前回、「華北農村の冬の落陽は寒々し過ぎて、とても居られずに街へ出たくなる。」と書きましたが、これは決して農村を卑下しているワケではなく、都市にはそれなりの役割があると認めるモノです。
実際に北国での冬の営農はムリがあり、華北ではビニールハウスによる「白色革命」が一時注目されましたが、石炭を燃やしてハウスを温めて育てた作物はコストがかかり過ぎ経営的に成りたたず、これは農地を管理しているのが実質的には党なので、党がコスト負担して農民には構う余地がありませんでした。
しかし連作障害で農薬を多用しなければならなくなり、農民は健康被害を被って、農地も生態系が乱れてすぐに劣化してしまい、とても持続可能ではないと判断されました。
やはり冬場は農地を休ませる昔ながらの方法が1番で、雪で覆われ微好気状態になるので、好気性細菌と嫌気性細菌をバランス良く繁殖させられます。
これには秋の畑に有効微生物群で発酵させた有機物を出来るだけ多く入れる仕事が求められ、これは鋤き込まず土の上に撒くだけで大丈夫です。(微生物は自分で土の中に移動する)
この微生物農法は塩害で劣化した農地を甦らせる効果が広く認められており、華北平原の農業は地下水レベルが危機的に下がっているくらい灌漑に頼っているので、塩害対策は喫緊の課題です。
因みに地下水の枯渇は砂漠化によって熱波も生むようで、人々が暑さに慣れていない華北では多くの死者が出ると予測されています。
前置きが長くなったので物語には少しだけ入りますが、秋の収穫と畑への「御礼返し」を終えた300万人もの闇っ子女子達は、長征の途上で買い占めて来た牛や豚や羊と一緒に「冬の落陽」へ休養を取りに入城しました。