真の動物福祉牧場を目指して

夢をひき継ぐ

 今回も八路和提(パールワティー)のブログとして書きますが、彼女はインドへの旅に出てから「十六戦記物語」の連載を一時休止しており、モンゴル草原の家(キャンプ)に帰ってからもウランバートル市での仕事に追われてなかなか物語に復帰できていないので、そろそろ落ち着いて著作に向かおうかと着地点を探っているとします。

 

ーー 前回からの続きでウランバートル近郊の農業開発プロジェクトについて語りますが、市の郊外は果てしなく草原が広がっており、そこは国有地で誰のモノでもないので、国の許可さえ得ればいくらでも農地を広げられます。

 なので当然、私よりも前に郊外で農業エンタープライズ(起業)を行った先駆者はおり、その事業は残念ながら頓挫してしまいましたが、私はその跡をひき継いで行くと約束しました。

 それはウラン鉱会社のCSR(社会貢献事業)部門を担った女性によって行われ、この会社は旧ソ連時代からウラン採掘を行って来ましたが、市場動向や財務状況から撤退を余儀なくされて、近年ではモンゴルの国営会社として採掘が続けられています。

 因みにモンゴルはウランの推定埋蔵量が世界一の国で、今後の国の発展はその開発に依るところが大きいので、利己的で環境破壊を顧みず、労働者を搾取する外国企業から鉱山を買い取ったのは正しい道だと思います。

 しかしウランの市場動向はそうした外国企業に握られており、モンゴルのウランは他国の倍程の値段で売らざるを得ないので、なかなか財務状況は好転せず、CSRに回す資金も底をついて農業エンタープライズは頓挫してしまいました。

 なぜモンゴルのウランは高くつくのかと言うと、一つには環境汚染をしっかりと抑えているからで、これはウランの精製過程でたくさん生じる核汚染水がモンゴルの希少な水系資源に混ざらないようにする為です。 もう一つは労働者の安全保障がしっかりしている為で、これにはウラン粉塵による内部被曝と、それによる肺がんのリスクを包括的(医療的)に保障するコトを意味します。

 利益ばかりを追求する外国企業は、アフリカに於いて労働者の健康や環境破壊を無視してウラン鉱を操業しており、これは「ヌクレア-レイシズム(核の人種差別)」と非難されています。 更に酷いのはロシアや中国に於ける囚人や政治犯の強制労働で、それによって採掘されたウランが安いのは当たり前ですが、果してそんな「穢れたウラン」を先進諸国は買っても良いのでしょうか?

 こうした観点からも、モンゴル国営ウラン鉱会社のCSRは応援する価値があり、その社会貢献度をアピールするコトで、倍の値段を払っても買おうという先進国が増えるコトを期待します。

 このCSRとしての農業エンタープライズについては、二回前のブログ「モンゴルでのエンタープライズ」で紹介したので端折らせて貰いますが、それは50年程前から核汚染水の有効微生物群(EM)による分離-浄化を担ってきたモンゴル人女性(ドルジ女史)によって始められ、ウラン精製の廃棄物として大量に出る「放射性スラッジ」を農業用ハウスに活用した事業です。

 その中で特に注目されるのは、放射線エネルギーと土の発酵熱によって化石燃料を使わずにイチゴ栽培を行う挑戦で、これが成功すればモンゴルの人々に安価なビタミンC源を供給するコトが出来ます。 モンゴルでは果物は輸入品しか無くて高価で庶民には買えず、他にビタミンC源はほぼ無いので栄養不良が蔓延しており、ドルジ女史はそれを何とかしたかったと言います。

 このプロジェクトは一時は上手く行きかけ、長年EMを活用したハウスの土は有効微生物群の密度が非常に高まり、塩害はもう心配無くなって、その発酵熱もハウス内でイチゴが冬を越すのに足るモノと成りました。 放射線エネルギーの活用も善く比較実験が成され、これは「Plant Hormisis」として既に数百もの研究が成されていますが、これはEMの光合成細菌との相性も良く、イチゴの生産性と健全性(ファイトケミカルの量で測られる)の向上が認められました。

 しかし、ハウスの屋根に使われた強化ガラスは安物だった為10年も持たずにひび割れが生じ、雹のブリザードによって崩壊してイチゴは全滅してしまいました。 これを再建する余裕は国営企業にはもう無く、ドルジ女史の夢は半ばで潰えてしまいました。 しかしハウスの枠組みと中の土はまだ残っており、その土はパーマカルチャー(永続農法)が可能な程に高い微生物活性を保っていました。

 なので私は90代半ばのドルジ女史にひき継がせて欲しいと頼みに行き、彼女はそれをとても喜んでくれました。 この事業には台湾光復党の党首ラクシュミーも資金提供を快諾してくれたので、来年にはイチゴ狩りが出来るように成って、この「ストロベリーフィールズ」はきっと「フォーエバー」に発展して行き、モンゴルの国営ウラン鉱も信頼度を高めて発展して行くかと思います。  --

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