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ほろ酔い日記

 佐佐木幸綱のブログです

甲府・金桜神社の信綱歌碑を

2015年06月09日 | 日記
 山梨県の昇仙峡の奥にある金桜神社へ。少彦名命をお祭りする古い由緒のある神社で、現在は、ヴァンフォーレ甲府の氏神様として賑わっているとのこと。
 
 2018年に「心の花」が創刊120周年を迎えるに当たって、佐佐木信綱第一歌集『思草』の巻頭歌の歌碑を建立したいということになった。そこで、この金桜神社の境内に建てさせていただきたいということで、ご挨拶にうかがったのである。
 
鳥の声水のひびきに夜はあけて神代に似たり山中の村

初出「帝国文学」明36年9月号のこの歌は、明治36年4月下旬、甲府での歌会に招かれた信綱は、雨の中、昇仙峡をのぼり、御岳に近い山村・宮本村の旅荘に投宿する。
 この小旅行については、信綱を含めて3人連れで、そのうちの一人・小尾保彰が「峡中記」(上中下)を、「心の花」(明36・6、7、8)に書いているのである程度まで詳しく分かる。

 「筧の音枕に響きて眠りは覚めたり。戸あくれば空はぬぐひし如く晴れ渡れり。今日わくる山路の景色など思ひつつ、起き出でて氷より冷たき石清水に口そそぎつ」と書いている。これによれば、「水のひびき」は、石清水を流す筧の音ということになる。
旅行詠だが、ファンタジックな一首の清澄な世界が気に入って、信綱は巻頭に置いたのだろう。『思草』一巻の指向するところは一言でいえば〈清澄〉であるからだ。季節は春。時刻は朝。これも巻頭歌に据えた理由だろう。(以上・佐佐木幸綱『佐佐木信綱』より引用)
 
 三枝昂之山梨文学館長の尽力で、作品が作られた旅荘に近いと推定される金桜神社の宮司さん、総代さんの了解をえることができた。
 この日はご挨拶にうかがい、建碑の場所を決めてきた。1枚目の写真の場所である。晴れていれば真正面に富士山が見える見晴らしのいい一角である。

   

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