たぬきの美術研究室

たぬきによるたぬきのための、美術の考察だったり好きなものを紹介したり日常についてつらつら語るための場所。

大工の父ヨセフ(ラ・トゥール)

2011-01-23 | 美術(西洋)

今日の一枚は17世紀のロレーヌ地方で活躍した画家、ジョルジュ・ド・ラ・トゥール(1653-1652)が

1642(又は1654)年に描いた「大工の父ヨセフ」です。

この作品はラ・トゥールの代表作とも言えるものです。

モデルはまだ幼いイエス・キリストと、大工であった父のヨセフ。

明暗がくっきりと分かれる絵を得意としたラ・トゥールは、ろうそくに照らされる肌のつや、

指先が透ける様子を見事に描かき出しています。

炎のゆらめきにも、絵とは言えども暖かみが感じられ

また作品全体から、その空間の神聖さがひしひしと伝わってきます。

 

ラ・トゥールはルイ13世に「国王付き画家」の称号を与えられたほどの実力がありましたが

彼の生涯についてはほとんど分かっていません。

彼の功績が再発見されたのは20世紀に入ってからでした。

しかも、ラ・トゥールの作品には、贋作と弟子の作品との判別が付けにくいものもあり

彼のことを深く知るのは大変そうです。

しかし、彼が主に好んで描いたモチーフにはいくつかのパターンがあります。

1.暗闇の中に灯るろうそくと人の姿

2.ドラマ性のある登場人物たちの視線

3.貧しい老人の姿などを鋭く描写して描く

 

今回の絵のような暖かみのある明暗の描写と

下の絵のような視線を見かけたら、ラ・トゥールかも、と思ってください。

「いかさま師」一部(1635年、ルーブル美術館蔵)

 

「大工の父ヨセフ」もフランスのルーブル美術館に収蔵されています。

ルーブル美術館ってただでさえ広いのに、こんなに私の好きな絵ばっかあるんだな・・・

心の底から行ってみたい!貪るように見たい!

 

 

<たぬき>


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3 コメント

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Unknown (おでん)
2011-01-24 12:26:20
個人的な感想だけど、この「大工の父ヨセフ」は親子を描いていても、まるでキリストがヨセフに教えを説いているようにも見える・θ・こういう所からもキリストの神聖さってのを感じますね。
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Unknown (えーこ)
2011-01-24 14:02:46
「いかさま師」の女性の視線……
すごく痛そうww
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お返事 (たぬき室長)
2011-01-24 21:30:18
おでんさん>
確かに、キリストと思われる幼子の口元がわずかに開いてて
ヨセフに対して何か話してるみたいだね・・・!

えーこやん>
顔超怖いよね!(笑)
この女の人には逆らえなそう・・
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