この国連脱退の理由は、漫画「国が燃える」でも充分に理解できる単純さで、要は欧米列強が日本を新たな植民帝国として認めなかったと云う事です。
日本が訴えた五族協和や王道楽土は、日本人ですらその大多数はスローガンに過ぎないと思っており、日本が満洲を支配する事で国内の経済不安を解消して、強力な帝国になる野心を持つ事は誰の目にも明らかでした。
ここで少し国連に寄り道しますが、昭和初期と今とではどの様に変わったでしょうか?
昭和初期には日本をクビにする程の実力があったのに、今では小国シリアすらクビに出来ず持て余している観があります。
シリアについてはイスラム国やクルド人独立問題など事態が錯綜しており、上のコラムのコメントにアサド政権を擁護する意見すら見られるように、国連もシリアのアサド政権を容易に切れない理由が在るのでしょう。
しかしそれでも、民主化を求めた市民を毒ガスで虐殺した政権のクビを切れない程、国連が弱体化している事は否めないでしょう。
私としては、国連にはもっと実力を持って欲しいと思っているので、ユニセフなどへの募金は続けており(1日50円)、技術的な応援も出来たらいいなと思っております。
話を満洲国に戻しますが、当時の日本はとても峻烈な葛藤を抱えており、それは都市と農村の葛藤、即ち富める者(資本家)と貧しい者(出稼ぎ)との葛藤であり、これは都市化と工業化が進む社会では避けて通れない葛藤でした。
これを解決する為には農民を富ます必要があり、日本は満洲へ五百万人もの貧しい農民を送り出そうと計画し、奪い取った広大な土地を与えて新たな地主にする政策を押し進めました。
しかしこんな政策が結実するには、イギリスのインド支配並みの峻烈な差別が必要であり、それを中国人に対して行う事はムリがありました。
確かに当時は、満洲に近代国家を築ける実力を持つのは日本人しか居らず、勤勉な日本人は満洲に経済発展をもたらしました。
しかしそれは戦争の為の経済発展で、ムリな進歩は多くの歪みを生みました。
こうした搾取に反感を持つ中国人民は当然多く、労働組合はアカとされて弾圧され地下に潜って、そこにソ連帰りの曹希聖がテロの実力をもたらします。
これは歴史の汚点となる毒ガステロの応酬を巻き起こし、希聖はその罪を重慶大学で総括しましたが、バルドゥの憤怒尊はそんなモノでは到底許してくれませんでした。