日々草創

「清く、楽しく、気持ち良く」、、、アホのままでもいいんです。

キャッチコピー

2009-10-17 | 日記
僕は普段、店舗・ビル・テナントなどの看板や野外広告、表示板などをはじめ、カッティングシートによる装飾やスタジオセットなどなど、とにかく僕自身でクリエイトできる様々なデザイン、創作活動を糧とし生活を送っている。

そんな中で、どうしても自分では出来ない行程に関しては、それぞれの専門職の方々に依頼し制作などをして頂いているのだが、特別に注文をする程でもない小物や道具などはホームセンターなどで売られている既製品を流用する事が多い。
僕にとってホームセンターは、大切な仕事のパートナーなのである。

そんなホームセンターへ、今日もちょっとした金具を購入する為に出向いた。

かなりの頻度で行っているにも関わらず不思議と毎回のように新しい発見があるホームセンターは、僕にとって楽しい遊び場にもなってしまう。
そんな店内を目を輝かせながら周り、目的の商品が置いてあるコーナーへと向う。
そして無事に商品をゲット。

キャッシャーへ向かう途中、愛猫「しんのすけ」のエサが底を尽きそうだった事を思い出した僕は、ついでとばかりにペットコーナーに寄り道をした。

山積みにされた様々な種類のキャットフードを前に優柔不断な僕が顔を出し、どれにしようか迷っていた時、隣から気になる会話が聞こえてきた。

「栄養がある方がええに決まっておるじゃろ」
「いーや、おいしい方がええ」

いかにも元気そうな老夫婦が、ちょっとした言い争いをしていたのだ。

そこはキャットフードのコーナー。
恐らく愛する飼い猫ちゃんのために、少しでも喜んでくれそうなエサを選ぼうと真剣に討論していたのだろう。
それにしても何を基準にして栄養価や味を選別対象にしていたかが気になった僕は、さりげなくその老夫婦に近付いてみた。

見る限りでは、裏側に書いてある成分表などを見比べている訳ではない。
どうやら袋表に書かれているキャッチフレーズで決め込んでいるようだ。

「豊富な栄養」
「最後の一粒までおいしい」

なるほど、栄養が豊富な方と、おいしい方って事か・・・

ちょっと待て。

栄養価に重点を置いて開発した商品として「豊富な栄養」というキャッチフレーズを付けたのなら何となく解らなくも無い。

おいしい?

こんな大胆なボケに今までツッコむ事もなく、気付かずに素通りをしていた自分が恥ずかしい。
いや、待て、ひょっとしたら鉄人フレンチシェフ坂井宏行が手掛けたキャットフードかもしれない。

んな訳ない。

たとえそうだったとしても猫ちゃんが「美味しい」などとは言葉にしないだろう。

僕は考えれば考える程このキャッチフレーズに感銘を覚えた。
大胆すぎて誰にも疑いを持たせない軽快さと、手に余る程のインパクト。
気付いてもどのようにツッコめば良いかすら解らない程の不敵さだ。
きっとこのキャッチコピーを考えたコピーライターは、かなりの凄腕なのだろう。
僕は瞬時にそう捉えた。

そして同時に、そのコピーを疑う事もなく選別対象としている老夫婦を可愛くも思った。

僕は一つのカルカンを握りしめながら、そんな老夫婦に思わずアドバイスを送りたくなった。
いや、言わずにはいられなかったので老夫婦の後ろを通りがかった時、余計なお節介にならぬよう、二人に聞こえない程の小さな声で話しかけてみた。

「これにすると『猫まっしぐら』になりますよ」


ペットコーナーには、人間のエゴイズムを剥き出させるキャッチフレーズが多く存在する。
それに気付いた時、それまで気付かなかった自分に、誰もが赤面する事だろう。
そして、さらにペットを愛おしく思うのである。
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