歌だ。
同じ言葉でも、言い方ってあるんだなあ。名優はレストランのメニュー読むだけで人を泣かせるらしいし、そういうのが声優という仕事の醍醐味だろう。

クリスマスにちなんだ曲もあり、「Joyeux Noel ~聖なる夜の贈りもの~」がそれにあたる。
あの子との噂もあったにも関わらず好きになってしまった人へ、クリスマスに手紙書いたら待ち合わせ場所に駆けて来るという奇跡を歌う。
「思い切って勇気出してみたら、奇跡が起きるかもしれないよ。奇跡を信じてみようよ」とでも言いたいのだろうけど、
もともと噂があった子はどうしたんだろう?
「噂のような事実はありませんでした」と言うことだろうか?
「奇跡」には、その辺のしがらみもどうにかうまくいったというのも含んでいるのだろうか?
で、再度冷静に歌詞を検証してみると、結ばれて終わりではなく待ち合わせ場所に駆けてくる所で終わっていて、その後どうなったかは「抱きしめて離さないで」とかいう願望のみ(前の女と離れさせといて「離さないで」はないよな)。
もしかしたら駆けてきて「君さー、あの子との噂知ってんでしょ?変な手紙送らないでくれる?」てなるのかな?
「君の手紙あの子に見られて振られちゃったよ。トホホ…」とかならまあマシか。
司馬遼太郎「坂の上の雲」を読んだ人間としては、東郷平八郎を見習って、たとえ待ち合わせ場所にやってきたとしても、本当に自分に会いに来たのであって、デートなり何なりしてくれて、無事に帰れるまで、油断しないことを薦めたい。

あとは「正しい恋愛」や「JUST A BOYFRIEND」もいい。「遥か」や「アカシア」もよかった。
俺的にこれらが良いというだけで捨て曲は無く、ここに挙げなかった歌が人気投票で1位になっても不思議じゃないほど粒ぞろいだ。
個人的には一発ドカンと超名曲やってくれりゃ他はクソでも金出せるつもりだが、聴き所が多いのはやっぱり魅力的だ。
彼女のアルバムは買ってもしばらく聴いて後は忘れてたけど、今回はずっと聴けてた。
全体を通してだと、
「さっきの曲では自分で料理覚えたとか言って、結局こっちの曲では彼氏にパスタ作らせるのか」
「あの曲でやたらズケズケ言ってるくせに、こっちの曲ではずいぶん翻弄されているな」
てのもあるが、一人で作詞してるわけじゃないから。
もしかしたら「怠け者」のアルバムだから、主張を一貫させることに対しても「怠けてる」って事か?
まあワガママ言ってる歌もあれば、頑張ってラブレター書いてる歌もあり、「その荷物半分持つよ」て言葉もありで、色んな女の子を演じているって解釈で良いのだろう。
影山自身はどんなアニメの主題歌を歌おうとも変えない不器用なほど一貫した「男らしさ」「影山らしさ」というような物があるから、人のプロデュースをするときには色々なキャラをだしてみたかったのかも。声優は違う人間になるのが仕事みたいなもんだし。

今まで歌詞は、影山の曲から使いまわした表現もあったが、今回はまだ気付けていない。
メロディーラインは結構既曲を使いまわしてる。ただ「遥か」のサビはJAM PROJECTの「CRY FOR THE EARTH」のサビの一部っぽいけど、全然印象が違うからいいと思う。ただ最初が宮崎アニメのなんかを思い出させるのがもったいない。

ちなみに気に入ったので感想は書いてみたものの、飽くまでお奨めしたいのは影山ヒロノブ本人だ。それを聴かずしてさくらちゃんだけ聴いて「この人こういうのが好きなのね」といわれるのは非常に心外だ。
実際は、影山よりさくらちゃんの方がずっと売れてるんだろうなあ。こういうのがウケル時代だからな。
まあ、わざわざ俺も入り込めそうな領域に歩み寄ってもらえたのを喜ぶとしよう。


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