東チベット-ンガパ県での蜂起は勃発してから半年以上が経ち、これ以上長引かせると国内の革命勢力を勢いづけてしまうと、中共(ドン)は危機感を募らせ決着を急ぎます。
蜂起軍がここまで持ちこたえられたのは、ウラン鉱山を難攻不落の要塞にしたコトと、核ミサイル基地を占拠して「自動報復システム」をオンにしたと主張したタメです。
因みに、この「システム」はロシアもオンにしたと主張しており、その「報復」の標的には日本も入っています。
この「核報復システム」のミサイルはマッハ20(音速の20倍)で飛ぶので撃ち落とすコトは不可能とされ、その破滅をもたらす「死の手」はAIが握っております...
話をチベット蜂起軍に戻しますと、この「自動報復システム」はハッタリに過ぎず、チベット人はそんな「AIまかせ」の危険なシステムを嫌って、マニュアルで「最期の一発」を撃ち上げるとします。
これについてはドンも薄々はハッタリだろうと考えていましたが、それでも攻撃を躊躇させる効果はありました。
ドンには兵糧攻めぐらいしか打つ手が無くなり、それもあまり効果を発揮しないと解ったドンは、如何にして出し抜けに蜂起軍を殲滅するかを検討します。
それにはもう核兵器を使用する他に道はなく、それは核ミサイル基地とウラン鉱山の両方に落とされます。
ドンが優先するのはもちろん核ミサイル基地で、そこに如何に反撃の余地を与えずに核ミサイルを撃ち込めるかが、勝敗のカギを握ります。
結論から言ってしまうと、ドンのあらゆる妨害工作や奇襲作戦は失敗に終わり、核ミサイルの発射ボタンを常に握り締めていたタシ(ランボー)は、「最期の一発」を迷わずに発射します...
核ミサイルが打ち上げられた数秒後に、ランボーの部隊は基地と一緒に消滅します。
その閃光は100km程離れたウラン鉱山にも達し、リタとビジェイは打ち合わせ通り、それを合図としてメーヴェで飛び立ちます。
普段ならばたとえ夜中でも、厳重な包囲殲滅戦の囲いを二人乗りのメーヴェで突破するコトは不可能でしたが、この一瞬だけは例外でした。
それはドンの全ての注意がタシの放った「最期の一発」に向けられたからで、ウラン鉱山への注意は一瞬だけ逸らされました。
核ミサイルはマッハ20で成層圏を突破して北京へと飛んでゆき、リタとビジェイはその反対方向の南へ飛んで行きます。
ウラン鉱山に核ミサイルが打ち込まれたのはその数十秒後で、閃光と爆風によってメーヴェはかなり吹き飛ばされますが、2人はしがみついて何とか無事に高度一万メートルにまで達しヒマラヤを越えられます。
これで概ね「蜂起軍の最期」は描き切りましたが、まだ「最期の一発」が残っており、それについてはまた次回に物語らせて貰います。