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【半休中】Beyond talk to oneself

子どもや日常、スポーツ回顧、時事の疑問に世の声の1人として触れていきます。競馬予想はあくまで履歴と仲間向けです。

儚き命の死に水を取る

2016年09月29日 23時59分10秒 | 一般
この夏、隅田川の花火の数日後の深夜。
どこからかセミがベランダに飛び込んできた。

ミ゛ミ゛ミ゛ミ゛ミ゛ミ゛ミ゛ミ゛ミ゛

とか言いながら、間寛平のおじいちゃんのギャグの杖のように
あっちこっちにぶつかってドカドカ音を立てつつ、
このように鳴き声を上げていた。

うちは普通のベランダなので、60%の上部が空間で
40%の下部が柵や壁。そんなつくり。
なのになんで奴は低いところしか飛ばないのか、
窓に当たり、壁に当たり、柵は実質ガラスパネルなので
それに当たり、鉢植えに当たり、ベランダボックスに当たり、
2時ぐらいからずっとうるさかった。

でも深夜なので何もしなかった。
捕まえれば余計にミ゛ミ゛ミ゛ミ゛ミ゛言うし、
捕物の時にガタガタ音を出せば深夜に近所迷惑だし。

なのでいつか自然に出ていくだろうと思ったが、
音がしなくなったので飛び去ったと思ったが、
疲れたのか初期のように頻繁に飛ばず
(裏返しに落ちてたこともあろうかと)
まだ居たのかと忘れたころに飛ぶ音がして、
ぶつかる音がして、ミ゛ミ゛ミ゛ミ゛ミ゛ミ゛…と。
その繰り返しが数時間続いていた。
ぶつかるにしてもガラスパネルと横と下はコンクリの壁の
隙間が10cmぐらい空いているので、
そこに当たれば脱出できるのに、
こんなにぶつかりまくってそこに行かないのも
確率的にそこまで低いかとちょっと思った。

そのうちこっちが眠りにつき、飛び去ったのか死んだのか、
朝確認しようと思ったが忘れていた。
昼近くなり思い出してベランダを見ると
空の灯油ポリタンクが入ったベランダボックスの
下部の隙間に挟まっていた。
(四隅の間の部分は水はけなどのためか削れている)
これで動けなくなったのか、そして死んだかと思った。

履いているサンダルの先っちょで隙間から出すように
さっと払ってみた。・・・鳴かないけど何か動いた?!
手で摑まえるとミ゛ミ゛ミ゛ミ゛ミ゛と鳴くから
体力を奪われるだろうとして取ることは瞬間的にやめ、
その分捕まるものとして部屋をみたら、
ムービーのストラップが目に飛び込んでこれだと思い
それを持って垂らしてみると掴んだので上げてみた。
そしてムービーをベランダの壁の上部に置いたのが
冒頭画像の様子。
この絵までにそんな背景があったのだ。



死にかかりで体力もないのにぶら下がってては辛かろうと
壁の上部まで引き上げてみた。



横向きも辛かろうと、真直ぐの態勢に整えてあげた。
・・・あれ!?口のストロー立たせ気味!?
・・・そうか、そうだな。
ちょっと高く飛べば優に脱出できたのに、
夜な夜なあっちにぶつかりこっちにぶつかり
体力が無くなるほどに壁と戦っていたのだもんな。



ということで、手に水を掬って頭から垂らしてやった。
水滴の重みと驚きで最初は一瞬ガクッとかビクッとしたが
求めている水分だと気が付いて溜まった水を吸おうと動き出す。
その後2回ぐらい垂らしたかな?
真夏だしすぐ蒸発するからね。

もう長くないだろう命に水という生きる源を取り込んで
尿をひって飛び立って、まだ交尾してないなら
メスを求めて鳴いて、次の命のバトンをつないで
そして朽ち果てるのがセミの本望かと思うしね。

でもここ日がもろに当たる。うち南向きだからね。
それは熱いのかなと思いつつ、
夏の虫だから平気とも思うし、正味良く判らない。

1時間半ほど経ったし、もう飛び去ったか、
居たにしてもまた水をかけてあげようかと思い見てみると



・・・居た。
でも少し横になってる。
・・・もしや!?と思い羽先をツンツンしてみた。
・・・動かない。・・・死んだか。うちで。

直射日光にやられたのか寿命なのかわからないが
あたかもさっき上げた水は死に水になってしまった。
空蝉・・・我々生きた人間やその社会のこと。
他に、文字通りに空のセミ。抜け殻のこともそういう。
人間も死んだり燃え尽きたりすると抜け殻と言われる。
このセミは二度目の抜け殻になった空蝉なのだな。

でも彼にはまだ仕事がある。
人は弔われて荼毘に付されるが、
セミは鳥や小動物や他の昆虫のえさになる。
それが自然界の食物連鎖。
残酷だが、生きていてもそういうもの。
まして死んでいるのだから、ただ他の命に役立つのみ。

よく飛んでいるセミが急に落ちてきて地面で
ミ゛ミ゛ミ゛ミ゛ミ゛ミ゛ミ゛ミ゛ミ゛ミ゛
って、薬丸も止められないほどじたばたしてる。
結局その後死ぬのだろうと思うその状況をよく見る。
ということは、飛びながら死にかかるのかと。
だからベランダから下の植え込みまで落とすことにした。
わざわざ下に行ってもいいんだけど、
なんとなく自然に近い形のほうがいいかなと。

でもその瞬間驚いた。

・・・持った瞬間なんとセミがミ゛ミ゛ミ゛鳴いた!!



・・・ということはなかった。想像だとそう思われたかな?と。
目を見ても死んでるからね。
大差ないんだけど、目の奥に光沢がないというか、
幾分艶消しになってんだよね。

で、驚いたのはその重さ。
魂の分軽くなる・・・とは思わないけど、
空蝉のようにセミの死骸は何度も持ったことあるけど軽い。
もうカラカラなんだよな。
でもこのセミは死にたてホヤホヤだけど、
あの死に水を飲んで腹に少しは溜まっているから重いのだよ。
生きているセミの重さとそん色ない。
そういうわけで死にたてだからとはいえ、生きてないんだし。

その重みが奏功してか、壁などにぶつかることもなく
ひらひらと舞うこともなく、真直ぐ植え込みに落ちて行った。

なんとなくただ死に行くのみの1週間の成虫人生・・・
もとい、虫生の最期に少しでも水を飲ませてあげられて
ただカラカラで死んでいく他のセミよりは
少しは幸せだったかもしれないという、
それを求めてうちに飛び込んできたのかも?と、
何か少しサンチマンタリズムな気持ちになった。
(羅生門参照のこと)
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