妄想と戯言2

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ある日のマホロバ(討鬼伝2)

2019-03-12 19:46:42 | ゲーム
討鬼伝2の神無+男主人公+焔のくだらないお話。ほぼ会話。めちゃくちゃ短いよ。











晴天、とまではいかずとも、それなりに心地のよい日差しが印象的なある日の事。見慣れた小料理屋の暖簾の奥、看板巫女である久音がせっせと働くその端で、これまた見慣れた3人の男達がやいのやいのと大声で騒いでいた。

向かって右から、仏頂面でそっぽうを向き、髪を結った青年。名を神無という。その隣、中央に座るのは苦笑いを浮かべ項垂れる男。この里のモノノフを纏める隊長の一人であり、お頭補佐も務める男である。そして最後に、鬱陶しそうに組んだ脚にこれまた鬱陶しそうに顔をしかめている男、名を焔といった。それぞれ右手に湯呑みを持ち、もう片方の手には鮮やかな緑色が美しいヨモギ団子の串刺しを持っている。

「あのなぁ、神無...今回の任務は俺と焔、それから依頼主の三人で行く事になってだなぁ」
「駄目だ。次の任務は俺も連れていくと約束しただろう」
「いや、だから...」
「約束は約束だ。第一、そいつを連れていくのに何故俺は駄目なんだ」
「それは任務の都合で焔のミタマが適任だっただけで」
「俺のミタマのほうが強い!」
「そういう事じゃなくて!」

アホらし...と焔がため息混じりに呟く。その言葉を聞き逃すことなく神無が声を荒げた。

「誰がアホだと!!」

先ほどから、この繰り返しである。
あらあら、と事の顛末を見守っていた九音が呟いた。立ち上がった神無の足元ではガタンッと音を立てた椅子が倒れそうになっている。それを寸での所で支えたのは謂わずもがな、隣に座るモノノフ部隊の隊長である。

「待てまてっ!神無!」
「もう一度言ってみろっ!」
「おいっ店の中で暴れるなって!」
「あーあー!何回でも言ってやらぁ!この阿保ぅ!」
「っ!このっ.....!!」
「ハッ!なんだよ僕ちゃん、やるってのか、ああ!」
「焔も、煽るなって!ちょ、おい神無、刀を抜こうとするな!止めろバカ!」
「ッ…ーーっ斬るッ!!!」
「上等だ!やってやらぁ!!」
「話聞けよおまえら!!」

あらあら、とまたもや微笑む九音を余所に、白熱する男たち二人に挟まれた隊長の悲鳴がこだましたとか、何とか。














「なんだ、三人で分け前の勘定をするんじゃなかったのか」

ヒューーーピロロロロロ、と頭上を回る鳶だか何だか知らない鳥の鳴き声が嫌に脳裏に響きやがる。定期的に入る『お宝捜索』の依頼が舞い込んだのは、どこか呑気な日射しに欠伸が止まらなくなってしまう、そんな昼下がりだった。出来ることならばいつもの三人で、いつものように鬼どもからお宝をくすねてしまいたいところだったが、それもどうにも叶わない。
首を傾げるのは、意気揚々と宝の地図を拡げて俺と焔を待っていた「探検家」の彼だった。

「確かアンタ、サムライ部隊の...」
「神無だ。今日は俺も同行する。異論は認めん」

青筋を立てる冒険家の彼が俺に視線を寄越した。まるで、説明しろ、とでも言いたげな目だ。

「あー...いやぁ、なに...ちぃーっとばかし分け前は減るかもしれないが、その...依頼達成は確実になっただろう?」
「ほお...?」
「実力は俺が保証するよ。だから今回は四人でっ」
「ケッ、だぁーから俺は言ったんだよ!夜にでもこっそり抜けだして、朝までに戻りゃ問題ねぇってよ!」
「おい、どういう意味だ...」

舌打ち紛れの焔の物言いにピクリと反応したのは、もちろん神無だ。

「あぁ?そのままの意味だよ!そ、の、ま、ま、の!意味!」
「キサマッ!俺が邪魔だとでも言いたいのかッッ!!」
「だったら何だってんだァ?ああっ?」
「やはり今すぐにでも叩き斬ってやるっ!!」
「やれるもんならなぁ!!」

あーあーといつもの光景に頭を押さえたところで、冒険家の彼が一言。

「......これじゃ隠密任務は無理だな」

計画を練り直すか、と彼が続けたところで響いたガキンッと火花でも散っていそうな金属音に、まさか、と焔たちを振り返る。

「このっ!避けるな!」
「おーおー!力ばっかりで芸のねぇ剣術だなぁオイッ!」
「キサマァ!」
「あーっもお、いい加減にしろよおまえら!ここ本部だぞ!武器を仕舞え!!」
「「こいつが悪い!」」
「ッ、どっちもどっちだバカ野郎!」

息はピッタリなんだな、と何を納得したのか、冒険家の彼は何度も頷きながら地図とにらめっこを始めてしまう。

「なあ、おい、あいつら止めるの手伝ってくれ!」
「おまえの仕事だろう、隊長殿」
「死ねぇ!!」
「かかってこいっつーの!!」

ギャイギャイ、ワーワー!と騒がしく、俺たちは本部を後にしたのだった。






おわり


わちゃわちゃしてる主人公たちがすき。サブクエで出てくる冒険家のキャラもほぼ捏造していますが大好きです(笑)