goo blog サービス終了のお知らせ 

A5-luonnoslehtio

何せ自由な帖なので

【詩】270522

2015-06-07 23:54:47 | ウェブログ
はやくはやくと急かす君を,どうして彼は同じ速度で追わなかったのだろう,
理不尽な苛立ちはタバコの煙のようにまとわりついた。



風にのって空をとぶハンカチは黄色で,初夏の青空によく映える。

僕はウクライナの国旗を思い出していた。
どこまでもつづく青い空に,黄金色に輝く小麦,人々の願いをたった二色であらわしている美しい旗。



季節はずれのマスク姿に,風邪ですかと尋ねると,「身だしなみです」と彼女は答えた。



大きなクマをつくって頭をガシガシとかきながらうなる課長は,こんなに真面目なシーンなのに,サンダルからのぞく足指に蛍光色の可愛いらしい恐竜がところせましと踊っている靴下,そんなところがずるいんですと,タバコの匂いのついたぐしゃぐしゃの髪の毛に,いつか言ってやりたい。



キーボードに助手席をとられてしまった君は,後部座席で不機嫌そうに鼻歌をうたっていた。



心が躍らないのは,恋が終わるからだろうか。



すぐにさかむけをめくっちゃうんだから,
とあなたから手渡されたハンドクリームはアーモンドの匂いがして,
僕はいっそう嫌になってしまった。



何層も重ねたマニキュア,

小さな嘘,
癇に障る声,
伝えられない気持ち,

今日も上からぬりつぶして,の爪はまた傷ひとつないような顔をする。



ティラミスのような雪が屋根にのった小樽の冬,19時間で別れを告げた。



君は四角い部屋のなか,
君が好きな人は四角い枠のなか,
君を好きな人は僕,
君のとなりにいる。

コメントを投稿

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。