美しい花を、欲しいと願うことは。
輝く星を、手に入れたいと願うのは。
自分だけのモノにしたいと願うのは、
わがままなのだろうか―
空の星と同じくらいの、至高の宝石を手に入れたい。
自分だけのモノに。
そう願う。
時は秋
場所はイギリス、ロンドン。
ここに、自分では何を欲しているのかが、分からないままに、
次々と優美な絵画、高貴な宝石、絢爛豪華な品を次々に
さらい続ける者がいた。
そんな横行を放っておく程、スコットランドヤードは
優しくはなかった。
しかし、手を尽くしても、尽くしても、未だにその正体を見る事も出来ず。
気配すら、手掛かりすら、その髪ひとすじさえも、
掴みきれずにいた。
そんな頃だった。
彼の部屋へ、訪れる姿。
「今回は絵画ですか」
おおよその事は、新聞でも目にしていた。
プラスして、記事になっていない、捜査の状況など、
ひと通りの経過を耳にする。
いつものソファーに、深く腰を沈め、パイプ煙草をくゆらしながら。
目はふせがちだ。
その奥には、鋭い眼光が見える。
「ここまで聞いて、断るというのも、あまりに可哀相ですね。
いいでしょう、」
もう一度、パイプをふかす。
「今夜、うかがいましょう」
今回はココまで。
待て次回!!